殺し屋1(漫画・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『殺し屋1(いち)』とは日本のバイオレンスアクション漫画である。原作は山本英夫で1998年から週刊ヤングサンデーに掲載されていた。過激な暴力表現が特徴であり、2001年に三池崇史監督で実写映画化された時にはあまりにも激しい暴力シーンのため、性描写以外では初のRー18指定となった。元いじめられっ子の主人公「城石一(イチ)」は謎の男(ジジイ)のマインドコントロールによって凄腕の殺し屋に仕立て上げられていた。新宿歌舞伎町にある「ヤクザマンション」を中心にした暴力団との攻防・混沌を描く問題作。

ピアス用ニードル

井上に向かってニードルを向ける垣原。

マゾの垣原が常に持っている武器のようなもの。本来はおいピアスを開ける際に使用する物である。先端が斜目にカットされていて中は筒状になっている。実際のニードルは開ける穴の直径に違いはあるが、大抵ニードル自体の長さは5㎝ほどで垣原が持っているものほどの長さはない。一般医療機器であり購入の際には通販などを利用する必要がある。ピアッサーと違い切り裂きながら穴を開けるので身体に痕が残りづらいのが特徴である。
垣原は任務を失敗した組員の体中にピアスを開けて戒めとしていた。自分自身も陰部や顔面に無数のピアスを開けている。

「イチによる平和の新宿(ハイキョ)計画」

ジジィは計画を綿密に組んでいた。

「イチによる平和の新宿(ハイキョ)計画」とはジジィがヤクザマンションの一掃を含めた一連の計画である。計画によるとジジィには殺される人物は最初から決まっており、本来組んでいたイチ以外のはぐれ組の鈴木・昇・龍もまたジジィに利用されているだけだった。
計画が成功した三年後には使い物にならなくなったイチの代わりに「タケシによる平和の新宿(ハイキョ)計画」を計画し実行に向けて動いていた。

SM用語

マゾ(マゾヒスト)

マゾ(マゾヒスト)とは性的嗜好の一つマゾヒズム(被虐性欲)を持つ人のこと。頭文字を取って「M(エム)」と呼ばれることが多い。肉体的、精神的または両方に苦痛を与えられたりすることで羞恥心や侮辱感を煽りそれが性的に興奮すること。実際しなくても想像することで興奮することも同じ性癖と言える。
本作では垣原がそれに当たる。垣原の場合は痛みを全て快楽に捉える究極のマゾだった。そのため痛みに尋常ではないほど強く、自分がダメージを負っても相手を攻撃することができた。スーツの下では上半身と性器を縄で縛り付けていた。
カレン扮する立花も「苦痛系」のマゾだと言っていたが実際ジジィの台本を読んでいただけなのでそうではなかった。

サド(サディスト)

サド(サディスト)とは性的趣向の一つサディズム(加虐性欲)を持っている人のこと。頭文字を取って「S(エス)」と呼ばれることが多い。相手(動物を含む)に身体的に虐待を与えたり精神的に苦痛を与えることによって性的快感を得る。痛めつけられた相手を想像することで性的興奮を得るタイプである。マゾとは対局に捉えることができるが、サディスティックを求めるマゾに対してサドの場合は相手がマゾでない場合が多い。
本作では極端なサドのイチを始め二郎・三郎、セーラの情夫などがサドに当たる。そしてマゾの垣原も一方ではサドの面もある。極端な場合は精神疾患「性的倒錯(パラフィリア)」と診断される。シリアルキラーの多くはこの異常性愛者(サドやマゾ)であることで知られている。

サブインシジョン

垣原が昇に差し出したサブインシジョンの図

サブインシジョン(男性器切開)とは身体改造の一つのこと。医療用語ではなくフェティシズム(性的趣向を煽る偏った対象)的な用語である。身体改造といえば、タトゥ(刺青)やピアスなどが一般的にファッション的に用いられている。
サブインシジョンは男性器に対しての切開で、本作では垣原が昇に拷問としてハサミで真っ二つに切断している。本来は少しずつ何回も切っていく必要があり一気にやると出血多量で死に至るケースもある。画像のように切り方もその方法もさまざまである。
垣原自身は性器に無数のピアスが埋め込まれており、サブインシジョンは施されていないなかった。しかし最後にイチの蹴りがあたり昇と全く同じ形に綺麗に性器が切断された。

『殺し屋1』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

龍「对不起(ゴメンネ)……」

最後の一言を伝える龍。

ミユキを拷問され、捕まった龍は自分のことを想うミユキを目の前で犯され、ジジィの居場所を尋問され拷問された。ミユキの命と引き換えにアジトの場所を吐く。女の扱いに対して龍が二郎に意見すると二郎は龍の股間を思いっきり殴った。一番大きい悲鳴を上げたことに三郎が嫉妬し、それに対抗して龍の股間をナイフで突き刺した。ただでさえ瀕死の龍はと止めを刺されてしまい、最後に涙してミユキに「对不起(トエプチ)……」と中国語でごめんねと言った。龍の死を嘆いたミユキも二郎によって殴り殺されてしまう。
バイオレンスな内容が多い本作の中で一番読者が心を痛めたシーンである。

垣原「待っていた…オマエみたいな変態を」

イチの攻撃を受けてイチの本性を悟った時の垣原。

とうとうイチと対峙した垣原は泣き喚いているイチに攻撃され腕を切断された。その際に垣原は「なんだ、オマエの暴力は!?」と驚愕した。イチの完全なサディストぶりを目の当たりにした垣原は「相手が存在するからこそ発生する、すなわち…愛……!!オマエにはそれが全くない!」と言い愛がない故に美しいその矛盾を「聖人(セイント)だけが持てる矛盾!!」と評した。そしてそんなイチは垣原にとってまさに恋焦がれ、求めている相手だった。
垣原の異常性が分かり、さらにセリフのインパクトが本作のカオスさを表している。

ジジィ「なんてロマンチックなんだ」

イチから全力で逃げる垣原。

希望を持たなかった垣原は今まで恐怖を感じたことがないため痛みを感じなかったという。しかしイチに痛めつけられ垣原は「何度も死にたい」という希望を持ってしまい、初めて痛みを感じることができた。垣原がイチから逃げる様子をジジィは「希望に向かって走ってる」と表現し、それを追いかけるイチを「それに応える聖人(セイント)」と表現した。そしてジジィはその場面を「なんて…ロマンチックなんだ」とうっとりした顔つきで言った。
まるでこのシーンを予知してたかのようなジジィの発言。本作では見開きでこのシーンが描かれている。とても「ロマンチック」とは思えない絵面だ。

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