動物のお医者さん(漫画・テレビ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『動物のお医者さん』とは佐々木倫子による日本の少女漫画。白泉社「花とゆめ」に連載された。獣医師を目指す西根公輝が北海道札幌市にあるH大学獣医学部で個性豊かな友人や教授、動物と関わりながら成長していくコメディ作品。主人公・ハムテルの飼い犬・チョビが話題を呼び、シベリアンハスキーブームを起こし、H大のモデル、北大獣医学部に志望者が殺到するなどの社会現象を起こした。2003年にテレビドラマ化された。

ハムテルが高校3年の冬、近道をしようとしてH大獣医学部構内を歩いていたところ般若のような顔をした仔犬に出会った。怪しげな扮装をした教授に捕獲された仔犬の処遇が気になったハムテルは思い切って教授にその処遇を尋ねてみると、「だったらどうなの、かわいそうだって言うのかね、じゃあキミは模型の勉強だけで獣医になったとき病気がなおせると思っているのかね、それともキミがかわりに実験台になるっていうのかね、キミのうちはアパートかね」と言われた。
「一戸建てです」と答えながらただ聞いてみたかっただけだとハムテルは答えた。
H大を受験すると聞いた教授はハムテルの顔を観察し、「その顔は~~理系!私にはキミの未来が見える、キミは将来~~獣医になる!!」
そう言って教授は仔犬をハムテルに押し付けた。

将来の職業など何も考えていなかったハムテルだが、この出会いと言葉がきっかけで獣医師という職業を考えることになった。ハムテルの将来を左右した名言。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 1巻

「先生、ぼくはリスでやります」

ネズミが大嫌いにも関わらずネズミをよく扱う獣医学部に入ってしまった二階堂。どうしてもラットの実習を受けたくなくて、アレルギーならば実習が免除されるとの情報を得て、寄生中学の先生にネズミアレルギーとして認定してもらおうとひと芝居打つことにした。秋山先生がラットかマウスの実習をしているという教室に入りそこでネズミアレルギー認定を受けようとしたのだが、盛大なくしゃみをしつつアレルギーかもしれないと訴えた先にはラットではなくウサギの姿があった。秋山先生にウサギアレルギーと勘違いされた二階堂は、ウサギで実習ができないのならラットぐらいはやりなさいと言われてしまった。二階堂の目にはラットはどうしてもネズミにしか見えない。そこへ迷子の茶色いスナネズミが現れた。ハムテルに「これはリスだ、その証拠に茶色いし、しっぽに毛がはえているし、おかしくもないのに目が笑っている、だからさわってもだいじょうぶなんだよ」と暗示をかけられた二階堂はスナネズミを掴み「先生、ぼくはリスでやります」と実習を成功させた。

絶対触りたくない大嫌いなネズミでも、リスだと思えばなんとかいける、という二階堂の涙ぐましい頑張りがよく伝わる名セリフ。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 1巻

「かげんしてかめいうてるやろ、あそびにはルールというもんがあるんや」

チョビが西根家に貰われてきてすぐのこと、先住猫のミケは犬が大嫌いだったためチョビに関わることは避けていた。しかし、チョビはミケが好きでミケがどこに行こうともついてまわる。
遊びの中で、あまり強く噛みすぎると喧嘩になるとか逃げられるなど、兄弟と関わっていくうちに自然とわかる動物同士のコミュニケーションの仕方が分からないチョビは、悪気なく人を強く噛んだりしてしまう。その都度躾をしようとハムテルたちは思うのだが思うようにタイミングがつかめずチョビに躾ができないでいた。
ある日、外出するミケを追って外に出たチョビは、ミケがいつもからかいに来ている犬のジョンのテリトリーに入ってしまった。自分のテリトリー内に勝手に入ってきたチョビを威嚇しようとジョンが吠えかかると、木の上でそれを見ていたミケがチョビを助けうようとジョンを激しく引っ掻いた。ミケは呆然としているチョビの首をつかみジョンのテリトリー外に出させた。
それ以来、チョビはますますミケが好きになり、ミケも少しずつチョビと遊ぶようになった。しかもその中でチョビに教育的指導までするようになった。
「かげんしてかめいうとるやろ、あそびにはルールというもんがあるんや」
それから3年たってもミケはいつまでもチョビのお姉さんのように、面倒を見ている。
チョビに動物社会のルールを的確にタイミングよく教えるミケの名セリフ。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 2巻

「ああ、お医者さんってすばらしい」

H大獣医学部という難関を突破した孫を自慢に思い、あちらこちらで吹聴したハムテルの祖母・タカ。それから、病院に行くほどではないけれど、何となく調子の悪い動物が西根家に持ち込まれることになった。ハムテルは持てる知識を総動員して対処しようとするのだが、まだまだ3年、出来ることなどほとんどない。だんだんと家に居づらくなったハムテルは、夜遅くまで家に帰らなくなってしまった。
その日もハムテルは病院で時間を潰していたのだが、西根家に羽をだらりとさげてぐったりと底にうずくまる鳥が持ち込まれていた。夜のため大学に電話は通じず、タカはハムテルは不在と言って何とか帰ってもらおうとするのだが、「獣医さんのおばあさんならなにかわかるでしょう、なんとかしてください!!」と無茶苦茶なことを言われてしまった。まだ獣医でもない孫の祖母、ただの素人なのに、期待されても困ると思った時、タカは初めてハムテルの気持ちが分かり反省した。
とりあえず、自分で何とかするしかないと、タカはかつて祖父が飼っていた文鳥が死んだ時の様子必死に思い返し、この鳥の不調は卵詰であるということに気づいた。本に「肛門からオリーブ油を入れてマッサージをするとよい」と書いてあったので、オリーブ油が無かったのでその代わりにサラダ油を使用し、何とか卵を取り出すことに成功した。その時のタカのセリフ。
身から出た錆とはいえ、医者の大変さを知ったタカの心からのセリフ。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 2巻

行方不明になったチョビが自力で帰ってきたシーン

ある日曜日、ハムテルと二階堂はチョビを連れて散歩に出かけた。遠出をしようと山まで出かけ、疲れたてもう歩きたくないという二階堂と一緒にロープウエイに乗ることにした。チョビは乗れないので、30分ほど待たせておくことになった。
チョビは、買い物の間、実験の間、食事の間など待つことに慣れていたので、30分くらいなんでもなかった。しかしその日は急激に天候が悪くなり、雷もなりだしてしまった。悪天候のためロープウエイは動かず、ハムテルたちは動けない。待たされていたチョビは大きな雷に驚き、パニックになり、繋がれていた枝を折って行方不明になってしまった。
山を探し、ロープウエイの人にも頼み、保健所にも新聞にも連絡をしたがチョビの行方はわからない。何日か経ってもチョビは戻らず、大学の友人たちもチョビの安否を気にしていた。そんな時、ロープウエイの係りの人から姿は見ていないが遠吠えが聞こえたとの連絡が入った。4日経った早朝、庭に何か動物の気配を感じたハムテルは飛び起き確認してみるがチョビではなくタヌキだった。がっくりとするハムテルだったが遠くの方からずずっガチャガチャという異音が近づいて来ることに気づいた。そのまま門を飛び出すと、鎖に切り株を絡ませ引きずりながらチョビが帰ってきた。
ハムテルはチョビを抱きしめ、チョビも嬉しそうに鼻を鳴らした。

あまり感情を表さないハムテルが満面の笑みを浮かべてチョビを抱きしめた名シーン。ハムテルとチョビの絆が強く感じられた。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 4巻

「カリンちゃん、キミは食い意地に負けた」

ハムテルの家の近所に住む短毛の犬・カリンちゃんは首輪抜けの名人である。飼い主にエサをたっぷりともらっておきながら、ご近所を回ってエサをねだっている。一度エサをもらった家は絶対に忘れず、エサをもらえるまで絶対に帰らない。飼い主もほとほと手を焼き、おしりベルトをして抜けられないようにしたのだが、夜中じゅう暴れて鎖が切れて門の前で変な格好で寝ていたという。
なぜそんなに食い意地が張っているのか、お腹がすくのか、疑問に思ったハムテルはもしや寄生虫がお腹にいるのではと考えた。病院で漆原教授に診察してもらうとやはりお腹がすく原因は寄生虫だとわかった。薬を飲めば寄生虫は退治できるのだが、カリンちゃんは薬を飲み込んでくれない。どうしたら薬を与えられるか考えたハムテルは、チョビに豆を与え美味しそうに食べるところをカリンちゃんに見せ、カリンちゃんが豆を欲しがったら豆と一緒に薬を食べさせてしまおうと考えた。
作戦は成功し、カリンちゃんは豆と一緒に薬を飲み込んだ。
その時のハムテルの気持ち。獣医師の卵として寄生虫をお腹に抱えるカリンちゃんを救おうと一計を案じたハムテルの名セリフ。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 4巻

「犬の口にはゴムパッキンがついている」

ハムテルが幼い頃に書いた詩。漆原教授や菱沼、二階堂とともに自分の秘密を暴露していた時にハムテルが話したハムテルの秘密。
詩というよりもただの観察記録でしかないのだが、確かに犬の口にはゴムパッキンのようなものが付いている。
音楽家の息子でありながら、芸術的センスが微塵も感じられないハムテルの名言。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 5巻

「戸棚のウラはネズミの卵でいっぱいだー!!」

ハムテルたちがいつも過ごしている医局員室にネズミが現れた。ネズミが大嫌いな二階堂が第一発見者だった。罠を仕掛け何とかネズミを捕まえることに成功し、ハムテルが遠くに捨ててきたのだが、医局員室にはもう一匹ネズミがいた。もう一度罠を仕掛け捕獲しようとするのだが、ネズミも賢くなってきていてエサだけ取られて捕まえることができない。いろいろな罠を試してみたがことごとく失敗、二階堂の精神もだんだん不安定になってきていた。そんな時、ネズミが子供を連れているのを発見した二階堂は、ショックのあまり錯乱し、「もう終わりだ…、繁殖しているんだ…、戸棚のウラはネズミの卵でいっぱいだー!!」と叫んで部屋から出ていってしまった。
仮にも獣医師を目指している二階堂が錯乱したとは言え「ネズミの卵」などと言うとは、それだけ大ショックを受けたということが、よく伝わって来るセリフ。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 6巻

「オレはやるぜ オレはやるぜ」

シーザーがレースに臨む時に口にするチーム全体に気合の入る名セリフ。
ハムテルの犬ぞりチームのリーダーのシーザーは、とても元気で騒がしい犬。足が速くてまっすぐ走るためチームのリーダーを務めている。ある日練習後、シーザーは檻を抜け出し脱走してしまった。レースも近づいて来て練習をしなければいけないし、何よりも無事でいるのか飼い主はもちろんハムテルも心配している。シーザーは見つからないがとりあえずレースの練習はしておかなければいけないと、シーザーの代わりにチョビともう一頭がリーダーを務めることになった。しかし、どの犬もゆっくりだったり曲がってしまったり、どうにも士気が上がらない。シーザーのやる気と気合がなければチームが盛り上がらないと感じ、いなくなって初めてシーザーの偉大さがわかったハムテルだった。
その後シーザーは警察に保護され、無事に戻ることができた。

引用:白泉社文庫 動物のお医者さん 6巻

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