『夢をかなえるゾウ』の「教授」キャラ、ガネーシャについて

『スパルタ婚活塾』などで知られる「成功の秘訣」の伝道師、水野敬也氏。元はお笑い芸人だった氏の出世作ともいえるのが『夢をかなえるゾウ』。この本は氏にとっては3冊目であり、処女作も30万部売れたんですが、やはり『夢をかなえるゾウ』の方がインパクトがあるんじゃないでしょうか。それもこれも、ガネーシャというキャラが一因?しかし数ある神様の中から、何故ガネーシャが選ばれたんでしょう?

『夢をかなえるゾウ』あらすじ・ストーリー

ごく平凡なサラリーマンの主人公。大成功を収めたかつての友人のパーティーに有名人が多く集まっていたことに引け目を感じ、泥酔して帰宅。「人生を変えたい」と言った翌朝、部屋の中に関西弁を操り「ガネーシャ」を名乗る存在が部屋にいた。「ガネーシャ」は、「そのままじゃ一生成功できない」と主人公に些細な「人生を変える」方法を教える。その内容は本当に、至極些細なこと。しかし、歴史上の偉人や、現在活躍している有名人が実際に行ってきたことだった…。

ガネーシャのキャラ

インドの神様なのに何でか関西弁を使用。神様だからか、歴史的な偉人から現在活躍する有名人まで君付け、ちゃん付で呼ぶのです。本人曰く「宗ちゃんといったら本田宗一郎、幸ちゃんといったら松下幸之助」だそうな。狂言自殺を企てるシーンがあったりと「神様」のわりに胡散臭い部分も数多いという。

ベーコン大好きガネーシャ様。

しかし、恐ろしい一面もありました。主人公が「人生を変えたい」と言ったため現れたガネーシャは、まず契約書のようなものにサインさせます。「もしも夢がかなわなかった場合は、夢を忘れて一生無気力に過ごすことになるが、それでもいいか」といった趣旨の内容。覚悟をまず主人公に決めさせるのです。「教えるけど、実践できるかはお前次第」と。

アニメ版ガネーシャ。声は鶴瓶師匠。アニメでは主人公に名前付いてました。

で、主人公が少しずつガネーシャから伝授されたことを実行していく中当の本人は、というと…ゲームやったりタバコがやめられなかったりとまるでダメ親父。おまけに「目玉焼きには必ずベーコンをつけろ。ワシの『ベーコン欲』も見抜けないでどうする」などと要求。「寄付をする」という「教え」の際自分の姿をした「募金箱(のちに貯金箱と改名)」に入れろなどと言いますし。「何で募金なんか」と言う主人公に対し、ガネーシャは石油王にして実業家、ジョン・ロックフェラーの話をするのでした。それ即ち、「貧乏だった頃から、一定の割合で寄付や募金をしていた」「金持ちになる者は人を喜ばせたいと思うもの。だから募金という形で寄付をし、人を喜ばせていた」とのこと。

秘訣言ってる時はもっともらしいです。あと主人公、今見ると『おそ松さん』っぽい。

さすがに教える内容には説得力がありますし、時には実体験を通して主人公に「伝授」。「寄付」のエピソードではコンビニに買い物に走らせ、目についた募金箱に募金するように仕向けました。身を以って教えを実践することで、主人公の心境にも変化が生じていく模様です。

アニメ動画。お釈迦様も登場。

元ネタのガネーシャ様

インドにおいては商売や学問を司る「富の神」として信仰されているようです。象の頭を持ってはいますが、生まれつきこの姿ではなかったんですよ。元々は美少年でした。父たるシヴァ神が留守中、母の女神パールヴァティーが垢をこすり生まれた美少年。それがガネーシャ。しかし、入浴中の母の警護をしているところに帰ってきたシヴァ神は、息子と知らずに首チョンパ。事情を知って「待ってろ!新しい首を持ってきてやる!」たまたま通りかかった象の首を据えましたとさ…。

腕4本がデフォのようです。

よく見たら劇中のガネーシャも元ネタも牙が片方折れています。こちらに関しては月に向かって投げた、神輿から落ちて折れた、父シヴァ神の投げた斧を受け止めたと諸説あるようです。月に投げた説に関しては、お菓子を拾おうとして月に笑われて恥ずかしさから投げた、とのことですが何となく『夢をかなえるゾウ』のガネーシャのキャラと合っているような。もっとも、この時はまだ子供だったんでしょうけども。

何故にガネーシャ?

しかし何故ガネーシャ?見た目が何となくユーモラスだから?「富の神」だから?関西弁使用キャラになったのも親しみを持たせるため?色々胡散臭いのもある種の相対的効果を狙ってのことかもしれません。「神様!凄い!」からの「ほんとに大丈夫かなあ」を経て、説得力のある「秘訣の伝授」。最初から神様として堂々と説教をするなど完璧なキャラだと何だか説教臭くなってしまいそう。タバコが止められないという「欠点」を持たせたのも同じ理由かも?

ゲーム版もあります。

しかし文句を言いつつも伝授された「秘訣」をこなしている分、主人公には見込みがあるんじゃないでしょうか。そういう、「あと一歩が踏み出せない」人の前に、劇中のガネーシャは降臨するのかもしれませんね。「神様らしくない」と言われてますけど、ガネーシャは単に「自然体」なだけかもしれません。何せ「ビックバンを見てる」(本人談)ほどの長生きであり、お釈迦様とお友達。人生経験が豊富なわけですから。

最後に

名言集と「教訓」をおつけします。

www.keikawakita.com

「変われない」と思い、それが続くことで「変われない自分」が出来上がってしまう、課題が自然に身に着くまでがこの作品の教訓。

出典: ja.wikipedia.org

えどまち
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@edono78

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