アイアムアヒーロー(I Am a Hero)のネタバレ解説・考察まとめ

『アイアムアヒーロー』(I Am a Hero)とは、花沢健吾による日本のSFホラー漫画である。謎の感染症が世界中で流行り、ほとんどの人間がゾンビになっていく。そのゾンビと戦い、感染から逃れる数少ない人間は、引きこもりやニートといった社会に劣等感を抱いていた者たちが中心となっている。この漫画に出てくるヒーローたちは、人間臭いリアリティーのあるヒーローだというのも見所のひとつ。漫画雑誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、2009年22・23合併号から2017年13号まで連載。

長崎に住んでいる山田は、高校を中退して趣味のカメラに没頭していた。彼は過去に親友の川ちゃんに裏切られて以来、人間不信になりネガティブな幻聴まできこえるようになっていた。撮影の帰り道、路面電車で隣に座っていたおばさんが突如おかしくなり、彼を食べようとしてきた。その時、弓を持った女子高生が助けてくれた。彼女は、同じ高校だった楡井亜矢だった。昨日から都内で発生した謎の細菌感染の影響で、長崎にも羽田からの飛行機が墜落したりと異変が起き始めたのである。彼女は、弓道部の友だちの可奈子がZQNになり殺してしまった。友人を殺してしまった自分を正当化する為にも、弱者である山田のヒーローになりたいと考えていた。しかし山田はなぜ足手まといになる自分と行動を共にしてくれるのか、なぜ守ってくれるのかと彼女を疑い、信じることができない。とりあえず二人で軍艦島へと向うことにした。船着き場には、加川という軍艦島国のリーダーと名乗る全裸の男がいた。彼の身体検査を通過しないと島へ渡らせてもらえないのだ。頭のおかしそうな加川と島へ渡るのも不安だが、ZQNが迫ってきていたので、山田と亜矢も船に乗せてもらうことにした。島に到着したら加川から、この島は資本主義国家で、足を引っ張るタダ飯食らいは淘汰されると説明される。夜が明けると、食料調達に行っていた竹本という男がZQNになって戻ってきた。ZQNが山田に襲いかかるが、亜矢の弓によって助けられた。この島にもZQNがいるということになり、二人一組になってZQNを探すことになる。加川は船の運転手、中居と木元、亜矢と山田のペアで出発した。集合時間になったら、加川がペアだった船の運転手の首を持って戻ってきた。彼は、運転手に歯形があったからだと説明したが、本当は船に乗って一人で逃げることを恐れて自分が噛みつきただ殺したのである。加川は、亜矢に一緒に王国を作ろうと提案するが、断られてしまった。断られた彼が亜矢を倒そうとしてきたが、弓を打ち逃れることができた。亜矢の弓に以前倒したZQNの血がついていたため、加川もZQNになってしまった。その頃山田は、自分が運転できそうな船をみつけて一人で逃げようとしていた。しかし逃げてばかりの自分に嫌気がさし、亜矢を助けに行くことにした。船で逃げようとする山田と亜矢を追いかけてきた加川は、島に侵入していたZQNによって負傷し動けなくなった。そのZQNは、裏切った親友の川ちゃんだったのである。彼は山田のヒーローになりたくて、この島までやってきたのだ。「ありがとう川ちゃん」と伝えて、山田と亜矢は島を出て矢の補給に向うのである。

8 TALES OF THE ZQN

私がZQNになっても。

性行為を習慣化しようと考えている比呂美と彼氏

作:水沢悦子(代表作:『花のズボラ飯』)
パンデミックが起きている中、比呂美と彼氏はホテルにいる。なぜなら生前の習慣に従って行動するZQNの特性を利用して、ZQNになった後も2人で愛し合うために性行為を習慣化したいからである。しかし、比呂美は、最近、性行為がマンネリ化していることに不満を感じていた。このままZQNになってしまうのは嫌だと思い、彼氏と話し合うことにした。話し合うことによって、わかり合えた二人は、今まで以上にラブラブになる。

Ghost of a Smile

比呂美は、紗衣に内緒で彼女の元カレと付き合っている。

作:横槍メンゴ(代表作:『クズの本懐』)
世界がZQNパニックになる前の物語。本編のヒロイン比呂美は、同級生の紗衣の元カレと付き合っている。紗衣は、まだ元カレに未練がある。なので比呂美は、彼氏と付き合うことによって、自分より容姿も友だちにも恵まれている紗衣に対して優越感を抱くことができている。紗衣が、彼氏に送ってきた復縁を願うメールを読んだ比呂美は、必死な彼女を滑稽で気持ち悪いと感じた。しかし本当は心の片隅では、気持ち悪いくらい誰かを好きになれる彼女がうらやましくもあるのだ。

ゾンビのいるところ

ZQNパニックから半年後、ZQNと化した人間の人権主張運動などが起きている。

作:石黒正数(代表作:『それでも町は廻っている』)
ZQNパニックから半年後、国が謎の感染症の収束宣言を出した。復興していく日本は、ZQNと化した人間の人権主張、ゾンビの歩行を利用した発電所など、ZQNとの共存が始まる。企業では、ゾンビ受け入れ支援という制度もできて、ZQNたちが清掃員などとして雇われている。会社で働くZQNの中にかわいい子を発見したサラリーマン二人が、「ゾンビになったから我々にも機会が巡ってきたんじゃないか」と言い彼女をトイレに連れ込んだ。しかし結局その二人は、感染してしまい「ゾンビ力発電所」でZQNとして雇われることになる。

思春期オブ ザ デッド

助けを待つ倉敷と長谷川。

作:オジロマコト(代表作:『富士山さんは思春期』)
同級生の倉敷夏海と長谷川は、花火大会にきた。本当は、数人でくる予定だったが皆体調不良になってしまった。長谷川は、不愛想でちょっと変わった倉敷夏海のことが苦手だ。きまずい雰囲気の中、花火を見ていると、ZQNパニックが発生した。二人はなんとか逃げ切ることができた。助けを待っている間、長谷川は今まで気づかなかった倉敷夏海の魅力に気付き始めた。そして彼は思わず倉敷に告白するが、「無理」とあっさりフラれてしまいまた気まずい雰囲気に戻るのである。

シーイズアスローウォーカー

ゾンビの動くスピードについて口論する悠美と彼氏。

作:伊藤潤二(代表作:『富江』)
ゾンビマニアのカップルが、 感染して本当のゾンビになる物語。ゾンビは速く動く派の彼氏とゆっくり動く派の悠美は、そのことに関して喧嘩になる。怒った悠美はアパートを飛び出しゾンビに腕を噛まれてしまう。彼女が部屋へと戻ると、彼氏が外にゾンビが大量発生しているのを窓から眺め「最後に生き残るのはゾンビマニアだ」と興奮していた。彼は、ゾンビのウイルスに感染したかを確認するために悠美を拘束した。そしていつかこんな日が来るだろうと備蓄していた食料を当てに部屋に立てこもることにする。ついに悠美が力尽きて倒れた。守ってやれなかったことを悔やんだ彼氏は彼女をビデオカメラに撮影し、遺体に添い寝することにした。次の日、彼氏が目を覚ますと、ゾンビになった悠美が今にも噛みつこうとしていた。彼氏は急いで避けたが悠美は全く動かなかった。不思議に思った慎一がビデオカメラの映像を確認してみると、悠美は一晩で10cm程度しか動かないほど、超スローで動いていた。部屋の外にはゾンビが溢れかえり、部屋の中にはゾンビの彼女という状況に耐えかねえた彼は、ついに悠美のことを食べてしまう。そしてついに自分もゾンビになった彼は、超高速のゾンビ・ベリーファストウォーキングデッドになった。

鬼さんこちら

ゆのは、鬼おんなに夢中になっていた。

作:鳥飼茜(代表作:『先生の白い嘘』)
ゆのとりらの住む街には、鬼おんながいる。鬼おんなは、女の子ばかりをさらっていき、彼女につかまった男たちは正気では戻ってこないと言われている。鬼おんなは、ある日突然彼女の前に鬼が現れるまでは普通の人間だった。鬼は、彼女の名前もどこの誰であるかも奪ってしまった。ついにゆのも鬼おんなに恋をしてしまった。りらは愛するゆのを取り返すために鬼おんなを殺してしまう。そしてりらは、次の鬼おんなになって森へと消えていった。

アイアムノットアヒーロー

林は、浜田の勇気ある行動に触発されて大事なことに気付いた。

作:乃木坂太郎(代表作:『医龍』)
高校生の林は、トイレに行きたいのを我慢している。なぜなら担任の島崎がZQNになり、授業をおこない席を立とうとする生徒を襲ってくるからだ。林が我慢も限界だと感じたその時、学年一女子力が低いと言われている浜田秋桜が大便を漏らした。そのどさくさに紛れて他の生徒たちも漏らした。漏らした一人の生徒が、「ありがとう浜ちゃん」とつぶやいた。浜田は、友だちが漏らしやすいように先陣を切って漏らしてくれたのだ。しかし漏らした臭気によって倒れた生徒が、先生に襲われてしまう。先生は、席を立たない限り襲ってこないが、感染したクラスメイトは発症したら襲ってくるだろうという恐怖に教室中が襲われた時、またも浜田秋桜が「体力があるうちに闘うんだ」とクラスメイトを奮い立たせてくれた。生徒数名で、教室から脱出し、学校の外へ逃げられそうな車を調達した。いざ車に乗ろうとした時に、一人の同級生が浜田秋桜の腕に傷があることに気が付いた。逃げてきたクラスメイトたちは、もしかしたらその傷から感染しているかもしれないからという理由で、浜田を車に乗せることを拒んだ。彼女がいたからここまで逃げてこれたのではないかと不満に思った林は、異論を唱える。しかし彼女は、確かに感染している可能性はあるから学校に残り自分で後のことは自分でなんとかすると言った。友だちの為に先陣を切って大便を漏らしたり、恐怖に襲われたクラスメイトの気持ちを奮い立出せたりしてくれた彼女を見て、林はあることに気付く。ちょっとしたことで誰でもヒーローになれるのかもしれない。

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents