昔の中国のような「異世界」が舞台の作品

舞台は「異世界」。しかし彼の場所に何だか漂う、「中国四千年」感…そんな作品をご紹介。

『ふしぎ遊戯』

原作:渡瀬遊宇(漫画)
世界観:図書館の書庫にあった『四神天地書』なる書物の中。東西南北に国があり、それぞれの方角を守護する青龍、白虎、玄武、朱雀を神獣として祀る。巫女により、それぞれの神獣が呼び出されて、三つだけ願いが叶えられる。
巫女:異世界からやってきた少女、そして「清らか」でなくてはいけない。神獣召喚後は強制的に元の世界に戻される。
七星士:巫女を守る戦士。名前は二十八宿が由来。力を使用する際、体のどこかに七星士の証たる「字」が現れる。巫女はその条件により、七星士の誰かと恋に落ちても決して「結ばれる」ことはない。

「神獣に何でも願いを叶えてもらえる」と聞いて、巫女になることを承諾した主人公美朱(みあか)。しかも七星士は皆美形と、逆ハーレムイケメンパラダイス…と思ったら、親友が敵の青龍側に周ってしまうのです。親友との確執には「惚れた相手が同じ」という要素もあるため、昼ドラのような展開がどんどんと押し寄せてくるのでした。美朱の明るさや食欲旺盛な性格等がないと完全なドロドロですね。

その上、こんな要素も。「巫女」といえば聞こえはいいですが、実際には生贄のようなもので、精神力が強くないと神獣に内側から食われてしまうという…。親友の方はその辺の説明を聞かされていなかったのか、青龍に浸食されていく体(足にウロコが出現し、激痛が走るなど)を見て錯乱し、取り込まれてしまうのでした…。

朱雀召喚シーンは鳥肌ものです。成績の悪い美朱が召喚呪文覚えてたってのは置いといて、七星士と同じ個所に浮かび上がる、証の字。何ていうか、かっこよかったです。「皆に支えられてる」感もあって、でも自分の身が犠牲になるかもしれないというリスクを知った上での覚悟の召喚です。

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『十二国記』

原作:小野不由美(小説)
世界観:異世界。十二の国が合わさって、花びらのような、独特の模様を形作る。十二国世界の生き物は、植物、獣、鳥、人に至るまで「木の実(卵果という)」として実る。妖やら女怪(麒麟の母親兼ボディーガードのようなもの)やらも登場する。王が死ぬと国が乱れるそうな。
海客:蝕(『ドラえもん』でいう時空乱流のようなもの)により、日本から流されてきた者。
胎果:十二国世界の出身だが、卵果の状態で日本などに流されて、帰ってきた者。
王:十二国それぞれを統治する存在。王気というものを持っているようで、麒麟により選ばれる。王になった途端「人」ではなくなり、年もとらなくなる。首を斬られるか麒麟が死ぬかしない限り生き続ける。胎果の王もいる。
麒麟:王を選ぶことができる存在。各国に一体ずつ。人型の時もあれば、伝承にあるような姿の時も。姿が変わるのは「手を挙げるように自然で簡単な行為」らしい。胎果の麒麟もいる。

楽俊(ネズミ)曰く「腹から生まれるって方が信じられない」そうです。麒麟は特別な木に宿ります。

人の顔色を伺いながら生きてきた女子高生、陽子が突如現れた金髪美形に「あなたは王です」「ナンダッテー!」といった感じの始まりだった模様。騙されたりを繰り返していくうちすさむ彼女をいろんな意味で救ってくれた楽俊はマジ天使、です。彼が王になれば国も栄えそうですが、「前の王と同じ姓の者はダメ」という決まりがあるようで、自国の前国王が同じ姓である彼は選ばれなかったのでした…全然そういうの気にしないでしょうが。

ちょっとダークな、でもその分着実な一歩を見せてくれる成長モノ、といった感じです。世界観も身分制度等も細かく設定されていて、ファンタジーであることを忘れそうになりそうです。

『雲のように風のように』

原作:酒見賢一(小説)『後宮小説』
世界観:概ね史実に近いが、「明」あたりの武器も登場。
素乾国:舞台。皇帝が急死したため、陰謀の嵐…。
宮女:身分の別なく集められて、試験を受け、パスしたものが後宮に入る。第一夫人を正妃と呼ぶ。

「三色昼寝つき」目当てで受ける主人公、凄いですわ…受かっちゃうのも含め、行動力が凄まじいです。ラストも含め、スケールが大きいことこの上ないです、この作品。

しかし…

何故に古代中国風のファンタジーが多いんでしょうか。やはり、日本風だと、どの時代をモデルにしても「何だか地に足がついたような、嘘くさいような」感じがする。なら中国風に、ということなんでしょうか。色々と凄い伝説もあるし、日本にはない華もありますしね。私見ですが。「中国っぽいファンタジー」特集でした。

えどまち
えどまち
@edono78

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