機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ(鉄オル)のネタバレ解説・考察まとめ

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズとは、2015年10月から2016年3月に第1期(第1話~第25話)、2016年10月から2017年4月に第2期(第26話~第50話)が放送されたアニメ作品。生き抜くために、戦いを繰り広げる少年たちの姿を描いている。

「俺はお前に…フウカに… 出会わなければよかった。 ヒューマン・デブリは感情なんて 持ってたら生きていけない。 仲間が殺されても悲しんでたら潰される。 俺たちは自分の心を殺して生きてきたんだ。 なのに…なのに…本当に…お前らに… 出会わなければよかった…だって… 死にたくないって思いながら… 死ななくちゃいけないんだからな… でも…ありがとう………」

32話。マクギリスの攻撃からタカキを庇い絶命していくアストンの言葉。

ブルワーズの一員として、感情を押し殺さなければ耐えられないような生活を強いられてきたアストン。
鉄華団との戦いで生き残った彼は、その後、鉄華団に引き取られた。
その中で出会ったタカキ、そしてタカキの妹、フウカとの交流は、彼にとっては新鮮で、そしてまたとても喜ばしいものだったのだろう。

誰かと交流することで、感情が生まれていく。
それに出会ってしまった後悔と感謝を口にするアストンの思いを、そしてそれを聞くことしかできないタカキの思いが胸に迫る台詞である。

「生き残ってくれてありがとな」

46話、昭弘が口にした言葉。

ブルワーズの生き残りであり、昭弘の姓、アルトランドを授かった少年兵、デルマ・アルトランド。
彼はアリアンロッドと革命軍との戦いにおいて、片腕を失ってしまう。
しかし多くの仲間たちが死んだ現実に、こんな半端な状態で生き残っても役には立てないのに、と言葉をもらす。
そんな彼に対して、昭弘が口にしたのがこの言葉である。

少年兵にとっては、死ぬことよりも皆の役に立てないこと、そしてそれによって皆に捨てられてしまうことの方が恐ろしいのかもしれない。
特にブルワーズのような、役に立たない少年兵は大人たちによって切り捨てられていた組織に属していたデルマは、一層、その思いを強く抱いていたのかもしれない。

その心を察知し、それを受け止め、ただ生きていてくれたこと、それが何よりも嬉しいと伝えた昭弘の言葉に、デルマは涙を見せ頷く。
言葉数は多くないが、仲間に対しての思いやりに溢れた昭弘の人間味が感じられる言葉である。

「俺ら家族だろ?身内でどうとかピンと来なくてよ」「俺みてぇなの、好きになってくれる物好きもいてよぉ… ユージン、いろんなヤツがいるここが俺は好きだ。 守りてぇよ、鉄華団を」

46話。ユージンの回想における、シノとユージンの会話の中でシノが口にした言葉。

この言葉を口にする前には、シノはユージンに対して、ヤマギが自分に思いを寄せているのかを問うている。
それに対して、そのことにとっくに気がついていたユージンは、今さらかよ、と突っ込みを入れている。
ヤマギのシノに対する思いは、鉄華団内では暗黙の了解だったが、それを寄せられているシノ自身は気がついていなかったと言うことだ。

だがシノは、ヤマギの思いを否定はしなかった。
それは同性だからと言う理由ではなく、大切な家族だから、身内だからと言う理由のためである。
この言葉をユージンから聞いたヤマギは、シノと一緒に終りたかったと言う思いを改め、シノが好きだった鉄華団を守るために、生き続けることを誓う。

恋愛感情には不器用で、けれど自分にその気持ちを寄せてきてくれているヤマギに対して、丁寧に向かい合おうとしているシノの人間性が感じられる言葉である。

「ならクーデリアさんも作りましょう、一緒に! 三日月の赤ちゃん!」

47話。アトラがクーデリアに対して発した言葉。

アトラは幼いこともあって非常に天真爛漫、鉄華団の中でも癒やしのポジションを担うような少女である。
しかし一方、三日月に対しては強い思いを寄せている。
そしてまた、自分と同じように三日月を想うクーデリアに対しても強い親愛の情を抱いている。

そんなアトラは、三日月の命が戦いによって危険にさらされるたび、彼の存在をどうにかして残したいと思うようになる。
そして実際、三日月との子づくりに成功したと推測されるのだが、そこで終わらず、こんな言葉を口にしてしまうのがアトラのアトラたるゆえんである。

「けど今は…。俺にはオルガがくれた意味がある。なんにも持っていなかった俺のこの手の中に…こんなにも多くのものがあふれてる。そうだ、俺たちはもうたどりついてた…」

最終話。ダインスレイブにさらされ、ほとんど意識がない状態で戦い続ける三日月の言葉。

物語中において三日月の心情が、彼自身の語りで明かされることはほとんどない。
ただ言葉や行動からわかるのは、彼がオルガに対して絶大な信頼を寄せており、そしてそのオルガが作り上げた鉄華団のことを、心の底から大切に思っていると言うことだ。

大切な鉄華団を守るために戦う。
その意味を見つけたのは他ならぬ三日月自身である。
しかしそれでも、三日月にとっては、幼い頃、出会ったオルガの存在こそがその意味を作り上げ、与えてくれた存在なのだ。

もし、オルガと三日月、そして鉄華団の団員たちが、ヒューマンデブリでなければ。もっと恵まれた環境下で生きることが許されていたのであれば。
それはそれで、とても幸せなことだっただろう。戦場に散ることもなかったかもしれない。
しかしたとえヒューマンデブリであっても、貧しい環境下で生きることを、戦いを余儀なくされ、その中で命を落としていったとしても、そこには確かな意味があった。
その意味の価値、重さ、そして何より、それを見つけることができた三日月たちの気持ちがひしひしと伝わってくるような言葉である。

「なるほど」

最終話。ヒューマンデブリ廃止条約の調印式に出席したラスタルの言葉。

同じく調印式に出席したクーデリアは、ラスタルに礼を述べる。
するとラスタルは、自分はかねてからヒューマンデブリの存在には胸を痛めてた、これからはクーデリアの夢、すなわち人民の自立を実現させるために、ギャラルホルンが総力を尽くす、と語る。

それに対してクーデリアは話す。
自分にはかつて、ヒューマンデブリの家族がいた。そしてその家族は、その境遇と真正面から戦い、散って行った。自分はただ彼らに恥じないよう、生きていきたいのだ、と。
その言葉を受けての、ラスタルの「なるほど」の一言である。

クーデリアが自分に対してどんな感情を抱いているのか。どんな感情で家族を失った話を、自分に対してしたのか。
クーデリアが話したヒューマンデブリの家族=鉄華団を壊滅に追いやったラスタルが、それを知らないはずはない。
しかしそんなことなど歯牙にかける様子も見せず、ラスタルはただ一言、クーデリアの思いを「なるほど」の一言で受け止めた。
清濁併せのむ度量の大きさを感じさせると言えば聞こえは良いが、それ以上に、権力者としての冷徹さ、底知れ無さを感じさせる、短いが恐ろしさをも感じさせる一言である。

だがそんなラスタルを前にして、鉄華団を壊滅状態に追いやられた遺恨を一切見せず、クーデリアは淡々と鉄華団のことを話した。
その度量、覚悟のようなものも、また見事だと言える。

「クーデリアさんがいつか言ってくれた。多くの世界を見て知識を深めることで自分の選択肢を広げられるって。俺分かってきた気がするんです」

最終話。薪苗の墓参りに訪れたクーデリアやユージンたちを前にしたタカキの言葉。

鉄華団の団員である最中、自らの不甲斐なさもあってアストンと言う大切な友人を亡くしてしまったタカキ。
その後、彼は鉄華団を辞し、傷ついた心を抱えたまま新たな人生を始めることを選択した。

血と暴力、戦いの世界から距離を置いて、社会人として様々なことを経験したのであろう。
タカキのこの言葉には、知識こそが選択肢の源であり、選択肢が生まれていくことが自分や、誰かを支えることにつながるのだと言うことを感じさせる。
そしてそれと同時、知識を与えられなかった、持っていなかったが故、選択肢を広げることができず破滅的な道を進むしかなかった鉄華団の悲しさが際立つ言葉でもある。

「オルガ・イツカを覚えてますか?」「ああこっちも終わった」

最終話、オルガの仇であるノブリスに対して投げかけられた、ライドの言葉。

鉄華団の生き残った団員たちは、新しい人生を送り始めている。
その胸中には、生き残ってしまったことに対しての、そして死んでしまった者に対しての様々な思いが渦巻いているだろうと推測される。
だがそれでも、誰あろう、亡くなってしまった者の意思=鉄華団の団員を、ひとりでも多く生き残らせると言う気持ちに答えるために、彼らはそうした気持ちを押し殺しながら、新しい人生を歩んでいる。

だが、ライドにはそれができなかった。
自分を庇ったせいでオルガが死んでしまった。
そのことは、幼い彼の心に傷跡となって刻まれてしまった。
そして時が流れ、成長を遂げた彼は、皆の前から姿を消し、復讐の道を歩んだ。
同じく年少組であったタカキとの対比が、あまりにも悲しい。

自分が新しい人生を歩み始めることこそが、死んでいった者、オルガの願いであろうことは、ライドにも理解できていたはずである。
しかしそれでも、復讐の道を歩まざるを得なかった彼の姿、この言葉は、彼の深い悲しみ、そして気持ちを割り切ることができない重い現実を突きつけてくる。

作品の魅力

登場人物・キャラクターの個性

やはり今作の魅力、その筆頭として挙げられるのは登場人物たちの個性である。

たとえば主人公の三日月は、自分の仲間以外に対しては、その言葉に耳を貸すことすらせず、時には冷酷にその命を奪う。
そのキャラクターは主人公でありながらダークヒーローを思わせるようなものであるが、一方で彼は、仲間を守る、仲間との居場所=鉄華団を守るためであれば、自らの命を顧みずに戦い抜く、非常に(仲間に対してのみだが)熱い気持ちを持った人物でもある。
極端に矛盾した彼のキャラクターは、多くの視聴者を魅了した。

他にも、鉄華団の団長として団員を引っ張っていくオルガは、しかし仲間を失い続けるにつれ、自らのせいで仲間の命が失われたのではないか、そしてこのまま進み続けていっても良いのかと苦しむ。頼れる兄貴分として描かれる姿と、誰にも吐露することができない苦しみに煩悶する姿もまた相反するものであり、視聴者の胸を打つ。

他にも、経験を重ねていくことで少しずつ、思慮深さと人間性を身に着けていくユージン。
言葉数は少ないが、特に年少の子どもたちに対しての思いやりの深さに溢れている昭弘。
楽天家でありながら、家族である鉄華団を守り抜くために自らの命を賭していったシノ。
そんなシノに一途に思いを寄せており、シノの死後に、彼の思いを知り、気持ちを新たにすることができたヤマギ。
自らの不甲斐なさゆえ友を失い、そのために鉄華団を辞し、新たな人生を歩んで行ったタカキ。
年少組のひとりとして様々なことを経験し、しかしオルガに庇われたことがきっかけで、復讐の道を歩むことになってしまったライド。

過去に兄貴分を失った経験から、最初は反目していた三日月に対し、憧れを抱くようになり、最後は彼と同じ戦場に散って行ったハッシュ。
一般家庭の出自であるが故、鉄華団のあり方に疑問を抱かずにおれず、しかし最後は生き残るために鉄華団に戻り、ハッシュの死を知ったザック。
そして過去に殺人を起こしており、無くしていた居場所を鉄華団に見つけることができたデイン。

自分たちで作り上げた居場所=鉄華団を、奪われないよう、失わないよう、残し続けるために。
懸命に歩み続けた鉄華団を構成する登場人物たちのキャラクターは、簡単に『良い』『悪い』で区切ることができないからこそ、魅力あるキャラクターばかりである。

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機動戦士ガンダムF91(Mobile Suit Gundam F91)は、1991年に劇場公開されたアニメ作品。 シリーズ作品である「機動戦士ガンダム」の劇場公開10周年を記念して製作された。 宇宙世紀0123年を舞台に、地球連邦軍と武装集団クロスボーン・バンガードの戦いを描く。 シリーズの代名詞である人型兵器モビルスーツも、作品の見どころのひとつとして挙げられる。

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シャア・アズナブル(機動戦士ガンダム)の徹底解説・考察まとめ

シャア・アズナブル(機動戦士ガンダム)の徹底解説・考察まとめ

シャア・アズナブルとは、「機動戦士ガンダムシリーズ」に登場するキャラクターである。 天才的なパイロットにしてシリーズの初代主人公「アムロ・レイ」のライバルであり、同時に謀略家としての一面を持つ。常に仮面で顔を隠しているが、アムロにとっての敵でもあるジオン公国、それを統べるザビ家への復讐を胸に秘める。そのため時にアムロたちを利用し、時に手柄として付け狙い、やがて壮絶な私闘を繰り広げていくこととなる。 そのミステリアスな雰囲気と華々しい活躍から、シリーズ全体でも屈指の人気キャラクターである。

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機動戦士ガンダムSEED(シード)のネタバレ解説・考察まとめ

機動戦士ガンダムSEED(シード)のネタバレ解説・考察まとめ

「機動戦士ガンダムSEED」は2002年10月から2003年9月まで毎日放送・TBS系列で放送されたロボットアニメ。「機動戦士ガンダム」シリーズの中でも新しい世代に向けて作られた、“平成のファーストガンダム”と呼ばれる作品。幼少期の親友でありながら敵対する立場にいる2人の少年と、戦争を終わらせるために戦場に身を投じる中での葛藤や苦悩を描いた壮大なストーリーが見どころ。

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機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『機動戦士クロスボーン・ガンダム鋼鉄の七人』とは、『月刊ガンダムエース』2006年7月号~2007年9月号に連載された長谷川裕一による漫画作品。『ガンダムシリーズ』の中でも『クロスボーン・ガンダムシリーズ』と呼ばれるシリーズの第二期長編作品である。 地球滅亡を目論む木星帝国の野望を阻止した少年トビア・アロナクスは、その三年後、木星帝国がまだ健在であること、新たな地球壊滅計画が進行中であることを知る。今度こそ決着をつけるため、トビアは七人の仲間と共に木星帝国の本拠地へと乗り込んでいく。

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機動戦士クロスボーン・ガンダム(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

機動戦士クロスボーン・ガンダム(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『機動戦士クロスボーン・ガンダム』とは、『月間少年エース』1994年12月号から1997年3月号にかけて連載された漫画作品。『ガンダムシリーズ』の中でも『クロスボーン・ガンダムシリーズ』と呼ばれるシリーズの第一期作品である。 交換留学生として木星圏を訪れたトビア・アロナクスは、地球圏侵攻を目論む木星帝国、そしてそれを阻止せんと戦う宇宙海賊軍の存在を知る。宇宙海賊軍の一員となったトビアは、木星帝国の野望を阻む大きな力へと成長していく。

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