魔法使いの嫁(まほよめ、The Ancient Magus' Bride)のネタバレ解説まとめ

『魔法使いの嫁』とは、ヤマザキコレによるマンガ作品。2014年1月号から9月号まで「月刊コミックブレイド」で連載された後に「月刊コミックガーデン」へと移った。この物語は、夜の愛し仔(スレイ・ベガ)である「チセ」が異形の魔法使い「エリアス」に買われるところから始まる。人ではない者が見えることにより、たくさん傷ついてきたチセは、その能力により様々な出会いを繰り返し自分と向き合っていくのであった。

チセたちは綿虫という羊のような妖精の毛狩りをする。
チセは帰ったらすぐにエリアスと話がしたいと思っていたが、なかなかタイミングが掴めなかった。
綿虫の中に綿虫と良く似た氷の妖精・雪虫が混じっており、雪虫はチセから体温を奪って繁殖し、チセはエリアスに温室に運ばれた。
エリアスはチセが居なかった時は寒かったが、今こうしてチセと一緒にいると暖かいと話す。
チセはエリアスが人を食べたかもしれない事を聞いたと話すと、エリアスはチセからその記憶を消そうとするが、チセはそれを嫌がった。
チセの反応に驚いたエリアスは、チセに自分の事が怖くないのかと聞く。
するとチセは自分の両親の事をエリアスに話す。
自分は家族が好きだったが家族は自分を置いていった、こんな思いをするならもう家族はいらないと思ったが、エリアスが家族だと言ってくれて、家族の事は知りたいと思うようになったという。
だからリンデルからエリアスの事を聞けて嬉しく思い、怖いのはエリアスではなくエリアスから手を離される事なのだと話す。
エリアスは人間は嘘をつくが、チセの事は信じると話し、チセが居ない時寒かった事をなんと呼ぶのかと聞く。
チセはそれを「寂しい」だと答え、エリアスは初めて「寂しい」という気持ちを理解し、わかる事が一つ増えたと喜んだ。
チセは、エリアスは子供がそのまま大きくなってしまった人なんだと思い、人間に関しては自分が先生だと言う。
こうしてエリアスはチセにとっての魔法についての先生、チセはエリアスにとっての人間についての先生となった。

ある日、チセの元に「灰の目」と呼ばれる人ならざる者が現れ、エリアスの嫁を見に来たと言ってチセに毛皮を贈る。
毛皮を被らされたチセは狐になってしまい、本能のまま何処かへ走り去ってしまう。
何処までも走っていこうとするチセをルツが呼び止め、追って来たエリアスはチセがいないと困ると言ってチセを引き止める。
その言葉を聞いたチセは人間に戻り、エインズワース家に帰った。
これは人の心を弄んで楽しむ灰の目による愉快犯で、獣になる毛皮はそのままチセのものとなった。
その夜、リャナン・シーが血相を変えてチセの元に来て、ジョエルの様子がおかしく助けて欲しいと言う。
チセたちはジョエルの家に行くが、ジョエルは寿命が近づいていて、もう長くなかった。
エリアスはリャナン・シーが取り付いて命を食べたから寿命が来たのだというが、リャナン・シーはジョエルには手を出してないと否定する。
しかしそれでもエリアスはリャナン・シーが憑いたからジョエルは死期を迎えたのだと言い、見かねたチセがエリアスを止めた。
リャナン・シーとジョエルを思い、チセは人間が妖精を見えるようになる妖精の塗薬を作りたいとエリアスに言う。
妖精の塗薬はその性質から作ると妖精たちから怒りを買うこともあるが、チセの強情さを知っていたエリアスは無理しないよう言い了解した。
薬は5日間寝ずに魔力を与え続けなくてはならず、チセは睡魔と闘いながら薬を完成させた。
薬を塗ったジョエルはリャナン・シーを見る事ができ、昔一度だけリャナン・シーを見た事があり、もう一度リャナン・シーに会いたいと思うことが妻に先立たれ惰性で生きていた自分にとっての救いになったのだと話す。
リャナン・シーに残りの命をあげると言ってジョエルは消え、リャナン・シーは涙し、ジョエルの死後もジョエルの家に居残った。

妖精の国へ

魔力を大量に使い、5日も寝ずに体を酷使したチセは血を吐いて倒れてしまう。
チセの作った妖精の塗薬を貰いに来たオベロンはチセの様子を見て、一度妖精の国で診察した方が良いという。
エリアスはチセを連れ妖精の国へ行く。
妖精でも人間でも無い存在だというエリアスは、妖精たちから罵られたり哀れみの目を向けられる。
チセはチェンジリングの医者「シャノン」に診られ、傷に効く泉に向かった。
チェンジリングとは、妖精が人間の子供を攫い代わりに妖精の子供を置いて行き、環境を交換して育った存在の事。
エリアスはティターニアにチセについての話をし、ティターニアはチセはこっちの世界に居なければ直ぐに死んでしまうとチセを心配する。
しかし妖精の国に人間が長く居ると人間ではなくなってしまうのである。
ティターニアは、チセは人間を捨ててしまった方が幸せなのではないかとエリアスに言う。
エリアスは妖精でも人間でも無い自分を妖精たちはいつも哀れみ蔑むが、自分を受け入れてくれたのはいつだって人間(リンデルやチセ)だった、チセには人間のまま生きて欲しいと言い、ティターニアの提案を断る。
その頃、シャノンと治癒効果のある泉についたチセは、突如シャノンに首を締められ水の中に沈められる。
母親に首を締められた事をフラッシュバックしたチセはそのまま死を選ぼうとするが、エリアスを思い出して抵抗し水から上がる。
シャノンはわざとチセに「生きたい」と思わせ、その力でチセに自らを治癒させたのであった。
妖精の国と人間の世界では時間の感覚が違い、チセたちは秋に妖精の国へ行ったが帰ってきたのは冬であった。
その間シルキーはずっと一人で家を守っており、ようやく帰ってきたチセたちに喜び、チセを抱きしめた。

チセはアリスと一緒にクリスマスプレゼントを買いに街へ向かった。
アリスはレンフレッドに、チセはエリアスにプレゼントを買った。
チセはエリアスにプレゼントでループタイを渡し、エリアスはチセに熊のぬいぐるみをプレゼントした。
チセにはアンジェリカやリンデル・サイモンたちからもクリスマスプレゼントが届いていた。
エリアスはチセが自分に黙って出かけた事に少し怒り、買い物があるなら自分も一緒に出かけたのにと言うが、チセは女の子同士の秘密の話があったのだと言った。
エリアスがチセにあげたぬいぐるみはチセの余計な魔力を吸収し、それを結晶化する働きがあった。
ルツや妖精たちにはその結晶はおいしそうに見えるという。
そしてアンジェリカに貰ったブレスレットを付ければ魔力の製造・吸収がほぼ出来なくなり、チセの体に負担が掛からなくなるという。

ロンドンに住む少女「ステラ」は、ある日弟の「イーサン」が居なくなり探すが、両親は何故かイーサンの存在を忘れてしまっていた。
サイモンにプレゼントのお礼を言いに行く最中のチセは、様子のおかしいステラを見かけ事情を聞く。
ステラはイーサンと喧嘩し弟なんていらないと言ってしまい、イーサンは言葉通りいなくなってしまったのだと言う。
エリアスは人間が魔法使いに何かを頼むなら対価を払わなければならないといい、ステラはお菓子を作ってあげると答える。
チセたちはステラに協力する事にし、ステラに先ほどぬいぐるみが作った結晶を一つあげた。
チセの魔力がこめられた結晶を持っていれば、ステラがはぐれてもルツが見つけられるのである。
チセは持っていた結晶を妖精にあげ、その代わりに情報を聞きだして行くが、途中で結晶が足りなくなり自分の血を少しあげた。
ステラは人ならざるものは見えず何が起こっているか分からなかったが、血を流すチセを見て心配し、チセにお礼を言った。
森の中でイーサンを発見するが、イーサンは灰の目に捕らわれていた。
灰の目はチセがこの件に関わったのを知ると、イーサンとエリアスを連れ、制限時間以内に2人を探し出せと行ってどこかへ消えてしまう。
ステラはイーサンについての記憶を失いつつあり、チセは灰の目から貰った毛皮でクマに変身しエリアスとイーサンを探し出した。
イーサンとステラは仲直りするが、消えた分の記憶は戻らないままであった。
灰の目はステラの持っていた結晶を貰い、これでチャラにしようと言って去って行った。やはり愉快犯であった。
ステラの両親は記憶を取り戻し、ステラは両親にチセを友達だと紹介し、チセは友人と言われた事に顔を赤くする。
そんなチセを見てエリアスは心をざわつかせていた。

チセとエリアスの関係の変化

ステラは約束通りお菓子を作ってエインズワース家を訪れた。
チセとステラが部屋で喋っていると、エリアスは獣の姿になり一人どこかに出かけていった。
ステラをルツに送らせ、チセはエリアスを追って森へ向かった。
エリアスはチセを捕まえ自分の作った空間に一緒に閉じ込める。
そしてステラと楽しそうにしているチセを見ていると、ステラに早く帰って欲しいと思ったと話す。
つまり、嫉妬し拗ねていたのである。
エリアスはチセを触手で拘束して解放せず、チセはそれだけエリアスが自分を想ってくれていた事に自惚れていいのかと照れるが、このままではエリアスに取り込まれてしまうかもしれない。
エリアスの結界によってルツもチセの場所が分からずに居た。
するとティターニアの子供が2人を援助し、チセに杖を渡し、ルツに場所を教えた。
チセはエリアスが癇癪を起こしているとルツに説明する。
そしてエリアスに対して「我侭を言うなら考えがある」と自分自身に刃物を突きつけて見せた。
エリアスは驚いてチセを解放し謝り、チセはエリアスを宥め、今日は寝るまでいっぱい話をしようと言う。
その姿を見て、ルツはこの間まで父と娘みたいだったのに、今は母と子供みたいだと思った。
チセはエリアスと一緒にベッドに入り、エリアスを子守唄で寝付かすが、エリアスはそのまま目を覚まさなかった。
チセはアンジェリカに相談しに行き、もしかしたらチセは眠りの魔法が特技で、知らずにそれを使ってしまったのではないかと言われる。
アンジェリカに貰ったレシピで薬を作り、それを寝ているエリアスに無理やり飲ますとエリアスは目を覚まし、逆に心配で眠れなかったチセは眠りに付いた。

ドラゴンの呪い

チセは夢の中でカルタフィルスに出会う。
しかしそのカルタフィルスはチセの知っているカルタフィルスとは違い穏やかな性格であったが、突如情緒不安定になり、自分はカルタフィルスではなくヨセフだと主張する。
カルタフィルスは血の涙を流しながら、助けて、許されたい、救われたいとチセに迫り、チセは目を覚ます。
エインズワース家には学院(カレッジ)に所属する魔術師「アドルフ」「トーリー」とレンフレッドとアリス、そしてリンデルの使い魔・セルキーが来ていた。
チセはカレッジについて詳しく知らなかったが、エリアスは世間話はしなくて良いと言い、うやむやになった。
アドルフはセルキーから報告を受け、ドラゴンの国にいたドラゴンの雛達が密猟に遭ったと話す。
密猟者の残して行った移動装置は、レンフレッドが作りカルタフィルスが持って行ったものだと話し、この件はカルタフィルスの起こしたものだという。
リンデルとカレッジは協力関係にあり、ドラゴンの国と交流のあるエリアスたちにもこの件に協力し、一緒に攫われたドラゴンを探して欲しいと言う。
エリアスは乗り気ではなかったが、チセはドラゴンの国で一緒に遊んだ事があるドラゴンが大変な目に遭っているならほおって置けないと言い、エリアス達も協力する事になった。
チセは先ほど見た夢からカルタフィルスはロンドンに居るのでないかと思い、高く売れるドラゴンは競売にかけられるのではないかと考えた。
チセは自分を売る時に協力してもらった闇ブローカー「セス・ノエル」に電話し、事情を話した。
やはりドラゴンは闇オークションにかけられており、チセたちはこの間チセがエリアスに買われた競売場へ向かった。
チセは自分を売った最に自分にも出品者としての取り分があり、セスがそれを預かっていたため、そのお金とカレッジの資金でドラゴンのオークションに望んだ。
オークション中、チセは魔女の女性に話しかけられ、女性はチセに協力してくれるという。
しかし拘束されていたドラゴンは突如暴れだし、オークション会場は混乱し、ドラゴンの吐いた炎で火の海になってしまう。
チセはドラゴンに共鳴し、ドラゴンは帰りたがっているとエリアスに訴え、エリアスと協力してドラゴンから魔力を吸い取って落ち着かせようとする。
飛び上がったドラゴンにチセ・ルツ・エリアスが乗るが、エリアスは炎の攻撃を受け落ちてしまい、ルツはエリアスを助けに行く。
チセは一人、プレゼントで貰った腕輪を外してドラゴンの魔力を吸収し、ドラゴンもチセも気を失った。
目を覚ましたチセはエインズワース家のベッドの上におり、チセは左手がドラゴンの手のように黒く肥大化するドラゴンの呪いを受けていた。
チセが助けたドラゴンは庭で眠っていた。
通信機でリンデルから状況の説明を受け、チセの受けたドラゴンの呪いは体を蝕み、近いうちに身を滅ぼすと言われる。
そもそもあと三年程度しか生きられないといわれていたチセであるが、ドラゴンの呪いによって近い未来に確実な死期が迫る。
しかしチセは落ち着いており、自分は生まれながらにスレイ・ベガという呪いのような物を受けていたがそれが一つ増えただけだと言い、これは誰かを救えた証だと笑った。
エリアスはそんなチセに、チセはいつも自分に手を差し伸べ一緒に帰ろうと言うのに、いつも一人で何処かへ行ってしまうと話す。
チセはこれまで死んでも良いと思い行動していたが、今はもう生きるのを諦めたりはしておらず、ここに居ても良いと言われるのを待つのではなく、自分から行動したいと言う。
エリアスはそんな自己犠牲でここにいられる資格が得られると思っているのかと聞くが、チセは自分でも分からない、体が先に動いてしまったのだと答えた。
そしてエリアスに、どうやったらこれからも自分がエリアスの隣で過ごせるか一緒に考えて欲しいと言い、エリアスもそれに応えた。
家にはオークションでチセに声をかけた魔女「マリエル」がチセの様子を見に来ていた。
マリエルはチセがオークションでドラゴンを買えたら、ドラゴンの血を少しだけ分けてもらおうと思っていたという。
マリエルはチセに癒しの魔法をかけるが、それでは呪いは解けず、呪いなら魔女が詳しい分野であるためチセも魔女にならないかとチセを誘う。
チセは前向きに検討し、エリアスと一緒に魔女の集会「カヴン」に行くことを決める。
ステラはエインズワース家に自分の誕生日会の招待状を持って遊びに来るが、チセは途中で吐き気を催し、ステラは帰っていく。
しかしステラはカルタフィルスに操られており、ステラの見聞きした事は全てカルタフィルスに伝わり、カルタフィルスはチセがドラゴンの呪いを受けた事を知った。

チセとエリアスは魔女の集会「カヴン」に行き、マリエルと他の魔女達に会う。
カヴンの司祭「ピュリス」は、チセと同じく呪いを受けた身であり、チセに魔女はドラゴンの呪いを解く方法を知らないと早々に切り出した。
マリエルはチセの持つドラゴンの力を使ってピュリスを救おうとし、チセを利用するために魔女集会に呼んだのであったが、ピュリスはそれを見透かしていた。
企みがバレたマリエルは、お詫びだと言ってエリアスの頬にキスするフリをし、「命の代わりにするのは命しかない」と耳打ちした。
エリアスはチセの就寝後、ルツに何があってもチセを選ぶかと聞き、ルツは当たり前だと答えた。
エリアスはカレッジで調べ物をし、自分がこんなにもやらなきゃいけないと思って何かを成すのは初めてだと、少しすっきりした気分で居た。
そして遊びに来たステラに探す手間が省けたと言って眠らせ、ルツに協力を仰いだ。
チセはエリアスとルツが何かをしようとしていることを何となく察しており、エアリエルに自分に何かあっても自分だけの言う通りに動いてくれる仲間が欲しいと言う。
エアリエルを選んだ理由は、エアリエルがチセをスレイ・ベガだから好きで、チセ個人を好いているわけではないから何かあってもエリアスたちの味方をしないというものであった。
エアリエルは否定しないものの、自分だってチセが好きだと答え、チセの話を承諾した。
その直後、エリアスとルツは眠ったステラを連れてチセの前に現れる。
チセはエリアスに眠らされ、起きたら何もかも全て良くなっていると言われる。
チセは心の中に住まうネヴィンに、己がやらなければいけないことを確かにするよう、嵐の海に負けず飛んでいくよう言われる。
チセはナイフで自らの足を刺して目を覚まし、「何もしないで起きたら何もかも良くなってるなんて、そんな魔法みたいなこと一度もなかったよ」と呟いた。
部屋の中に入るとシルキーはどうして良いか分からない様子でチセに寄り添った。
エリアスの部屋の中ではカルタフィルスがステラの体を乗っ取り、エリアスに自分の望みのために他人を犠牲にするお前は怪物だと言う。
しかしチセが来るとカルタフィルスは「助けてチセ!」「あたし殺されちゃう!」と言ってステラを演じ、エリアスの立場をより悪くした。
エリアスがステラを身代わりにチセを救おうとしてる事を知ったチセは、エリアスを失望の表情で睨みつけ、ステラを逃がした。
謝るエリアスであるが、チセが「何に対してか」と聞くと、ステラを身代わりにしようとしたことだと答えた。
一緒に考えようと言ったのにというチセに、エリアスは「約束はしてない」と答え、身代わりにするならステラしかいなかった、チセがステラには自分に対してとは違う表情を向けるのが嫌だったと言う。
チセはエリアスを拳で殴りつけ、「結局あなたも…!」と泣きそうな顔をした。
エアリアルがエリアスの足止めをし、チセはステラを追った。
しかしステラはカルタフィルスに操られており、チセはステラを人質に取引を持ち出される。
チセがそれに応えればカルタフィルスはチセが死なない方法を教え、ステラを解放するという。
追って来たエリアスに、チセは「私は、今のあなたの傍にはいられない」と言って、カルタフィルスと共に去って行った。

カルタフィルスは、自分は死ねない呪いを受けていて、チセは死に至る呪いを受けている、だからチセのドラゴンの腕を貰い、代わりに自分の一部をあげるという。
そうすればチセはいつまでも死なない体になり、カルタフィルスはドラゴンの力を得られ、お互いに利害は一致していると言う。
腕をあげれば良いのかというチセに、カルタフィルスはまずは拒絶反応が無いか確かめるといって自分の左目を取り出し、チセの左目を抉り出してお互いの眼球を交換した。
拒絶反応は無く、カルタフィルスは気絶したチセにある夢を見せた。
それはチセが子供の頃の、まだ父親も母親も弟も居た頃の夢であった。
この頃は普通の仲睦まじい家族であったが、母親とチセの体質もあり、父親は人ならざるものから2人を助けていた。
するとカルタフィルスの切り離された欠片と名乗る者が現れ、これはカルタフィルスの嫌がらせだと話した。
夢は続いて行き、ある晩に父親は弟を連れて出て行ってしまう。
その日から母は一人っきりでチセを育て、人ならざるものに脅かされ、体質から人間からも忌み嫌われ、母親は精神的に追い詰められていく。
そしてある日、魔が差し、生まれてこなければ良かったのにと言ってチセの首を締めてしまう。
途中で我に帰った母親は殺してしまう前にチセから手を離し、「ごめんね」とチセに言い残し、ベランダから飛び降りて自殺した。
チセは死んだ母の幻想に死ねと罵倒されるが、この母は本当の母ではなくチセの記憶が作り出した母であった。
母があの時手を離してくれたから自分は色々な人に出会えた、大好きだった母に裏切られた事は許さないし忘れないけどありがとうと言い、許してと泣きじゃくる母の手を握る。
母は花弁となって消えて行き、チセは自身を苦しめる母の記憶と決別し、トラウマを乗り越えた。
それを見ていたカルタフィルスの欠片は、「僕は生かし続ける者。彼の為に与えられた呪いと祝福」語り、チセが自分を受け入れるならチセが生きたいと望む限りは祝福を与えると話す。
チセはその対価は何なのかと尋ねると、カルタフィルスの欠片は自分が一つずっと聞き続けていた願いがあり、それをチセは叶えられるのかと問う。
それはカルタフィルスの願い「助けて」という叫びだった。
目覚めたチセはカルタフィルスが何故そう願うのか、カルタフィルスの記憶を見にカルタフィルスの意識へ入った。

エリアスは獣の姿になってチセを捜し歩いていた。
ティターニアとオベロンはそんなエリアスに、自分達がチセをここに連れて来てあげるから次はチセが逃げないように外に出してはいけない、皆で常若の国(妖精の国)で暮らそうと誘導する。
しかしエリアスはその考えは自分と同じだからダメだと言い、チセはそれを望んでないと答える。
妖精の愛し方と人間の愛し方は違う、エリアスの愛し方は妖精のそれであったが、チセが望むのなら自分が変わらなきゃいけないと言う。
エリアスと一緒に居たルツは、チセに拒否され居場所が分からない。
ティターニアはエリアス達を哀れんでしまうお詫びだと言ってエリアスに協力し、ティターニアの光がこれまでチセとエリアスが関わった人々に知らせを出した。
ティターニアは全ての大地に自分の枝(分身のようなもの)をめぐらせており、チセの居場所を探した。
事の発端の一部を作ったマリエルは師匠・ピュリスに叱られ、お前がきっかけを作ったなら助けるのもお前の役目だと諭される。

カルタフィルスの意識に入ったチセは、カルタフィルスの過去を見る。
遠い昔、「ヨセフ」と呼ばれた墓守の少年は、その職業故に村人から嫌われていた。
ある日ヨセフは生き埋めになった男を発見し、彼を連れて帰り看病する。
彼は自分の名前は「カルタフィルス」だと話した。
体を酷く病んでいたカルタフィルスはヨセフに助けを求め、人に初めて助けを求められたヨセフは、誰かに必要とされる事の喜びでカルタフィルスを助ける事にした。
ヨセフは薬の研究をしながら働き、村人に虐げられてもいつかカルタフィルスと一緒に村を出て2人で幸せに暮らすことを心の支えにしていた。
しかしいつになってもカルタフィルスは良くならず、かと言って死に至ることも無く、ヨセフは段々と心を病んでいく。
そして死なないカルタフィルスと自分達が一つになれば2人で助かる事ができるのではないか言って、ヨセフはカルタフィルスと融合し、カルタフィルスもヨセフを受け入れた。
だがそう上手くは行かず、一人になったカルタフィルスとヨセフはやはり体を病み続け、しかし死なず、生きたまま体が腐っていく。
駄目になったパーツを他人から奪って取替え、継ぎ接ぎを繰り返し、記憶も混濁し、自分が何者かも分からなくなって行った。
そしてある日、酒場で神の子に石を投げて死なない呪いを受けたカルタフィルスという男の話を耳にし、それが自分達の事だと気づく。
ヨセフはただ助かりたかっただけなのに、覚えても居ない罪で苦しめられ、何故自分はこんな目に合うのかと血の涙を流した。
チセが見たのはそこまでで、チセに記憶を見られたカルタフィルスは逆上し、チセからドラゴンの腕を引き千切って奪おうとする。
そこへワープしてきたティターニアとエリアスたちや、レンフレッドたちも現れた。
カルタフィルスは作ったキメラを差し向け逃げて行った。
レンフレッドやエリアスがキメラと戦い、チセはティターニアにまだやる事があると言ってカルタフィルスを追った。
レンフレッドはエリアスにチセを追う様に言い、エリアスとルツはチセを追いかけた。
路上でチセはマリエルに出会い、事情を察したマリエルはお詫びだと言って牛に変身し、チセはマリエルに乗ってカルタフィルスを追う。
ルツとエリアスも同行し、チセは2人にまだ怒っているが協力して欲しい事があると話す。

カルタフィルスは追って来たチセに、自分の事など何も分からないくせになぜ来るのかと問う。
人々は皆、生きたまま腐っていく感覚も、生きたまま焼け焦げていく熱さと苦しさ、虫が骨に沿って肉を喰い進んでいく感触も、誰も何も分からないくせに自分をバケモノだと笑うと言う。
そんなカルタフィルスに、チセはあなたは分かって欲しいのか、自分だけ苦しいと思いたいのかどっちなのかと聞く。
カルタフィルスは、スレイ・ベガで毎日人ならざるものから狙われても食事にも家にも教育にも困らなく恵まれていたにも拘らず、自分が一番苦しいという顔をしていたのはチセのほうだと言う。
チセは認め、確かに自分も人を羨んで生きてきたし、自分が逃げ出すためなら何をしても良いと思っていたし、自分とカルタフィルスは似ていると言う。
そしてだからこそ今ここで自分がカルタフィルスをぶっ飛ばさなきゃいけないのだと言い、カルタフィルスと対峙する。
するとカルタフィルスと協力関係にあった灰の目が現れ、チセの側に居たエリアスはエアリアルと協力して灰の目を打ち破る。
チセはカルタフィルスに、自分が出会った誰よりもアナタが一番苦しいかもしれない、でも痛いからって他人も同じ目に遭わせてもいいわけじゃない、何をしてもいいわけじゃないと激昂する。
カルタフィルスは、「お前がお前を犠牲にして得ようとしたものと、僕が欲しいもの何が違うっていうんだ」と反論し、チセは同じだと答えカルタフィルスを捕まえ眠りの魔法をかけようとする。
チセの詠唱中にカルタフィルスは手でチセのお腹を貫き、チセの目を持っている自分にチセの魔法は効かないと言うが、チセはカルタフィルスから自分の目を抉り取って捨てる。
エリアスはチセとカルタフィルスが離れないよう自分の蔓(触手)で2人を押さえる。
これは事前にチセがエリアスと、自分に何があってもカルタフィルスと離れないよう縛って欲しいと約束したことであった。
チセはカルタフィルスを抱きしめ「痛いね、誰にもわかってもらえないのは」と呟き、優しく子守唄を歌った。
カルタフィルスは眠りに付き、重傷の傷を負ったチセは気絶した。

チセの中にいたカルタフィルスの欠片は、自分はチセを生かし続け、ドラゴンの呪いはチセをいつか殺す、自分達は均衡し合う、だからチセが今すぐ死ぬ事はないと言う。
つまりチセは不死の呪いと死に至る呪い両方を受け、この二つが折り合いをつけ、「いつかは分からないが、いつか死ぬ」という普通の人間と同じになったということであった。
目を覚ます瞬間、チセの左目にあるカルタフィルスの目はチセの緑色の瞳の色になった。
目が覚めるとエインズワース家のベッドの上に居て、側にはエリアスがいた。
エリアスはおかえりと言ってチセを抱きしめ、チセはただいまと言ってエリアスを抱き返した。
しかしそれもつかの間、チセは直ぐにエリアスに何故自分に相談なくステラに酷い事をしたのかと弁明を求め、エリアスは相談しないのはチセのほうだと反論した。
チセが起きた事を知ったシルキーが走り寄ってチセを抱きしめるが、チセとエリアスの痴話喧嘩は続き、ルツもチセに説教された。
その後チセとエリアスは話し合い、エリアスはチセに「危ない事に首を突っ込まない・怪我をしそうになったら手を引く・動く前に誰かに相談」の三つのルールを作った。

カルタフィルスに操られていたステラは元に戻り、マリエルもチセを勧誘に来なくなり、攫われたドラゴンはドラゴンの国へ戻った。
カルタフィルスはエインズワース家の離れのベッドで眠り続け、チセはカルタフィルスの世話をする。
本当はカルタフィルスは起きていたが、眠りと言う安寧を得てそこから動こうとはせず、生きていた灰の目はつまらないと言ってカルタフィルスから離れて行った。
チセはアンジェリカに会いに行き頼んでいたある物を受け取り、それとは別にもう一つ紙袋に入ったものを貰う。
その後ステラの家に行ってステラの誕生日を祝おうとするが、ステラは自分ではなくバースデーパーティーをしたことないというチセの誕生日を祝う。
チセはステラにプレゼントを渡し、ステラはチセにある物をプレゼントした。
エアリアルはシルキーにチセの伝言を言い、シルキーはエリアスを外に出し、エアリアルはエリアスをチセの元まで案内した。
チセは花嫁衣裳で座っており、ドレスはステラから、ヴェールはアンジェリカから貰ったという。
エアリアルたちが風を吹かせてチセにヴェールを被らせ、ヴェールを被ったチセを見たエリアスは「綺麗」という感覚を知る。
チセはアンジェリカに頼んで作ってもらったお揃いの指輪をエリアスの左手の薬指につけ、自分も左手の薬指指輪をつけた。
お互いに何かあると指輪で分かるようになっているという。
チセは、母親のように命を捨てなかったから今エリアスに会えたと話を切り出す。
そしてエリアスに買われたことで自分の世界は変わり、沢山の人と出会い今ここに居る、そう思うためにはエリアス一人だけじゃダメだったが、エリアスが居なければ何もかもダメだったと言う。
エリアスはチセが嫌がる事はもうやらないつもりではあるが、一緒に居ればまた怪物になってしまうかもしれない、それでも良いかと聞く。
チセは、言葉は分かり合う為じゃなく話し合うためにあるんだとステラが言ってたと話し、ぶつかったり分からない事があったら話し合って、一緒に丁度良い所を探そうと言う。
チセが「エリアス。これからはあなたの隣で一緒に歩いてもいいですか?」と聞くと、エリアスはチセを抱き上げ「勿論。君は僕のお嫁さんなんだから」と答えた。
お互い弟子は辞めず、チセは人間の先生、エリアスは魔法の先生を続行し、2人はエインズワース家に帰って行った。

『魔法使いの嫁』の登場人物・キャラクター

エインズワース家

羽鳥智世(はとりちせ)

CV:種﨑敦美

本作の主人公。
特殊な魔法体質「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」と呼ばれる存在で、作中でも非常に珍しい存在。
「智世」は作中ではカタカナの「チセ」で表記される。
人と接してこなかったため口下手で自己評価が低いが、困っている人を見捨てられず、他人のために身を削って行動するなど他人想いの性格でもある。
しかしそれは自己犠牲で自分の居場所を得ようとする行為でもあった。
始めは自滅願望のあったチセであったが、エリアスたちとの出会いで成長し、生きたいと願うになっていく。
死期の近いドラゴンの「ネヴィン」に出会い、死後菩提樹となったネヴィンの枝から自分の杖を作った。
魔法使いとしてはスレイ・ベガ)であるために天才的な才能を持っているが、スレイ・ベガであるために体が脆く、大きな魔法を使うたびに倒れてしまう。
また、スレイ・ベガであるが故に妖精から好かれ「愛し仔(ロビン)」と呼ばれる。
しかし妖精の愛し方が人間にとって良い物とも限らず、エアリアルたちには一度妖精の国へ連れて行かれそうになった。

チセの母親もチセと同じく特殊な体質を持っており、父親はそんな母親を害する者から助け、チセの弟「史輝」と4人で暮らしていた。
しかしある日父親は弟を連れて失踪、母親は一人でチセの世話をするが、それも限界になり精神を病んでチセの首を締めた後、投身自殺した。
チセは体質から親族達にも疎まれ一人孤独に暮らしていたが、自暴自棄になり身投げしようとした所をセスに声を掛けられ、自ら人身売買に身を投じ、イギリスの闇オークションにかけられる。
そこでチセを買ったのがエリアスで、チセはエリアスの「弟子」兼「お嫁さん」となる。
しかしスレイ・ベガであるために短命で、何の対処もしなければあと3年の命と宣告される。
チセは「墓守犬(チャーチ・グリム)」のユリシィと使い魔の契約をし、ユリシィに新しく「ルツ」という名を与える。
エリアスはチセに体の負担を失くす「魔力の生産を抑える指輪」をプレゼントするが、チセは妖精の塗薬を作った際に壊れてしまう。
その後どんどんチセの様態は悪化し、さらにドラゴンを救う為にドラゴンの魔力を自分の身へ移し、ドラゴンの呪いを受け左手がドラゴンの腕になってしまう。
その事でチセはさらに寿命を短くしてしまい、エリアスとルツはチセの友人「ステラ・バークレム」の命を身代わりにチセを救おうとする。
しかしチセはそれを許さず、これまで心を許していたエリアスとルツを遠ざけ、一人カルタフィルスの元へ行く。
カルタフィルスと目を交換したことで、母親に殺された過去の悪夢を見せられ、チセは記憶の中の母親と向き合う。
自分と似たカルタフィルスをほおっておけず、彼を救う為に子守唄を歌って眠りの魔法で眠らせた。
死へ導くドラゴンの呪いとカルタフィルスから移された不死の呪いは折り合いをつけ、チセはいつか来る時が来たら死ぬ、つまり普通の人間と同じになった。

エリアスに対しては、始めは自分を必要としてくれるならどんな風に思われていても良いと思っていたが、次第にもっとエリアスの事が知りたいと思うようになり、掛け替えのない存在となっていく。
ルツに対しては隠し事が出来ないため、本心で語り合い、口下手なチセの気持ちをルツが代弁する事もある。
アリスとステラという人間で同性の友人ができ、アリスとはクリスマスのプレゼントを買いに二人で出かける仲になった。
チセの事情を何も知らないステラとは、初めて出来た普通の友人として接するようになる。
これによりエリアスは嫉妬するようになり、この辺りを境にエリアスが駄々っ子の子供でチセが母親のような関係になっていく。

エリアス

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