キルミーベイベー(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『キルミーベイベー』とはカヅホによって、2008年より芳文社の月刊誌『まんがタイムきららキャラット』に掲載されている日常系4コマ漫画である。ごく普通の学校に通う「殺し屋」・ソーニャと、その友人・折部やすなが織りなす日常生活をコミカルで少しバイオレンスに描く本作。登場人物が基本的に3人(+1人)と極めて少ないことが特徴である。「殺し屋」のソーニャに自らの危険を顧みず、いつもまとわりつくおバカなやすな。たまに「忍者」のあぎりも登場。仲が良いのか悪いのか今日もやすなが煽ってソーニャがキレる。

『キルミーベイベー』の概要

『キルミーベイベー』とはカヅホによって、2008年より芳文社の月刊誌『まんがタイムきららキャラット』に掲載されている日常系4コマ漫画である。併記されている英語タイトルは『Baby,please kill me』。当初は読み切りとして掲載され、その後同年7月から正式に連載されるようになった。本作はカヅホのデビュー作の練習用プロットだったが、そのままネームを仕上げ掲載にまで至ったものである。
作風は学園ものギャグ漫画、日常系、バイオレンスコメディー、シュールなどに分類される。本作のファンは「キルミスト」と呼ばれ、公式でもこの名称は使われている。
カヅホは当初、『まんがタイムきららキャラット』に溶け込めるよう日常系漫画を目指していた。しかし「何か変なことをしないと生き残れないと思って、思い切ってギャグ漫画にしたところ好評だったため、ギャグ路線の芸風になった」とインタビューで語っている。
基本的に「殺し屋」ソーニャをやすなが煽りやり返される2人の掛け合いだけのストーリーだが、そのほかには神出鬼没の「忍者」のあぎりがたまに出てくるなど登場人物が非常に少ないのが最大の特徴だ。+1人のキャラ(没キャラ)をのぞくとストーリーによって登場人物が4人の回もある。
2012年1月から3月まで一部TBS系でTVアニメ化された(全13話)。

『キルミーベイベー』のあらすじ・ストーリー

キルその1「いぬをしのびてさくらさく」

自称「殺し屋」の少女ソーニャはいつ何時敵が来ても良いように警戒を怠らなかった。クラスで花瓶が割れ、瞬時に机でバリケードを作って隠れたソーニャを見てその友人でおバカキャラの少女折部やすなは「小心者なんじゃないの?」とニヤリと笑った。そしてクラスで「ゴキが出たぞ!」と聞こえるとソーニャは天井に張り付いて逃げた。「ゴキ怖いんだ〜」とニヤつくやすなに対してソーニャは「衛生的に危険だから警戒してるだけだ」と言った。そしてソーニャはお化けの類も「関節技とか効かなそうだし」という理由で苦手だった。要するにソーニャはビビリだった。

キルその2「わざぬんちゃくでくまふうせん」

放課後「帰り道にある大きな公園でクレープを食べに行こうよぅ!女子高生らしく!」と言うやすなにソーニャは無理矢理付き合わされていた。なぜか森を抜け公園にたどり着いたやすなとソーニャの目の前にあったのは、クレープ屋ではなく屋台のお好み焼き屋だった。迷ったと思ってソーニャは一瞬怒ったが屋台の並びにちゃんとクレープ屋さんもあった。
やすなが飲み物を買ってくる途中、公園のゴミ箱の中に「熊に注意」と書いてある新聞が捨てられていた。ちょうどその時、やすなを待ってクレープを片手にベンチで待つソーニャは、得体の知れない嫌な予感を察知した。この辺に熊がいることをソーニャに言いに戻ったやすなの背後には、すでに巨大な熊の姿があった。それを見たやすなは立ったまま死んだフリをした。ソーニャは熊がやすなの持っている蜂蜜味のクレープを狙ってると気づいたが、やすなはあろうことかそれを丸呑みにしてしまった。やすなはソーニャに助けを求めたがソーニャは戦うフリをして高跳びして逃げてしまった。そこへ地面から突き出た竹筒から間の抜けたあぎりの声がしてきた。あぎりはやすなに助ける代わりにクレープを奢る約束をさせて「忍法熊を消します」を披露した。TVでよく見る手品のように熊のいる背景に合わせて布で視界を塞いだ。あぎりのカウントダウンとともに布が下げられる。そこにはドアップまで接近した熊がいた。あぎりは手強い相手だと悟り本物の忍術っぽい煙幕に紛れて逃げていった。公園にある時計の柱に逃げているソーニャを追ってやすなも駆け登った。しかし、やすなは手を滑らしてバランスを崩し、熊の頭に頭から落ちていった。熊は気絶し、たんこぶをこさえたやすなはその熊と記念撮影をして一件落着した。熊は無事動物園へ帰って行った。

キルその3「えすぱのろえばあめずもう」

やすなはソーニャに幸運グッズなのになぜか「本物の呪いの藁人形」を差し出した。やすなは自分の髪を入れた人形をソーニャに渡し「試しに好きなように動かしてみて!」と言った。ソーニャは言われた通り好き勝手に折り曲げてみたが、どうみてもやすながそれに合わせて無理矢理真似しているだけだった。やすなはオマケでついてきたというもう一つの人形にソーニャの髪をいつの間にか入れていた。それを動かして見せてソーニャにやれというオーラを出したが、ソーニャは絶対にやらなかった。ソーニャは意味のない呪いの人形を眺めて「そんな非科学的なことなんてしなくても邪魔者なら消せるのに」と言った。全然信じないソーニャにやすなは目の前で人形同士をぶつけてソーニャの人形をやっつけた。ソーニャはその光景になんとなくムカついて人形の一体を真っ二つにちぎった。それがソーニャの方の人形だと知りソーニャはなんとなく焦った。やすなはそんなソーニャをからかい折れた人形の災いが来るようにソーニャの腰に回し蹴りをしれようとしたが、ソーニャに返り討ちに合い、逆に足を締め上げられてしまった。
藁人形に懲りたやすなは次に「占いで遊ぼう!」と言い出した。やすなは手作りの紙のおみくじをソーニャに引かせた。それをみてやすなは適当な占いを言い始める。ソーニャの足元に良くない運気が起こっているとして「近いうちに靴を無くすかもしれません」と言い、やすなは白々しくトイレに出かけた。やすなが下駄箱に駆けつけるとそこには先回りしたソーニャがナイフを片手に待っていた。
また返り討ちにあったやすなは今度は「手相はどーぉ?」と言ってソーニャの手のひらを指で弄った。「胃が荒れてるでしょ」と言ってやすなはソーニャの手を思いっきり指圧した。ソーニャは「それは手相じゃなくてツボ押しの方だろ!!」と言ってやすなの手首を捻った。インチキと言われたやすなは「ほんとだもん!」と言って教室を飛び出した。それを呆れて見送ったソーニャは、藁人形を踏んでいることに気がついた。ソーニャは悪態をついてそれを机に放った瞬間、やすなの叫び声が階段から聞こえた。階段から落ちたやすなを見たソーニャは「効くのか…やっぱり…」と言って内心焦った。事情を知らないやすなは全身包帯で授業を受けていた。真実を知っているソーニャはその横で手当てしてあげた人形を見つめ怯えていた。

キルその4「あいするすいかよがしかく」

夏の暑さにうんざりしているやすなはあの手この手で涼を得ようとしていた。なかなか涼しくならないやすなは放課後ソーニャと海辺にスイカ割りをしに出かけた。やすなは自分からやると言って目隠しをし、ソーニャに指示を仰いだ。ソーニャは適当に指示し、言う通りに動いたやすなはスタートと同じ位置で棒を振り下ろした。次の順番、目隠ししたソーニャは集中してスイカの位置を計算していた。やすなの声には一切耳を貸さず狙いを定めて棒を振り下ろした。スイカに当たるはずの棒はカツンと音を立た。目隠しを外すとやすなが棒でスイカが割れるのを阻止していた。やすなは「だって私も割りたかったんだもん」と泣いた。何がしたいのかわからずソーニャは「どうすりゃいいんだよ」と呆れて言った。やすなは「じゃぁ2人でやる!」と言って、2人はお互い目隠しをして背を合わせて棒を構えた。同時にスタートしたがお互い全くスイカにたどり着けずにひたすら歩いてるだけだった。ソーニャは馬鹿馬鹿しくなり目隠しを外して見事な剣捌きで普通にスイカを切り分けた。ソーニャはまだ続けてるやすなを放ってスイカを食べ始めた。やすなはそれに気付き「ずるい!」と言ったがソーニャは何食わぬ顔で「私が先に割ったからだよ」と言った。綺麗に切れているスイカに疑問を感じないやすなはそれに納得し、2人で海を眺めながらスイカを味わった。
いつのまにか夜になり、やすなは「お腹すいたね」とカバンの中をゴソゴソ漁った。顔を上げたやすなはおばけメイクでソーニャを脅かした。怖がりのソーニャは驚いてやすなの顔を殴った。パンチをくらったやすなの目には夏らしく花火が見えていた。

キルその5「むしをまつりてうみにんぎょう」

夏祭りで賑わう神社にやすなとソーニャは立ち寄った。やすなは持ってるお金で金魚掬いやくじ、輪投げにチャレンジするものの全部うまくいかず、なかなか楽しめないでいた。お腹が空いてきたやすなは「たこ焼きを買ってくる」とソーニャを置いて一人で屋台に買いに行った。もう日が暮れた頃、やすなは神社で待っているソーニャの元へ帰ってきた。やすなはたこ焼きを買わずにお面を買って帰ってきた。そしてやすなはそのついでに5回くじをやって、やっと1回当たったという物凄い無駄をしてきた。
今度こそ食べ物を買おうとソーニャとやすなとは一緒に屋台の方へ戻った。ソーニャがりんご飴を買って食べている横で、やすなは手元にお金が残ってないことに気がついた。お腹が空いて仕方ないやすなはどうにかこのお面と交換してもらえないかと、お面のかっこよさをソーニャにアピールした。するとその魅力が伝わったどこかの小学生が寄ってきてやすなは彼らにお面を奪われていってしまった。落ち込んだやすながポケットを漁ると500円玉が入っていた。今度こそたこ焼きを買いに行ったやすなの姿を見てソーニャは嫌な予感しかしなかった。
案の定、やすなはオモチャの銃を片手にご機嫌で戻ってきた。呆れたソーニャは背を向け「どうせ音の出ないオモチャだろ…」と言った瞬間、空に花火が打ち上がりソーニャはその音に「ヒィッ!」と怯えた。

キルその6「へそからくりでてるごおり」

やすなは大変なことに気がついたとソーニャと話していた。それはもう夏が終わるのに「今年の夏に一回もかき氷を食べなかったこと」だった。そこでやすなは季節外れ&微妙なデザインで安売りしていたかき氷器を取り出した。やすなは胸を張って「今日のお昼のデザートはかき氷食べ放題だよ!」と言ったが肝心な氷がないことをソーニャは指摘した。せっかく大量のシロップとソーニャを騙すためのシロップも用意していたやすなは激しく落胆した。ソーニャは自分を嵌めようとしていた「青汁味」のシロップをやすなに無理矢理飲ませると、やすなは苦しみながら「あぎりさんならなんとかしてくれそう」だと思いつく。ソーニャはやすなに頼まれ携帯であぎりに電話を入れた。しばらく呼び出し音が鳴ると、その着信は教室のロッカーから鳴っていることがわかった。やすなは「一体いつから…」と言ってソーニャとロッカーを見つめた。しかしあぎりは二人の真後ろに現れた。
どうなってるのかは気にせず、やすなは早速あぎりに氷の出し方を尋ねた。するとあぎりは手のひらに布を被せ手品のように出したのはドライアイスだった。とりあえずやすなはもったいないからと、試しにかき氷器に入れて「かきドライアイス」を作ってみた。やすなはそれをソーニャに食べさせようとしたが逆に縄で縛られ身動きを取れなくされてしまった。
あぎりは「氷じゃなくて雪を降らせる術ならありますよ〜」と言って竹筒のようなものを取り出し、ノリノリのあぎりとやすなは屋上に向かった。
あぎりは屋上で竹筒を地面にセットし、打ち上げ花火の要領で着火して打ち上げた。ボンッと鳴り二人は空から雪が降ってくるのを待った。空を見上げ待ち侘びているやすなの額に雪の塊が直撃し、やすなは錯乱状態になった。我にかえり「どうやったのか」とあぎりに聞くと、あぎりは「忍術じゃないんですけど、氷は持っているので〜」と答えた。
ようやく普通に大盛のかき氷を食べることのできたやすなは、もうこの夏にやり残したことがないと浸っていた。しかし「今年プールに入ってない!」ということにも気がついた。水着に着替えたやすなが学校のプールに辿り着くと、そこは掃除されてなく沼と化したおぞましいプールの姿があった。それを見てやめておこうと引き返そうとしたやすなを、ソーニャは容赦なく汚いプールに投げ入れた。

キルその7「ぶんかおてだまできばせん」

やすなとソーニャの学校にもうすぐ文化祭の日がやってくる。ソーニャは文化祭を経験したことがないらしく「文化祭ってなんだ?」と、やすなに聞いた。やすなは「ぶんか」と書いたバナナの房とパーティ用の帽子とひげめがねをつけ、変なポーズをし「こうするのが、文化祭!」と言ったがソーニャに相手にしてもらえなかった。
やすなは「せっかくの文化祭なんだから私も何か研究発表しなきゃ」とソーニャに言った。やすなは「例えば人間は何秒息を止められるかとか!」と言い、ソーニャにストップウォッチで測ってもらい実験してみた。結果はたったの8秒だった。やすなはその結果にソーニャの測り方にイチャモンをつけた。ソーニャはやすなの持っているストップウォッチをナイフで突き刺した。それでもやすなはソーニャにしつこく「息を止めようよ」と掛け合っていた。最終的にソーニャはやすなを殴ってからそれを渋々承諾した。ソーニャは無言で息を止め始めた。やすなが声をかけてもソーニャは平然と息を止め続ける。そして3分が経過してもソーニャは息を止めたままだった。そこでなぜか無言のソーニャの気持ちを代弁するあぎりが現れた。あぎりのアドバイスで、やすなはわざとソーニャの悪口を言って挑発した。それでもソーニャは無視をして息を止めていた。やすなは本当にソーニャが息を止めているのか確かめたくなり、ソーニャの額に短冊をくっつけてみた。しかし短冊は全く動かなかった。もう少しでソーニャは自身の息止め記録を越えるところで、最高記録更新したらソーニャは息止めを止めるつもりでいた。後少しで達成するところでやすなはソーニャを脅かしてそれを阻止した。ソーニャはやすなに「お前の息を止めてやろうか」と凄んだ。

キルその8「はまりかなでりつきささり」

ある朝、やすなは登校中にゴミ捨て場にある一斗缶を発見した。それを見てやすなは何かを思いついた。そこにあとから登校してきたソーニャがゴミ捨て場に通りかかる。そこには一斗缶を被り、ゴミと一緒にゾンビのように佇むやすながいた。その異様な光景にソーニャは呆れて「朝から何やってんだ」と声をかけた。ソーニャの声に反応したやすなは「その声はソーニャちゃん!はい、対ソーニャちゃん用のボーグです!」と元気よく答えた。そして防具を身につけているやすなは「さぁ!殴ってごらんよ!」とソーニャを煽った。しかしやすなの視界は完全に覆われているため、目の前にいたのは知らない女子生徒で、当のソーニャはやすなを無視して先に行ってしまっていた。周りが見えなくなってパニックになったやすなは大声でソーニャの名前を呼んだ。戻ってきたソーニャの前でやすなは一斗缶を外そうとするが、全く外れなかった。なんとかしてソーニャは一斗缶を外そうとしたが、力任せに引っ張ったり捻ったりとあまりに手荒で危険だった。その時登校中のあぎりが通りかかった。手を貸すというあぎりは一番確実な方法として、いつものようにハンカチを一斗缶にかぶせ、手品のようにそして3つ数えて再びそれを取ってみせた。やすなの顔面が現れ、一見成功したかのように見えたがそれは一斗缶にやすなの写真がくっついただけのものだった。何も解決しないままあぎりは逃げるように去って行った。やすなは仕方がないのでそのまま学校に行くことにした。
学校に着いたやすなとソーニャは引き続き一斗缶を外す方法を考えていた。科学的に外す方法としてソーニャは「確か、金属は熱で膨張するはずだが…」ということを思い出した。それを実践するため、ソーニャはやすなをロープ縛り調理室のガス台の上に逆さ吊りにした。その過酷さにやすなは焦ってそれに抵抗した。仕方なくソーニャは逆さ吊りのままのやすなの一斗缶に食用油を流し入れた。そして思いっきりソーニャが引っ張ってもやっぱり一斗缶は外れなかった。再びそこにあぎりが登場したがやはり手品の真似事をするだけで解決せず去って行った。なんとしても取りたいやすなはソーニャに「思いっきり殴って!」と言った。そしてソーニャは思いっきりやすなの一斗缶ではなく腹を殴った。そのことに怒ったやすなは勢いで普通に一斗缶をスポンと外した。なんで取れたのかわからなかったが「長いこと被って頭の形にあってきたんじゃない?」とソーニャに言われ、やすなは「これで自在に取り外ずしができる!」と再び一斗缶を被ったがもう外すことはできなくなってしまった。

キルその9「つりつちのこしわすれえだ」

やすなは教室にいるソーニャに新聞の記事をみせた。その内容は「ツチノコ」について書かれていた。やすなは「学校の近くの山で目撃情報があったんだって!」と、目を輝かせてソーニャに言った。捕まえると賞金が出ることにやすなは興奮していたが、ソーニャは全くツチノコに興味がなく先に帰ろうとしていた。やすなはそんなソーニャを引き止め、用意してきた二人分のツチノコ捕獲セットをソーニャに見せた。金槌はもしもの時の武器で、あとは昆虫採集用のかごとアミだった。やすなはツチノコの存在自体を信じていないソーニャを説得したが、全く相手にしないソーニャは「もしツチノコがいたら一緒に踊ってやる」と言ってみせた。
やすなは結局一人で山へ行き、ソーニャは帰路についた。ソーニャの携帯にやすなからメールが届き「つかまえた」と入っていた。少し気になったソーニャがやすなの元へ行くと、やすなは捕まえたアゲハ蝶をソーニャに見せた。紛らわしいことを言ったやすなにソーニャはキレてアミを切り裂きアゲハ蝶を逃した。ソーニャが怒って帰ろうすると、そこらじゅうにやすなが仕掛けていた罠に足を取られその場に留まった。すると草葉からガサガサと物音がした。ソーニャとやすなが警戒していると、草陰からマムシが出てきた。危険なマムシに驚いて山を降りようとしたが、石につまづいたやすなは迷彩服に身を包んだ謎の男の頭に衝突した。痛さで頭を抱えた男を指差しやすなは「ツチノコだ…」と言った。むくりと起き上がり二人の前に立ち塞がった男は「貴様、なぜ俺の名前を知っている…俺の名前はザ・ツチノコ。貴様を倒すためだけに送り込まれた刺客」と言った。男はソーニャを狙った刺客だった。今ここにいる理由を男が語っているのを遮るように、やすなは虫取り網で男の頭を捕らえた。やすなは同じく頭を打って気が動転していた。新聞の「ツチノコ」と目の前にいる「ザ・ツチノコ」と名乗る男を混同していたが、ソーニャのパンチで正気に戻った。ザ・ツチノコとソーニャが対峙して戦闘態勢に入った。二人の間にマムシが現れ、避けたザ・ツチノコはやすながそこらへんに仕掛けた罠にハマり、あっけなくソーニャにとどめを刺された。運よく勝利したことにやすなは気を良くして「私の気の利いたサポートのおかげだね」と大口を叩いた。

キルその10「さんたつららてゆきだるむ」

雪が積もった日の放課後、やすなははしゃいで雪を食べようとしていた。全く相手にしないソーニャにやすなは雪玉をぶつけ雪合戦をするように煽った。そんなやすなを黙らせるためソーニャは中に石を入れた雪玉や、ガチガチに硬い雪玉など凶器に近い雪玉を作りはじめた。身の危険を感じたやすなはソーニャから身を隠しオトリの「お鳥」を雪で作った。その駄洒落にやすなは一人で爆笑して場所がばれてしまい、ソーニャから雪玉を当てられた。やすなが反撃しようにもその攻撃は全て失敗、やすなはあえなく惨敗した。
雪合戦でソーニャと戦うことを諦めたやすなは、大人しくソーニャを道連れに雪だるまを作ることにした。あっという間に大量の雪玉が並んだ。そこでソーニャはポケットの中に入ってるはずの財布がなくなっていることに気づいた。ソーニャは間違いなく目の前の雪だるまの中に紛れていると思い込み、庇うやすなに構わずせっかく作った雪だるまを全て破壊した。その頃職員室には落とし物の財布を届けるあぎりの姿があった。

キルその11「ふろたこもちてはつゆめし」

nicotouch12124
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