『モンスターズ・ユニバーシティ』の「ロアー・オメガ・ロアー」は「嫌な連中」か?

『モンスターズ・ユニバーシティ』に登場する悪役というかライバルキャラの「ロアー・オメガ・ロアー」。二次創作などで人気を誇っているようですが、作中では「嫌なエリート集団」にしか見えません。でもよくよく考えれば、やっぱり魅力もあるし、憎めないんですよね。

パーティーでの嫌がらせにも積極的に参加ですよ。憎たらしい笑顔で。

単なる「嫌な連中」でないと萌え抜きで好意的に見てみる

才能と人格が一致しない、とはよく言いますが、若さによる暴走を抜きにしてもあまりにひどい嫌がらせ。おまけに人の努力風景を見て「無駄なことを」といったリアクション。これを「嫌な奴」と言わずしてどう言えばいいのか?

君にはもっとふさわしい仲間がいるよ。(超上から目線)

信念と捉えてはいかがでしょうか。物語に悪役、ライバルキャラは必要ですが、連中だって自分たちが「嫌な奴ら」とは思っていないはず。むしろOKの方が目障りに映ったんじゃないでしょうか。別にOKを悪く言うわけじゃありませんよ。しかし、OKに嫌がらせをするようになったのは、下記の行事が関係しています。

怖がらせ大会

早く言えば各サークルから「怖がらせ屋」ナンバーワンチームを選ぶ、という大会なんですね。人間の子供は毒を持っている、怖がるのは小さな子供まで、大きな声で脅かせばいいというわけではない、といった「怖がらせ屋の心得」を元にした課題が多く出されており、最下位のチームは即、脱落という厳しくも実践的な大会です。劇中の大半以上を占めていた、重要なゲームでもあります。

ウーズマ・カッパのメンバー。

ロアーはかなり手厳しいこの大会で常に1位で勝ち残ってきました。当然、決勝まで。が、初戦で敗退したかに見えたOKは運に恵まれて二回戦進出。その後もマイクの特訓により徐々に成長し、同じく決勝戦にまでこぎつけたのです。誰も期待していないチームの大激進、誰も予想していない展開に学生たちは大盛り上がり。

人外で熟女でかっこいいです、学長…。

上記メンバーがどういった経緯で入ったのかは分かりませんが、希望して入れるようなサークルではないことは明白。有望と思われる新入生を勧誘するのが常だと思います。しかし一旦入ればずっとロアーメンバー、というわけでもないのです。事実、サリーは成績不振が元で追放されました。

期末試験時「預かった」服をこれ見よがしに…。

見どころがありそうだから勧誘した。でもそいつの成績は「仲間」にふさわしくない。だから、追い出した。サリーの答案を見るジョニーの渋い表情。彼らの特訓方法は描かれていませんが、マイク並に猛特訓、猛勉強しているはず。それをにおわせるのが、怖がらせ大会決勝戦です。

決勝戦でのロアー

内容としては、人間の子供を模したロボット(熟睡モード)により大きな悲鳴を上げさせる、という一騎打ちを一人ずつ行いトータルスコアが高い方が勝ちというもの。「子供の触ったもの」には毒がある、ということで、障害物のように「部屋」にはおもちゃがばらまかれます。うっかりミスやアクシデントで思った成果が挙げられなかったレジーとランドール以外、皆高い実力を見せてくれました。

お調子者風のチェットでさえ、高得点を挙げていました。部屋に入る前にキャップをかぶり直してましたが、ここ結構重要です。ただでさえ暗い部屋の中、つば付き帽子は更に視界を狭めるだけのもの。それでもロアーの誇りたる帽子は脱ぎません。だから、後ろ向きにかぶり直したんだと思います。

ジョニーとマイク

ラストはマイクとジョニーの一騎打ち。この時、ジョニーはマイクを「お前」って言ったんですよ。最初は「君」だったのが。この時の「君」という響きには、どこか「お前」よりも数段格下の相手に対する優越的態度、もっと言えば「見下した挙句、その後は目にも入らない」が感じられます。そこからある程度は自分に近い「お前」に昇格した。パーティーの時も「お前たち」と言ってましたが、この時は子馬鹿にした含みのある「お前」。でも、決勝戦時の「お前」には「ここまで来たのは褒めてやる」といった意図とねぎらいがこもっているようでした。

ロアーメンバーが嫌がらせをしたわけ、そのプライド

嫌がらせをしたってそれなりの信念があればこそ、「怖くない癖に勝ち上がった」OKが目障りで憎らしかったとの見方もできます。つまりは、今までの信念とプライドが打ち砕かれた。年若く血気盛んな彼らにとっては屈辱だったかもしれません。だから同じく屈辱的な行為で意趣返しをしたのではないでしょうか。「身の程をわきまえろ」と。

えどのゆうき
えどのゆうき
@edono78

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