菅原孝支（ハイキュー!!）とは【徹底解説・考察まとめ】

インターハイ予選3回戦、青葉城西戦

青葉城西戦では1セット目のはじめ、菅原が考えた日向・影山の速攻のサインを及川に気づかれる。神業速攻のときは「来い」、普通の速攻のときは「くれ」。これは影山にとってプレッシャーになる。影山は、影山をライバル視している中学校の先輩、及川を苦手としていることもあり、徐々に影山はリズムを崩していく。菅原は、1セット目中盤に日向を呼び、例の合図を変える。

1セット目の中盤11-20と青葉城西に突き放されたところで、烏養コーチはセッターを菅原に交代する。菅原は影山に、「凹むなよ、1回リズムを変えるだけだ」と言い、烏養コーチは「影山、外からちゃんと見とけよ、そんで落ち着け、先輩のプレー見てな」と声を掛けた。菅原を投入したことで、烏野はリズムを取り戻す。
まずは、相手のスパイカーがブロックの低い菅原を狙って打ってくると読み、スパイクが撃たれる瞬間に1年生ミドルブロッカーの月島蛍（つきしま けい）とスイッチして青葉城西のエーススパイカー岩泉をドシャットブロックする。菅原は「デカい奴が隣にいると、やっぱ心強いな」と月島を褒めた。次に、レシーブがセッターにキレイに返ったらセンターのクイックがくると読み、日向に「慌てず少し溜めて飛びな」とアドバイスする。これが功を奏して、日向は青葉城西3年のミドルブロッカー松川一静（まつかわ いっせい）のクイック攻撃をドシャットブロックする。菅原は日向の頭を撫でて褒めた。

菅原は、その後も事前にチームメイトに伝えていたサインを使って、攻撃を組み立てていく。菅原・日向との速攻も決まり、烏野は徐々に勢いを取り戻していく。烏野の主将で3年の澤村も、「すがは、ずっとコートに立ったときのことをシュミレートしてきた、烏野のもう一人のセッターだ」と誇らしく思っていた。
菅原は「俺は影山と比べたら、技術も身体能力も劣るけど、チームの事は少しだけ長く見てきた。俺VS青葉城西だったら絶対敵わないけど、俺の仲間はちゃんと強いよ」と思っている。菅原の言う「俺の仲間はみんなちゃんと強い」という言葉は、影山の焦りを取り払う。また菅原は、青葉城西の速攻は烏野のより少しだけタイミングが遅いので、少しだけ溜めてから飛んだ方がよいことを烏野の選手たちに伝えるなど、試合後半の得点に繋がっていくような働きをした。

1セット目は青葉城西に先取されたが、相手チームの入畑監督には「（菅原について）もう1人あんな篤実なセッターがいたとは」と言わしめる。烏養コーチは、菅原の投入はチームメイトを平常心に戻すのが狙いだったが、完全未知な司令塔を入れることで、相手チームは完全に混乱していると言い、他の試合でもこれは通用するぞと喜ぶ。セット間、菅原は影山に言う。「俺たち、同じポジションを争う敵みたいな図式になってるけど、俺だっていっぱい試合出たい。今は後ろにお前が控えてる。すごく頼もしい。俺が入っているときの得点、お前が入っているときの得点、合わせて烏野の得点だ。俺は俺なりのベストな戦いを、お前はお前なりのベストを、それで青城（青葉城西高校）に勝つぞ」と伝える。このとき影山は、菅原と影山の目的は一緒で「目の前の試合に勝つこと」だと分かり、自分だけで何とかしようという焦りが薄れていく。

2セット目16-17のときベンチに下がった菅原は、コーチやマネージャーたちに「お疲れ様」と声を掛けられる。烏養コーチは、菅原に「青城と互角に戦ったじゃねえか。次はセンター戦をもっと使った方がいいかもな」とアドバイスをする。菅原は「次」という言葉が嬉しくて涙した。菅原は心の中で、「みんなの力を引き出せたら、青城とだってちゃんと戦える。でも、その先へ一歩進めば、烏野が誇る囮が100％機能しなきゃいけない、それができるのはお前だけだ、影山」と、影山に託した。

2セット目は烏野が取り返した。3セット目は接戦で、青葉城西に流れが行きそうなときに1年生の山口忠（やまぐち ただし）がピンチサーバーとして投入された。ここで、2、3年生を差し置いて出る山口が緊張しているのではないかと心配する2年生の声を聞き、菅原が考えたのがこのポーズである。烏野はここで空気が引き締まり、ラリーが続く大接戦となる。3セット目は土壇場で烏野が追いつき24-24のデュースになるが33-31で青城が取り、烏野は3回戦で敗退した。烏野バレー部は、強豪青葉城西を3セット目ギリギリまで追い詰めたチームとして宮城県のバレーボール選手たちの記憶に残った。

春高バレー全国大会へ向けて、烏野バレー部は再始動する

インターハイ予選宮城県大会では3回戦で敗退した烏野だが、春高バレー宮城県予選大会を8月に控えていた。菅原をはじめ他の3年生らは皆、進路を決める大切な時期に差し掛かっていた。しかし、菅原ははじめから部活に残ることを決めていた。面接で先生から、部活を続けてもスポーツ推薦の見込みは少ないと伝えられても、菅原は「メリットがあるから部活をやっているわけではないです」と伝えた。澤村は主将という立場から、3年生は早く引退した方がいいかもしれないと菅原や東峰に相談するが、澤村の本音は「お前らとまだバレーしてえ」だった。菅原と東峰は、澤村の本音が聞けて安心したようだった。こうして3年生は全員バレー部に残り、菅原は後輩に「行くぞ、春高！」と声を掛けた。春高バレーへ向けて烏野バレー部は再始動した。

烏野バレー部、関東の強豪4校と出会う

菅原ら3年生にとって、春高は全国大会出場への最後のチャンスである。そのような折、練習試合が圧倒的に足りないと感じていた烏野バレー部に吉報が入る。一度、烏野高校が練習試合で対戦したことのある音駒高校の猫又監督の計らいで、関東の強豪、梟谷学園グループ4校との練習試合に烏野高校も参加させてもらえることになった。全国レベルの実力を誇る梟谷学園グループの強豪とは、梟谷学園高校（東京）、音駒高校（東京）、森然高校（埼玉）、生川高校（神奈川）で、梟谷学園高校と音駒高校とは、春高バレー全国大会でその後再会することになる。この時期、烏野には1年生のマネージャー谷地仁花（やち ひとか）も加わる。梟谷学園グループ4校と烏野高校は、1学期の期末テスト明けの東京遠征（場所は音駒高校）、夏休みの長期合宿（森然高校）、春高宮城県決勝トーナメント前の長期合宿（梟谷学園高校）で切磋琢磨し、進化していくことになる。菅原は、同じタイプの音駒の3年生リベロ夜久衛輔（やく もりすけ）とよく話していたようだ。

この時期、烏野バレー部はそれぞれに新しい課題に取り組んでいた。夏休み合宿中の梟谷学園高校とのある試合で、菅原はシンクロ攻撃のトスを上げようとして失敗したりしている。画像はその時のものである。烏養コーチがブラジルの試合の動画をチームメイトに紹介して、やってみようということになったのだ。シンクロ攻撃とは、スパイクを打てる選手が一斉に走り出し、スパイカーの誰にトスが上がるか分からない攻撃で相手チームを攪乱し、スパイクが決まりやすくなる攻撃である。菅原たちは、合宿中の自主練を通してファーストテンポのシンクロ攻撃の練習を重ね、次の公式戦までに完成させる。また、菅原がトスを上げられないときに、リベロの西谷が代わりにトスを上げる練習もしていた。西谷がアタックラインでジャンプしてトスを上げ、菅原らはそのトスに合わせてスパイクを打つのだが、これはシンクロ攻撃にも応用できたため、後の試合でも沢山登場する。

春高バレー宮城県予選を勝ち抜く

いよいよ春高バレー宮城県予選が始まった。この日、烏養前監督が試合を見に来ていた。1年のコンビも凄いが、2、3年生が予想以上にしっかりしていると言い、基盤があるからこそ強いチームになっていけるのだと賞賛している。烏養前監督が一時期烏野バレー部を指導した際には、（菅原・澤村・東峰らは）実力も根性もあったのに自信のなさが見え、無意識のうちに負けに慣れてしまっているかのようだったが、不遇な時期に入部して腐らずにここまで乗り越えてきた菅原達には、簡単には揺るがない強さがあると言っていた。烏野は、初戦の扇南高校には10点差をつけるなどの活躍でセットカウント2-0で危なげなく勝った。2回戦の角川学園高校には2メートルを超える百沢がいたのだが、コースの打ちわけのできない百沢のストレートを捨てて攻略。烏野は角川学園戦でシンクロ攻撃を解禁し、セットカウント2-0で角川に圧勝。烏野は順調に宮城県決勝トーナメントに進出した。

春高宮城県予選決勝トーナメントへ駒を進めた烏野高校

1回戦の条善寺戦では、1セット目中盤で影山が顔面ブロックをして鼻血を出して医務室へ。菅原が投入され、同時に投入された2年生のミドルブロッカー成田一仁（なりた かずひと）との速攻が早速決まる。その後も、シンクロ攻撃菅原版が豪快に決まり連続得点をもぎ取る。1セット目は25-21で烏野が先取した。2セット目も25-20で危なげなく烏野が取り、セットカウント2-0で烏野は2回戦へ進出した。
烏野・和久南戦では、1セット目20-17で烏野がリードしたところで澤村と田中が激突し、澤村が頬を怪我してコートを去ってしまう。普段から声掛けを欠かさない菅原も、このときばかりは一瞬無言になってしまう。そして、この場面では縁下力（えんのした ちから）しかいないぞと声をかけて応援する。澤村と代わって、2年生のウィングスパイカー縁下がコートに入った。縁下の気合の入ったレシーブから流れを取り戻した烏野は、このセット25-20で先取した。2セット目は20-25で和久南が取り返した。3セット目は同点が続く接戦となるも、25-23で烏野が取った。烏野はセットポイント2-1で3回戦へ勝ち進んだ。

天才セッター及川率いる青葉城西高校を破る

準決勝の相手は青葉城西高校だった。菅原は、この試合で日向・影山の速攻が1本決まってほしいと思っていた。なぜなら、前回インターハイ予選で戦ったとき、完璧なタイミングで攻めた日向・影山の速攻が読まれて、青城のブロックに止められて試合終了になったからだ。1セット目中盤に、進化した日向・影山の新しい変人速攻が決まり、日向・影山を誰よりも応援していた菅原は、「これで、スタートラインだ」と喜ぶ。ちなみに新しい変人速攻とは、日向がスパイクを打つ数秒をボールコントロールしやすいように、影山が「日向の打点をボールの最高到達点とするトス（日向の打点を最高到達点として落ちていくトス）」を上げるコンビネーション攻撃のことだ。新しい速攻が完成する前までは、影山が日向の打点を通過するスピードの速いセットアップで速攻を組み立てていた。こうして1セット目は25-23で烏野が先取した。

2セット目中盤で、烏野は流れを変えるためにピンチサーバーとして菅原を投入、戦術的ワンポイントツーセッターを試みる。菅原は、途中から青城に入ったウィングスパイカーの16番をけん制するサーブで連続得点を取る。攻撃では、菅原と影山がスイッチして菅原がトスを上げ、5枚のシンクロ攻撃が成立、影山の強烈なストレートで得点する。烏野は、菅原の活躍で2点差まで縮める。この後ピンチサーバーの1年山口忠（やまぐち ただし）が連続得点を叩き出し、烏野は23-23の同点に追いついた。その後も取っては取り返しを繰り返す接戦となる。しかし2セット目は26-28で青城が取り返した。

3セット目は大接戦となり、1点差の攻防が続く。長いラリーが続き、宮城県予選のレベルを超えるようなハイレベルな試合となった。22-24で青城が先にマッチポイントを迎えた。23-24で戦術的ワンポイントツーセッターとして、再び菅原が投入された。菅原はサーブで青城のスパイカーをけん制し、ラリーの末、16番の強烈なスパイクを影山と日向が止めてブロックポイントで24-24のデュースになる。引き続き菅原は、相手方スパイカーをけん制するサーブを打ち、相手方スパイカーが白帯に引っ掛けフェイントのように返ってきたボールを、飛び込んでレシーブするファインプレーで拾う。菅原がレシーブしたので、及川は影山の攻撃はないと思っていた。しかし、烏野は影山版シンクロ攻撃で攻め、影山が頃合いのツーアタックを決めた。こうして25-24となり、烏野が勝ち越した。

菅原のサーブが続く。ボールが互いのコートを行き来すること7回、最後は日向・影山の速攻が相手方ブロックの指先にあたり、そのボールをコースに回り込んでいた及川がはじいて試合終了。セットカウント2-1で烏野が長い試合を制した。烏野高校は、春高宮城県大会決勝戦へ進出した。漫画17巻の巻末には、烏野に負けてコートを後にした青葉城西の選手たちのその後の行動が描かれている。及川が高校生最後の試合で烏野に負け、仲間とラーメン屋に入り、ラーメンを替え玉する場面が描かれている。

春高宮城県大会決勝、白鳥沢学園戦が始まった

決勝戦の相手は宮城県では負け知らずの絶対王者、白鳥沢学園高校だった。相手のエーススパイカーは全日本ユースに選ばれている3年生のウィングスパイカー牛島若利（うしじま わかとし）だ。初めてセンターコートで決勝戦に挑む烏野の選手たちは、緊張からかミスが続き、相手に連続ポイントを許していた。そのとき、ベンチにいた菅原は、大声をかけて選手たちに喝を入れる。菅原は審判に睨まれるが、これで烏野は冷静さを取り戻す。まず、2年生でリベロの西谷夕が、牛島の強烈なサーブを完璧にレシーブしたことが合図となり、徐々に牛島を攻略していく。この時の得点は9-17だ。1セット目は16-25で白鳥沢が先取した。

2セット目中盤、月島がサーブで後衛に下がったところで、菅原がピンチサーバーとして投入された。烏野はこの試合では初めて戦術的ツーセッターで攻めた。シンクロ攻撃で、菅原は影山にトスをあげスパイクが決まり、再び17-17の同点となる。ワンタッチ、リバウンド、カウンターからの攻撃など、直接得点に繋がらないプレーも試合では効いてくる。烏野は月島ら3枚ブロックから牛島のスパイクのコースを絞り、ストレートに誘導した先に居るリベロ西谷が拾って攻撃に繋げる。トータルディフェンスから烏野はスパイクを決め、烏野のリズムが整ってきた。26-25で烏野が再びリードしたときに白鳥沢は初めてタイムアウトをとって流れを変えようとする。接戦の末、月島が牛島をドシャットブロックして31-29、烏野は2セット目を取り返した。

白鳥沢戦ファイナルセットでスターティングメンバーに起用される

3セット目は白鳥沢が、4セット目は烏野がセットを取り返して、ファイナルセットまで縺れこむ大接戦となった。初めて5セットマッチを経験する烏野は、セッター影山に疲れが見え、ミスが目立つようになっていた。烏養コーチは、ファイナルセットのスターティングは菅原のセッターで行くと決める。菅原は「へばったらいつでも交代するぞ」と言ってはいたが、実際に出番が回ってくると、周りの声が聞こえなくなるほど緊張していた。ここで、「体は温まっているのに手は冷たい」と震える菅原の手を、マネージャーの清水が握ると一気に菅原の緊張はほぐれた。5セット目は15点までだ。
菅原は、東峰にトスをあげ1点目を先取した。その後も、菅原がファーストタッチで西谷がアタックラインからジャンプトスを上げ、リベロの西谷以外が全員シンクロ攻撃に入り、菅原がスパイクを決める。菅原はセッターを狙った返球をするなど、常に考えながら賢明なプレーでチームに貢献する。烏野は序盤白鳥沢をリードし、白鳥沢の鷲匠鍛治監督（わしじょう たんじ）は堪らずタイムアウトを取る。しかし、烏野に感化された牛島はその後調子を上げてくる。烏野の月島のブロックは研ぎ澄まされて大活躍をしていたのだが、牛島のスパイクに触ったときに小指を脱臼する怪我をして医務室へ行ってしまう。月島の悔しがる顔に、烏野の選手たちは闘志を漲らせる。

牛島のサーブのターンで6点連続ポイントを許すが、その直後、菅原のセットアップで田中が危なげなく決め、烏野は6-8と2点差に詰め寄る。菅原は日向とブロックに入ったとき、ストレートには頼れる澤村がレシーブを待っていることを意識して、クロスを閉めスパイクを澤村に誘導するトータルディフェンスもきちんとこなしてチームのリズムを整える。
菅原は、シンクロ攻撃のスパイクを2度目に担当した際に、相手方にドシャットブロックを決められていた。しかし、怖くても逃げずに「次もやるから」と、相手方ブロッカーに負けない姿勢を貫き、再びシンクロ攻撃オールで、結果田中がスパイクを決める。ここで菅原は、影山と交代した。5セット目は烏野が2点差を追いかける試合が続く。相手のサービスエースが決まって9-12と3点差になったところで烏野はタイムアウトを取る。その後、烏野はピンチサーバー山口の連続ポイントなどで12-12で追いつき、あっという間に13-12と白鳥沢を抜き去った。しかし白鳥沢もすぐに取り返す凄まじい攻防戦が繰り広げられる。そして13-14で白鳥沢のマッチポイントを迎えた。烏野はまずシンクロ攻撃で澤村がスパイクを決め14-14。続いて牛島の2回目のスパイクが決まり14-15。烏野は影山のツーアタックで15-15に追いつく。ここで怪我の応急措置を終えた月島がコートに帰ってくる。

3回連続牛島のスパイクを含む長いラリーのあと、田中のスパイクが決まり16-15で烏野がリードする。1点差の攻防戦を制したのは烏野だった。最後は日向がシンクロ攻撃に紛れて、ファーストテンポのバックアタックを決めた。ファイナルセットは21-19、セットカウント3-2で烏野が白鳥沢戦に勝利した。烏野高校は、春の高校バレー宮城県大会で優勝し、5年ぶり9回目の全国大会出場を決めた。菅原をはじめ、3年生の澤村や東峰、マネージャーの清水は皆泣いていた。長い不遇の時間を過ごした菅原ら3年生が、チャンスを掴んだ瞬間だった。表彰式では、3年生の菅原は副主将として優勝杯を手にした。