櫻子さんの足下には死体が埋まっている(ラノベ・漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』とは、2013年から2021年にかけて出版された太田紫織によるミステリー小説(ライトノベル)を原案としたアニメ、ドラマ、漫画作品である。もともとはWEB小説であったが2013年に文庫化、次いで2015年にアニメ化、2017年にはドラマ化までされた人気シリーズ。本作は北海道旭川市に住む高校生・舘脇正太郎と骨を愛する美しい標本士・九条櫻子が様々な事件を解決していく物語。一見繋がりのない事件たちだが、それには裏で糸を引く男の存在があった。

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』の概要

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』とは、2013年から2021年にかけて出版された全17巻の太田紫織によるミステリー小説(ライトノベル)を原案としたアニメ、ドラマ、漫画作品である。
もともとは2012年に書籍投稿コミュニティ『E★エブリスタ』に掲載された WEB小説であったが、同年に『E★エブリスタ 電子書籍大賞ミステリー部門』(角川書店)優秀賞を受賞し、2013年2月23日から2021年3月24日にかけて角川文庫にて文庫化される。2013年に WEBサイト『新刊JP』にて配信されているインターネットラジオ『新刊ラジオ』内でラジオドラマとして放送されたのち、2015年10月から12月にかけて加藤誠が監督を務める全12話のテレビアニメ、次いで2017年4月には観月ありさ、藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2) 主演を務める全10話の実写ドラマが放送された。
また、『ヤングエース』(KADOKAWA)では2015年8月号から2017年12月号にかけて水口十作画による漫画版が連載され、『少年エース』においては2017年5月号から9月号にかけて全4巻のコミカライズが綾峰けうによる作画で連載された。2019年にはシリーズ累計発行部数が150万部を突破した人気シリーズである。
北海道旭川市に住む高校生・舘脇正太郎は、由緒正しい家系の美しい標本士・九条櫻子に出会ったことによって様々な事件に巻き込まれていく。次第に、一見繋がりのないように思えた事件たちがつながり、櫻子の叔父・設楽が追っていたある男にたどり着くのだった。
なお本作は、小説・アニメ・ドラマごとに内容や登場人物が異なる。そのため本記事ではアニメ版を軸にあらすじ・ストーリーを紹介していく。アニメ版は原作となる小説の第6巻『櫻子さんの足下には死体が埋まっている 白から始まる秘密』の中の1話『土を掘る女性(ひと)』までの内容を掻い摘んだものとなっている。

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』のあらすじ・ストーリー

高校生と標本士

猫の死骸を発見した正太郎(中央)と生徒たち。

北海道旭川市で暮らす高校一年生・舘脇正太郎(たてわきしょうたろう)とクラスメイト・今井陽人(いまいはると)は通学途中にネコの死骸を見つける。通りかかった生徒たちが哀れみの目を向け立ち尽くす中、正太郎が「誰か新聞紙とビニール袋、あと段ボール貰ってきてくれませんか」と呼びかける。すると隣のクラスの女子生徒・鴻上百合子(こうがみゆりこ)が「じゃあ、私が」と名乗り出た。その後3人は、正太郎たちの担任の生物教師・磯崎斎(いそざきいつき)と共にネコの死骸を学校の桜の木の下に埋めたのだった。
正太郎がネコの死骸を見て冷静な対応した陰には、容姿端麗な名家のお嬢様・九条櫻子(くじょうさくらこ)の存在があった。旭川市に古くからあるお屋敷に「ばあや」・沢梅(さわうめ)と二人で暮らす櫻子は、幼いころより骨に魅せられ、あらゆる動物の死骸から骨を取り出し骨格標本を作り出す標本士だった。弟をなくした過去を持ち、生きた人間との関りに興味がない櫻子。しかし、とある老婆の失踪をきっかけに知り合った正太郎をそれ以来「少年」と呼び親しみ、動物の死骸や骨探しに同行させることが日常となっていたのだ。

海辺の遺体

発見された頭蓋骨の状態を観察する櫻子。

ある日櫻子の車で動物の死骸探しに海まで連れられた正太郎は、海辺を探索するうち人間の頭蓋骨を掘り当てた。嬉々として頭蓋骨を観察する櫻子は、「蝶形骨」という非常に脆い骨が名前の通り蝶のような美しい形を保ったままの状態であることに感動し、それを自分のコレクションにするため持ち帰ろうとした。櫻子の叔父で法医学の教師・設楽(したら)から得た知識をもとに、この頭蓋骨からは他殺の線が濃厚だと考えられると説明する櫻子。しかし正太郎は他人の頭蓋骨を持ち去るなど許された行為ではないと、櫻子の目を盗んで警察に連絡をする。それに気付きあきれた様子の櫻子を、正太郎は「またばあやさんや在原さん(櫻子の許嫁・在原直江(ありわらなおえ))に迷惑かけてもいいんですか」と諭す。駆け付けた警察官・山路輝彦(やまじてるひこ)が事件性が認められる以上頭蓋骨を渡すことはできないというと、櫻子は「ああ、だが犯人は見つからないぞ」と言い切る。続けてこの頭蓋骨は100年以上前のものと推測できると説明するが、山路はひとまず警察署で話を聞くと押し切った。
櫻子と正太郎を乗せたパトカーの中で山路が徐に、近くの海岸でも男女の心中遺体が見つかったと話し出す。興味を持った櫻子がなぜ心中と分かったのかと問うと、山路は「お互いの手を結びあった状態で見つかれば一目瞭然ですよ」と話す。ちょうど現場の付近を通りかかったところで山路に停車するよう指示した櫻子は、現場で捜査行う警察の中に割り込み遺体を観察し始め「これは心中を装った殺人事件だ」と言った。勝手な行動をする櫻子に怒りをあらわにした警察だったが、正太郎は櫻子の叔父が事件の捜査にもたびたび協力していた法医学教師の設楽であると必死に説明した。それを聞いた山路は、「見習いのころお世話になった先生の姪御さんなら話を聞く価値はあると思います。ひとまず俺に預けてくれませんか」と上司を説得する。遺体の観察を終え駐在所に戻った櫻子に、山路はなぜあの遺体が他殺であるとわかったのか聞かせてほしいと頼んだ。

櫻子の推理を聞く山路(右)。

男女の遺体の手首を繋いでいた紐の結び目は非常にきれいだったが、時計やネックレスの結び目から右利きと推測される男性の右手首は女性の左手首と繋がれていた。女性が結んだ線も否定はできないが、同意のもとの心中ならば二人が絶対に離れないように力の強い男性が結ぶのが自然だと櫻子は推測する。また二人を繋ぐ紐は「もやい結び」と呼ばれる結び方で結ばれていた。通常、自分自身で紐を結んだ場合には締め上げた紐の終わりが上向きになるが、今回2人を結んでいた紐の終わりは下を向いていた。そして最後に、溺死と判断するポイントは2つあると解説する櫻子。1つ目のポイントは遺体の手の中。溺死する人間は苦し紛れに何かをつかんでいることが多く、特に心中であれば相手の髪を引きちぎっていることも珍しくない。しかし今回の遺体においてはそれが見受けられなかった。2つ目のポイントは、口元の状態。溺死の場合、体内に水が浸入した刺激で肺から出た粘液が肺の中の空気や水と混ざり合い白く泡立つ。やがてその泡は口や鼻からあふれ出すが、この痕跡も認められなかった。よって、第三者が二人を殺害したのちに心中事件を装った可能性が浮かんでくるというのが櫻子の推理である。
推理を聞いた山路に、なぜ短時間でそこまで導けたのかと尋ねられた櫻子は「簡単だよ。私は君たちと違って目の前の遺体が他殺であることを望んでいる。残念ながら人間の死体はその辺に転がっていない、だから死体を見つければ私はそれを不自然に思う。先入観の相違だよ」と話した。

迷子の少女・いいちゃん

櫻子のおさがりに着替えたいいちゃん。

午前3時、コンビニへ出かけたところ一人の幼い女の子を見つけた正太郎。不審に思い交番に連れていくが、勤務していた巡査・内海洋貴(うつみひろき)が何を聞いても「あかいやねのこんびに、おでかけ、とくべつ、いいちゃん、ぴょーん、とんだよ!」と一向に会話が成り立つ気配がない。調べたところ警察署への捜索届も出ておらず、何か手掛かりがないか「いいちゃん」と名乗る女の子のリュックサックを観察したところ、手形のような血痕を発見した。そこで「一つ考えがあるのですが」と言って内海といいちゃんを櫻子の屋敷に案内する正太郎。非常識な時間の訪問に不機嫌な様子の櫻子だったが、小さな女の子を連れていることに気付き、「話を聞こう」と屋敷の中に案内する。事情を聴きリュックサックの血痕を見た櫻子は、若い女性の血痕とみられることから「これは母親のものかもしれない」と推測した。「一つ確かめたいことがある」といった櫻子は、いいちゃんを半袖に着替えさせるようばあやに指示した。櫻子が幼いころに着ていたという服に着替えたいいちゃんの左腕を指さした櫻子は、「そっちの腕を見せてくれ」と頼んだ。少しためらったのちに差し出された腕を見た櫻子は、「左腕に剥離骨折の跡がみられる」と説明する。虐待という線も否定できないとしながら、付近にいいちゃんを診た病院はないか当たるよう内海に指示した。

床下から見つかった赤ちゃん。

翌日、公園で遊ぶいいちゃんを見守る櫻子と正太郎に、「いいちゃんがかかったと思われる病院は見つかったが、書類に書かれた住所も名前の偽物だったそうだ」と内海から報告の電話があった。通報を恐れたゆえの行動だと推測し呆れる櫻子と唯一の手掛かりが消え焦る正太郎に、偶然公園を通りかかった百合子が声をかける。その様子を見たいいちゃんが「ゆりちゃん!」と反応し、百合子は児童館のボランティアをしていた時によく遊んでいたのだと話す。そしていいちゃんの本名が「富永ゆうか」だと判明した。
新たな手掛かりをつかんだ櫻子たちは内海も呼び出し、百合子の協力のもといいちゃんの家にたどり着く。家の扉をノックして呼びかけるも応答はなく、鍵が開いていることに気が付いた正太郎が扉を開けると、その異臭に思わず顔をゆがめた。櫻子と正太郎が異臭のもとの部屋まで進む一方で、状況を察知した内海は百合子といいちゃんを別の部屋へと誘導し「何があってもこの部屋から出ないように」と釘を刺した。異臭のもととなる部屋でいいちゃんの母の死体を発見した櫻子は、違和感を感じる。事件当時母は何者かに襲われこの部屋まで逃げたが、ゴミ屋敷と化したこの家で脱出口となる窓は積み重なるゴミ袋によってふさがれていた。だがそれと別にある小さな窓なら、子供一人程度であれば通り抜けることができる。「いいちゃん、ぴょーん、とんだ!」というのは、この時のこと指していたのだ。それでも逃げ回った形跡の見られない母の遺体に違和感を抱える櫻子は散らかった部屋に苛立ちはじめる。しかしふと目線をやった先に見えた哺乳瓶によって、櫻子はこの部屋にもう一人子供がいると気づく。この部屋の中で安全な場所、それは母の遺体の下にある床下の収納スペースだ。遺体をどけて扉を開けると中には滝のような汗をかき、意識も朦朧とした赤ちゃんがいた。

薬物中毒の男を取り押さえた正太郎。

その頃現場の外で警察と救急に連絡を取っていた内海の前に、上半身裸で口からよだれを垂らした明らかに異常な男が現れた。現場に侵入しようとする男に注意を促す内海だったが、「“蝶々”を取りにいかせろ」と言う男の所持していた包丁で腹部を刺されてしまう。男はそのまま現場に侵入し、櫻子たちのいる部屋にたどり着く。血の付いた包丁を持った男に気付いた正太郎に呼びかけられた櫻子だったが、「少年、私から離れろ、静かに、ゆっくりと。私が今動けない。いま私の指はこの子の心臓だ」と赤ちゃんの心臓マッサージを続けた。どうするべきか、正太郎に悩む隙も与えずに男が包丁を振りかざしたその時、怪我を負いながらも駆け付けた内海が背後から男につかみかかる。それでも暴れ、内海を振り払った男のもとへ駆け出した正太郎を見た櫻子は「よせ…!行くな“そうたろう”!」と声を上げる。しかし正太郎は男の腕をとって背中側に捻り足首に自分の足をかけて、男がバランスを崩したところを見事におさえつけた。「驚きました?これでも僕、じいちゃんに仕込まれて黒帯なんで…」と誇らしげに言う正太郎を遮って、櫻子は「馬鹿者!死ぬ気か少年!二度とあんな真似はするな!」と激怒した。正太郎は、櫻子の言葉によって自分のしたことがいかに危険であったか気づく。それと同時に、大きな声に反応したのか、赤ちゃんはゆっくりと目を開けた。男はその後駆け付けた警察に連行される最中も「なあ頼むよ、“蝶々”がないとやばいんだよ、あの人に届けないと…」などと話しており、救急車で運ばれる内海を見送った櫻子は「半分わたしの想像でしかないんだが」という言葉を添えて、正太郎に今回の事件の推理を話し始めるだった。

母に窓から飛び降りて脱出するよう言われるいいちゃん。

深夜、母親が赤ちゃんにミルクを上げていた時にあの男がやってきた。男は薬物中毒で、目的は不明だが正気を失い母親を切りつけた。奥の部屋まで逃げた母親はいいちゃんに「出かけよっか、赤い屋根のコンビニ。わかるよね?今日は特別」と言って、小さな窓から脱出させたのではないか。そして櫻子は「だからと言って幼い子供の怪我を放置した罪が消えるわけではないが」と最後に付け加えた。それを聞き暗い表情を見せた正太郎に櫻子は「そんな顔をするな、正太郎」とほほ笑んだ。初めて櫻子に名前を呼ばれた喜びと同時に、先ほど櫻子が叫んでいた「そうたろう」とは誰のことだったのかという疑問が胸に残る正太郎であった。

同級生・鴻上百合子の祖母

白骨化した遺体を見つける櫻子と正太郎。

「でんすけすいか」で有名な当麻町に行くという櫻子から一緒に来るかと誘いを受けた正太郎は、「当麻鍾乳洞」に連れて行ってほしいという交換条件付きで誘いを快諾した。当日、2人で鍾乳洞を堪能したあとに、櫻子がちょっとした散歩と称して山での散歩を提案した。散歩の最中正太郎は、櫻子の言っていた「そうたろう」という人物のことばかり考えていたが、突然前方から女性の叫び声が聞こえハッとする。駆け寄ると、女性の指さす方向には白骨化した遺体があった。櫻子は興奮した様子で「素晴らしい、見たまえ少年!これこそ自然の神秘だよ!」と正太郎を無理やり遺体のそばに連れていく。死体を野ざらしにしておくとすぐさまハエが卵を産み付け、孵化したウジは死肉を食べ瞬く間に成長する。さらにそれを捕食する昆虫や小動物が集まり、つかの間その亡骸は命の楽園になるのだと櫻子は熱弁した。しかしそれに興味のない様子の正太郎は、スマートフォンを取り出し警察に通報する。
以前男女の遺体が上がった現場で会った山路の上司たちが駆け付け、「またお前たちか。一応聞くけど仏さんに心当たりはないんだな」と尋ねられる。それに対し、「心当たりはないが推測ならできる」と言い出した櫻子。遺体の着衣からして死んだのは春か秋だが、雪の残る春にこんな山に来るのは困難なためおそらく秋である。冬の間に死蝋化(しろうか)したものが気温の上昇により乾燥し一部がミイラ化していることから、去年の秋以降に疾走した人物を探すべきだろう。また、歯の状況からかなりの高齢見受けられ、首には骨折がみられる。おそらく遺体のちょうど真上にある崖から転落し、頚椎骨折により神経が断たれ自発呼吸ができなくなったことが原因の窒息死だろう、と櫻子は自身の推測を堂々と披露した。だが、もっと詳しい話が聞きたいという警察にうまい言葉に乗せられた櫻子はそのまま警察署まで連行されてしまう。

正太郎が発見した櫻子と男の子の写真。

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