対極とギャップという観点から見る『シュガー・ラッシュ』

20130324132145

快進撃のピクサーですが、いつも見る前は期待せず、見てから感心というパターンです。主人公がゲーム世界の住民で、しかも「悪役」で皆から嫌われていて。そんな導入から始まるこの物語、色々な場面で「対極、対比」そして「ギャップ」というものを感じます。

物語の世界観

あるゲームセンターが舞台。閉店後、ゲームのキャラクターたちは「ゲームセントラル」と呼ばれる駅のような場所に行ったり、それぞれのゲーム世界で寛いだり。何か『トイ・ストーリー』のゲーム版といった感じですが、当然連中には連中の「掟」などが存在します。

①ゲーム稼働中はプログラム通りに動くこと。勝手な行動をとった場合は人間から「故障」したとみなされ場合によっては破棄される。
②他のゲームに入り、邪魔をすることは「ターボする」と表現され決して許されない行為とされる。
③他ゲームのアイテムの持ち出し禁止。(パックマンのチェリーなど)
④自分のゲームで「死んだ」場合は復活できるが、他のゲームで「死ぬ」と復活できない。理由はプログラムがないから。
⑤プログラムを初期化するリセット機能がある。多少のことが起きても対処可能なのはこの機能のおかげ。バグ、不具合に対する根本的な解決策でもある。

出典: ja.wikipedia.org

ギャップ・悩める「悪役」

閉店後いつもやってるのか知りませんが、「悪役の会」というのが存在します。ゲームにおける悪役たちが集会やるんですが、「悪役なのは悪いことじゃない」と自分を励ますかのような唱和で終わるのが常。皆いい奴に見えるのがギャップ萌え・・・いやさ哀愁を感じます。

Maxresdefault

クッパ様も大変なんですよね、分かります。あとパックマンのグズタ、イケボすぎ。

ギャップ・かわいらしい『シュガー・ラッシュ』というゲームの舞台裏

お菓子をモティーフにした国を舞台としたレースゲーム。様々なアイテムが存在します。

A99272be2c9a606631caa004c2d859ac

カート破壊シーン、何でか『シンデレラ』思い出しますわ。意地悪姉さんに色々むしり取られるシーン。

キャラクターも頭身が低くてかわいいんですけど、ヒロインヴァネロペに対する処遇がひどいです。カート破壊するわ、「お前はいちゃいけない、レースに出るな」とか言うわ、出てもいろいろ邪魔しようとするわ。このゲームの「支配者」キャンディ大王も諫めません。

対極的なキャラ・主人公

ラルフ(本名レック・イット・ラルフ)

20140518 557515

ゲームの設定では元々彼の住んでいた辺りにアパートが建てられたそうです。

主人公は「悪役」のラルフ。『フィックス・イット・フェリックス』というゲームでアパートを破壊するのが役目です。いい奴なんですが、ゲームの中では嫌われ者。アパート破壊は物語上のことなんだし、人間の目が届いてないところではみんなと仲良くやっているかと思いきや、思いっきり嫌われていて30周年記念パーティーのことは知らされもしない始末。どうもこのゲームセンターでは「ヒーローだけがもらえるメダル」というものがあるようで、ターボしてまでメダル獲得を狙うのです。アパートの、一番眺めのいい部屋をゲットするために。

Mzl.ikruxprh

パックマンやマリオはパーティーに呼ばれても、ラルフは呼ばれない。

ラルフのギャップポイントとして、大柄で怪力、大概のものは壊せるけれど「最新ゲームの残酷度」に怯えまくるなどの「視聴者目線に割と近い」点でしょうか。自分よりずっと小さく非力な少女にいいように使われたり、同じく小さく非力なキャンディ大王に言いくるめられたり。

フェリックス(本名フィックス・イット・フェリックス)

Detail felix img

ゲームのヒーローはフェリックス。彼は彼でいい奴なんですが、ラルフの孤独も悩みも何も理解していませんでした。ラルフが嫌われているのを知ってパーティーに呼ばなかったのは、アパートの住民を思ってのことなんでしょうけども、もうちょっと配慮があってもよかったんじゃあ、と思うと同時にある言葉が浮かんできます。「自覚を持たない嫌な奴」。何でも直せるハンマーがあるからと自己犠牲する場面もありますが、少々配慮に欠けている部分も無きにしもあらず。

S wreck it ralph 2

そー言えばラルフの中の人って破壊神の役もやってたなあ、と。

役割も能力も正反対の二人ですが、彼らの計算されつくした活躍ぶりは必見です。

対極・二大ヒロイン

ヴァネロペがメインヒロインなんでしょうけども、カルホーン軍曹も十分ヒロインしていたので。この二人も対極的な存在です。

ヴァネロペ

えどのゆうき
えどのゆうき
@edono78

Related Articles関連記事

トイ・ストーリー2(Toy Story 2)のネタバレ解説まとめ

ジョン・ラセター監督による、生きたおもちゃたちの冒険を描くアニメ映画の2作目。アンディ少年の親友、カウボーイ人形のウッディは、実はプレミア人形。おもちゃ屋の社長にビジネスの道具として持ち去られた上、オフィスのおもちゃ達からいずれ持ち主から忘れられると聞き、帰るべきか迷います。一方、アンディの部屋では捜索隊が組まれてウッディの救出に向かうのでした。前作以上に見せ場もメッセージも盛り込まれています。

Read Article

カーズ(Cars)のネタバレ解説まとめ

「カーズ」は2006年6月9日に公開のピクサーによって制作された長編アニメーション映画作品。第64回ゴールデングローブ賞アニメーション映画賞を受賞。車の世界を舞台にした圧倒的なスケールとスピード感溢れる映像、そして温かい物語のラスト。名曲も多いと話題の映画。期待のレーシングカー、ライトニング・マックィーンが小さな町の住人たちとの出会いをきっかけに大切なものを学び成長していく物語。

Read Article

トイ・ストーリー3(Toy Story 3)のネタバレ解説まとめ

ピクサーによる生きたおもちゃの物語3作目です。おもちゃで遊ばなくなったアンディと、遊んでほしいおもちゃたち。大学に同行するカウボーイ人形のウッディ以外は、捨てられたと思い込んで保育園に寄付される道を選びます。そこが、おもちゃの楽園に見せかけた地獄だとも知らずに。容赦ない展開と冒険に手に汗握る、それでいて爽快にして感動の物語です。ジョン・ラセター製作総指揮、リー・アンクリッチ監督。

Read Article

カーズ2(Cars 2)のネタバレ解説まとめ

2011年7月30日公開の大人気カーズシリーズの第2弾。ピクサー映画で「トイ・ストーリー」シリーズ以外で初めての続編長編作。ジョン・ラセターとブラッド・ルイスの共同監督。カーズの主人公「ライトニング・マックィーン」が仲間たちと一緒にワールド・グランプリに出場する。初めてレースについてきた親友の「メーター」がスパイと間違われ悪の組織と闘うことになる。メーターが大活躍する友情がテーマの物語。

Read Article

モンスターズ・インク(Monsters, Inc.)のネタバレ解説まとめ

ディズニーとピクサー製作の長編3DCGアニメーション映画。公開前から、ユニークで愛らしいキャラクターが脚光を浴び、2001年、全米で記録的な大ヒットとなった。夜な夜な子どもたちを脅かすくせに実は子どもが大の苦手というモンスターたち。彼らの世界に小さな女の子が紛れ込んだことから巻き起こる騒動を友情と愛情を織り交ぜてコミカルに描く。ベテランアニメーター、ピート・ドクターの初監督作品。

Read Article

カーズ/クロスロード(Cars 3)のネタバレ解説まとめ

2017年7月15日に公開されたピクサー映画。ブライアン・フィーの初監督作品。大人気カーズシリーズの第3弾。ベテランレーサーとなったライトニング・マックィーンがシーズン最後のレースで最新テクノロジーを追及した次世代レーサーたちのスピードに圧倒され大クラッシュをしてしまう。「人生の岐路(クロスロード)」に立たされ仲間や新しい相棒に支えられながら運命の決断を迫られる物語。

Read Article

トイ・ストーリー(Toy Story)のネタバレ解説まとめ

ピクサー製作、ジョン・ラセター監督による長編アニメ映画。人間の目がない所でおもちゃが動くという設定に、独自の味付けが成されています。古いカウボーイ人形のウッディは、新しくやって来た宇宙飛行士人形バズにより持ち主の「一番のお気に入り」の座を奪われます。その逆恨みが元で様々な困難に見舞われるのでした。厳しい現実をユーモラスに描きつつ、友情や冒険の要素も盛り込んだ、大人も子供も楽しめる作品です。

Read Article

『モンスターズ・ユニバーシティ』の「ロアー・オメガ・ロアー」は「嫌な連中」か?

『モンスターズ・ユニバーシティ』に登場する悪役というかライバルキャラの「ロアー・オメガ・ロアー」。二次創作などで人気を誇っているようですが、作中では「嫌なエリート集団」にしか見えません。でもよくよく考えれば、やっぱり魅力もあるし、憎めないんですよね。

Read Article

Contents