ぬらりひょんの孫(ぬら孫)のネタバレ解説・考察まとめ

『ぬらりひょんの孫』とは、椎橋寛によって、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で2008年から2012年まで連載されていた、妖怪任侠漫画である。妖怪の総大将・ぬらりひょんの血を継ぐ奴良リクオは、一見普通の男の子だが、祖父のような立派な妖怪の首領(ドン)になることに憧れを抱いている。現代の日本を舞台に、各地の妖怪同士が死闘を繰り広げる妖怪任侠活劇となっている。

『ぬらりひょんの孫』の概要

『ぬらりひょんの孫』とは、椎橋寛によって、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で2008年から2012年まで連載されていた、妖怪任侠漫画である。単行本は全25巻。小説やファンブックなども発売され、2010年にはテレビアニメやWEBラジオも配信されるなど、様々なメディアで取り上げられる大人気作品。『ぬら孫』と略されて呼ばれている。
かつて人から畏(おそ)れられていた妖怪たちの中でも、先頭に立ち、百鬼夜行を率いる妖怪の総大将は魑魅魍魎の主、ぬらりひょんと呼ばれていた。関東最大の任侠妖怪組織・奴良組(ぬらぐみ)の3代目若頭である奴良(ぬら)リクオは、小学3年生の一見普通の男の子。しかし、祖父の大妖怪ぬらりひょんと共に部下である妖怪たちとともに暮らしている。そのため、リクオも「がんばっておじーちゃんみたいな立派な妖怪の首領(ドン)になる!!」と総大将を目指している。しかし、小学校のクラスメイトから妖怪のことをバカにされたことにより欲しかった3代目の代紋を断ってしまった。人間との関係性と妖怪との関係性の狭間で悩んでいるところに、リクオを狙った妖怪の仕業でクラスメイトが事故に遭う。皆を助けに行こうと妖怪たちを誘うと、リクオが3代目となるのを反対している妖怪から、奴良組として人間を助けるために妖怪を従えることを止められたことにより、リクオの中の妖怪の血が覚醒する。人間の姿の時には本当にぬらりひょんとの血のつながりがあるのかどうかも疑われていたリクオだったが、実際に、総大将ぬらりひょんの血を4分の1も受け継いだ者だった。百鬼を率いて無事クラスメイトを助けることに成功したリクオ。「オレが魑魅魍魎の主となる!!」と3代目を継ぐことを決意したが、ぬらりひょんの血を4分の1しか継いでいないリクオは、1日の4分の1しか妖怪でいられなかった。それから数年経ち、リクオは中学生になったが、小学生の時に妖怪のことをクラスメイトに喋ってしまったことによるトラウマで「人間らしく」を心がけ、周囲の妖怪の存在をひた隠しにして生活していた。
そんな中で奴良組の将来を危惧した幹部のひとりが、リクオに対し謀反を起こす。刃を交え、妖怪たちの想いを知った奴良リクオは、人間時と妖怪時の精神を統一させ、奴良組を率いて行こうと決意する。悪しき妖怪を滅するべくリクオの前に現れた天才陰陽師、奴良組の弱体化を狙って戦いを仕掛けてくる四国妖怪、宿願を達成すべく暗躍し始めた京妖怪など、様々な試練を乗り越えた果てに、リクオは魑魅魍魎を統べる主へと成長していく物語である。

『ぬらりひょんの孫』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

小学3年生の奴良(ぬら)リクオは妖怪を相手に毎日いたずらをする元気でやんちゃな男の子。祖父に大妖怪であるぬらりひょんを持ち、いつか立派な妖怪になり、三代目の代紋をゆずってもらうことを夢見ている。そんな中、清十字清継(きよじゅうじ きよつぐ)による郷土史のまとめで妖怪が陰陽師により退治されたという発表を聞いた。リクオはその歴史を否定し、祖父がぬらりひょんであることや一緒に暮らす妖怪たちがいいやつらだと反論したことで、クラスメイトに気持ち悪がられてしまう。家に帰ると、祖父から三代目就任を言い渡されたことで、クラスメイトの皆に嫌われる事を恐れて逃げ出してしまう。
そんな時にリクオを狙った妖怪に誤ってクラスメイトが襲われてしまう。クラスメイトを大切に思い、正義感の強いリクオはすぐに助けに行こうとするが、幹部の妖怪に人間が妖怪を率いることを止められてしまう。どうしても助けに行きたいという思いから、リクオの中の4分の1の妖怪の血が覚醒。無事、クラスメイトを助けることに成功したが、朝になり、リクオは人間に戻ってしまう。4分の1しか妖怪でないリクオは1日の4分の1しか妖怪になれないことが判明した。
数年後、中学生になったリクオは小学校の時の教訓から、妖怪の存在をひた隠しにして普通の人間として生活することを心がけていた。妖怪の話題はとにかく避けて、友人からパシリのように扱われたりしてもそれに答えることで人間のように振る舞えていると勘違いしている少し抜けた性格の持ち主だった。もちろん、祖父であるぬらりひょんのようにはならないと3代目就任も先送りになっている。そんな中、リクオが小さい頃よく遊んでくれていた鴆(ぜん)がリクオを訪ねてきた。なかなか3代目を継がないリクオに対する祖父からの差し金だったが、「人間が妖怪の総大将にはなれない」というリクオにあきれて奴良組を抜けることを考えた。奴良組本家からの帰り道、しもべである蛇太夫(へびだゆう)に謀反を企てられた鴆。ピンチのところを妖怪の姿に変化したリクオに助けられたことで、奴良組ではなく、リクオ自身に忠誠を誓い、親分子分の盃をかわした。

奴良組幹部・牛鬼の謀反編

牛鬼との闘いにより深い傷を負ったリクオ(上)

ねずみ妖怪「旧鼠(きゅうそ)」にリクオのクラスメートである家永(いえなが)カナと陰陽師の、末裔である花開院(けいかいん)ゆらが誘拐される。助けに走るリクオだが、二人を助けたければ全国の妖怪たちに「3代目総大将を継がない」という内容の回状を回せと条件を出された。本家に戻り、自分の無力さゆえに二人を助けられない状況に嘆いていると、夜のリクオとなる。ようやくしもべを率いて旧鼠を倒し、カナとゆらを助けたリクオだった。

そんな中、清継が小学生の時に出会った憧れの妖怪である妖怪の姿のリクオに再度出会うために結成された「清十字怪奇探偵団」は、ゴールデンウィークの「合宿」と称して清十字怪奇探偵団のメンバーである清継、リクオ、氷麗(つらら)、カナ、ゆら、巻紗織(まきさおり)鳥居夏実(とりいなつみ)、島(しま)たちは牛鬼の縄張りである山を訪れる。牛鬼の側近である「牛頭丸」と「馬頭丸」はリクオの側近であるつららを仕留めようとしたが、昼の姿のまま、リクオは応戦する。ようやく、人間のリクオも夜の妖怪の自分を認識した瞬間だった。負傷したつららをカナに預け、リクオは牛鬼の元へ、夜の姿を現した。リクオは牛鬼に「なぜこんなことをしたのか」と刃を向けるが、牛鬼からも刃を向けられてしまう。牛鬼は執拗に妖怪のリクオと人間のリクオについて聞きながら、リクオを追い詰めていく。妖怪の姿であるリクオは「夜のオレは3代目となり、妖怪たち全員の上に立つ意思は変わらない」と宣言する。

牛鬼はかつて人間だった時に、亡くなった父の弔いのために慕っていた母の元を離れ、寺に入り修行をしていた。才覚を現し始めた牛鬼だったが、嫉んだ寺の先輩たちに追い詰められて寺から逃げ出した。その先で妖怪に喰われそうになった時に、妖怪の腹の中で、愛する母の死体と出会う。その憎悪が牛鬼の精神をむしばみ、人間だった彼は鬼になった。最初は母の弔いのために人間を殺し、死体を積み上げていた。やがて母の愛も忘れてしまう程時が経った頃、若かりし頃の百鬼を率いるぬらりひょんと出会う。牛鬼組と奴良組は3日3晩の抗争となった。やがて奴良組の勢力が増してついに牛鬼が敗れた時に、ぬらりひょんは自分が勝っておきながらも牛鬼の強さを認め、「オレがお前の親になってやるよ」と言った。その言葉が牛鬼の心に刻まれ、牛鬼はぬらりひょんに忠誠を誓い、盃を交わしたという過去があった。
忠誠を誓った奴良組が、3代目若頭であるリクオのせいで弱体化してしまうのが許せず、リクオを殺して自分も死ぬつもりだったと言う。しかし、リクオは謀反を企てた牛鬼をかばい、目撃した奴良組の妖怪には口止めをした。朝になり、人間の姿に戻ったリクオだったが、夜の出来事を覚えていた。改めて「ここまでして奴良組のことを想ってくれる牛鬼が百鬼夜行にいてくれると嬉しい」と話した。
同時に覚悟を決めたリクオは昼の姿でも戦う訓練を始めた。総大将であるぬらりひょんにも3代目を継ぐ決意表明をする。
ぬらりひょんはそのことを受けて、若頭襲名のために幹部会を開き、その場で牛鬼の件を裁くよう条件を出した。リクオは昼の姿のまま参加することとなったが、襲名の挨拶を見事に終え、牛鬼の件に関しては「おとがめなし」とした。騒ぐ幹部たちに飴とムチをうまく使い、笑顔で「ボクがしっかりする」と言いながらも「牛鬼のようにオレを試すか?」と凄んでみたりするリクオの調子に乗せられ、うまく話はまとまってしまう。リクオはここで3代目「候補」となり、妖怪としての成人年齢である13歳となった時に他の候補が現れない場合、あらためて奴良組3代目総大将となることが決定した。

四国八十八鬼夜行との全面抗争編

四国八十八鬼夜行(しこくはちじゅうはっきやこう)頭首・玉章(たまずき)の妖怪に変化した姿

リクオが3代目候補となった総会と同時刻、奴良組系狒々組本部が壊滅。奴良組がもろい今を狙って奴良組の縄張りを奪うため、四国の妖怪の集団である四国八十八鬼夜行が動き出していた。
そんなある日、街をぶらぶらしていたぬらりひょんと陰陽師・ゆらが出会い、公園で話をしているところにぬらりひょんを狙った「かまいたち」に襲われる。なんとか式神で対抗するゆらだが力及ばず、ぬらりひょんを追いかけてかまいたちが攻撃を仕掛けるが、一瞬にしてぬらりひょんに倒されてしまった。その後、ぬらりひょんはしもべに「しばらく戻らない」と告げて行方不明となった。

学校に通うリクオには四国八十八鬼夜行組長「隠神刑部 玉章(いぬがみぎょうぶ たまずき)」と幹部である「犬神(いぬがみ)」が「ボクもこの町でシノギをするから」と挨拶に来た。それからリクオたちの住む浮世絵町各方面で妖怪が暴れるようになり、本家は見事混乱に陥ってしまう。おたおたする妖怪たちにリクオは一喝し、「ぬらりひょんがいない今奴良組は今から若頭(ボク)がしきる!」と宣言する。
しかし、リクオはこんな状況でも変わらず学校で普通通りの生活を送る。生徒会選挙演説のために体育館に全校生徒が集まる中に、妖怪の気配を感じたリクオとつらら。幹部たちはリクオに逃げるよう説得するが、狙っているのはリクオではなく人間かもしれないと逃げることを拒むリクオ。しかし、今はリクオも人間の姿であることを自覚するよう幹部が言うとリクオは「だからボクを守れ」と命令を下した。幹部たちは各々配置につき、攻撃態勢を取った。その中で、清継の応援演説のためにリクオが登壇すると、全校生徒から歓声があがる。これまで罵声をあびて生きてきた「犬神」はそのことで人間の姿からようやく妖怪の姿へ変化し、演説中のリクオの首めがけて襲い掛かる。しかし、実際に登壇していたのは「首無(くびなし)」だった。犬神の攻撃は躱され、やられそうになる。憎しみを力に変える能力がある犬神はやられそうになりながら力が増幅し同時に体が巨大化していく。ピンチに陥る奴良組だったが、そこへ体育館の暗闇を利用し妖怪の姿に変化したリクオが現れた。つららや首無の援護もあり、リクオは犬神にとどめを刺し、犬神は人間の姿から妖怪の姿へ変化出来ないほど力が弱まってしまった。そこに玉章が現れて、失敗した犬神を消してしまう。夜の姿のリクオを目の当たりにした玉章は、自分も本来の妖怪の姿を現し「八百八狸の長を父に持つ妖怪・隠神刑部狸(いぬがみぎょうぶだぬき) 玉章(たまずき)」だと名乗り、姿を消した。

その夜、浮世絵町に妖怪が集まってきた。八十八鬼夜行の増援のため集まった妖怪たちだったが、その増援に乗じて、牛鬼組の若頭牛頭丸と馬頭丸が潜入していた。二人が課せられた命令は「敵の『次の手』と『戦力』」この二つのみ。うまく潜入していた二人だったが、玉章に潜入がバレてやられそうになったところで、奴良組の天狗が助けに現れた。無事、本家に連れ帰ることができた牛頭丸と馬頭丸。しかし、リクオは重症になった二人を見て、ショックを受けた。さらに奴良組の妖怪たちもリクオの指示で動いた牛頭丸と馬頭丸がやられて帰ってきたことで、不信感が募る。リクオは百鬼がバラバラになっていくことを強く感じて目の前が真っ暗になった。
そこで、リクオは吐いてしまい、意識を失った。目を覚ましたリクオの傍には鴆がいた。昼は学校に通い、夜は市中をパトロールする休みのない生活をしていたことで無理が祟ったと叱責されるリクオ。しかしリクオは「これくらいのことは若頭である自分がしないと、しもべたちには信用されていない今、百鬼をまとめられない」と反発する。鴆は、「今いるしもべたちは元々ぬらりひょんに忠誠を誓った者たちで、リクオのものではないから当たり前だ。それなら自分の百鬼夜行を作れ」と声を荒げた。それを隠れて聞いていたつらら、青田坊、黒田坊、首無、河童など、リクオを慕う幹部たちと、早速忠誠を誓うという親分子分の「七分三分の盃」を交わす。
その最中、夜の姿に変化したリクオは百鬼を率いて、玉章たちの元へ向かう。頭であるリクオが先陣を切って、百鬼夜行と八十八鬼夜行の抗争が始まった。
それぞれの戦いの中で、少しずつ玉章が仲間を仲間と思わぬ行動に八十八鬼夜行のほころびが出る。玉章は仲間を斬ることで、斬ったものの血肉や恨みを力に変える。すさまじい力を前に気圧される奴良組だったが、幹部の裏切りも手伝って、リクオたち奴良組が勝利した。

ぬらりひょんの過去‐京妖怪全面抗争編

ぬらりひょんの妻・珱姫(ようひめ)

時は数百年前。京都は魑魅魍魎たちで溢れていた。古来より妖怪たちの中心であった京都には野望に燃える若い妖怪たちが覇権を目指し集まっていた。奴良組もまた、魑魅魍魎の主となるため、妖狩りに励んでいた。
とある公家屋敷には「珱姫(ようひめ)」と呼ばれる美女が、力を使い、人々の病を治していた。不治の病でさえも治すことのできる能力らしく、珱姫はその力を父親から金もうけのために使われていた。妖怪たちもまた、生き肝信仰(いきぎもしんこう)と呼ばれる「より尊い命には妖の力を増幅させる力がある」と信じていたために、常に、珱姫の生き肝は妖怪たちに狙われていた。
絶世の美女と噂される珱姫を一目見ようと、ぬらりひょんも珱姫の元を訪れた。陰陽師が護衛している城の中に、誰にも気付かれず何度も足蹴く通うぬらりひょん。不思議に思っていたが、ぬらりひょんに連れられ城の外に出ても誰にも気付かれない。ぬらりくらりと自由気ままなぬらりひょんに次第に心惹かれていく珱姫。ぬらりひょんもまた、珱姫に惚れ込み、求婚する。そんな時、生き肝信仰であった羽衣狐(はごろもぎつね)に珱姫の生き肝が狙われ、羽衣狐の拠点である大阪城に連れ去られる事件が起きる。羽衣狐は古来より京に巣食う大妖怪中の大妖怪。牛鬼がまだ戦う時ではないと必死に止めるが、ぬらりひょんは珱姫を助けに大阪城へと出陣する。百鬼を率いて祢々切丸を使い羽衣狐を追い詰めていく。しかし、ぬらりひょんもまた、満身創痍であり、羽衣狐に肝を喰われてしまう。そこに古くからの知り合いである陰陽師も助けに入り、ついに羽衣狐を倒すことに成功し、ぬらりひょんが魑魅魍魎の主となる。珱姫と夫婦となったぬらりひょんは、やがて珱姫との間に子を成し、その子が「孫」を成した。

遠野修行編

リクオが修行した遠野の妖怪たち奥州遠野一家(おうしゅうとおのいっか)

京では、復活した羽衣狐が再び動き出した。羽衣狐を封印するために、花開院家が総力を上げる。そのためにゆらも京都に帰省した。そのことを受けて、リクオもゆらの手助けのために京都に向かうことをぬらりひょんに報告すると「今のリクオでは力が足りない、京都へは死にに行くようなものだ」とぬらりひょんとリクオの決闘が始まる。結局ぬらりひょんに一撃も入れられなかったリクオだったが、ぬらりひょんはリクオのために、「奥州遠野一家(おうしゅうとおのいっか)」を呼び、リクオを預けた。ぬらりひょんの攻撃を受けたリクオは、気を失ったまま奥州遠野一家によって東北まで連れられる。目覚めたリクオは京都に行きたい一心で抜け出そうとするが、里全体が妖怪である地から抜け出せず、「畏れ(おそれ)を断ち切る力」を得るため遠野一家と実践を繰り返す。そんな時に遠野一家の元に、京妖怪が現れる。リクオを見つけた京妖怪は攻撃を仕掛けるが、遠野一家に教わったことを思い出したリクオは恐れを断ち切ることに成功する。

京都・羽衣狐との全面抗争編

鵺(ぬえ)の誕生を待ちわびる羽衣狐(はごろもぎつね)

400年前、陰陽師・13代目秀元の力により、羽衣狐の率いる妖怪たちは京の八つの寺社や城に強力な封印が施された。その封印は一つ一つ順に潰していくことで封印を解いていかなければならない。羽衣狐はそれぞれの場所を守っている陰陽師たちを壊滅させ、一つずつ確実に封印を解いていく。
同じ時に、リクオの元にも羽衣狐が陰陽師を壊滅状態に追い込んでいるという話が回ってきた。羽衣狐の名前を聞き、リクオは父が亡くなった時のことを思い出す。父が死に、それから奴良組は弱体化していったが、おそらく父を殺したのは羽衣狐だという。リクオは遠野一家に感謝の意を伝えると同時に遠野一家の仲間も引き連れて里の畏れを断ち切り、京都へ向かった。

一方、京都では、才のある陰陽師たちが羽衣狐に敗北してしまう。ゆらは式神で13代目・秀元を呼び寄せた。しかし羽衣狐との力の差を前に秀元から戦いを退くよう命令され、一旦は引くこととなった。封印は残り一つとなり、最後の封印となる場所で、羽衣狐は子を産もうとしている。
そして、ついにリクオが京へ到着し、秀元と対面。羽衣狐が子を産むまでの7日間で、破られた封印を再度施し、羽衣狐を倒すことを頼まれる。

突如として現れた土蜘蛛に百鬼夜行は甚大な被害を受け、かろうじて生きていたリクオは牛鬼により連れ帰られた。土蜘蛛に捕まったつららを助けるため、再び土蜘蛛の元へ急ごうとするリクオ。しかししもべである牛鬼の畏れにさえ、気圧されてしまう。土蜘蛛に及ばぬ力を手に入れるため、牛鬼に稽古をつけてもらうこととなった。

頭のいない百鬼夜行は陰陽師の式神・秀元に封印の手伝いをするよう指示されるが府抜けていた。しかし、リクオがいない今、百鬼を守るために尽力を尽くす者たちもいた。奴良組と陰陽師が力を合わせて戦っている中、牛鬼に稽古をつけてもらっていたリクオはついに「業(わざ)」を習得する。業を使い、牛鬼の畏れを断ち切ったリクオはつららのとらえられている土蜘蛛の元へ急いだ。

リクオはつららの畏れを鬼纏う(まとう)ことで、つららの力とリクオの力が合わさった「業」を刃にのせた。さらに遠野一家の力も借りて、ついに土蜘蛛に勝利した。頭から真っ二つにされた土蜘蛛から「羽衣狐が産もうとしている『子』は『鵺(ぬえ)』と呼ばれ、千年前に京の闇を支配した『安倍晴明(あべのせいめい)』だ」ということを聞いた。

安倍晴明は平安時代の伝説的陰陽師で母親が狐だったという伝承がある。人の世を表からあやつり、百鬼夜行をもあやつり使った男と言われている。
羽衣狐の出産場所に急ぐ奴良組と陰陽師たち。行く手を阻む「鬼童丸(きどうまる)」につららとの鬼纏いを阻まれてしまった。しかし、そこに黒田坊が現れて、鬼纏いにはいくつか方法があることを知る。そこで、黒田坊とリクオの二人の畏れを襲ねた(かさねた)鬼纏いである「畏襲(かさね)」により、鬼童丸を討つことに成功した。
確実に強くなっていくリクオだったが、ついに、羽衣狐は出産。鵺が再び蘇り、圧倒的な力でリクオは窮地に追い込まれる。しかし、まだ不完全な状態であった晴明は戦いに決着を付ける前に地獄へと戻っていった。
晴明の攻撃からリクオをかばった羽衣狐の依代が、自分の正体はリクオの父・鯉伴(りはん)の前妻・山吹乙女(やまぶきおとめ)であり、操られた末路に鯉判を手にかけたことを告げる。そのことで、リクオはさらに晴明への怒りを増幅させた。晴明が地獄から復活するまであと約1年。全面抗争に備え、ついに奴良組の3代目を襲名したリクオだった。

奴良鯉伴の過去

リクオの父・奴良鯉伴(ぬらりはん)と百鬼夜行

京都での戦いを終え、リクオは奴良組三代目総大将を襲名。来たるべき鵺との戦いに備え、奴良組は力を蓄えていた。ある日の帰り道、リクオの同級生鳥居が「百物語組」に捕まってしまう。いなくなった鳥居を探していたリクオ率いる奴良組だったが、「若い夫婦がコインロッカーに捨てた赤ちゃんが今も成長し続けている」と噂になっている都市伝説「地下鉄の少女」との関わりを疑い、奴良組総出で救出に向かう。一番に鳥居を見つけて救出したのは黒田坊だったが、そこに現れた百物語組の妖怪から、「元百物語組大幹部・黒田坊」と声をかけられる。二人の因縁を目撃したリクオは、鳥居を助けた後急いで本家に戻り、総会を開いた。

百物語組は、奴良組と江戸を二分した妖怪・怪異の組織。怪談を「集め」「語り」「産む」。産み落とした怪談を百物語として紡ぐことで江戸時代に勢力を拡大していった組織である。その頭領が山ン本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)であり、何万とも言われる怪異を紡ぎだしたと言われる正体不明の巨怪。奴良組との激しい抗争の中で、リクオの父鯉伴によって殺されたはずだった。

元百物語組黒田坊が当時を振り返る。
時は元禄年間の江戸。ふらふらと遊び歩く奴良組2代目鯉伴は人間を襲う妖怪の退治に追われていた。そんな中、奴良組の手長足長が殺される事件が起きた。幹部たちを引き連れて犯人を捜しに行くが、自分を狙う影を見つけ、鯉伴は一人行動をとる。
鯉伴の命を狙っていたのは、黒田坊だった。鯉伴は黒田坊に圧倒的な力の差を見せつけるが、別の刺客に襲撃され、数の多さに川の中に逃げ込んだ。
山ン本は怪談によって江戸中から集められた畏れを溶かし込んだ「覇者の茶」を人々に振る舞った。その味はまるで麻薬のようで一度知ってしまえばやめることができなくなってしまう。その「茶」欲しさにますます怪談が広がっていった。百物語で得た畏れは全て山ン本の元へ集まり、「覇者の茶」は民衆にまで配られるようになった。山ン本の怪談は爆発的に広がり、その数や勢いは奴良組を凌駕していった。

そんな中、消えていた鯉伴はぬらりひょんの元へひょっこり顔を出した。秘密裏に百物語組について調べ、ついに百物語が行われる会場にたどり着く。あと1話で完成する百物語だったが、鯉伴率いる百鬼夜行により壊滅状態に追い込まれてしまう。山ン本も鯉伴に追い詰められ建物から転落。自分の巨体に押しつぶされて死にそうになったところで、自分自身が百話目の妖怪になることで百物語が完成した。
山ン本は妖となる過程で身体の各部分に分裂しながら人々を襲う。黒田坊は、世のため人のために戦っていると信じていた山ン本が逆に人々を襲い、襲われる人々を助けるために駆け回る奴良組の様子を見て、自分は「子供たちを守るために生まれた妖」だったことにようやく気付くことができた。山ン本の心臓に気圧されている鯉伴の元へ黒田坊がやってくる。「妖にも関わらずなぜ人々を助けるのか」という黒田坊の問に対し、鯉伴は自分が半分人間であることを告げ、黒田坊を鯉伴の百鬼夜行に誘う。黒田坊は鯉判の心の中に招き入れられ、盃を交わし、鯉伴は黒田坊を鬼纏う(まとう)ことにより山ン本の心臓を倒した。
勝利したかのように思えたが、その戦いの後に、泣き崩れる山ン本の忠実な側近である「柳田(やなぎだ)」の元へ「圓嘲(えんちょう)」と名乗る山ン本の口が現れる。圓嘲いわく山ン本はその身を失ったが、柳田が「耳」となり怪談を集め、集めた怪談を「口」が広げ「手」が産み畏れを集めることによって、山ン本が復活するという。そのために一度地下に潜り力をためることになった。

江戸百物語組全面抗争編

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