心に響く、作家たちが作品中に残した名言集part2

作家たちが作品の中で叫んでいる言葉は無数にある。それこそ、人の数ほど、星の数ほど、作品の数ほど。今回も作家たちの含蓄に富む言葉たちを紹介していきたいと思う。

生きていくのが一番健康に良くない

伊坂幸太郎著のエッセイ「3652」の中で、彼の父親が発した言葉だ。
なんたるユーモア、なんたる皮肉。生きる為に健康になろうとするのに、その生きるということそれ自体がまさか健康に悪いとは。確かに言い得て妙である。人生は不健康の連続だ。この言葉で心の奥底でもやもやしていた何かが晴れていくような感覚を覚えた。知らず知らずのうちに全身に絡みついた目に見えないしがらみを振り切って、健康に悪い人生を全力で走ろう。そう思えた。

小説を書くということは、いままで一度も起こらなかったことを思い出すという事

打海文三の描いた作品「1972年のレイニーラウ」に出てくる一節だ。
この言葉は作家ポール・オースターの妻であるシリ・オースターが言ったものだと、作品内では紹介されている。いままで一度も起こらなかったことを思い出すとは、なんて素晴らしくロマンチックな言葉だろう。言語には過去も未来もなくて、時間という概念が一切通じないことを思わせる。矛盾した表現は、だからこそ生きているように思える。人間と同じだ。矛盾だらけの人生を、なんとか辻褄あわせて生きていっている。矛盾してない人生は、誰かの描いた物語をなぞるようなものなのだろう、そんな気がした。

あたしたちのすることは、どんなことでも――生きていくことを目指しているんだと思うだよ

スタインベックの名著「怒りの葡萄」から。
究極のポジティブ名言だ。この志さえ持っていれば、きっといつまでだって、どこでだって生きていける。
この言葉は「怒りの葡萄」の中でだからこそ活きる。貧農家族の生活を題材にしたこの作品は、重厚かつ、偉大だ。こんな時代に産まれてこなかっただけ、私たちはまだ恵まれているのだと思ってしまう。そんな人間として極限の地に立たされながらもこんな言葉を吐ける人間は、おそらくいない。
全てを生のエネルギーに変えてしまうこの魔法の言葉は、きっといつまでも私の中で生き続ける。

まとめ

いかがだったでしょうか。
作家たちの残した名言たち。今回は図らずも人生にまつわる言葉ばかりが集まった。言葉は自由で、偉大なもの。毒にもなるし、薬にもなる。しかし、そんな中で煌めく言葉は案外簡単なものだったりするのが、驚きだ。
あなたも好きな言葉を探しに物語の世界に出かけてみてはいかがだろうか。

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