ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』とは1997年公開のドイツのロードムービー映画である。監督はトーマス・ヤーン。製作・脚本・主演のティル・シュヴァイガーはモスクワ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞した。余命わずかなマーチンとルディが、死ぬ前に海を見ようと、ギャングの車を盗み海を目指すストーリーである。道中犯罪や騒動を巻き起こし、ギャングや警察に追われる身になるもなんとか逃れ、たどり着いた海を二人は眺めるのであった。

マーチン「天国で流行っていることは、海を話題にすることだ。壮大な美しさを語り合う」

海までの道すがらリッチなホテルに泊まるマーチン(左)とルディ(右)

海を見たことが無いと言ったルディに、マーチンが言った言葉である。この言葉の後には、「夕陽が海に溶けあう前に放つ、血のように赤い光を語る。そして海によっていかに太陽がその力を失うかを語る。残るのは心の中の炎だけ…」と続く。こうした、海についての会話をきっかけに、海を目指す旅が始まったのである。
終盤ギャングのボス、カーチスが海について語るシーンがあるが、天国と海についての内容がマーチンと酷似している所も注目すべき点である。

カーチス「じゃ行け、急がないと間に合わんぞ」

海について語るカーチス

カーチスの金を使い込んだマーチンとルディに、余命わずかな身で何がしたいのか尋ねたカーチス。海へ行きたいというマーチンと、海を見たことがないと言うルディに言った言葉である。
二人を逃がした後、海について部下に語った言葉が「天国では皆が話す、海のこと夕陽のこと…あのバカでかい火の玉を眺めてるだけで素晴らしい。海と溶け合うんだ。ロウソクの光のように一つだけが残る。心の中にな」である。マーチンが語っていた事に非常によく似ている。

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

大物ギャング役のルドガー・ハウアーのゲスト出演

渋いギャングのボスカーチスを演じたルドガー・ハウアー

出演時間は短いものの、大物ギャングのカーチスは男気ある渋い役柄である。このカーチス役は映画『ブレードランナー』でレプリカントを演じた大物俳優ルドガー・ハウアーである。
オファーの際、一日10万ドルという高額なギャラをマネージャーから請求されたのだが、支払えるような金額ではないと断念した。しかしルドガー・ハウアーは脚本に惚れ込み「マネージャーのいう事は気にしなくていい、出演することに決めているから」と言い、出演を快諾した。

タクシー運転手だったトーマス・ヤーン監督と主演ティル・シュヴァイガーとの出会い

主演のティル・シュヴァイガー(左)と監督のトーマス・ヤーン(右)

タクシー運転手をやりながら脚本を書いていた、トーマス・ヤーン監督はたまたま書店で出会った主演のティル・シュヴァイガーを見つけて話しかけた。このことがきっかけとなり、トーマス・ヤーンが書いた脚本をティル・シュヴァイガーに見せるようになる。
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』については、トーマス・ヤーンが書いた元のストーリーを、ティル・シュヴァイガーが手直しして完成させた。
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』の重要なキーワードとなる海については、トーマス・ヤーンが幼い頃祖母の友人が海に行った事がないと発言したことがヒントとなっている。子供の頃から海と言う存在はトーマス・ヤーンにとっては身近なものであった。その為、海を知らない人間がいるなんて信じられない反面、海を知らない人間を魅力的にも感じたとインタビューに答えていた。

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』のエンディング曲

エンディング曲:Selig 「Knocking on Heavens Door」

原曲はボブ・ディランの「Knockin on heaven's door」(天国への扉)である。
誰しも耳にしたことがあるであろうこの名曲をドイツのバンドSelig(ゼーリッヒ)がカバーしたものが使用されている。
この他、多くのアーティストにカバーされ、様々な映画やドラマに使用されている。
因みに日本では、この映画のリメイク作品として2009年に公開された『ヘブンズ・ドア』で「Knockin on heaven's door」のカバーをアンジェラ・アキが歌った。

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