境界戦機(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『境界戦機』(きょうかいせんき)とは、4つの経済圏に占領された日本を取り戻すために戦う少年たちの姿を描く、SUNRISE BEYOND制作のロボットアニメである。
2061年。日本人の少年椎葉アモウは、人型兵器AMAIMの残骸から使えるパーツを回収しては、廃工場でそれを組み立てることを趣味としていた。ある日彼は自立思考型AIガイと出会い、協力して廃工場に眠っていたAMAIMケンブを完成させる。成り行きからこれを駆って占領軍を蹴散らしたアモウとガイは、日本解放の戦いに巻き込まれていく。

『境界戦機』の概要

『境界戦機』(きょうかいせんき)とは、4つの経済圏に占領された日本を取り戻すために戦う少年たちの姿を描く、SUNRISE BEYOND制作のロボットアニメである。
『機動戦士ガンダムシリーズ』、『コードギアスシリーズ』など人気作を次々と世に送り出したサンライズ(SUNRISE BEYONDは同社の子会社である)が仕掛ける新たなロボットアニメということで、放送前からロボットアニメファンから大いに注目を集めた。監督に『ゾイドシリーズ』、『天元突破グレンラガン』などで知られる「羽原信義」、キャラクターデザインに『機動戦士ガンダムシリーズ』の多くに参加した「大貫健一」、音楽にスウェーデン出身のミュージシャン「ラスマス・フェイバー」という非常に豪華なスタッフをそろえており、プラモデルなどメディアミックスも同時に進行している。

経済政策の失敗や少子高齢化の進行で衰退した日本は、4つの経済圏から支援という名の支配を受け、その勢力争いに端を発する「境界戦」の戦場となってしまう。境界戦の終結後、4つの経済圏に分割統治されるに至った2061年の日本は、AMAIM(アメイン)と呼ばれる人型特殊機動兵器の実験場と成り果て、日本人は隷属国の人間として虐げられる日々を送っていた。
日本人の少年椎葉アモウ(しいば あもう)は、人型兵器AMAIMの残骸から使えるパーツを回収しては、境界戦中に放棄された廃工場でそれを組み立てることを趣味としていた。ある日アモウは自立思考型AIガイと出会い、彼の協力を得て廃工場に眠っていたAMAIMケンブを起動できる状態にまで整備を進める。成り行きからケンブに乗り込んで占領軍を蹴散らしたアモウは、ガイと共に日本解放の戦いに巻き込まれていく。

2021年12月に13話で最終回を迎え、2022年4月から第2シーズンが放送されることが決定している。

『境界戦機』のあらすじ・ストーリー

2061年。度重なる政治的失策の末に国力の衰えた日本は、4つの経済圏から介入を受け、分割統治されるに至った。

アメリカを中心とした北米同盟。
ロシアを盟主とする大ユーラシア連邦。
アジアの国々からなるアジア自由貿易協商。
環太平洋諸国で構成されているオセアニア連合。

4つの経済圏の勢力争いの末に、日本を戦場とした「境界戦」が勃発し、最新兵器である人型特殊機動兵器AMAIMがこれを席捲。本来のこの国の主であった日本人は、隷属国の人間として虐げられる日々を送っていた。

アモウとガイの旅立ち

機械いじりを趣味にする日本人の少年椎葉アモウ(しいば あもう)は、ある時山中でガイと名乗るコンピュータユニットと出会う。ガイは自らを自立思考型AIだと説明し、このままだと電力が尽きてしまうから助けてくれと懇願。アモウはこれを受け入れ、廃工場に残されていたAMAIMにコンピュータユニットを接続する。充電が始まり、命拾いしたガイは、アモウのことを“相棒”と呼んで慕うようになる。
数日後。夜な夜な出掛けては境界戦時に放棄された兵器からパーツを漁っていたアモウは、手柄を欲したオセアニア連合の軍人から一方的にテロリストに認定されてしまう。軍人たちに追われ、廃工場に逃げ込んだアモウは、「逃げるには戦うしかない」というガイの説得を受け入れ、彼が勝手に起動可能な状態まで組み上げた謎のAMAIMケンブに搭乗。自分を追うオセアニア連合の部隊を撃退し、「もう2度とこれまでの日常には戻れない」と怯える一方、「この力で何か途方もないことを成し遂げられるのではないか」との予感に震えていた。

ヤタガラス

オセアニア連合と本格的に敵対したことで、追われる身となってしまったアモウとガイ。そんな彼らを助けたのは、日本解放を目指して4大経済圏と戦うレジスタンス組織ヤタガラスの人々だった。そこに所属する同年代の少年鉄塚ガシン(てづか がしん)や彼の仲間たちから「共に戦おう」と誘われ、少し前までただの市政の少年でしかなかったアモウは思い悩む。
しかしヤタガラスのみならず4大経済圏までをも無差別に襲う謎の無人AMAIMゴーストの暴威を知ったこと、その4大経済圏の横暴によって苦しめられる人々を見たこと、何より自分とガイとケンブならそれを食い止められるかもしれないという思いから、アモウはガシンたちの提案を受け入れる。

いくつかの戦いを経て、アモウたちは紫々部シオン(ししべ しおん)という同年代の少女が乗り込むレイキというAMAIMを新たな戦力に向かえる。アモウの乗るケンブ、ガシンの駆るジョウガン、そしてシオンのレイキはそれぞれに自立思考型AIを搭載しており、今後のヤタガラスの中核戦力として期待される存在だった。
ガシンはヤタガラスに所属していた両親の仇討ちと、彼らが悲願としていた日本解放の達成。シオンは祖父が愛した姫之焼の復興。交流を重ねる内に、アモウは2人がそれぞれに目的を持ってヤタガラスに参加したことを知る。自身にはガシンたちほどの強い戦う動機は無いが、だからこそ彼らを支えたい、その願いを叶えさせてやりたいとの思いを胸に、アモウはガイと共にケンブを駆って戦い続ける。

4大経済圏の策謀

3機の新型AMAIMの活躍は、次第に日本人の間に広まっていく。それは同時に4大経済圏の軍人たちからマークされるということでもあり、特に北米同盟のブラッド・ワット大尉はケンブ、ジョウガン、レイキの並外れた性能に強い興味を抱く。これらが自立思考型AIを搭載した機体であると推測したブラッドは、静かに執拗にその能力を調べ上げていく。
自立思考型AIは、次世代の戦争における決定的な武器になりうると目されており、ゴーストにもこれが搭載されていると予想されていた。上層部の命令でゴーストの討伐に赴くブラッドだったが、想定を上回るその戦闘力と学習能力を前に苦杯を喫する。去っていくゴーストに向けて、ブラッドは悔し紛れに「お前は必ず私が倒す」とメッセージを送る。

ケンブたちに注目したのはブラッドだけではなく、大ユーラシア連邦のアレクセイ・ゼレノイ少佐もその1人だった。アモウたちの駆る3機と交戦したアレクセイは、中途半端に終わったその決着をつけるため、そして自立思考型AIを大ユーラシア連邦に持ち帰って己の名誉とするため、独自に彼らを追い始める。
ヤタガラスに武器供与を続けるブレンゾン社のエージェントジェルマン・ゴベールは、アモウたちには協力的な顔を見せる一方で、4大経済圏の軍部にも接触して様々に便宜を図っていた。ブレンゾン社の目的は、4大経済圏が鎬を削る今の日本でレジスタンスを活性化させて武力衝突を誘発し、可能な限り兵器を売って儲けることで、そのための手段など選ぶ理由がない。次なる騒乱を生み出す駒としてブラッドに目を付けたゴベールは、彼に密かにゴーストの潜伏先についての情報を流す。

隠岐の島の決戦

隠岐の島にゴーストが潜伏しているとの情報をゴベールから受け取ったブラッドは、アジア自由貿易協商の勢力圏であるここにいきなり乗り込むことはせず、偶然接触したアモウたちにこれを伝えて様子を見る。ゴーストに父親を殺されたガシンがこの討伐を主張し、「ゴーストによるこれ以上の被害拡大は看過できない」と考えたヤタガラス上層部もこれを承諾。アモウ、ガシン、シオンはそれぞれの機体と共に隠岐の島へと上陸する。
その隠岐の島では、アジア自由貿易協商の守備隊がゴーストによってほとんど壊滅に近い損害を受けていた。島に暮らす日本人の救出のためにやってきたヤタガラスは、守備隊の生き残りも回収していく。これに対する恩と、ゴーストの暴威をここで食い止めなければならないという軍人としての使命感から、守備隊の隊長は「自分の懐に入っている携帯端末を奪われたら、隠岐の島の基地の設備がお前たちの使い放題になってしまう」と迂遠なアドバイスを送ってヤタガラスを支援する。

3機がかりでなお劣勢を強いられていたアモウたちだが、基地設備を使ったヤタガラスの援護とこれまでの戦闘データから得られた情報で、腰背部の冷却ユニットがゴーストの弱点であることを看破する。これを破壊して追い詰めるもゴーストは暴れ回り、ガシンとシオンの機体が戦闘不能となる。1人戦い続けるアモウは、海に逃げようとするゴーストに組み付いて動きを封じ、ついに熱暴走によってこれを大破させるも、自身も行方不明となる。
父の仇を討ったガシンだったが、代わりに戦友を失った事実に打ちひしがれる。行方の分からないままのアモウに花を手向けると、ガシンとシオンはヤタガラスに合流して次の戦場へと向かう。

一方、この戦いを密かに注視していたブラッドは、大破したゴーストのコンピュータユニットを海底から引き揚げていた。以前交戦した際に受け取ったメッセージを逆に辿り、ゴーストはブラッドに自身の座標データを送っていたのだ。
4大経済圏にとって、自立思考型AIは喉から手が出るほど欲しい代物である。だからこそ、無力化したゴーストが自分に対してだけ座標データを送れば、ブラッドはそれを回収する以外にない。ゴーストのしたたかな生存戦略に驚愕を通り越して感嘆しつつ、ブラッドは「今度は私がお前を使ってやる」と叫ぶのだった。

『境界戦機』の登場人物・キャラクター

主要人物

椎葉アモウ(しいば あもう)

CV:佐藤元
主人公。16歳の日本人で、機械いじりが趣味。両親は事故死しており、天涯孤独の身の上である。ネットを介して知り合った仲間と、AMAIMの残骸を見つけては使えるパーツを回収している。仲間たちがそれを自作の改造車などに使用している一方、アモウは以前に見つけた境界戦当時に放棄された兵器工場に残されていたAMAIMに組み込み、起動できる状態まで持っていくことを当面の目標としていた。
ある日自立思考型AIのガイが搭載されたコンピュータユニットを拾い、「バッテリーが切れそうだから助けてくれ」という願いに応えたために、彼の“命の恩人”となる。その後手柄を欲したオセアニア連合の兵士にテロリスト扱いされ、仲間ともども捕らえられそうになるが、ガイが勝手に作業を進めた結果ほぼ完成状態にまで漕ぎつけたケンブに乗り込んで返り討ちにする。

鉄塚ガシン(てづか がしん)

CV:上村祐翔
日本復権を目指すレジスタンス組織・八咫烏に所属する少年。アモウと同じく16歳。
戦死した父親も八咫烏に所属しており、その後を継ぐ形でジョウガンのパイロットとなる。虐げられる日本人を解放するという強い決意を胸に秘め、言動は冷静かつぶっきらぼう。父の仇である「ゴースト」というAMAIMを追っている。

紫々部シオン(ししべ しおん)

CV:市ノ瀬加那
八咫烏の協力員として活動していた少女。16歳。
「姫之焼」という焼き物の職人の家系に生まれ、幼い頃から陶芸に慣れ親しんで生きてきた。しかし4大経済圏の侵攻で釜が壊され、新たに焼き物を作ることも禁じられてしまう。自身の祖父を含む意気消沈する職人たちを見て、「姫之焼を復活させたい」との夢を抱き、これが八咫烏に参加したきっかけとなっている。
ナユタに容貌を見初められたことでレイキのパイロットとなり、戦闘員としてアモウやガシンと共に戦場に立つこととなる。幼い頃から薙刀を学んでおり、その技術はかなりのものだが、戦うこと自体には不慣れ。初戦闘の後は緊張から解放されて泣き出していた。
祖父から囲碁を教えられており、八咫烏の隊員程度では相手にならないほどの打ち手である。負けず嫌いのガシンは彼女に囲碁で勝てないことが我慢ならないらしく、たびたび勝負を挑まれている。

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