アイアムアヒーロー(I Am a Hero)のネタバレ解説・考察まとめ

『アイアムアヒーロー』(I Am a Hero)とは、花沢健吾による日本のSFホラー漫画である。謎の感染症が世界中で流行り、ほとんどの人間がゾンビになっていく。そのゾンビと戦い、感染から逃れる数少ない人間は、引きこもりやニートといった社会に劣等感を抱いていた者たちが中心となっている。この漫画に出てくるヒーローたちは、人間臭いリアリティーのあるヒーローだというのも見所のひとつ。漫画雑誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、2009年22・23合併号から2017年13号まで連載。

アイアムアヒーロー誕生秘話

本編の作者である花沢健吾について描かれている。

作:吉本浩二(代表作:『ブラックジャック創作秘話』)
本編の作者・花沢健吾のルーツをたどる物語。現在、顔は二枚目でおしゃれで明るい花沢が、過去モテなかったというのは真実なのだろうかというところから彼のルーツを辿る旅が始まる。彼の元アシスタントや同級生に話をきいていく。彼は、本編の主人・英雄のように心配症なところがあるらしく、職場に防災用のヘルメットや発電機が常備されている。また高校生の頃の彼は、シャイで目立たず女子とも話せないタイプだった。なので確かにモテなかったようだ。昔からエロへの妄想と情熱はすごかった。漫画家になった頃も、人の目を見て話さずあまり印象に残らない人物だった。しかし「自分だけのおもしろいをみつけろ」「おもしろけりゃなんでもいいんだ」という漫画への思いは熱く、なんとしても結果を出そうとする姿勢が作品の人気につながっている。もしかすると魂を奪われたように「おもしろさ」を追求する彼こそがZQNなのかもしれない。

『アイアムアヒーロー』の登場人物・キャラクター

主要人物

鈴木 英雄(すずき ひでお)

鈴木 英雄

演:大泉洋(2016年実写映画)
本作の主人公で、35歳の漫画家。以前は、デビュー作として連載を持っていたがすぐに打ち切りになってしまった。現在は、プロ漫画家の松尾のところでアシスタントとして働いている。再デビューを夢見て、出版社にネームの持込みを繰り返しているがうまくいかない。クレー射撃が趣味。銃砲所持許可証および散弾銃(新SKB MJ-7)を持っていることがZQN発生後に役立つことになる。コミュニケーション能力が低く、極度の妄想壁もある。毎晩怖い妄想に憑りつかれて眠れない夜を過ごす。彼の妄想にだけ存在する「矢島」を話相手にしたり、周りから褒められるような妄想をするが、端から見ればただの独り言が多い迷惑な人間。「自分は世界の脇役で、自分自身の人生でさえ主役になることはない」というコンプレックスを抱いている。謎の感染症によるパンデミック後も街中で銃を抜くことをためらっていたが、比呂美と出会ってからは彼女を守るために発砲も躊躇しなくなる。御殿場のアウトレットモール脱出後は比呂美、小田と行動を共にし、東京に向かう。その途中、箱根で異形と化したZQNに飲み込まれ心肺停止の状態になるが、吐き出された後に小田と比呂美による心臓マッサージで蘇生する。感染した小田と死別した後、比呂美もあと少しで東京というところで自ら巨大ZQNに取り込まれて姿を消した。巨大ZQNを追って池袋に上陸。ZQNに襲われながらも運よく生き延び、パンデミックが終息し廃墟と化した無人の都内で、池袋西口公園を拠点に一人で自給自足の生活を送る。

矢島(やじま)

矢島

英雄が作り出した妄想の存在。小柄で小太りで童顔という外見をしている。英雄のことを「先輩」と呼ぶ。英雄が呼べばどこにでも現れ、基本的に英雄の言葉に否定的なことは言わない。徹子が感染した後、人ではないもやのような存在で登場し、英雄に諭すような言葉を残し姿を消す。

飛び出し坊や

飛び出し坊や

現われなくなった矢島の代わりの存在。外見は飛び出し坊やそのもので、矢島と違い物として現実に存在する。新たな英雄の話し相手で、矢島と同じく彼の言葉に共感するようなことしか言わないが、サバイバル生活を送る英雄に振り回され不当な扱いを受けている。

早狩 比呂美(はやかり ひろみ)

早狩比呂美

演:有村架純(2016年実写映画)
右目の下に泣きぼくろがある、髪の長い女子高生。毛深いこととフケが多いことがコンプレックス。物静かな性格で、クラスメイトからいじめを受けていたが、感染者にも怖がらずに救いの手を差し伸べ、感染したクラスメイトの紗衣を安楽死させる為に自ら英雄の銃で撃つことを申し出るなど、芯が強い一面もある。紗衣の元彼の小栗真司という男性と付き合っていた。
富士山麓に林間学校できていて、クラスメイトとの樹海での肝試しの最中に、東京から脱出してきた英雄と出会う。その後英雄と行動を共にすることになり、富士山へ向かう集団から逃げる際に感染した赤ちゃんに首を噛まれてしまう。赤ちゃんに歯が生えていなかったからか急激な感染は免れたが、翌日に発症。しかし完全なZQNではなく「半感染」状態で、英雄たちを襲うこともなく意識が混乱したまま共に行動する。アウトレットモールで、伊浦にクロスボウで頭を打たれ意識を失ってしまうが、看護師の小田に手術をしてもらい回復する。手術から目覚めた後は、意識もしっかりして感染前の彼女に戻る。感染の影響で、「遠く離れた覚醒者やZQNとの意思疎通」や「身体能力の向上」などの変化が起きる。感染者たちへのワクチンを作るために、英雄と東京を目指して船で移動してる時、交信してきたクルスに諭され自分の存在意義と運命を知る。そして英雄に別れを告げて自らZQNに操り取り込まれていき、姿を消す。

藪(やぶ)/小田 つぐみ(おだ つぐみ)

小田 つぐみ

演:長澤まさみ(2016年実写映画)
アウトレットモールに避難していたクールな女性。生き抜くために伊浦やサンゴに従っていたが、本心では彼らのやり方を快く思っていない。伊浦たちの目を盗んで英雄と比呂美を助ける。以前は、久喜近辺の病院に勤務していた看護師で、非番だったため感染を免れた。発症後も英雄達を襲わない比呂美を見て、感染拡大の解決のポイントになるのではないかと考えている。コミュニティの崩壊後、英雄と比呂美と共に車でアウトレットモールから脱出。その時に、二人を信頼して本名を明かす(「藪」という呼び名は注射が下手なことや子供が苦手なことからきている)。手術後、比呂美が意識を失っていた間に、立ち寄った宿で英雄と肉体関係を持つ。その後、妊娠が発覚するも英雄と出会う前に既に妊娠していたようである。出産するにしても、堕胎するにしても、英雄たちに迷惑をかけると考えて、単独行動を決意。しかしその直後、乗ろうとしたゴミ収集車の下にいた赤ちゃんのZQNに噛まれ発症。自身の意識が残っているうちにゴミ収集車のプレス機構に自ら入り、比呂美が作動ボタンを押し、赤ちゃんのZQNを抱えながらプレス機構に巻き込まれ死亡する。

英雄の仕事関係

黒川 徹子(くろかわ てつこ)/ てっこ

徹子

演:片瀬那奈(2016年実写映画)
英雄の恋人。以前、松尾の漫画アシスタントをしていて、そこで二人は出会った。眼鏡をかけていて口元にほくろがある。アシスタントをしていた時、同僚だった中田コロリと交際していた。別れた後も彼の才能を尊敬していて、連絡を取り合っている。英雄はそのことをよく思っていない。酒を飲むと豹変する。道で感染している少女に噛まれてしまい、自室で発症。来訪した英雄に襲いかかり噛みつこうとするが、直前に歯が全部抜けるまで玄関のドアを噛んでいたので英雄は感染しなかった。自らの死を感じていたかのように遺書らしきメモを残していたり、部屋の中も身辺整理のような行動が見られた。感染後も英雄に向かってきた他の感染者を倒し彼を守ろうとした。最期は「もう彼女は救えない」と矢島に諭され、英雄の手により、首を切断された。後に、大型ZQNに取り込まれた比呂美との会話で、「本当は英雄くん寂しがり屋だから一緒に連れて行きたかった」と言っており、襲われた時に英雄が助かったのは単なる偶然だったようである。彼は自分を感染させない為にわざと歯を抜いたと勘違いしている。

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