みんなの愛する「川原泉」80年代のゆる~いギャグマンガ

川原泉(かわはらいずみ)は80年代半ば、少女マンガ雑誌「花とゆめ」を中心に活躍し、女の子のみならず男の子や大人たちからも熱く支持された漫画家です。「花とゆめ」を出版している白泉社が40周年を迎えたことを期に、川原泉のマンガもリバイバル・ブームを迎えています。

川原泉の略歴

川原泉は1960年に鹿児島県で生まれました。大学4年在学中に描いた「ジュリエット白書」を初投稿。その後、1983年「たじろぎの因数分解」でデビューを果たしました。当時は正直あまり画力の点で評価されていませんでしたが、それを補って余りあるセリフの説得力ととぼけたギャグとであっという間に人気作家になりました。デビューコミックスの、イケメンなのに食べてばかりいるパイロットとその妻との生活を描いた「空の食欲魔人」は、30年の時を超えて語り継がれる傑作ギャグ短編集です。

ゆる系コメディーの頂点に立ったが…

川原泉のマンガはコマの中の絵に対してセリフが多く読みづらいという意見があるいっぽう、そのエスプリが効いた説明的なセリフが堪らないとしてマニアの間で絶賛されています。嫌々野球部の監督を引き受けた女性教師と落ちこぼれ部員が、計らずもとんとん拍子に甲子園に行ってしまう「甲子園の空に笑え!」。スケートが大好きだが踊るのはヘタなバレリーナの少女と、失脚したスピードスケート選手の青年がともにフィギュアスケートでペアを組む「銀のロマンティック…わはは」。そして本性を隠してお嬢様として生きるマイノリティーな3人娘を描いた「笑う大天使」は、後に実写映画化もされました。

精力的に作品を発表し続けていましたが、90年代に入ると連載が滞るようになり一旦は活動を休止しました。しかし、凄腕女性宇宙飛行士のキラ・ナルセと、のほほん社長のナッシュ・レギオンの冒険を描いたSF「ブレーメンⅡ」で連載に復帰。権威あるSF賞の星雲賞のマンガ部門とセンス・オブ・ワンダー特別賞を受賞しました。

2013年から、立て続けに川原泉の選集が発売されています。月夜にドレスを着て踊る性癖を持つ剣道部の硬派少年と、彼氏に振られて自信を失った少女との交流で静かな感動を呼ぶ「月夜のドレス」は傑作です。

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とんとん
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