デビュー10周年!ヤマシタトモコの多彩な作品の中で、絶対外せない10タイトル

青年誌から女性誌まで、幅広いジャンルを股にかける女性漫画家ヤマシタトモコさん。とにかく多くの作品を精力的に発表しています。全タイトルを読了した上で、特にオススメしたい10タイトルをご紹介します。

キュン死させられる、青春爆発系

◆「BUTTER!!」

ヤマシタさんのはじめての連載作品。
高校生の男女が「ダンス」に目覚め、切磋琢磨していくという青春物語です。
ヤマシタさんの作品としてはめずらしい雰囲気を味わえる作品です。

◆「ばらといばらとばらばらのばらん(「イルミナシオン」収録)」

一般誌以外に、BL誌でも活躍するヤマシタさん。
こちらは、BLの要素が含まれながら「男が好きな男の子と、そのクラスメイト」を中心としています。
駆け抜けるような爽快なラストは必見。

なんでもない雰囲気を楽しみたい日常系

◆「Love, Hate, Love」

バレエに人生を費やしながら、年齢を重ねてバレエ人生からの引退を決意した恋愛経験のない女性と、彼女の部屋の隣に住む50代の大学教授の恋愛ストーリー。
不器用なふたりが、色々なもの怯えながらそっと距離を縮めていく過程が描かれます。

◆「恋の話がしたい」

こちらは対照に、すでに関係ができた上でそれ以上に密接な信頼関係を築くには……?というポイントに焦点を当てています。
BL作品ですが、精神依存のストーリーが中心となるため誰でも抵抗なく読めるはず。

◆「good morning, bad day(「ストロボスコープ」収録作)」

本当になんでもないシーンを描くのがとにかくうまい作家さんであることを知らしめる一作。
なぜか道を踏み外してしまっている……というBLらしい展開ながら、「もやしの調理法をジャンケンで決める」という脱力させられるラストシーンが印象的です。

読んだあと言葉がでなくなる衝撃系

◆「ひばりの朝」

「悪意」をメインに取り扱った、ヤマシタさんの作品の中でも一番の問題作。
キャラクターのひとりひとりがネガティブな感情をこじらせており、読みながらなんとも言えない気持ちになるのですが、どこかに「共感」の隙を潜ませているのがヤマシタさん流。

◆「MUD(「サタニック・スイート」収録)」

女子高生と先生によるあまりに歪んだ恋物語。
どこまでが心理表現で、どこからが現実に起こっている話なのか悩んでしまうような、倒錯的な表現が繰り返されるのも見所ポイント。
映画を観ているような大胆な表現の連続にのめりこんでしまいそうです。

◆「無敵(「運命の女の子」収録)」

「MUD」に続いて、「この子やばいな!」という女子高生が主人公の短編。
マンガにおいて「かわいい女の子」と言えば無条件でヒロイン性を持っているはずです。
たとえヒールに徹するキャラクターでも、どこかに人間味があったり、憎めない要素があっておかしくないのですが……ここまで無慈悲な美少女は、衝撃です。

思わず声に出して笑ってしまうギャグ系

◆「ドントクライ、ガール」
裸族の男と思春期の女の子が同居生活!なんていうあらすじを読むと、ちょっとエッチなストーリーを想像したくなるものですが、ページをめくれば「なんなんだこのハイテンションは!?」と圧倒されるばかり。
「変態」の扱い方があまりにキャッチーすぎて驚かされます。

◆「薔薇の瞳は爆弾」
BLレーベルリブレから発売されているこちらの短編集は、このベタベタ表紙とアラブBLからはじまるという二点で、「濃ゆい作品と出会ってしまった……」と感じることでしょう。
しかし実際読み進めてみると表題作が「いわゆるBL」とは異なり、ある意味では斜に構えている作品であることに気付くはず。
特にラストの1コマは「オイ!?」とツッコまずにはいられません。

今回、BL作品と一般誌作品のどちらもご紹介させていただきました。
好みの一作に出会えることを願っています!

keeper
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