女王の花(和泉かねよし)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

和泉かねよしの『女王の花』とはベツコミ2007年11月号に掲載された読み切りが好評だったため、2008年8月号に続編となる2話が、2009年7月号には3話目が掲載、さらに2010年6月号より隔月で定期連載された歴史漫画です。
亜国の姫・亜姫が薄星と共に継母・土妃から亜国を取り戻すべく周囲の人々に鍛えられながら翻弄していきます。

『女王の花』のあらすじ・ストーリー

紀元前乱世の世。亜国の姫・亜姫は実家が小国のため母と共に冷遇されていました。亜姫の母・黄妃は亜国の正妃でありながら病気のために皇室の奥へと追いやられ、亜姫は不遇な幼年期を送ることとなります。ある日第二王妃のもとに金髪碧眼の奴隷・薄星が送られてきました。これまで差別を受けてきた薄星にとって亜姫は初めて優しい言葉を掛けてくれた人物。薄星は幼いながらも亜姫に対して心からの忠誠を誓います。

二人は奴隷と姫という立場上、武・才を学ぶことができませんでした。亜姫が8才のとき青徹という商人に出会い二人は技芸や武芸を叩き込まれます。その後亜姫は不本意な形で母を失い、黄国へ人質として送られることに。もちろん薄星もついていくこととなります。

いつか必ず亜国に戻ることを誓い、亜姫はさまざまな試練を乗り越えていきます。辛く、苦しいときには幼い頃に薄星から教えてもらったおまじない「千年の花」を呟きながら踏ん張っていました。

『女王の花』の登場人物・キャラクター

亜姫(あき)

本作の主人公。亜国の亜王と正室・黄妃との間に生まれた亜国の姫君。才色兼備で聡明ですが不器用な娘。幼少期は周囲からの冷遇ゆえに姫とは思えない貧しい服装や振る舞いをしていました。姫としての教養を身につけることもできず、不自由な暮らしのなかで薄星と二人、青徹に出会ったことで礼学射御書数の六芸を教わり亜姫はその利発さを発揮していきます。

薄星(はくせい)

第二王妃・土妃の王子6歳の誕生祝いに土国より贈られてきた胡人奴隷の青年。青い目と金色の髪を持ち、その容姿から周囲の人々に差別されていました。しかし亜姫だけは薄星と対面した時にその容姿を「蒼天の蒼の目」「稲穂の金、天の色の髪」と例えて賞賛してくれました。それによって薄星は亜姫に忠誠を誓い、護るべき主として仕えていきます。
願いが叶うという「千年の花」のおまじないを亜姫に教えたのも薄星です。

青徹(せいてつ)

元・黄国の貴族の息子。気が強い性格の碧眼で長年に渡り亜姫と薄星に学問や武芸を教え込んだ人物です。黄国の名門、青家の次男で10歳のときに亜姫の母である黄妃(当時の黄姫)のおつきとなりました。そのときの名は青蓋(せいがい)。
当初、王族を嫌っていましたが黄姫に出会い、仕えたことによって考えを改め、忠誠を誓いました。
黄姫が亜国に嫁ぎ、黄妃となってからも仕えていましたが、王妃の愛人と噂されるようになり黄国に帰国。その後亜国を訪れたときの黄妃の様子を見て脱走させようとしますが失敗、実の兄である青逸に左目を斬られてしまいました。
数年後に土妃によるクーデターが起こる亜国で亜姫を護るために死去。

黄妃(こうひ)

亜国の正妃で亜姫の母。黄国出身で幼少より佳人と名高い人物、15歳で青蓋を連れて亜国に嫁ぎます。その後自分のせいで青蓋があらぬ噂を立てられるのを恐れて青蓋を黄国に帰しました。
病に倒れ、体調を崩してからは正妃でありながらも狭く日当たりの悪い室に追いやられてしまいました。最期は亜姫を生き延びさせるために自ら毒入りスープを飲んで死去。青蓋を黄国に帰して二度と会わないようにし、口にはしていなかったがずっと青蓋を想っていました。

亜王(あおう)

亜国の王で亜姫の父。冷徹で家族の情よりも国主としての自我が勝る人物。しかしそれには過去信頼を置いていた人物からの裏切りにあった経緯があるからです。青徹が若かりし頃に宮廷内の池でのんびりと釣りをしていたことも。
当初は亜姫にきつくあたり、傍若無人な振る舞いを見せていましたが亜姫を次期亜王に、と考えた末に同盟国の土国や土妃から護るため、土国の顔色をうかがったふりをして亜姫を黄国に送り出します。
土妃にクーデターを起こされた際に王位の証である玉儞(ぎょくじ)を亜姫に渡すよう青徹の手下に託し死去。

青逸(せいいつ)

黄国の大夫で青徹の兄。亜姫が黄国に来てから世話役を任されました。飄々としていますが、いざというときには亜姫の心強い味方となる文武に秀でた切れ者です。ときに職権乱用するなど型破りなこともしますが、亜姫が心を許し多大な信頼をおく人物でもあります。
恐妻家ですが、妻の桐を心から愛しています。

桐(とう)

青逸の愛妻で亜姫の手助けをしてくれる人物。背が低く、美人ではないことを自覚しているが青家を切り盛りするやり手です。思ったことをなんでも口に出し、姫だからということで亜姫を甘やかすこともありません。何よりもお金が大事。

黄王(こうおう)

黄国の王で亜姫の祖父。冷徹に見えて黄妃が亜国に嫁入りするときに無事を願ってかんざしを送るなど見えない部分で情があります。
病に倒れ、死に際に亜姫を黄国の御史大夫(副宰相)につけて天災の混乱を収束させるように命じます。亜姫が土妃との戦いを控えたさなかに死去。

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