ハヴ・ア・グレイト・サンデー(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』とは『月刊モーニングtwo』(講談社)で連載されていたオノ・ナツメによる、ある男たちの日曜日の出来事を描いたハートフル漫画である。初老の作家・楽々居輪治は、長くニューヨークで暮らしていたが、ある事情を抱え単身東京に戻ってきた。そして、一人暮らしを謳歌しようと思っていた輪治のもとに、息子のマックスと娘婿のヤスがやってきたのだった。『ACCA13区監察課』や『レディ&オールドマン』など人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、男だけの週末エンターテインメントだ。

輪治「こういうのはね一番はじめに何を撮るかってとても大切なんだよ」

マックスが輪治の自宅にホームシアターシステムを導入し、はじめは輪治のデビュー作の映画を観る予定だった。しかし輪治の自宅には映像データがなく、輪治が持っていたDVDを観ることになった。マックスがまだ幼かったころのホームビデオで、撮影をしているのは輪治の妻だ。名作映画でもよかったと乗り気じゃない輪治に対し、マックスは「こういうのは一番に何を観るかってとても大切なんだよ!」と言っている。そして、輪治も一緒に結局最後まで観ている。その後、録画しっぱなしだったホームビデオのなかの輪治が「こういうのはね一番はじめに何を撮るかってとても大切なんだよ」と言った。ビデオのなかの輪治が、ビデオを撮る前にマックスと同じようなセリフを言っていたため、DVDを観た輪治は顔を覆っていた。ビデオを撮る前に輪治が妻に言ったセリフで、自分も似たようなことを言っていたと、恥ずかしくなるようなセリフとなっている。

マックス「ダッドの周りには輪ができる」

漢字ドリルを使い日本語を勉強しているマックスは、ヤスや輪治の名前に使われている漢字を知り「字ごとに意味があるって面白い」と言っている。さらに、輪治の漢字に「輪」が使われていることについて「人を引っ張る力。ダッドの周りには輪ができる。いつも人がいるってことでしょう?」とも言っている。漢字を勉強しているマックス(外国人)目線でのセリフだ。

輪治「思い出として自分の中に足されていくそういう日曜日」

インタビューを受けたとき「家族ものを書きたいと思ったことはありませんか」と問われ、輪治は「これといって特別なことは起こらない。でも、思い出として自分の中に足されていくそういう日曜日」と言っている。コラムのネタで日曜日に起きたことを使ったことがあるが、なにも特別なことはなく、輪治にとってはいつも通りなのだということが読み取れる。しかし、気ままに一人暮らしをしていた輪治にとって、毎週マックスとヤスが訪ねてくることは、思い出となり自分のなかで積み重なっていくのだということがセリフに表れている。

『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『COPPERS』のキャラクターが登場

『COPPERS』は、2008年から2009年まで『月刊モーニングtwo』(講談社)で連載されていたオノ・ナツメの漫画作品だ。『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』には、『COPPERS』登場するキャラクターが登場している。元刑事のキース・シニーズと日本人ジャーナリストの中野秋光だ。既刊は2冊で、ニューヨーク市警51分署の警官たちを描いており、ドラマCDも発売されている。『COPPERS』にはキース以外にも警官が出てくるが、108分署時代のキースを主人公にした「COPPERS 108→51」が『月刊モーニングtwo』の別冊付録として発行されている。

オノ・ナツメのTwitter

オノ・ナツメのTwitterには、作品の枠を超えさまざまなキャラクターが一堂に会している画像がアップされている。『ACCA13区監察課』のジーンやニーノが、輪治の自宅にいる描写などがある。

『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』の前日譚

『ハヴ・ア・グレイト・サンデー』の各巻には、前日譚を描いた特別読み切りが収録されている。輪治がキースに出会ったときのエピソードや、輪治がニューヨークに住んでいたころのストーリが描かれており、若かりし頃の輪治を見ることができるのだ。

9973_AKi-peso9
9973_AKi-peso9
@9973_AKi-peso9

Related Articles関連記事

ACCA13区監察課(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ACCA13区監察課(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ACCA13区監察課(オノ・ナツメ作)』とは『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス刊)にて2013年~2016年まで連載された漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。ACCA本部監察課副課長のジーン・オータスの過ごしていた平和な日常が少しずつ世界の陰謀に巻き込まれていく。その軸となるのは巨大統一組織「ACCA」と「タバコ」を巡る男たちの’’粋’’様だ。食えないキャラクターたちが勢ぞろいする大人な雰囲気の作品となっている。

Read Article

さらい屋 五葉(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

さらい屋 五葉(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『さらい屋 五葉』とは『月刊IKKI』(小学館刊)で連載されていた時代劇漫画、およびそれを原作としたテレビアニメである。時は江戸時代、藩主から暇を出され江戸にやってきた侍・秋津政之助は、誘拐組織「五葉」の頭である弥一の用心棒をすることになった。渋々、弥一の仕事を手伝う政之助だったが、この出会いをきっかけに人として成長していくのである。『ふたがしら』や『ACCA13区監察課』など人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、かどわかしを生業にした個性豊かな登場人物たちの時代劇エンターテインメントだ。

Read Article

レディ&オールドマン(LADY and OLDMAN)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

レディ&オールドマン(LADY and OLDMAN)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『レディ&オールドマン』とはオノ・ナツメが『ウルトラジャンプ』で連載していた男女バディ・エンタテインメント漫画作品。連載時期は2015年~2019年までで全8巻で完結。オノ・ナツメ原作の『ACCA13区監察課』や『BADON』とはまた違ったかなりハードボイルドな内容だ。舞台は1963年のロサンゼルス郊外。父親譲りのおせっかいな性格のシェリー・ブライトと100年間刑務所に入っていたというロバート・ウィンツ。この二人の出会いが全ての始まりだった。

Read Article

僕らが恋をしたのは(オノ・ナツメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

僕らが恋をしたのは(オノ・ナツメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『僕らが恋をしたのは』とは、2021年より『Kiss』にて連載された、オノ・ナツメによる恋愛マンガである。平均年齢70歳の男女が織りなす山奥での悠々自適な暮らしと、穏やかでしっとりした大人の恋愛模様をリアルに描いている。ある日山奥の田舎で暮らす四人の老齢の男たちの元へ一人の女性「お嬢」がやってきたことにより、恋という久々のスパイスを得た男たちの日常は少しずつ移ろいで行くのであった。

Read Article

ふたがしら(漫画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ふたがしら(漫画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ふたがしら』とは、『月刊IKKI』(小学館刊)また増刊『ヒバナ』(小学館刊)で連載されていた時代劇漫画、およびそれを原作とした連続テレビドラマである。時は江戸時代。盗賊「赤目一味」の頭目だった辰五郎が死去。その際に、手下である弁蔵と宗次二人に一味のことを託したことからすべては始まった。『ACCA13区監察課』や『レディ&オールドマン』数々の人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、巧妙な駆け引きと巧みな騙しあいが織りなす時代劇盗賊エンターテインメントだ。

Read Article

リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『リストランテ・パラディーゾ(GENTE〜リストランテの人々〜)』とは、『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)で連載されていたオノ・ナツメによる、老紳士たちが織り成すハートフル漫画である。幼くして両親が離婚し祖父母に預けられたニコレッタは、母親の再婚相手を一目見るためローマにあるリストランテにやってきた。そこで働き始めたニコレッタは、従業員全員が老眼鏡着用必須のリストランテであることを知ったのである。数々の人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、老眼鏡紳士たちによるおもてなし漫画だ。

Read Article

つらつらわらじ(備前熊田家参勤絵巻)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

つらつらわらじ(備前熊田家参勤絵巻)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『つらつらわらじ』とは『月刊モーニングtwo』(講談社)で連載されていたオノ・ナツメによる時代劇漫画である。時は寛政、備前岡山藩主の熊田治隆は参勤交代のために江戸に向かうことになった。そして、隠居して江戸で暮らす計画を立てているため、江戸までの旅を楽しもうと考えていたのだ。しかし、江戸までの道のりは波乱の連続だった。『ACCA13区監察課』や『レディ&オールドマン』など人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、2年に1度の参勤交代エンターテインメントだ。

Read Article

目次 - Contents