全ての犯罪が合法化する12時間。映画「パージ アナーキー」の魅力をご紹介します。

あなたは「パージ」という映画をご存知ですか。1年に一晩だけ、全ての犯罪が合法化される法律。それがパージ。今までにないスリリングな設定を駆使し、映画界を席巻させた作品の続編がこの「パージ アナーキー」です。舞台を一新させたことで、前作を遥かに上回る反響を呼んだこの映画。果たしてどんな映画なのでしょうか。

あらすじ・ストーリー

国民の怨嗟(えんさ)や憎悪を発散させ、それによって治安を維持しようと、アメリカ政府は1年に1晩だけ殺人などの全犯罪を認める日パージを制定する。その日を迎え、家路を急ぐものの車がパンクしたために街をさまよう夫婦。何者かに襲われ、拉致されそうになる母娘。武装した男に救われた彼らは、協力し合いながら無法地帯となった街からの脱出を試みる。次々と襲い掛かってくる殺人者たちを倒していくが……。

出典: movies.yahoo.co.jp

前作とは違い、視聴者のニーズをきちんと汲み取った作品

前作も大変素晴らしい映画でしたが、その時の舞台は主に家の中で、いまいち設定を活かしきれていないという感想が私を含め、様々な人が抱いていました。しかし、今作は違います。よりスリリングな展開を楽しめるよう、舞台はダウンタウンになっています。それぞれ別の理由で、恐怖の一夜を外で過ごさなければならなくなった男女5人が主な主人公です。若干のミステリー要素があり、暗躍するグループの目的が不明瞭なところにホラー的な感覚も感じられます。否応なしに緊迫感が高まるような演出でした。

設定自体が面白く、いくらでも料理できそうな題材になっているのがまた良いです。可能性の広がりを感じます。パージ=浄化に敵対する勢力も現れたりして、今後に繋がりそうなラインも確保されたりしています。それでいて続編を匂わせるような終わり方をしているわけではなく、この作品はこの作品で、単体として楽しめるものとなっています。治安維持の為に一時的に治安を壊すという論理には疑問の余地が残りますが、それはエンターテインメント性という言葉の前では無意味です。そんなこといったら面白いことなんて何もできなくなってしまいます。

人間性の発露

この作品の特徴はなんといっても、パージを前にして剥き出しにされる残酷な人間の本性です。前作を見た段階でありそうだなと思ったシチュエーション、金持ちによるパージパーティ、つまり公開処刑。それが描かれていたのにはかなり満足しました。誰かを殺してみたい。殺しを金で買いたい。パージは単なる政策のみならず、ゲームとしても機能してしまっているという側面が今作で露わになりました。それはつまり、この社会は結局、金が全てなのだということに他なりません。

金持ちを次々と倒していく展開にはやはりスカッとしましたが、その後には再び人間の尊厳を試されるシーンが待っています。愛する者を殺された憎しみ。パージはまた、復讐の絶好の機会でもあります。復讐を成すのか、それともその連鎖を止めるのか。クライマックスではその末路が描かれています。ラストはぜひその眼で確かめてみてください。パージという映画の、そして人間が生きるということの答えの1つが、そこにはあるはずです。

まとめ

急速に世界観が広がっている作品です。おそらく、人の数だけパージの物語があるのでしょう、殺す側、殺される側。殺戮を観賞する者、ただじっと耐え抜く者。できれば今後、殺される側の視点を主にした映画を観てみたいですね。なぜ殺されるのか。なぜ狙われているのか。どちらかというとミステリーの色が強い映画にすれば、この設定はより活きるのでは、とも思います。

まあ何はともあれ、続編が出てくるのを気長に待ちましょう。世の中には他にも見るべき映画がいっぱいありますからね。それでは、「パージ アナーキー」ぜひともご鑑賞ください。

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