GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊・イノセンス(押井版攻殻機動隊)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原作とし、1995年に公開された日本のアニメ映画である。AD2029年、公安九課のリーダー草薙素子が事件を追う中、正体不明のハッカー“人形使い”と遭遇する。押井守監督版『攻殻機動隊』シリーズの1つであり、続編の『イノセンス』は2004年に公開された。ガイノイド“ハダリ”の暴走した原因を九課のバトーとトグサが追う。

脳にマイクロマシンなどを埋め込み、人間の脳とコンピュータネットワークを直接接続したバイオネットワーク技術。脳そのものを機械に変えてしまうことも電脳化と呼び、制御ソフトを導入するタイプの高性能な義足・義手などはこの電脳化を施す必要がある模様。無線通信、有線通信、情報の視覚化など現在のパソコンのようなことができるようになる。

ゴースト

人間の肉体から生体組織を限りなく取り除く、あるいは機械で代行していった際に、自分が自分自身であるために最低限必要な物。
作中での意味合いは“魂”と解釈するとわかりやすい。

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

草薙素子「そう囁くのよ。私のゴーストが」

トグサに推測の根拠を聞かれた際に「そう囁くのよ。私のゴーストが」と答える。原作やTVアニメの『攻殻機動隊』シリーズで必ずと言っていいほど出てくる作品を代表する名台詞だ。

草薙素子「恐れ、不安、孤独、闇。それからもしかしたら、希望―― 海面に浮かび上がる時、今までとは違う自分になれるんじゃないか…。そんな気がする時があるの」

バトーに、機械の身体でダイビングをしている感想を聞かれた際に答えた言葉が「恐れ、不安、孤独、闇。それからもしかしたら、希望―― 海面に浮かび上がる時、今までとは違う自分になれるんじゃないか…。そんな気がする時があるの」である。

草薙素子「人間が人間であるための部品が決して少なくないように、自分が自分であるためには驚くほど多くのものが必要なの。 他人を隔てるための顔、それと意識しない声、目覚めの時に見つめる手、幼かったころの記憶、未来の予感。 それだけじゃないわ。私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり。 それら全てが私の一部であり、私という意識そのものを生み出し、そして同時に私をある限界に制約し続ける」

「自分を自分たらしめるものは何か」に対する素子の答えが「人間が人間であるための部品が決して少なくないように、自分が自分であるためには驚くほど多くのものが必要なの。 他人を隔てるための顔、それと意識しない声、目覚めの時に見つめる手、幼かったころの記憶、未来の予感。 それだけじゃないわ。私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり。 それら全てが私の一部であり、私という意識そのものを生み出し、そして同時に私をある限界に制約し続ける」である。

「さてどこに行こうかしら。ネットは広大だわ」

自分の存在に対する疑念と自己の限界を感じていた素子が、新たな可能性を求めて人形使いと融合を果たした後、バトーの元を離れてネットの世界に旅立つ物語のラストシーンにて発した一言。

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作と映画の違い

原作の漫画『攻殻機動隊』と本作では、絵柄や雰囲気がだいぶ異なる。本作ではシリアスかつ重厚な作風からか、登場人物全員から原作にあったようなコミカルな要素が排除され、ハードボイルドな雰囲気になっている。また、原作では女性らしくセクシャルな体形と服装だった草薙素子が、がっしりした体躯で髪型も短くなっており、普段の服装も性的な要素のない中性的なものになっている。

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』に影響された『マトリックス』

ウォシャウスキー兄弟(現・姉妹)監督の映画『マトリックス』が本作に多大な影響を受けて制作されたことは有名である。製作のジョエル・シルバーが「監督のウォシャウスキーが私に『攻殻機動隊』を見せて、俳優による実写で映像化したいと言った」と明言している。具体的には、オープニングの黒い画面にグリーンの文字が流れる通称「マトリックスコード」、後頭部にプラグを挿す、ロビーでの銃撃戦で柱が粉砕される、全裸で水溶液に浸かる人間の描写など。

「自分を自分たらしめるものは何か」「生命とは何なのか」根源的な問いに向き合う

この作品に出てくる登場人物は、ほとんどが義体化=機械の身体をしており、電脳化=脳を機械で直接ネットに通げている、つまり機械化している。作中には電脳をハッキングされて、偽の情報を自分の記憶と思い込まされ犯罪を犯す人物が度々出てくる。全身義体化している主人公・草薙素子は、自分が捕まえた犯人と自分を重ね合わせ、自己の存在に疑問を抱くと共に、自分という存在に限界を感じている。
「今の自分は、本当に今までと同じ自分という存在なのか」「自分が自分であることは、また同時にある限界に自分を制約し続ける」

そしてAIである人形使いは自分の事を「情報の海で生まれた生命体」であると語り、「生命とは情報の流れの中で生まれた結節点のようなものであり、人はただ記憶に拠って個人たり得る」と語る。

この二人を通して「自分を自分たらしめるものは何か」「生命とは何なのか」という根源的な問いが繰り返し語られ、二人が邂逅することで、新しい形の生命が誕生する。

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