ラブデスター(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ラブデスター』とは、『少年ジャンプ+』にて2015年2月25日から2018年4月25日まで毎週水曜に配信された、榊健滋による恋愛デスゲーム漫画である。家庭環境が原因で自身は決して恋をしないと決めていた主人公・若殿ミクニは、一か月以内に両思いが成立すれば帰還・失敗すれば死というデスゲーム、「愛試死(ラブデスター)」に巻き込まれる。そんな主人公がルールを理解していないキャラとの対立や仲間たちとの交流を通し、真実の愛を見つけていく姿を時にコミカルに、時に真摯に描く物語である。

『ラブデスター』の概要

『ラブデスター』とは、『少年ジャンプ+』にて2015年2月25日から2018年4月25日まで毎週水曜に配信された、榊健滋によるデスゲーム漫画である。一か月以内に両思いが成立すれば帰還・失敗すれば死というデスゲーム、「愛試死(ラブデスター)」に巻き込まれる。そんな主人公がルールを理解していないキャラとの対立や仲間たちとの交流を通し、真実の愛を見つけていく姿を時にコミカルに、時に真摯に描く物語である。
主人公たちは終始真剣なのだが、展開のトンチキさ、対立関係になるモブが概ねルールを理解していないことから突っ込みどころが多い展開になる事に定評がある。作者曰く、「ラブデスターはゾンビやサメ映画を観る感じで見てください」とのこと。だがその展開を乗り越えた終盤、登場人物たちがそれぞれの愛情や友愛に真摯に向き合っていく展開は圧巻の一言に尽きる。
2016年12月14日のNO.85公開後、作者の出産のために休載していたが、2017年6月21日より連載を再開した。単行本は全12巻だが、4巻以降は電子版のみとなっている。

『ラブデスター』のあらすじ・ストーリー

物語の始まり

月代中学校3年の生徒会長、若殿 ミクニ(わかとの ミクニ)と、同じ学年の文武両道、容姿の整った生徒会副会長である皇城 ジウ(すめらぎ ジウ)、書記の明るく可愛らしい愛月 しの(あいづき しの)は、昔から仲のいい幼馴染だった。ある日、ジウはしのに告白するつもりだとミクニに打ち明ける。ミクニは互いに愛し合って子供を作ったはずの両親が互いを捨て、ミクニも放置気味だったことから、自分も同じ血が流れている以上そうなりかねないと思い「自分は恋愛をしない」と決めていた。ミクニが心の奥でしのに恋をしていることを知っていたジウは、ミクニのそんな態度に苛立つ。しかしその直後、二人は奇妙なバンドが落ちているのを見つける。次の瞬間、彼らは突然、住んでいた街を模した月の廃墟に送り込まれた。バンドも覚えがないのに腕に装着されている。混乱しつつ合流したミクニ、ジウ、しのの三人は、人の気配がする月代中学校に向かった。
学校には同じく廃墟に送り込まれた同級生たち140名が集まっており、そんな彼らの前に異星人ファウストが現れた。ファウストは自分たち異星人が「愛」というものを観察するため、一か月間行われる「愛試死(ラブデスター)実験」の被験者にここにいる140名が選ばれたと告げる。互いのバンドを触れさせ合って愛の「告白」を行い、「告白」した者とされた者、両者の心からの想い人が互いであると一致すればパートナーが成立し、帰還することができる。だが失敗すれば「告白」した側が死に、期間内に帰還できなくとも死亡する。

理不尽なデスゲームの始まりを告げるファウスト。

理不尽なデスゲームを前に、愛を拒絶するミクニは他の生還方法を探すと決意する。「愛」を知らないミクニは自分たちに近しいと、ファウストはミクニに興味を持った。
生徒会主導で水や食料を集める中、軽い気持ちで付き合っていた男女の「告白」失敗を目の当たりにした被験者たちは、この実験で心から愛し、愛されるパートナーを見つけられなければ本当に死ぬのだと痛感する。ジウはしのに告白しようとするが、その前に誰かに想い人を取られる恐怖で暴走した6人の女子生徒が一斉にジウに「告白」し、目の前で爆死されてしまった。そんな中、しのの友人であり元いじめられっ子の楢咲 りょうこ(ならさき りょうこ)が、いじめられっ子の坂元 タツマ(さかもと タツマ)に、いじめっ子達に囃し立てられ見世物にされる中「告白」しようとしてタツマから「告白」され、無事に帰還する。

肝試し編

告白すれば本当に帰れるのだという希望で被験者たちが湧き、「告白」も活性化する中、ファウストは「愛行事(ラブイベント)」と称して肝試しを開催する。二日間被験体は男女ペアになって行動し、町にばらまかれたペア数分準備された「告白」に役立つアイテムを入手して学校に戻ってくる、というのが趣旨だ。アイテムの場所は説明中、一瞬だけ町の地図に表示された。行事中ペア同士は10m以上離れると爆死するし、アイテムを入手できなくても、学校に戻ってこれなくとも爆死する。「吊り橋効果」で愛を産むのが目的だ、と告げるファウストは、ランダムで選ばれたペアを発表した。

「肝試し」の解説を行うファウスト。

ジウのペアはレディースの姐切 ななせ(あねぎり ななせ)、しののペアは特進組の転入生である神居 クロオ(かむい クロオ)、ミクニのペアは女子生徒が足らないため、ミクニに思いを寄せる同性愛者の男子生徒・姫夜 カオル(ひめや カオル)となった。
全員が無事に帰ってこれるのかと、生徒会長であるミクニが他の生徒たちに詰め寄られているのを目の当たりにしたしのは、せめてミクニを励まそうと「生徒A」と名乗り、「会長へ いつもありがとう 気を付けて」とミクニの机にメッセージを書いた。
肝試しが始まる。全ペアの生存を目指し、ミクニはジウがあの一瞬で場所を覚えた全てのアイテムを見つけてのろしを焚き、他のペアたちにアイテムの場所を教えるという作戦に出ていた。初めから全員に教えると、ファウストにばれた際アイテムの場所を移動させられる恐れがあると危惧したからだ。ミクニとカオル、ジウと姐切が手分けしてアイテムを見つける中、しのとペアを組んだクロオはしのに睡眠薬を盛り、その間に見つけた11個のアイテムを密かに廃棄していた。その結果アイテムが足りなくなり、錯乱した山里(やまざと)を初めとした複数の女子生徒がジウに「告白」し、爆死してしまう。
最終的に死亡したのは16人だった。最初からアイテムの場所を全員に教えておけばよかったんじゃないかと、生き残った生徒たちに詰め寄られミクニは落ち込む。そんなミクニに、時間切れ直前にミクニ達のアイテムを受け取って何とか戻るのが間に合った陸上部の空良 ナツヒコ(そら ナツヒコ)は、ペアであった海野 さち(うみの さち)に告白すると告げる。ミクニ達は結局クロオが廃棄した分以外に余分に持っていたアイテムを受け取って助かったのだが、それがなければ死ぬところだったのだ。それを分かった上でアイテムを渡してくれたミクニの行動、また自分もさちだけは助けようと走ったことで、さちへの思いに気付いたのだ。彼女だけはこの地獄から助けたい。「告白」が失敗した際のさちのフォローを頼み、ナツヒコは「告白」に挑んだ。「告白」は無事成功し、ナツヒコとさちは地球に帰還する。

ミクニ達のアイテムの中身は「ファウスト先生のモテモテ講座受講券」というふざけたものだったが、ジウと姐切のアイテムは「月代遊園地 無料ペアチケット」だった。二人は強制的に遊園地の観覧車に転移させられ、観覧車に乗せられる。観覧車の中、「大切な人はいるが、もう9人も『告白』させて殺してしまった自分に『告白』する資格はないし、ミクニや姐切の励ましを苦痛に思ってしまう弱い自分に『告白』などできるはずがない」と嘆くジウを、姐切は「一人で考え込むな、もっと周りを頼れ」と殴りつける。それに「少し心が軽くなった」と礼を言うジウに、お前だって十分強いと内心姐切は安堵した。だが観覧車から降りる際、高さが怖く降りられなかった姐切を、「仲間を頼るべきなんだろう?」とジウがお姫様抱っこで抱え下ろしたこと、ジウの内面を見てしまったことで、姐切はジウに恋をしてしまうのだった。

フィーリング測定器編

肝試しから数日後、B組の三卜 ももこ(みうら ももこ)が屋上から飛び降りて自殺する事件が起きる。ももこの親友・占堂 らみ(せんどう らみ)によると、ももことはいつも一緒だったが、三か月前にももこが同じクラスの猛田 トシオ(たけだ トシオ)と付き合いだして以降はギクシャクしており、肝試しでも猛田とももこがペアだったのが幸せそうで羨ましく、喧嘩してしまったとのことだった。ももこの自殺は自分と喧嘩したせいだと落ち込むらみだったが、この状況で友人が自殺の原因になるとは考え難い、つまり「何か」が起きていると、ミクニ達は確信する。
その原因は猛田だった。猛田はクロオから譲り受けた持ち主以外使用できない「フィーリング測定器」を使って被験者たちの相性を測定できるようになっており、最も「告白」が成立しやすい相手を判別していたのだ。測定器と話術でより多くの女性をその気にさせ、「告白」を成立させるためのパートナーとして大量にキープすることを目的としていた。だがそれがももこにばれ、らみも同じく猛田の運命の相手だと暴露されたももこは、「らみに教えないで!」と叫んでしまう。それを猛田に「自分が助かるために親友の命が助かる手段を握りつぶすのか」と言われ、親友さえも裏切ってしまったと絶望したももこは自殺していた。それを知らないまま猛田に口説かれ、親友を亡くしたばかりで心細かったらみは猛田の恋人になってしまう。
ももこが自殺寸前、「あんなアイテムさえなければ」と言って飛び降りたことを聞き込みで知ったミクニたちは、フィーリング測定器の使用を停止するべきだと考え、猛田に通達する。だが既に他の生徒たちにフィーリング測定器を使用して支持を集め、「ミクニには既にフィーリング測定器を使って運命の相手を教えたから、自分だけが運命の相手と共に脱出しようとしているのかもしれない」と言いふらしていた。生徒たちは周囲が次々死んでいく中、自分の気持ちに自身が持てなくなっていっており、運命の相手という目安に縋りたがっていたのだ。
クロオにアイテムを譲り受けた際、代わりにミクニ達生徒会を追い出すと約束していた猛田は、武田に「運命の相手」を教えてもらい武田側に付いた熊本 ジン(くまもと ジン)、ジウをライバル視していた美円 ツバキ(みわ ツバキ)と共に、「フィーリング測定器を使ってみんなが生還できるようにする、それを邪魔する生徒会は敵だ」と生徒たちを先導し、生徒会の三人を監禁すると宣言する。ミクニとジウはカオル、姐切の助けで逃亡に成功するが、しのはクロオに助けられていた。ミクニを苦しめたいと望むクロオはしのを手に入れようとしたのだが、しのはミクニ達が戻ってくる下準備を整えるため、自ら猛田の元に「降伏します。だから私を新生徒会で使ってください」と潜り込むことになる。

猛田を支持する生徒たち。

新生徒会の独裁が始まった。生徒たちは猛田に運命の相手を教えられ、ますます猛田にのめりこんでいく。だが猛田は他の男の運命の相手に自分好みの女がいた時にはそれを隠蔽し、自分好みの女には「自分だけが運命の相手だ」と吹き込み、キープを増やし続けていた。そんな中、キープの女性の一人が「告白」してきて爆死したところを、猛田はらみに見られてしまう。らみは猛田に全ての事情とももこの死の真相を知らされ、「ももこのように死ねば楽になれる」とそそのかされ自殺しようとするが、しのが猛田に殴りかかって事なきを得る。しのは自分を見張る熊本が猛田に預けられていた測定器を熊本が眠っている間に持ち出し、ミクニ達に渡してミクニ達と猛田を交渉させようとしていたのだ。姐切を連絡役にその作戦はミクニ達に伝わっていたのだが、らみを助けたことでしのは猛田に再び捕らえられてしまう。
しのも測定器もないまま、ミクニ達は再び学校に乗り込んでしのと生徒会を取り戻す作戦を予定通り実行する。ジウと姐切が生徒たちの多数を引き付けている間に、ミクニとカオルが学校に乗り込んだのだ。カオルが熊本と戦う中、しのが放送室に囚われていることを知ったミクニは放送室に乗り込む。猛田がしのを人質に取る中、ミクニは「しのが既に隠していた測定器は回収した。これで対等だ」と猛田を脅す。そんな中、らみは絶望のままに再び投身自殺しようとしていた。らみを止めに行かねば、らみが死ぬ。混乱の中でミクニが測定器を持っているというのははったりだとバレ、猛田は「真実を知ったとしても誰もお前たちを信じない。生徒たちは測定器の結果を自分が好きなように操作していることも愛の奴隷、自分こそがいい女を独占する独裁者だ」と高笑いする。だが放送室でのやりとりは、ファウストによって校庭にスクリーンが置かれ、多くの生徒がいる中に放映されていた。ファウストはミクニが「告白」するから全生徒が見れるように派手に中継しろ、と頼まれスクリーンを設置していたのだ。

猛田の陰謀が白日の下にさらされるシーン。

騙したのかと怒るファウストに、ミクニは「猛田が罪の告白をしただろう」と開き直る。
騙されたのかと怒る生徒たちを背後に、ミクニは猛田に「もう終わりだ。戻ってこい」と説得する。だがその頃らみは、自分が騙されたことへの絶望とももこをひとりぼっちにしたことへの絶望で、まだ自殺を諦めていなかった。だがミクニやしの、他の生徒たちの「騙されていた自分たちが悪かった。死なないでくれ」との叫びに自殺をやめようとするものの、足元が崩れて落下しそうになる。それをミクニが何とか引き止めて事なきを得た。
一方猛田は、自分がももこを殺した時点で既に引き返せないと自覚していた。測定器を手に入れれば再び自分の天下が戻ると信じ、測定器を持っているはずのしのを襲おうとするが、その前に現れたのはクロオだった。クロオは忘れ物があったから届けに来たと、測定器の使用条件を記したメモを渡す。測定器の使用者は、「告白」成立で帰還できなければ、五日後に爆死するのだ。五日後まであと三十分、それまでに「告白」成立できなければ死ぬと告げられ、猛田は錯乱してキープしていた女性たちに迫るも全てに振られ、爆死した。
猛田の測定器によって心の距離が近付いていた遊川(ゆかわ)と武道 レイカ(むどう レイカ)が「告白」を成立させて帰還し、猛田のおかげで救われた奴らもいたのだ、とミクニは思う。だが彼らの帰還と同時に、「三組のカップルが成立したため、予定を変更してこの者たちを解析して愛を知る、そのため被験体を処分してラブデスターを強制終了する」とアナウンスが鳴り響いた。腕輪が膨らみ爆死までのカウントダウンが響く中、爆死を解除させたのはファウストだった。混乱するミクニの前で、ファウストは実験の指揮権は自分にあると、「同胞の行動を止めるなどどういうつもりだ。命令だ、帰還しろ」というスクリーンから聞こえてきた声に逆らう。ファウストはミクニを連れ、他に誰も聞かれない空間で実験の意図を説明する。
ファウストは彼ら自身のことを、「愛」が存在しない故に争いも憎しみも発生しえない、淡々と統率された生を送る生物的に完成された種族だと語る。「それが我々の凪だ」と語るファウストは、人間を真逆の「嵐」に例えた。愛と呼ぶ衝動に振り回され、他者を殺めたり命を懸けたりする下等種族、それがファウストたち「同胞」から見た人間だった。だが同時に「愛」は興味深い対象でもあり、その正体を暴かねば、いずれ自分たちに悪影響が生じる可能性がある。人間たちの「嵐」がいかに不要で、ファウストたちの「凪」がいかに正しいか、それを確信するためにファウストは実験を行っていたのだ。だから愛を知らぬミクニが愛に目覚めれば、ミクニを通してファウストも嵐を体感できるのではと期待していた。自分は「告白」はしないと言い張るミクニだったが、この実験を通してミクニが変わりつつあることを指摘され、「自分に嵐が来たら、実験をやめてみんなを返してくれるのか」と問いかける。ファウストはそれには答えなかったが、「実験の行く末は私と君にかかっている」とミクニに告げるのだった。

バレンタイン編

気候を吹雪く真冬に調整され、次なるラブイベント、「バレンタイン」が始まる。これより三日の間に女性から男性にチョコを渡す、それだけだがチョコを渡せなかった女性、チョコをもらえなかった男性は爆死するルールだ。チョコを女性から無理やり奪っても爆死する。現在女性が43名、男性が49名、必ず男性に爆死者が出る。ファウストのことを少しは話せる奴かもしれないと思っていたミクニは激しい怒りを覚えるが、ファウストは上司と交渉し、今すぐの実験中止から「今回でミクニが愛に目覚めなければ実験は終了させる」との譲歩までは引き出していた。
女子に混じり、「自分が愛しているのはミクニだ」と公言しているカオルもチョコを作る。ミクニの異母妹であり、百パーセントの愛に至れず「告白」してきた数人を爆死させた恋陽 みむら(こひなた みむら)、みむらやクロオ同様特進クラスであり、留学中に派手になった赤西 えり(あかにし えり)・金子 まり(かねこ まり)黒沢 るり(くろさわ るり)らもチョコを作る。それを見守るミクニは、しのからのチョコ以外は受け取る気がないと宣言したジウに対し、自分は誰からもチョコを受け取らないと宣言した。ファウストは自分に執着しているから、ミクニが死ぬとなれば実験を中止させられるかもしれないと踏んだのだ。万が一の時は後を頼むと、ミクニはジウに「一生の願いだ」と告げる。
ジウは過去、ミクニに同じ言葉を言われたことがあった。七年前の夏の日、ミクニは自分の母親が父親の愛人であると知ったのだ。父親の名字は若殿ではなく恋陽であり、裕福な家庭に妻と娘のみむらがいた。何も知らなかったみむらの手引きで単身赴任先と聞かされていた恋陽邸に入り込み、ミクニはその事実を父親の妻に激しく罵倒されて知った。だから絶対に父親のようになりたくないと思い、しのともう二人では遊ばないから、へこむだろう彼女をフォローしてやってくれと、「一生の願いだ」と笑ってジウに頼んできたのだ。あれ以来、ミクニは恋愛嫌いになった。それが万が一にもしのを傷付けないための拒絶であり、ミクニがしのを好きだとジウは気付いていた。このままではミクニが死んでしまう、だがその頑なな心を氷解させることは、いくら傍にいても自分にはできない。ミクニの心を解かせるのはしのだけなのでは、とジウは葛藤する。
チョコの贈呈が始まった。十組のペアがチョコの贈呈を終える中、ミクニの周囲の生徒たちも誰にチョコを渡すかで悩んでいた。カオルはカウントが男子である以上、チョコづくりは認めたが女子からチョコをもらわねば爆死するとファウストに告げられる。それを一緒に聞いていたミクニは、なんとかしなければカオルが爆死すると焦るが、そこで二人は完全に目つきがおかしい、半裸の男子二人に遭遇する。彼らともう一人、計三人の男子生徒は、チョコ欲しさに赤西や金子、黒沢の犬となっていたのだ。

男子生徒を犬にする赤西・黒沢・金子。

だが赤西は肝試しで手に入れたアイテムを使い、ジウを落とそうとしていた。
ジウはしのを呼び出し、「告白」しようとしていた。だがそのいざ想いを告げようとしたその直前、ジウは何故か気絶してしまう。慌てたしのはミクニを呼びに行くが、その際にジウは赤西に拉致された。ジウは赤西のアイテム、「魅了剤」を首に打ち込まれて気絶したのだ。針で打たれると脳内物質が過剰に分泌され、最初に嗅いだ人物の匂いに反応して興奮する薬だ。要は理性を弱らせ、目の前の人物が好きだと刷り込みやすくさせる薬である。だが薬を打たれ拘束された状態でも、ジウは「心に決めた人がいる」と揺らがない。逆上した赤西は、通常一回で効果が十分出るそれを、大量にジウに打ち込むのだった。
その頃、なくならないように隠していたらみとみむらのチョコレートが消える事件が発生していた。犯人は金子と黒沢であり、目的はただの嫌がらせであった。二人は吹雪く外にチョコレートを投げ捨てていた。それを知らないミクニは、マイナス十五度の外に二人のチョコを探しに出る。それに付いてきたのがみむらだった。ミクニはみむらを見ているだけで七年前の惨めさを突き付けられるから彼女のことが嫌いだったのだが、みむらは七年前の事件以降、喧嘩が増えて家族がギクシャクし始めたことも手伝い、ずっとミクニに謝りたかったのだ。みむらの思いを知り、みむらに対して頑ななだったミクニの心は少し解ける。ミクニは愛を拒絶し、みむらは他者に求めるが愛し方がわからない、二人はよく似た兄妹だ、とファウストは分析する。二人はチョコレートを捜索し、みむらのチョコは無事に発見される。
大量の魅了剤を打ち込まれたジウは、薬の副作用で意識朦朧・思考力低下などの症状を引き起こし、重篤な幻覚症状に陥っていた。ジウは赤西をしのだと思い込み、赤西の誘導通り「好きだ」と告げる。ジウが幻覚を見ていることに気付かなかった赤西はジウに「告白」させようとしたが、ジウの手首がきつく縛られていて解けず、自分から「告白」して爆死する。しのが爆死したと誤解したジウは完全に錯乱するも、その絶叫を聞きつけた姐切によって助け出される。冷静になれ、と優しく促してくる姐切に、ジウはようやく姐切が目の前にいることを認識して気絶した。

姐切に宥められる錯乱したジウ。

一方しのは見失ったジウを探す途中でクロオに遭遇し、ジウなら赤西と仲良くどこかに行ったと教えられる。赤西の凶行とクロオが嘘をついていることを知らないしのは、クロオに連れられその場を去る。二人きりでクロオにチョコが欲しいとねだられたしのは、ちょうど窓からミクニとみむらが仲良くチョコを探す姿を見てしまった。しのをずっと放置しているミクニよりずっと自分がしのを大事にする、としのを丸め込もうとするクロオだったが、しのはミクニとみむらを見て「よかった」と漏らした。ミクニがみむらと仲直りする決断ができたことに、自分も勇気を出さねばとクロオのもとを去った。
ようやくらみのチョコが見つかった。だがいつしからみに恋をしていたために吹雪の中でチョコを探し続けた熊本は、重度の凍傷を負ってしまう。このままでは命がない。熊本を助けてくれとファウストに頼みに行ったミクニは、「実験を終了しここを脱出したものならいざ知らず 実験中の者に手を貸すことはできない」と断る。それをこっそり聞いており、自分の命を懸けてチョコを探し、「君が無事でよかった」と言ってくれた熊本に恋をしたらみは、自分のチョコをカオルに渡してカオルの命を助け、熊本に「告白」し、成功する。熊本の凍傷はファウストの手で無事に再生され、らみと熊本は二人で帰還した。
その姿を見ていた生徒たちは、「告白」に成功すれば誰も死なずに犠牲枠を減らせることに気付く。川上(かわかみ)は互いに思い合う森山(もりやま)に促され、日村(ひむら)にチョコを渡して森山からの「告白」を成功させて帰還した。だが「チョコがもらえないかわいそうな同級生を助けるために命を張った善人だけが、真実の愛に辿り着ける」と誤った結論に達したボランティア部のシンゴ(シンゴ)を初めとした数人は「告白」に失敗して爆死した。
しのが「既にチョコを渡した」と聞いて絶望したジウは姐切からチョコを受け取る。これで爆死が三人、残る犠牲者枠は一人となった。その一人になると決めて姿を消すミクニだったが、生徒Aのチョコが教室の自分の机の中に入っていることに気付いてしまう。受け取らなければAが死ぬ、だが受け取れば自分以外の誰かが死ぬ。その事実に葛藤するミクニだったが、急に教室が崩れ落ち、Aのチョコが下に落ちそうになった瞬間、自分の身を省みることなくチョコを抱きしめて崩落に巻き込まれるも、なんとか生存した。そこでようやくミクニはAへの微かながらの恋愛感情を抱くのだった。なおクロオの誘導で金子と黒沢、他三人の男子生徒は既に死亡していたため、ミクニの選択で人が死ぬことはなかった。

敬王中学編

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