魔法使いの嫁(まほよめ、The Ancient Magus' Bride)のネタバレ解説まとめ

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『魔法使いの嫁』とは、ヤマザキコレによるマンガ作品。2014年1月号から9月号まで「月刊コミックブレイド」で連載された後に「月刊コミックガーデン」へと移った。この物語は、夜の愛し仔(スレイ・ベガ)である「チセ」が異形の魔法使い「エリアス」に買われるところから始まる。人ではない者が見えることにより、たくさん傷ついてきたチセは、その能力により様々な出会いを繰り返し自分と向き合っていくのであった。

『魔法使いの嫁』の概要

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『魔法使いの嫁』とは、作者「ヤマザキコレ」による漫画作品。
2014年から「月刊コミックブレイド」で連載を開始し、同年9月にオンライン雑誌「月刊コミックガーデン」で同時連載を開始。
2016年にドラマCD化、さらに三部作のOVA「魔法使いの嫁 星待つひと」を発表。
2017年には、WIT STUDIO製作でテレビアニメ化。
テレビアニメは2クール編成で放送され、作者が製作したネームを元に原作の先の展開を先行アニメ化した。
アニメは2クールで終わるが、原作は続き新章へ突入する。

本作は一巻発売から重版が決まるなど反響を集め、2017年11月の時点でコミックの類型発行部数は500万部を突破。
2014年「コミックナタリー大賞」で2位、同年「2014年コレ読んで漫画ランキング」で6位を取得。
2015年「書店員が選んだマンガランキング2015」で1位、同年「次にくるマンガ大賞2015「これから売れて欲しいマンガ」部門」では2位を取得した。

世界観や設定など細部まで拘って作られており、2017年には公式副読本「魔法使いの嫁 公式副読本 Supplement」が発売。
単行本の裏側には、書き下ろし漫画『シルキーちゃん日記』や家の間取りが書かれている。

主人公「羽鳥智世(はとり ちせ)」は、特殊な魔法体質を持つ「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」と呼ばれる存在であった。
チセはスレイ・ベガであるために、小さい頃から人に見えない物が見える体質であり、その事が原因で家族を失い、他人から疎まれて生きていた。
自暴自棄になり生きる気力を失くしてしまったチセは、自らイギリスの闇オークションの商品として売られる事を望んだ。
チセを500万ポンドもの高値で買ったのは、骨頭の人外魔法使い「エリアス・エインズワース」であった。
エリアスはチセを弟子及びお嫁さんにするつもりであることを告げ、チセの生活は変化していく。

『魔法使いの嫁』のあらすじ・ストーリー

チセとエリアスの出会い

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これは、世界の美しさを織るための物語。

主人公「羽鳥智世(はとりちせ)」ことチセは、人ならざるものが見える少女。そしてチセの両親もまた見える人であった。
チセはそれらに対して怖い思いもしたが、人ならざるものを追い払ってくれる父親がいるときは近寄ってこないため安全に過ごせていた。
しかし、突如として父親が弟を連れて失踪し、父親がいなくなったことと、チセの人ならざるものを惹き付ける体質により、人ならざるものが昼夜問わず近寄ることになってしまう。
そのことに疲れた母親は「あんたなんか生まなきゃよかった」とチセに言い放ちチセの首に手をかける。
しかし、その手を離してチセの目の前で頭身自殺を図り亡くなってしまうのであった。
心に大きな傷を抱えたまま孤独となったチセは、親戚の家に行くことになるが、そこでも「いらない子」と疎まれることになる。

ある日、チセは生きることを諦め母と同じように屋上から飛ぼうとしていた。
そんなチセの前に一人の男が現れ、「生きることを投げ出したいなら貴方を欲しいと思う誰かに自分を預けてみないか?」と言う。
チセは、その男「セス・ノエル」の言葉に同意し「帰る場所がほしい」と自らが望んでオークション(人身売買)にかけられることに。
チセを入札したのはチセを「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」と呼ぶ人外の魔法使い「エリアス・エインズワース」であった。
スレイ・ベガとはチセのような特異な魔法体質の人間の事で、強い魔力を生み出す非常に珍しい存在であった。
エリアスの目的は「魔法使いの弟子」にすることと「お嫁さん」にすることであった。
そして、エリアスはチセを連れてイングランドにあるエリアスの家に移動。
エリアスはチセに「もう家族なんだから」と言い、その言葉にチセは「家族」と呟くのであった。

その日の夜にチセの部屋を風の妖精「エアリエル」が訪れる。
スレイ・ベガは強い魔力を持つため妖精を魅了し、妖精たちから「愛し仔(ロビン)」と呼ばれ好かれる。
夜の散歩に誘われたチセは、エリアスに無断で出かけていく。
しかしエアリエルの目的はチセを妖精の国に連れていくことであった。
「待ってる人なんていないでしょ」という妖精に対して、チセは「一度でも家族といってくれたからエリアスの家に帰る」と言う。
そして、助けに来たエリアスと共に帰るのであった。

こうして、チセはエリアスと、エリアスの家に住む家事妖精(ブラウニー)の「シルキー」共に生活をすることになった。
見える能力によりたくさんの傷を抱えてきたチセは、見える能力によって様々な出会いを繰り返し自分自身や自分の傷と向き合っていく。
そして、エリアスもまたチセと関わることで成長していくのであった。

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チセはエリアスに、ロンドンで魔法機構(マギウス・クラフト)をしているエリアスの知人「アンジェリカ・バーレイ」のところに連れて行かれる。
マギウス・クラフトとは、電気の代わりに魔力を動力にする道具を作っている者達のこと。
アンジェリカは魔法使いでもあり、この世には魔法と魔術があるとチセに話す。
魔法とは、精霊や妖精の力を借りてこの世の理に干渉し奇跡を起こすこと。
反対に魔術は科学的にこの世の理を理解し、それを自分の魔力で書き換えて起こす結果のことであると、アンジェリカはチセに説明する。
チセは魔法の練習用の石で魔法を使ってみるが、母親の事を思い出して暴走させてしまい、エリアスに止められた。
スレイ・ベガのチセは魔法の才能はあるが、自分の持つ強い魔力を制御する術は知らなかった。
エリアスはアンジェリカにチセのローブを作って貰い、チセはそれを受けとる。
帰り道、チセはエリアスに母が目の前で死んだ話をした。
エリアスがチセにかける言葉には熱が無く、チセはそれが心地よかった。

エインズワース家に帰ると、エリアスの知人の神父「サイモン・カラム」が玄関前に居た。
サイモンの属する教会は強い力を持った魔法使いであるエリアスを監視しており、サイモンはエリアスの監視役で、エリアスとは10年の付き合いがある。
サイモンは何故かシルキーに嫌われており家に上がれず、家の前で二時間も待っていた。
これまで何十年も動きの無かったエリアスが突然闇オークションで弟子を取り混乱を招いたため、教会はエリアスにペナルティを科し、エリアスは三つの案件の解決をするように言われる。
協会側もエリアス側も事を構えたくないとし、エリアスはこの案件を受ける事になった。

エリアスはチセとのハニームーン(蜜月、つまりハネムーン)と称し、アイスランドへ行く。
アイスランドにはドラゴンの巣があり、ドラゴンの様子を見てくることが教会に頼まれた案件の一つでもあった。
しかし、エリアスが目を離した一瞬の隙にチセは一匹のドラゴンに連れ去られてしまう。
チセが連れて行かれたのはドラゴンの国(ドラゴンの巣)で、そこでチセは魔法使いの「リンデル」に出会う。
リンデルはドラゴンの国の管理者で、一般人からドラゴンを隠す役目をしており、エリアスの師匠でもある。
エリアスはチセの影に潜んで付いて来ており、エリアスとリンデルが話してる間、チセは子供のドラゴン達の遊び相手になり、妙齢のドラゴン「ネヴィン」に出会う。
ネヴィンは死期が迫っており、長い時間を生きたドラゴンは死んだら樹・苔・石などになって自然に還るのだという。
ネヴィンはリンデルに体に種を埋めてもらっており、いずれは樹そのものになるのであった。
チセはネヴィンに体に痛みはないかと声をかけるが、ネヴィンは「生きる者が死者を羨むものじゃない」と言ってチセの心を見透かす。
ネヴィンはチセの記憶を見て、屋上から飛ぼうとした事があることを知り、「飛べない君が飛ばなくて良かった」と言う。
そしてチセに自身が飛んだ時の記憶の夢を見せ、鳥のように生きるために飛びなさいと語る。
ネヴィンとチセが一緒に眠りについて同じ夢を見る事により、チセの強い魔力がネヴィンへ流れ、リンデルの植えた種はネヴィンを肥やしに急激に育つ。
最期にネヴィンは、自分の樹の枝で杖を作るようにチセに言い、立派な樹木になった。
スレイ・ベガであるチセは何もしなければあと3年程度で死に至るとリンデルはエリアスに言う。
エリアスは折角高額で買ったのだからそう簡単には死なせないと言い、リンデルはチセの未来を案じた。
ドラゴンたちは死後自然に還る事を誇りにし、子供達は自分達もいずれはネヴィンのように立派な樹になるのだと微笑む。
リンデルはチセに悲しまなくていいと言うが、チセはネヴィンのような穏やかな最期を少し羨ましく思ってしまう。

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ウルタールの澱み

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ハニームーンの次の行き先であるウルタールに行く列車の中で、チセは喋る猫に出会う。
猫は9つの命を持つと言われており、命を経るごとに頭が良くなり、人語も理解するようになっていく。
喋る猫は猫の王からエリアスにお使いで来ており、2人はウルタールに住む猫の王「モリィ」に会いに行く。
この呼び出しは、教会から頼まれた三つの案件の二つ目であった。
ウルタールに付くと、エリアスは嫌な予感がすると言って一人で探索へ行ってしまう。
チセはモリィたちに案内され森へ行き、この地に伝わる話をされる。
遠い昔、この地には猫を殺すのを楽しむ者がいて、次々に猫が殺されていった。
それに終止符を打ったのが最初に猫の王になった猫で、初代王と猫達は猫を殺したものを殺し、ひと欠片も残さず平らげた。
その時に生まれた「澱み」が湖にある小島に封印されており、猫の王たちは尊敬を受ける代わりに自分の命を使って澱みを湖に食い止めている。
だが最近その澱みが湖から出てこようとしており、出てきてしまったら猫だけではなく人間も襲ってしまうという。
チセがそんな話を聞いていると、突然赤い服を着た謎の少女が現れ、魔術でチセを湖の上空に移動させ、チセはそのまま湖に落下した。
湖の中でチセは、澱みの核となる女性「ミナ」の記憶を見せられる。
ミナは病弱な体質で、夫の「マシュー」はミナを案じて流れの魔術師にミナを見てもらうという話をする。
ミナの側にはいつも白猫「ティム」がいて、ミナは「猫みたいに命が9つあれば良かったのに」とティムに語りかけた。
その記憶の断片を見たチセに、ミナは澱みとなって封印されたのは夫マシューであると言い、自分とマシューを殺して欲しいと頼む。
チセが返事を出来ずに目を覚ますと、チセはエリアスによって湖から助け出され丘にいた。
エリアスはチセに澱みを封印ではなく浄化してみて欲しいと言う。
チセはエリアスが出来るというのならやるといって引き受けた。
そしてなぜエリアスではなく自分がやるのかと問うと、エリアスは自分の本性は影だから浄化魔法は苦手だと答えた。
夜、準備を整えたチセは風の妖精・エアリアルを連れ、澱みへ向かう。
すると先ほどの赤い服を着た少女と、顔に傷跡を持った男性が現れ、チセとエアリアルを拘束する。
エリアスは男性を「レンフレッド」と呼んだ。
レンフレッドは魔術師で、「澱み」を回収しようとしていた。
レンフレッドはエリアスが好奇心で哀れな子供(チセ)に首輪をつけて利用していると言い、チセはレンフレッドの口からスレイ・ベガが短命である事を知る。
スレイ・ベガとは尽きることなく魔力を生み出し、生きているだけで大量の魔力の吸収と生産と制限無く繰り返す。
しかし人間の脆い体では耐え切れず短命となる。
それにも関わらずエリアスはチセに何の対処もせずに放置しており、そこに情は無いとレンフレッドはチセに言い、チセをエリアスから解放したいと言う。
だがチセは断り、例え嘘でも自分を家族と言ったのはエリアスだけ、誰よりも先にエリアスは自分を買ったのだから、「エリアスが私の手を離すまでは、私はあの人の物です」と答えた。
レンフレッドたちの足止めをエリアスに任せ、チセはエアリアルとモリィと共に澱みの浄化へ向かう。
チセが澱みに触れると、三人は澱みの記憶の中に飛ばされた。

マシューは酒場で流しの魔術師の少年に、妻・ミナを診て欲しいと頼む。
少年は物腰は柔らかいがマシューの話を聞いて不敵に微笑み、チセは少年にとても嫌な雰囲気を感じた。
少年はミナを診察するが、ミナは持って数年だとマシューに話す。
動揺するマシューに、少年は笑顔で猫には命が9つあると話し出した。
後日、村には鼠が多くなり、猫がサボっているのではないかと村人達が話す。
ミナがマシューを探して森へ入ると、見た事ない小屋が建っていた。
ミナがその小屋に入ると、中には大量の猫が檻に入れられており、マシューが鉈で猫達を殺していた。
マシューがミナに気づくと、ミナのための秘薬が出来たと言う。
ミナが何故こんな酷い事をするのかと問い詰めると、マシューは「君のため」だと微笑んだ。
魔術師の少年が小屋に入ってきて、ミナは2人に無理やり秘薬を飲まされる。
これでミナの体は良くなると喜ぶマシューであるが、ミナはマシューの腕の中で泥になって消滅した。
少年は実験は失敗だったと残念がって去って行き、混乱し精神崩壊したマシューはまだ殺し足りてないと言って小屋の外に出た。
するとミナの飼い猫・ティムが居て、マシューはティムを手に掛けようとする。
しかしティムはマシューの喉元に噛み付いて殺し、「あんたはもう人間じゃない。あんたは悪魔だ。悪魔に騙されて可哀想な悪魔になっちまった」と喋った。
ティムは初代の猫の王であり、マシューとミナそして殺された猫たちは澱みとなってティムに封印された。
澱みの記憶を見たチセに、ミナは自分達は輪廻の輪から外れてしまい還り方が分からない、だから「消して」欲しいのだと頼む。
チセはミナたちは全員被害者であるとし嫌がるが、モリィはチセに出来ないのなら自分が残りの命を使って浄化すると言い出す。
モリィを犠牲にしたくないチセは、風の力なら花の種を飛ばすように、土は種に、種は花に、還るべき者達は還るべき所へ飛ばせるのではないかと気づく。
チセは魔法で澱みを青い青空と青い花畑に変え、ミナとマシューは花弁となってあるべき場所へ還って行った。
ミナは最期に「できればあなたもまだこちらへ来ないよう祈ってるわ」と言った。
いらない子供であったチセは、誰からも欲しがられず放り出されて転がり続けて、やっと止まり木(エリアス)を見つけたかもしれない所であった。
その矢先に短命であると聞かされ、チセは「私はいつ死ぬんだろう」と考えた。

チセは大量の魔力を消費し、2週間眠ったまま目を覚まさなかった。
森の女王「ティターニア」と森の王「オベロン」がエリアスが娶ったチセを見に来るために現れた。
オベロンは眠ったチセに魔力を与え、チセは目を覚ました。
オベロンはチセとエリアスに子供はまだかと茶化し、ティターニアはチセとエリアスがお似合いに見え微笑ましく思った。

ルツの登場

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レンフレッドの目的は澱みの回収であったが失敗し、魔術師の少年に弟子「アリス」をキメラの素材にされたくなかったら次は上手くやるよう迫られる。
少年はウルタールの澱みを浄化する際に見た、ミナとマシューの記憶に出てきた2人を騙した魔術師であった。
アリスは、自分がレンフレッドを守る「守り手」であるにも関わらず、何もできない事に歯がゆさを感じていた。

教会から頼まれた三つの案件の最後の一つは、ブラック・ドック又はチャーチ・グリムと呼ばれる、墓を守る番犬が教会にたてついたため、無害かどうか見て来るというものであった。
エリアスは教会へ向かう途中、チセに魔力の生産を抑える指輪を与える。
エリアスもチセの短命についてちゃんと考えており、本当ならチセには早く魔力を食べ手足となって働いてくれる「使い魔」をあてがいたいと言う。
教会では何者かに襲われた人間の死体があり、警察が来ていた。
エリアスが教会の管理者と話をする間、チセは一人墓地へ足を踏み入れる。
すると人ならざる者が現れチセを襲おうとするが、墓地に居た青年がチセを助けた。
青年は人ではなく、そして傷を負っており、チセを見て「お前はイザベルに似てるな…」と言う。
イザベルと言う言葉を皮切りに青年は何かを思い出したかのように犬の姿になった。
彼こそがチセたちの探すブラック・ドックであった。
「イザベル…イザベル…」とうわ言の様に呟き、イザベルを探しに行くブラック・ドックであるが、怪我が深刻であり倒れてしまう。
切り傷が先ほどの人間の死体と似ており、チセは事件を起こしたのはブラック・ドックではないと気づく。
するとチセの背後からアリスが現れ、その犬を渡すように言う。
チセはとっさに自分が作った失敗作の睡眠薬を使うと、失敗作でも人間相手になら効果があり、アリスは寝てしまった。
チセはブラック・ドックとアリスを人目のつかない林に連れて行って看病し、2人が起きるのを待った。
イザベルの夢を見ていたブラック・ドックは目を覚まし、チセにチセは妹のイザベルと似ていると話し出す。
イザベルはチセと同じ赤い髪の毛と緑の瞳を持った、チセと同じくらいの背丈の少女であったという。
イザベルとはぐれたなら探しに行くというチセであるが、イザベルは土の中で寝てるからその必要はないと言う。
ブラック・ドックに対し変わった犬だと言うチセに、ブラック・ドックは自分もイザベルも人間だと答える。
するとアリスが目覚め、どういうつもりかとチセに詰め寄るが、チセはアリスの腕を事前に縛っていた。
チセは何故アリスがブラック・ドックを欲するのか聞くと、アリスはキメラの素材にするためだと答える。
キメラとは動物と動物を掛け合わせた生き物で、その素材を集めて欲しいと魔術師の少年がやってきて脅され、レンフレッドは断ったがどうにもできなかったのだと言う。
アリスはレンフレッドを思い、単独でブラック・ドックを捕まえに来ていた。
エリアスはチセの影に潜んで話を聞いていた。
アリスはレンフレッドは魔術師の少年によって片腕を失い脅されていて、魔術師をどうにかして欲しいとエリアスに頼む。
ウルタールの時も今回もレンフレッドとアリスは使いっぱしりであり、バックにはあの魔術師の少年が居たのであった。
そして今回人間を殺して事件を起こしたのも、ブラック・ドックに怪我をさせたのも魔術師の使役するキメラだったのである。
すると突然チセがアリスを突き飛ばし、アリスが何事かと思うと、チセはアリスを庇ってキメラの触手で胸を貫かれていた。
そして当の魔術師の少年が現れた。少年は口の軽いアリスを始末しようとしたのであった。
怪我を負ったチセを見たエリアスは怒りで獣姿に変身した。
アリスはそんなエリアスの姿を見て慄き、「人間になれなかった者」だと思った。
ブラック・ドックはイザベルとチセを重ね、チセを抱き起こす。
チセはブラック・ドックの記憶を見る。
イザベルは赤い毛を持っていたためにいつもからかわれ、それをその頃「ユリシィ」と呼ばれていたブラック・ドックが慰めていた。
普通の犬のユリシィは人間のイザベルを妹だと思いこんでおり、イザベルの事を大事に思っていた。
しかしある日イザベルは虐めっ子から追いかけられた際に馬車に轢かれて亡くなってしまう。
死を理解できなかったユリシィは土の中で眠るイザベルが起きるのを墓地で待ち、衰弱して亡くなってしまう。
そしてユリシィは墓を守る番犬ブラック・ドックになったのであった。
チセは目を覚まし、起きなかったイザベルと重ね心配するブラック・ドックに「私は目を覚ましたでしょ」と笑う。
エリアスはキメラと戦い、魔術師の少年を「カルタフィルス」と呼び、カルタフィルスはその名で呼ぶなど血相を変える。
チセは異形の姿で戦うエリアスに抱きついてエリアスを止め、その隙に駆けつけたレンフレッドがカルタフィルスの頭を銃で撃った。
エリアスはチセが生きていた事に安堵し、チセが怖がると思い元の姿に戻るが、チセは特に怖がっているようではなかった。
カルタフィルスは直ぐに復活し、キメラの素材に妖精を使ってみたかったが、妖精の呪いは厄介だから魔術師を使って安全圏から回収しようと思ったのだと悪びれも無く言い、新たなキメラを出す。
そのキメラはイザベルの遺体を使ったもので、ユリシィ(ブラック・ドック)はイザベルの変わり果てた姿に涙する。
怒ったチセは魔法で攻撃しようとするが、エリアスはそれを止め、同時に青い炎が出現して一同はカルタフィルスの前から消える。
青い炎の正体は鬼火の妖精「ウィル・オー・ウィスプ」で、チセたちをワープさせ助けてくれたのであった。
ウィルはユリシィにお前はブラック・ドックだろうと渇を入れ、ユリシィはそれで全てを思い出し、もうイザベルが帰って来ない事を理解する。
そしてこれからはチセの側に居たいと言い、「結び」の契約をチセに求めた。
これは使い魔の契約であるが、「結び」とはその中でも時間や感覚など全てを共有する特に強い約束である。
チセとユリシィはお互いにもう1人は嫌だと思い、2人は結びの契約を行い、ユリシィはチセから「ルツ」という新しい名前を貰う。
ルツはイザベルを含んだキメラを倒し、イザベルをキメラから解放させた。
ルツは「おやすみ、イザベル」と言い、イザベルは再び眠りに付いた。
狙っていたブラック・ドックが解除の面倒な結びの契約をしたことで、カルタフィルスはやる気をなくし手を引く。
そして自分をカルタフィルスと呼ぶエリアスたちに、「僕の名はヨセフだよ」と言い去って行った。
レンフレッドは、カルタフィルスは遥か昔に神の子に死ねない呪いを受けた人間で、その目的もはっきりせず自分の興味だけで動く怪物だと言う。
レンフレッドとアリスも去って行き、ウィルはイザベルの魂を黄泉まで導きに行った。
チセとエリアスは新しく加わった家族であるルツを連れ、一緒にエンズワース家に帰って行った。

チセの杖作り

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エリアスは獣の姿になった影響か、元の体に戻るのに時間が掛かり自室に閉じこもっていた。
チセとルツはシルキーの計らいで気分転換に出かけていった。
道端でチセに会いに来たアンジェリカに会い、三人で街へ出かけた。
アンジェリカはチセの身を案じ、無理をしない事やエリアスに依存し過ぎないことを言う。
チセは図星だったのかその言葉にイラついてしまう。
チセは自分の事をなんとも思っていないエリアスに依存し、エリアスに捨てられたくないと思っていた。
帰宅後エリアスはまだ自室に居て、チセはまだ人型に戻りきれないエリアスと共に一緒に部屋で過ごした。
翌日、エリアスの姿が無く、チセとルツはエリアスを探しに行く。
通りかかった近所の老父「ジョエル」の家には、「リャナン・シー」が憑いていた。
リャナン・シーは愛した男に文芸の才能を授け、代わりに血を吸う吸血鬼で、才能と引き換えに対象者は早死にしてしまう。
しかし趣味で小説を書いているジョエルは才能を望んでおらず、リャナン・シーは血を吸わずにただジョエルの側に居た。
普通の人間であるジョエルはリャナン・シーを認識できないが、昔一度だけ庭でリャナン・シーと一瞬目が合った事があった。
リャナン・シーはその出来事があってからジョエルから離れがたくなってしまったのでった。
チセはリャナン・シーにジョエルが好きなのかと聞くと、リャナン・シーは「愛して無い」と否定した。
リャナン・シーにとっての愛し方とは、命を食べて才能を与える事で、何も望んでないジョエルにはそれが出来ないのである。
帰り道、エリアスは森に居ると分かりチセとルツは森へ行く。
エリアスは池でぐったりしていた。
エリアスはただ体の調整のために池で休んでいただけであったが、チセはエリアスを心配し、何も感じないほどエリアスに興味がないわけじゃ無いと言う。
そしてエリアスが自分に何も話してくれない事にチセは不安を感じるが、エリアスは自分の事を話すにはもう少し時間が欲しいと言う。
そこへリンデルの使い魔「海豹人(セルキー)」が現れ、チセは至急ドラゴンの国に来るように言われた。

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リンデルの用はチセはそろそろ杖を作ったらどうかという物であり、チセは自分の杖を作るためにルツと2人でドラゴンの国へ行く。
樹になったドラゴン「ネヴィン」との約束通り、チセはネヴィンの枝から一人で杖を作る。
リンデルはチセとの会話で、エリアスはチセにエリアス自身の事を何も喋ってない事を知る。
2人はお互いに干渉し合わず、エリアスはチセを飼い馴らそうとし、チセはそれをただ受け入れている。
母にも父にもいらないと言われたチセにとってエリアスは自分を必要としてくれる唯一の存在であり、捨てられたくないがためにエリアスの都合の良い人間でいたいのである。
そんなチセに、リンデルは自分とエリアスの昔の話をする。
リンデルはエリアスよりもずっと長く生きており、昔は遊牧の旅をしていた。
その時に森で出会ったのがエリアスで、エリアスは自分の事を何も覚えておらず、気づいたら森を彷徨っていたのだと言う。
リンデルはエリアスを師匠「ラハブ」の所へ連れて行き、エリアスはこの時にラハブから「エリアス」という名前を貰った。
リンデルとエリアスはその後一緒に旅をし、ある里でリンデルは人ならざるものであったエリアスと一緒に居たために悪魔だと言われ石を投げられた。
怪我をしたリンデルを見たエリアスは村人を攻撃しようとするが、リンデルはそれを止め、二人は村人を撒いて逃げた。
エリアスはリンデルの看病をし、自分は昔人間を食べた事があるかもしれないと語った。
リンデルの話はここまでで、話を聞いたチセに、リンデルはエリアスの事をどう思うかと聞く。
チセはこれまで人を食べる魔物を見た事もあるが、エリアスの事は怖くないと答えた。
リンデルは、他人が怖がるためエリアスに自分の事をあまり喋らないよう言った事があり、エリアスはその助言を守り、チセに何も喋らないでいたようだった。

翌日からチセは本格的に杖作りに入る。
杖は樹を削る所から一人で作り、年長者が仕上げをするのが習わしであった。
夜、リンデルは自分が別名「エコーズ」と呼ばれるのは、歌が呪文だからだと話し、歌を披露した。
美しい歌声に精霊達は喜び踊り、リンデルの魔力で池が水鏡となってエインズワース家と繋がり、エリアスとチセは水鏡で会話する。
エリアスはチセが家に居ないと家の中が寒いと話す。
チセはリンデルからエリアスの事を聞いたと話し、自分も帰ったらエリアスに言え無かった事を話したいと言う。
2人の様子を見ていたリンデルは、チセとエリアスの2人を「子供」と言い、子供も居ないのに子育てしている気分になった。

チセの杖がついに完成し、リンデルは事前に切っていたチセの髪と自分の持っていた宝石を使って杖の仕上げをした。
完成した杖を持った瞬間、チセは死者と生者を分かつあちら側とこちら側の境に意識が飛び、そこでネヴィンに再会する。
チセはネヴィンに、最初はいつ放り出されても良いと思いながらエリアスと過ごしていた事や、自分の事をどうとも思ってないエリアスに安心して居た事を語る。
しかし次第にエリアスが自分に何も話してくれないのが不安になり、寂しくなってしまったという。
ネヴィンは、エリアスはチセを放り出すような人なのかと尋ね、チセは否定するが、チセは父親と母親から放り出されてしまった過去があるため、エリアスにも無い話しではないとも思っていた。
ネヴィンはチセと記憶を共有しておりチセの過去を知っていて、チセの両親に感謝していると話す。
母親はチセの首を締めたが殺さずに手を離し、その事でチセは生き残って自分と出会えた。
チセと出会えたから自分は死の間際にもう一度空を飛ぶ夢を見せてもらい、自分以外にもチセが居た事で救われた人々もいるのだと話す。
そしてチセが自分を低く見るというのは、チセに救われた人々もどうでも良いと言っているのも同じだと語り、もっと自分を誇るように言う。
ネヴィンは人に手を差し伸べられるチセを残したチセの両親に感謝しているのであった。
ネヴィンはチセに、チセは自由で、誰かのためではなく自分がどうしたいのか考えて良いし、何処へ行ってもいい、言いたいや聞きたい事は色あせないうちに直ぐ行動した方がいいと言い消えていった。
現実に還ったチセは、リンデルに直ぐに帰りたいと言い、杖を使用して魔法を使い、自分を炎の鳥フェニックスに変えて飛んで行った。
チセはそのままエインズワース家まで飛んで行き、玄関先に居たエリアスの胸へ飛び込んだ。
エリアスはおかえりと言い、チセはただいまと答えた。
しかしチセは魔力を消費し過ぎてしまい気絶するように眠り、笑っている母と父の夢を見た。
トラウマばかりが心に残り、2人がどんな人間だったのかチセはあまり覚えていなかった。
チセは自分が今こんな暖かい居場所が出来た事を嬉しく思い、またエインズワース家での日々が始まっていく。

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妖精の塗薬

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