風の谷のナウシカ(Nausicaä of the Valley of the Wind)のネタバレ解説まとめ

1984年トップクラフト制作の日本アニメーション映画で、宮崎駿監督の長編アニメーション映画第2作である。原作は「アニメージュ」に連載していた宮崎の同名漫画『風の谷のナウシカ』。遥か遠い未来、近代文明が崩壊し「腐海(ふかい)」と呼ばれる菌類の森に世界は覆われていた。その辺境にある「風の谷」で生き抜く少女の生き様を描く。

音楽は、後の宮崎作品にも関わっていく久石譲が初めて参加している。
当初、久石は映画に先行して発売されたイメージアルバムのみの担当で、映画の劇伴音楽は安田成美の歌うシンボルテーマソングを作曲した細野晴臣が担当する予定であったが、
宮崎と高畑が久石のイメージアルバムを気に入ったため、本編の音楽にも起用され、テーマソングのみが存在することになった。
映画で使われている「遠い日々」は、当時4歳だった久石の娘、麻衣が歌っている。
シンボルテーマソングの「風の谷のナウシカ」は当初、主題歌となる旨が発表されていたが、宮崎と高畑が本作の内容と楽曲の乖離等を理由に反対し、劇中本編で使用されることはなかった。
しかし、予告編やテレビCMなどの映画プロモーション用のイメージソングとして使用され、エンディングタイトルにもクレジットが刻まれている

反響について

1984年度のアニメグランプリ、日本アニメ大賞の作品部門をダブル受賞。
また、映画雑誌ではベストテンに選出され、新聞のコラムでは「女性原理の主張」や「自然との共生」という視点を賞賛されるなど、アニメの枠を越える評価を受けた。国内外で複数の映画賞を受賞し、アニメーション作家としての宮崎駿の知名度を引き上げる作品となった。

観客動員は約91万5千人、配給収入は約7.4億円。
当時のアニメ映画としては大ヒットとはいえず、この作品が多くの人に知られるには翌年のテレビ放映以降まで待たねばならなかったが、その後のソフト販売・レンタルでは一般映画に並ぶ売上げを記録した。
オリコンランキングでは、1997年発売のVHS版、2003年発売のDVD版、2010年発売のBlu-ray版が各部門1位を獲得しており、史上初の同一作品による3部門制覇を成し遂げている。

原作との違いについて

原作は1982年2月号から月間アニメージュに掲載された宮崎駿原作の同名タイトルである。映画製作のため1983年6月号にて一時中断された。
この時点では単行本第3巻のはじめの部分(住民が全滅した集落で、ナウシカが蟲に襲われる場面)までが描かれていた。
映画版では単行本第2巻途中、王蟲の群れが暴走するエピソードまでを扱い、設定や展開を脚色している。

勢力図

原作ではトルメキアと土鬼(ドルク)諸侯連合の二大勢力の紛争(トルメキア戦役)に、風の谷やペジテ市などの小国が巻き込まれる構図。
映画版に土鬼は登場せず、トルメキアがこれらの小国に侵攻する構図となっている。

トルメキア

原作では風の谷の東方に位置し、風の谷やペジテ市などの辺境諸国と同盟を結んでいる王国だが、映画版では国号もトルメキア帝国で、遥か西方に存在する強大な軍事国家であり、ペジテ市で発掘された巨神兵を奪取しに来た侵略者として描かれる。

風の谷

原作ではトルメキアとの盟約に従い、ナウシカがクシャナの部隊の南下作戦に従軍する。その後は物語にほとんど登場しない。
映画版ではトルメキア軍によって占領され、巨神兵の卵の培養地となったため、ペジテ市の残党により王蟲の暴走の標的とされる。

ペジテ市

原作・映画版とも、地下で発掘された巨神兵を狙うトルメキア軍に侵攻され大半の市民が虐殺されている。
原作では、避難民を乗せた輸送機が墜落してアスベル以外の住民は全滅する。
映画版では、生き残りの避難民達がトルメキア同様に巨神兵を使った腐海の焼却を目的に行動し、まずペジテ市に駐留するトルメキア軍を壊滅させるために人工的に王蟲の暴走を起こし、自らの手でトルメキア軍もろとも街を腐海に飲み込ませ滅ぼした。
さらに風の谷にも王蟲を暴走させようとしており、ナウシカの抵抗にあう。

巨神兵

原作では知性を持つ巨大人工生命体として描かれるが、映画版では生体兵器としての面が強調され、単なる兵器、あるいは腐海を焼き払うための道具として使われようとする。
原作では主人公ナウシカを母親と認識し、彼女から「オーマ」の名を授けられ、土鬼(ドルク)の聖都シュワの墓地を封印するため共に行動するシーンも描かれている。

ラストシーン

傷つけた王蟲の幼生を囮にして、王蟲の群れを怒らせて暴走させるという作戦は、原作でも映画版でも登場する。
原作では土鬼軍がクシャナの部隊の宿営地に対して仕向ける。
その後、ナウシカが暴走を停止した群れの前に降り立ち幼生を帰し、ナウシカは感謝する王蟲たちの触手によって空中へと持ち上げられる。
映画版ではペジテ残党が風の谷(巨神兵を擁するトルメキア軍の駐留地)に対して行い、ナウシカが幼生とともに暴走を停めない群れの前に立ちはだかり、身を犠牲にして王蟲の怒りを鎮める。
暴走を止めた王蟲の群れの中で倒れていたナウシカに、幼生やその他の王蟲たちが金色の触手を集中させ、ナウシカは蘇る。

宮崎の絵コンテでは、ラストシーンは突進してくる王蟲の前にナウシカが降り立つ場面で終わっていた。
高畑勲と鈴木敏夫は娯楽映画としてカタルシスが足りないと考え、一旦死んだ後甦るという案を提案し、公開間近で焦っていた宮崎はこれを受け入れた(ほかに「ナウシカが死んで永遠の伝説になる」という案も検討された)。
これについて宮崎は、映画を宗教的な画面にしてしまったことへの想いから、宿題が残った映画であると振り返っている。
鈴木は「いまだに宮さんはあのシーンで悩んでいますね」と述べている。

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