処女作にして話題を呼んだ作品「昨夜のカレー、明日のパン」の魅力

人気脚本家によるはじめての小説作品、「昨夜のカレー、明日のパン」。何気ない日常が愛おしくなるような、ほっこりとした優しい物語に浸りたい……という人に読んでもらいたい、作品の魅力をご紹介します。

「昨夜のカレー、明日のパン」とは?

脚本家の木皿泉(きざらいずみ)さんによる、初めての小説作品。

2013年に発売され、第27回山本周五郎賞候補になりました。
また、第11回本屋大賞では堂々の2位にランクイン。

コミカライズ版は、渡辺ペコさんが担当。comicスピカで連載されています。
渡辺ペコさんはこれまでに、芥川賞を受賞した金原ひとみさんの「蛇にピアス」のコミカライズを担当したこともあります。

2014年には、NHKBSプレミアムで実写テレビドラマ化もされました。
仲里依紗さん、鹿賀丈史さん、溝端淳平さん、星野源さん、ミムラさん、片桐はいりさんなど、出演メンバーの豪華さも話題になりました。

木皿泉さんとは?

日本の脚本家。
和泉務(いずみつとむ)さんと妻鹿 年季子(めが ときこ)さんのご夫婦の共作ペンネームです。

代表作には
◆やっぱり猫が好き
◆野ブタ。をプロデュース
◆セクシーボイスアンドロボ
◆Q10
などが挙げられます。

さらに、人とロボットのラブストーリーを描いた劇場アニメ「ハル」や、薬師丸ひろ子さん主演の舞台「すうねるところ」なども手がけています。

「昨夜のカレー、明日のパン」の内容とは?

主人公である「テツコ」は、19歳で寺山一樹と結婚するも、21歳のときに病気で一樹を亡くしてしまいます。
その後は、義父である連太郎と二人で暮らし、周囲から「ちょっと変な関係」と言われながらも、テツコは旦那と義母を欠いた生活を続けています。

恋人の岩井さんや、隣人のタカラなど、個性的な人々との出会いの中で、そっと変化を受け入れていくような描写もあり「少し泣けて、元気になれる作品」と評価されています。

「昨夜のカレー、明日のパン」の魅力とは?

今作は、どたばたコメディやはちゃめちゃアドベンチャーではありません。

何気ない日常で見落としてしまう気持ちの移り変わりや、小さなハプニング・ドラマをすくいあげ、一つ一つを印象的な存在に仕立ているのです。

例えば
「亡くなった妻の印象的な首すじ」

「ティファニーを見せびらかす後輩の足元がみずぼらしくて、なんて狭い世界にいるのだろうと気付いた」

「コピーを頼むとき、ゼロックスとってきて、という課長」

「死なないでと言ってもどうにもならない状況ではじめて、むなしいとはこういうことかと知る」

などのシーンやエピソードが、強い印象を与えるのです。

ドラマ版の見所として、料理研究かの高山なおみさんが料理監修を手がけているというポイントも。
「昨夜のおかず、明日のごはん」として、直筆イラストやコメントも紹介されます。

小説版だけでなく、ドラマ版も違った楽しみを求めてチェックしてみては?

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