トランスポーター イグニション(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『トランスポーター イグニション』とは、2015年製作のフランス・中国のカーアクション映画でシリーズ4作目。監督は カミーユ・デラマール、製作・脚本は前作に続きリュック・ベッソンが務める。エド・スクライン演じるフランクはプロの運び屋を裏社会で営んでいるが、依頼人に父親を誘拐されてしまいロシアマフィアとマフィア娼婦のいざこざに巻き込まれてしまう。前作同様卓越したドライビングテクニックと格闘シーンはもちろん、フランクの父とフランクとの家族愛も見ることができる。

『トランスポーター イグニション』の概要

『トランスポーター イグニション』(原題The Transporter Refueled)とは、2015年製作、公開となったフランス・中国のカーアクション映画。ジェイソン・ステイサム主演の『トランスポーター』シリーズのリブート作品として発表された。
撮影は2014年8月1日フランスのパリで始まり、2015年9月4日アメリカ、2015年9月9日フランスでの公開となった。
本作では主人公のフランク・マーティン役にジェイソン・ステイサムに代わって英国の新鋭エド・スクラインが抜擢される。
シリーズ4作目で主人公が変わるという不利な条件の中、多くの人に受け入れられている数少ない映画の一つだ。

製作・脚本は前作に続き『TAXi』シリーズ等で知られるリュック・ベッソン、監督はカミーユ・ドゥラマーレが務める。前作同様卓越したドライビングテクニックと格闘シーンはもちろん、本作では初めてフランクの父が登場し、フランクとの親子愛も垣間見ることができる。

前3作で主人公を務めたジェイソン・ステイサムが続投しなかったことについてははっきりしていない。
背景に契約上の問題があったと言われていたり、『トランスポーター イグニッション』では、フランクの若い時代という設定になっている為、当然キャスティングも若い俳優に変更する必要に迫られたとも言われている。
ただ映画関係者によると、ステイサムは続投の意思はあったと言っている。

公開当初はアクションシーンや演技などについては称賛を受けた本作だが、脚本はひどいと映画評論家や観客から否定的なレビューを受けた。
映画批評家のレビューは、アメリカの映画評論サイトRotten Tomatoesでは、94件のレビューで支持率が16%、平均評価は3.8 / 10であった。批評家からは、「カーアクション以外の見どころはない」と厳しい批評を受けている。
一方、Metacriticでの映画のスコアは32、CinemaScoreでは、A +からFのスケールでB-の判定を受けた。
しかし否定的な評価にもかかわらず興行収入は2200万ドルの制作予算に対して世界で7200万ドルの収益を上げ成功を収めている。

ある日、裏世界で名の知れる運び屋のフランクは、美女のアンナにトランスポートの仕事を依頼される。契約は、アンナと荷物2つを運ぶという内容だった。
しかし任務当日、アンナと共に現れたのは2つの「荷物」ではなく二人の「人」ジーナとキャオだった。

フランクは「契約後の変更は認めない」というルールに反するから依頼をキャンセルすると言った。しかしフランクの父がアンナの仲間マリアによって捕らえられており、父の頭に拳銃が突きつけられているビデオまで見せられたフランクは、依頼を受けざるを得なくなってしまう。

銀行強盗を働き、銀行から出て来たアンナたちを乗せたフランクの車は、警察とのカーチェイスを繰り広げながら鮮やかなドライビングテクニックで警察の追っ手を振り切っていく。ようやくアンナとその仲間を倉庫に送り届けると、そこには父親と4人目の美女マリアが待っていた。

依頼を遂行したフランクは父と共にその場を立ち去ろうとするが、アンナたちはまだフランクを必要としていた。そのため、アンナはフランクに「フランクの父親が飲んだビールに毒を入れた」と告げ「解毒剤が欲しければ協力しなさい」と脅迫する。
フランクは父親の命には変えられないと、アンナの2つ目の依頼を受けることにする。
アンナ達の最終的な目的は、自分たちを奴隷として扱うロシアマフィアのトップであるカラゾフへの復讐だった。
アンナはカラゾフの資産をすべて盗もうと目論む。銀行からカラゾフの会計士スタニスラス・トゥルギンの帳簿や現金、宝石などを盗んだ。またカラゾフの幹部であるユーリとイマソフから銀行へアクセスするための情報を盗み彼らのお金をマリアの口座へと送金する。

2つめの任務を完了しフランクとフランクの父はその場を去る。しかしフランクが、今回の事件に関わっていると知ったカラゾフはフランクの父をとらえてアンナたちを連れてくるように脅す。
再びアンナとフランクは協力しあうことになる。

フランクの愛車は本作ではアウディA8からアウディS8に変わっており、前作よりもパワーアップしたフランクのドライビングテクニックが堪能できる作品だ。
また、ただのカーアクション映画ではなく、ヒューマンドラマの要素も加わっている。若い頃のフランクを描いているためフランクのルールも人情にほだされ破ったり、人間味のある前作とは一味違う魅力的なフランクを見ることができる。

『トランスポーター イグニション』のあらすじ・ストーリー

15年前のアンナとカラゾフ率いるロシアマフィア

15年前のアンナとカラゾフ

1995年のコート・ダジュールの怪しげな歓楽街にて。一台のワゴン車が止まり、中からロシア系マフィアが出てくる。
「今日からここは俺たちの縄張りだ」と言って、クラブ前にいた若者を捕まえる。ロシアマフィアのボスであるアルカディ・カラゾフは、捕まえた若者にカラゾフのシンボルマーク「クール・ブリゼ」(絶望)だけが記された名刺を渡す。
そして銃を乱射し力を見せつけると、ワゴン車の荷台からまだあどけなさが残る美女たちがゾロゾロと降りてくる。彼女たちはロシアマフィアのカラゾフに脅され売春婦として働かされている少女たちだ。
そして、その売春婦のうちの一人がアンナという少女だった。
カラゾフは女性たちを道に立たせて「しっかり稼げよ」と言い立ち去って行く。アンナは立ち去る車を憎しみを込めた眼差しで見ていた。

15年後の2010年、アンナの計画

現在のアンナ

それから15年の月日が流れ2010年。
アンナはまだカラゾフのために働かされていたが、自由になるため計画を立てていた。
喫茶店にいたアンナの元に一本の電話が入る。「今夜の準備はすべて整ったわ…アンナ、本気でやるの?今ならまだ引き返せるわよ」というアンナの仲間からの連絡だった。アンナはカラゾフに復讐するために仲間と計画を着々と進めていたのだ。もちろんアンナは後に引く気はない。

フランク・マーティンと愛車「AUDI S8」

ハイテクが掲載されたフランクの愛車AUDI S8はスマートフォンで発車、ドアオープンなどができる。

主人公のフランク・マーティンの愛車AUDI S8が停めてある駐車場には6人の車泥棒が忍び寄っている。最新テクノロジーを搭載したAUDI S8はフランクのスマートフォンからの操作でドアを開けたり車を発進したりできる。
フランクはスマートフォンからいいタイミングでドアを開けて2人の泥棒を床に倒す。
そしてゆっくりと優雅に登場するフランクは、「これ以上の技術革新はないと思っていてもどんどん発展するな」「そのうち自動運転になるだろうな。将来僕のような職業はなくなるかな?それとも今まで通り必要とされるかな?」といいながら車泥棒に近寄っていく。
車泥棒に「カギをよこせ」と言われるが、フランクは「この車は鍵なんていらないんだ。指紋認証だけでいいんだよ」と答える。
もちろん納得しない泥棒達と乱闘になる。フランクは、涼しい顔であっさり6人を叩きのめすと「約束に遅れる」と言い残し颯爽と去っていく。

フランク・マーティンの父フランク・シニア

フランクの父 フランク・シニア(左)とフランク・マーティン(右)

コート・ダジュールの海岸線を運転し、フランクはモナコ公国にある英国領事館へと車を滑らせる。定年退職した父を迎えに領事館に来たのだった。38秒遅れて着いたフランクは父に遅刻を責められる。
フランクに「どうだった?」と聞かれた父は「質問はしないんじゃなかったのか?」と返すと、フランクは「それは仕事のときだけだ。これは仕事じゃないでしょ」と父へ返事をする。
父は「滞りなくいったよ。791もらえた」と言う。フランクは「791,000ユーロ?悪くないね」と言うが、「そうではなく月額791ユーロだ。これが私の月額の年金だよ」と言う父に「定年おめでとう」とだけそっと付け足し紙袋に入ったプレゼントを渡す。中身はカモのパテの瓶詰だった。
英国に住んでいた父だったが、「妻の墓がある英国は、墓場にいるように感じる」とフランクの父は言う。そして「それに息子のそばにいたいからフランスへ来たんだ」と続ける父。さらに「自分が死んだら火葬にして灰は魚にやってくれ」と言う。
道中フランク宛てに非通知の電話が入るが「運転中は電話に出ない」と言って電話を切ってしまう。

父息子の水入らずの時間

食事を楽しむ父と息子

その日の晩は、父息子水入らずで食事を楽しむ。フランクは父に「これからどうするの?」と聞くと、父は「ヨットを購入してのんびりしようと思う」と答える。とても月額791ユーロの年金の老人の買い物ではないが、父は「今までに貯金したお金がある」と言う。
今まで約30年間ミネラルウオーターの営業をしていたという父だが、フランクは「ミネラルウォーターの販売なのにいつも危険な国へ、危険な時期に出張に行っていたのはおかしい」と疑いの眼差しで父を見る。フランクは父がスパイとして働いていたことに薄々感づいていた。
反対に父もVIP対応の運転手だと言っているフランクに「お前の客は、政府関係や映画俳優、企業の社長だもんな」と実は息子フランクの本当の仕事を知っているかのように皮肉っぽく言う。
ちょうどその時また非通知の電話がなる。裏社会のトランスポーターとしての仕事の依頼だった。フランクは電話の相手のアンナからの仕事の依頼を聞くため翌日マジェスティックホテルで14時に会うことを約束し電話を切った。

カラゾフの会計士スタニスラス・トゥルギンの悲劇

トゥルギンに銃を向けるジーナ

カラゾフの元で働かされている売春婦のジーナとキャオはリッツカールトンホテルの一室に呼ばれて出向いている。ジーナとキャオはアンナと共にカラゾフへの復讐を計画している仲間だった。
ホテルの部屋にはカラゾフの会計士スタニスラス・トゥルギンと用心棒がいて、権力を利用し二人の売春婦と一夜を楽しもうと目論んでいた。
ジーナは少し遅れて部屋にやってきて、到着するや否や持ってきた拳銃でトゥルギンと用心棒の二人を殺害して、トゥルギンの遺体のポケットから鍵束を盗んで自分のバッグにしまう。
床には、自分たちのカモフラージュとして道中に回収してきた、麻薬の過剰摂取で死亡していた女性の遺体を残していく。ジーナは女性の遺体にネックレスをつけるのを忘れないよう指示する。カラゾフの娼婦である証の「クール・ブリゼ」だ。
殺害した二人と共にホテルの部屋に残し、部屋を放火しその場を去っていく。
ジーナとキャオは逃げる前に「一人は皆のために、皆は一人のために」とアレクサンドル・デュマの三銃士のセリフを言いその場から逃げ去っていく。

カラゾフとその幹部達

ヨットでお楽しみのカラゾフとその幹部たち

カラゾフはカラゾフの幹部レオ・イマソフとユーリと共にアルコールを飲みながら半裸で踊る美女を前にくつろいでいる。イマソフ、ユーリというのは15年前、歓楽街にアンナたちを運び、銃を乱射し、売春を強要した輩だった。
15年経った今でもイマソフは今一つカラゾフを信頼していない。本人の手前、信頼していないのはカラゾフではなく彼の遣う売春婦たちだと言っている。そして話をユーリに振り、彼が現在自家用飛行機を住居として暮らしていることを知る。
彼らのお楽しみの最中に一本の連絡がカラゾフの元に入る。カラゾフの愛人で元売春婦のマイッサが電話を受けて、カラゾフに渡すと、それはホテルでの会計士トゥルギン死亡事件のことだった。カラゾフは警察に呼ばれ事情徴収をされることとなる。
警察に呼ばれたのは、3人目の遺体にカラゾフの売春婦の印であるペンダントがかかっていたからだった。

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