快傑ズバット(特撮ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「ズバッと参上!」私立探偵の早川健は、親友だった飛鳥五郎の仇を討つべく、日本全国を放浪する。その最中で各地の人々を苦しめる悪漢たちを日本一の技で圧倒し、最後は快傑ズバットとなって成敗する。スタッフが口々に「宮内洋でなければこの番組は成立しない」と言われる作品で、圧倒的な存在感を持つ特撮ドラマである。

『快傑ズバット』の概要

『快傑ズバット』は1977年2月~同年9月まで東京12チャンネルで放映された特撮テレビドラマ。主演は宮内洋、原作は石ノ森章太郎、脚本は全32話中30話を長坂秀佳が担当している。

主役である私立探偵の早川健が親友であった飛鳥五郎の仇を探してあちこちの町を旅している際に、その土地を支配する悪党との争いに介入する。各組織が雇っている、ある一芸に秀でた用心棒の腕を超える「日本一の技」で相手を圧倒したのち、姿を一時消して、快傑ズバットとなって各組織を成敗していく、というのが毎回のストーリーである。

プロデューサーの平山亨が「石ノ森に相談するより先に主演を宮内に打診した」、メインライターの長坂が「あんなにキザにやって嫌味にならない奴はほかにいない」などと語るように、早川健は宮内にとってはまり役だった。

東京12チャンネルが制作に関わった特撮ドラマの中では視聴率が高く、15%程度の視聴率を記録したが、脚本のメインライターの長坂曰く「スポンサーが対象にしている年代が誰も見ていない」「おもちゃが売れない」などの理由でスポンサーのタカトクトイズが降板したため、当初は1年の予定であった番組は32話で終了した。

しかしこの作品の独特の世界観と迫力から、特撮ドラマ作品の中でも異色の存在感を持っている。
仮面ライダーシリーズ40周年記念映画『オーズ・電王・オールライダー』(2011年)にゲスト出演したり、バンプレストのテレビゲーム『スーパーヒーロー作戦』(1999年)でウルトラマンや宇宙刑事らと共に共闘したり、といった他作品とのクロスオーバーも展開されている。

主な登場人物・キャラクター

早川健/快傑ズバット(演:宮内洋)

黒いテンガロンハットと手袋、マフラーがトレードマークの私立探偵。親友であった飛鳥五郎を殺した相手を突きとめるべく、日本全国を旅している。
悪党たちの前にはギターをかき鳴らしながら現れることも多い。彼が歌っている「二人の地平線」は飛鳥がつくった歌である。
立ち居振る舞いはキザだが、出会う人たちには礼儀を忘れない。

各地域を牛耳っている組織の用心棒に対しては、その腕前に対して「日本じゃぁ2番目だ」と告げた後、相手の「1番は誰なんだ?」の問いかけに対し、口笛を鳴らした後で数回舌打ちし、顔の目の前で振っていた指で帽子の鍔を上げ、自分を指差して笑いかける、というのが毎回のパターンで、そして実際に相手以上の超人的な技で敵を圧倒してみせる。
なお、毎回の次回予告では、「ズバットの真似は危険ですから絶対にしないでね。」のナレーションが挿入されていた。

常に携帯している、飛鳥の形見のギターの中には、研究途上にあった飛鳥製の強化服「ズバットスーツ」が納められており、それを着用することで「快傑ズバット」となる。
ただしズバットスーツの着用時間は5分間に限られており、それ以上着用すると身体が弾け飛ぶ(番組後期では改造されたのか、制限時間が過ぎると鉛のように重くなる、という設定になった)。

愛機ズバッカー

月面探査用に開発された「ズバッカー」で「フライトスイッチ、オン!!」の掛け声と共に颯爽と現れ、悪党に対し「ズバッと参上!!ズバッと解決!!人呼んでさすらいのヒーロー!!快傑ズバァァァット!!」の名乗りと共に、鞭を振るって戦闘員や用心棒を成敗する。
そして組織の親玉と対峙した後、「1977年2月2日に飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな!?」と詰め寄り、相手が犯人ではないとわかった後で、空中で捻りを加えた必殺の蹴り「ズバットアタック」で天誅を加える。そして「この者極悪殺人犯人!」などと書かれたカードを残して去っていく。

ズバットカード

飛鳥五郎(演:岡崎二朗)

早川の無二の親友であった科学者。
第1話に登場した、爆弾テロで脅迫行為を行う組織「地獄組」から子供たちを助けて重傷を負わされたあと、悪の大組織「ダッカー」の総統Dによって射殺されてしまう。
オープニングテーマ「地獄のズバット」ではその殺害シーンが毎回流されている。

オープニングで挿入される死亡シーン「飛鳥ぁぁぁっ!!」

東条進吾(演:斉藤真)

警視庁のエリートであり、早川の親友。ダッカーが陰で糸を引いている各組織が引き起こす犯罪を追及している。
快傑ズバットの正体が早川であることに気づいており、早川には協力的である。正義とは言え暴力行為で悪を倒していくその行為には、刑事であることから黙認できず、たびたび注意を加えている。本心では早川には敵討ちを捨て、警察に任せてほしいと、早川のことを思っている。
快傑ズバットが各組織のボスを倒した後に、意識を失ったボスと残されたカードを見て、苦い顔をすることも多い。

飛鳥みどり(演:大城信子)

飛鳥五郎の妹で、第1話では幼稚園に勤務していた。兄が射殺されたことで当初は早川を恨んでいたが、地獄組から助けられたことでその気持ちを捨てる。
それ以降は兄の仇を探すのと、早川に協力するという目的から旅を続ける。各地の悪漢たちに人質にされたり、怪我を負わされたりと、危険な目に遭うことも少なくないが、そのたびに早川に救われている。

寺田オサム(演:中野宣之)

左がみどり、右がオサム

第1話で、飼っていた兎を標的にされた際に、早川の凄腕を目の当たりにしたことで彼に心酔し、弟子を志願して早川を追う旅を続ける少年。旅の費用はアルバイトで捻出しており、かなり苦労している。みどりと道連れになることも多く、番組の終わりに2人で早川の名を呼ぶこともしばしばである。

story_seller88
story_seller88
@story_seller88

Related Articles関連記事

仮面ライダーV3(ブイスリー)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

仮面ライダーV3(ブイスリー)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『仮面ライダーV3』は石ノ森章太郎原作の特撮テレビドラマ。『仮面ライダーシリーズ』の人気を定着させた作品である。ショッカー・ゲルショッカーの後継組織であるデストロンの魔の手から人々の自由と平和を守るために、風見志郎/仮面ライダーV3が悪の怪人と闘い続ける。登場人物は前作『仮面ライダー』から一部引き継がれ、前作と同様、もしくはそれ以上の人気を獲得する作品となった。

Read Article

【お前さん】異色のヒーロー「快傑ズバット」!荒唐無稽な活躍を徹底紹介!【日本じゃ二番目だ】

【お前さん】異色のヒーロー「快傑ズバット」!荒唐無稽な活躍を徹底紹介!【日本じゃ二番目だ】

1977年に放送された『快傑ズバット』は、いわゆる特撮ヒーロー物の作品ではあるが、その荒唐無稽な内容で有名である。本筋は「親友を殺された主人公の復讐譚」という重苦しいものながら、思わずツッコミを入れてしまう物語の奔放さが独特の魅力ともなっている。 ここでは、『快傑ズバット』の信じられない活躍の数々をまとめて紹介する。

Read Article

「仮面ライダーV3スナック」の全カードをまとめてみた!マニアも驚く貴重品も!

「仮面ライダーV3スナック」の全カードをまとめてみた!マニアも驚く貴重品も!

『仮面ライダーV3スナック』の全てのカードをまとめてみた。この商品は、『仮面ライダースナック』の好評を受けて発売されたスナック菓子で、『仮面ライダーV3』の主人公や怪人たちのカードがおまけとして入っていた。これらのカードは現在もコレクターが存在し、一部のものは高値で取引されている。

Read Article

【特撮】仮面ライダーV3の怪人まとめ【ハサミジャガー・カメバズーカ】

【特撮】仮面ライダーV3の怪人まとめ【ハサミジャガー・カメバズーカ】

『仮面ライダーV3』では機械と動植物を融合させた怪人が登場する。ハサミとジャガーの機械合成怪人「ハサミジャガー」、バズーカ砲とカメの機械合成怪人「カメバズーカ」などだ。物語中盤からはキバを持つ改造人間「キバ一族」、飛行能力を持つ「ツバサ一族」、強固な防御力とパワーを併せ持つ「ヨロイ一族」といった怪人も登場した。

Read Article

目次 - Contents