サンダーアーム／龍兄虎弟（香港映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

CV：森川智之、関俊彦、堀内賢雄
ジャッキーの幼馴染みで、彼とは音楽バンド「LOSES」として活動していた。現在はソロ歌手として活動しているが、同じくバンドの元メンバーで現在は恋人のローラが誘拐されてしまう。そこでジャッキーに助けを求めて、彼が宿泊するホテルに出向く。そして、ローラを助けるには神の武具が必要だとジャッキーに話す。しかしジャッキーから、獲得したという武具は既に売り、また武具は全部で五つ存在するとも告げられる。また五つのうち、二つはバノン伯爵が持ち、もう一つはある女性がオークションで買ったと話す。それでもどうにかローラを救って欲しいとジャッキーに頼み込む。ジャッキーはローラをめぐって揉めた挙句、バンドを脱退した事を引きずっており、頼みを断ろうとする。しかし情に厚いジャッキーは頼みを受け入れ、共にローラを助けに向かう事となった。
バノン伯爵が住む屋敷へ向かい伯爵本人と対面、ローラが邪教集団に誘拐されて、彼女を助ける為に持っている神の武具を貸してほしいと申し出る。しかしバノン伯爵は、武具を返す保証は無いと言い、中々貸してはくれない。一方で、バノン伯爵の屋敷内に保存されている美術品を見ていく事となり、それらの中に神の武具も保管されていた。また屋敷で泊まっていく事となったが、ローラを早く助けたいと思い、武具を盗む事をジャッキーに持ちかける。それに対し、ジャッキーが盗みは駄目だと反論、互いに意見が衝突したまま就寝。
翌朝、居ても立っても居られなくなり、単身で武具を盗みだそうと試みる。護衛用の大型犬に対し、食べ物をエサとしておびき寄せようとしたが、バノン伯爵や彼の娘の命令しか聞かず、大型犬に囲まれ怯える結果となった。そこへジャッキーがやってきた後、犬達を去らせる合図を送る女性がやって来る。彼女はジャッキーがオークションで出品した聖剣を落札した女性で、バノン伯爵の娘メイだった。バノン伯爵は武具を盗みだそうとした事に対し、警察を通報し焦る。ジャッキーは、三つの武具を貸して貰えるなら残り二つを見つけ出すと告げ、バノン伯爵も同意する。メイも武具を探す旅に連れて行けと言い、三人で武具の探索、ローラ救出の旅へ向かう事となった。
一同で邪教信者達のいる街へ向かい、それぞれの行動に分かれる。単独で行動をしていた際、邪教信者数人に声を掛けられ、ローラの写真も見せられる。それに驚きつつ、彼らについて街の一角へ向かう。彼等から武具を見せる様に持ち掛けられる。しかし自分が用意していたものは偽物で、それを知った分かった信者達により拉致されようとする。そこへ駆けつけたジャッキーに助けられる。しかしそこへ、他の大勢の信者達が現れた為、ジャッキーと共に車で逃走する。信者達がバイクや車で追跡するなか、街中でのカーチェイスの末、逃走する車が橋の上で信者達により挟みうちにされる。しかしジャッキーが車を操作し、「動く座席」で脱出して、信者達を横切り逃走する。そんな行動に目を奪われた信者達の車が互いに衝突、橋の上で爆発、炎上する。
その後、街の飲食店従業員から、邪教信者達が街から女性達を連れ出し娼婦として招く事や、麻薬の密売も行うと聞き出す。ジャッキーと二人で信者から服を奪い彼等に扮し、またトラックに同乗する女性を装ったメイと共に神殿に向かう。トラックが邪教神殿に到着し、女性達と共に神殿内へ入ると、ジャッキーと信者の一人からローラが囚われている場所を聞き出す。その場へ向かうと、邪教教団長から鍵を奪ったメイとも遭遇し、ローラが収容されている部屋の鍵を開けてローラを救出、トラックで神殿から逃亡。
屋敷に戻り就寝につこうとするが、ローラが突然ローラが武具を見たいと言い出した為、その事をジャッキーに話す。ジャッキーと二人でメイの部屋から武具を持ち出そうとするが、ジャッキー一人がタイミング悪くメイにメイに見つかる。ジャッキーは見せたいものがあるとごまかして彼女を自分の部屋に連れて行っている間に、メイの部屋から出て行く。ジャッキーのもとへ向かうと、彼は一人でジャッキーは話しかけながら部屋の外へ連れて行く。この時、部屋には邪教集団により操られたローラがいて、ジャッキーを誘惑した後に浴室に向かっていた。ジャッキーと別れた後に突然、ローラと遭遇し、彼女はまだ薬による催眠は解けていない状態で、ローラにより薬を打たれてしまう。薬により催眠状態となり、ローラと共に武具を持ち出す。
その行動に気付いたジャッキーがメイと共に、再び邪教の神殿へ向かう。神殿にてジャッキーと再会、その頃は既に薬の効果は切れており、正常な状態となっていた。三人で神殿を脱出しようとするも、教団の食堂に落下し、多くの信者達に囲まれてしまう。ジャッキーから先に逃げる様に告げられ、言われるがままにローラと共に先にその場から逃亡する。ジャッキーは邪教集団と激闘を展開した後、崩壊する神殿から脱出する。一方で、ローラやメイらと神殿を脱出した後、気球に乗り込み、その気球の上に神殿出口から飛び出したジャッキーが落下して難を逃れた。
アラン役を演じたアラン・タムは、1970年代より芸能活動を開始し、ケニー・ビーやアンソニー・チェンらと音楽バンド「ウイナーズ」のメンバーとして活動。因みに、本作品の前半でジャッキーとアラン、ローラ達がメンバーとして活躍する音楽バンド「LOSES」は、アラン・タムやケニー・ビーらが在籍するグループ「ウイナーズ」の前身である「LOOSES」のパロディーである。1970年終盤からソロとしての活動を始め、1980年代にかけて数々のヒット曲を出し、不動の人気を得る。俳優としても、早見優共演『恋のカウントダウン』（1987年）や『カジノ・レイダース』（1990年）等、様々なジャンルの作品に出演。

ローラ（演：ロザムンド・クワン）

CV：日野由利加、佐々木るん、岡本麻弥
アランの恋人であり、ジャッキーとアランらと組んでいたバンドの元女性メンバーでもある。現在はファッションデザイナーとして活躍している。パリでショーをしていたところへ邪教集団に教われ、彼等に拉致される。ジャッキーとアランは、バノン伯爵から条件付きで残りの武具を借りるという条件で武具を借りる事となった。またバノン伯爵の娘であるメイも同行する事となった。
ジャッキー達が神殿に向かっている間、神殿内で拘束されていた。そして薬を打たれ、思うがままに操られていた。その後ジャッキー達により救出され神殿を脱出しバノン伯爵の屋敷に戻るも、薬により操られたままだった。そして就寝前にも関わらず、アランに神の武具を見たいと告げる。
ジャッキーとアラン二人でメイの部屋から聖剣を持ち出そうとするが、ジャッキーが彼女に見つかり失敗する。ジャッキーは見せたいものがあると言って、メイを自分の部屋に連れて行きその場を誤魔化す。ジャッキーが自分の部屋に行くと、何故かベッドの上にローラがいて、それを見たメイが激怒してジャッキーの頬を叩いて出て行ってしまう。そして、ジャッキーをベッドに押し倒して誘惑した後、浴室へ向かう。その直後、アランが部屋に入って来ると、ジャッキーはローラが浴室から出て来ない様にドアにもたれかかる。そしてジャッキーは、アランと会話をしながら部屋を出て行く。部屋の廊下で一人きりになったアランを狙って薬を打ち、二人で屋敷にあった武具を持ち出す。ジャッキーとメイが後を追い、神殿に向かうと、既に邪教集団による薬は切れており正常な状態となっていた。しかし直後に多くの信者達に囲まれ、ジャッキーに指示される如く、アランと共にその場から逃げ出す。ジャッキーから先に逃げる様に告げられ、アランと共に先にその場から逃亡する。ジャッキーが邪教集団と激闘を展開した後、崩壊する神殿から脱出。一方、アランやメイらと神殿を脱出した後、気球に搭乗し、気球の上に神殿出口から飛び出したジャッキーが落下した。
ローラ役を演じたロザムンド・クワンは、17歳で芸能界入りし多くの作品に出演。ジェット・リー主演『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズでの黄飛鴻の叔母役が当たり役となった他、『神鳥聖剣』（1992年）や『復讐のプレリュード 大冒険家』（1995年）等、アンディ・ラウと度々共演した。2010年頃に芸能界を引退後、2018年に自らのスキンケアブランドを立ち上げた。

メイ（演：ローラ・フォルネル）

CV：園崎未恵、土井美加、勝生真沙子
バノン伯爵の娘である。一見クールな感じだが、おっちょこちょいで流されやすい一面も持つ。
ジャッキーが獲得した聖剣をオークションに出品し、高値で落札してもらおうと、人を使って値段の吊り上げ行為を行う。すると、オークションの参加者の中で高い金額で入札を行う。ジャッキーは、吊り上げ行為を行っていた男に「吊り上げはもういい」というジェスチャーを送るが、男は見間違えて、支払い切れない程の高額で入札してしまう。焦るジャッキー達を見ながらも、更に上回る金額（40万ポンド）で入札し、聖剣は落札された。
その後ジャッキーがアランと遭遇し、彼の恋人ローラが誘拐され、彼女を救出する為に「神の武具」が必要だと話す。アランからの申し出を断り切れずに受け入れる事となったジャッキーは、二人で武具の一部を所持している資産家バノン伯爵の屋敷を訪ねる。そして、ジャッキー達がローラを助ける為に武具を貸してほしいと申し出たのに対し、バノン伯爵は返せる保証は無いと答え、武具を貸そうとしない。またバノン伯爵の提案により、ジャッキー達は屋敷内の美術品及び武具を見ていく、そしてその日は屋敷に泊まっていく事となった。
翌朝になり居ても立っても居られなくなったアランは、屋敷内にいた護衛用の犬を食べ物でおびき寄せている間に武具を盗み出そうとする。しかしそこにいた大型犬は、バノン伯爵や屋敷内の者の命令しか聞かない様にしつけられており、犬達に囲まれて怯える事となったアランだった。そこへ犬達を去らせる合図と共に、アランやジャッキー達の前に現れ、バノン伯爵の娘である事を明かす。またオークションに参加した際、ジャッキーが出品した聖剣に吊り上げ行為を行っていた事も知っていた。更にバノン伯爵は、武具を盗みだそうとしたジャッキー達に対し、警察を通報していた。焦ったジャッキーは、所持する武具を貸してくれるなら、残り二つを見つけ出すと告げ、バノン伯爵が同意する。すると武具を探す旅に連れて行く様に告げ、三人で武具探索、及びローラ救出の旅へ向かう事となった。
一同で邪教信者達のいる街へ行き、それぞれの行動に分かれる。メイは射撃のチャンピオンという事もあり、高所にて狙撃銃を用意して構える。アランが邪教信者数人にさらわれようとした際には、拉致しようとした邪教信者への狙撃を試みるが、誤ってアランを助けようとしたジャッキーの近くを撃ってしまう。それでも何とか標的を切り替え、邪教信者を狙撃し、アランを助ける。
その後、街で邪教信者達が女性達を連れ出したり、麻薬の密売も行うといった情報を聞き出す。
ジャッキーとアランらと共に、連れて行かれる女性達に混じってトラックに同乗し、邪教神殿に向かう。神殿に到着後、ジャッキーとアラン二人でローラを探しに向かっている一方、教団長が自分を連れてこられた女性の一人と思い、誰もいない部屋に連れて行く。教団長が襲おうとするも、顔をよける等して頑なに拒否する。更に酒瓶で殴ろうとした事で教団長に怪しまれ、連れて来られた女性ではないのではと疑う。それに対し、気分直しに酒を飲もうと教団長に言い、強い酒を飲ませる。教団長が泥酔してその場で倒れている間に、ローラが収監されている部屋の鍵を奪う。そしてジャッキー達と遭遇し、ローラが収容されている部屋の鍵を開けて彼女を救出、トラックから逃亡。
屋敷に戻ったその夜、邪教集団の薬により操られているローラが突然武具を見たいと言い出した為、ジャッキーとアランの二人が武具を持ち出そうとメイの部屋へ侵入する。しかしタイミング悪くジャッキー一人だけが見つかる。ジャッキーから見せたいものがあると言われ、彼の部屋に連れて行かれている間、アランは自分達の目を盗んで部屋から逃げていた。ジャッキーの部屋に向かうと、ベッドの上には何故かローラがいて、こんな光景を見せたいのかと激怒してジャッキーの頬を叩いて部屋を出ていく。
翌朝、ローラにより薬を打たれ操られているアランが、彼女と二人で武具を持ち出している事に気付き、ジャッキーと共に再び邪教神殿へ向かう。神殿でジャッキーがアランとローラを助け、ジャッキーは単身で邪教信者達との戦いを行う。その間、ジャッキーに先に逃げる様に告げられたアランやローラと共に神殿を脱出し、気球に乗り込む。その後、ジャッキーも爆発、崩壊する神殿から脱出し気球の上に落下した。
メイ役を演じたローラ・フォルネルは、1979年にミス・スペインで優勝し、同年のミス・ワールド、1980年のミス・ヨーロッパにてスペイン代表として出場を果たす。その後は女優としての活躍を開始し、ジャッキーチェン主演映画『スパルタンX』（1984年）や『ライジング・スターの伝説 』（1987年） 等へ出演。

バノン伯爵（演：ボジダール・スミルジャニック）

CV：金尾哲夫、阪脩、内田稔
資産家であり、世界のあらゆる美術品を自身の屋敷に納めている。また、邪教集団が世界征服の為に狙っている、五つの神の武具のうち二つも所持している。そこへジャッキーとアランが訪ねてきて、アランの恋人ローラを助ける為に武具を貸してほしいと申し出る。それに対し、彼等が返せる保証は無いとして、武具を貸そうとしない。一方で、屋敷内の美術品を見ていく様にジャッキー達に告げ、また屋敷に泊まっていく様にも言う。
翌朝、アランが護衛用の犬を食べ物でおびき寄せている間に、武具を盗み出そうとしたという事で、警察を通報する。するとジャッキーが、武具を貸して貰えるなら残りの武具を見つけ出すと告げ、それを了承する。また自身の娘であるメイが、ジャッキー達と共に武具を探す旅について行くと言い出し、ジャッキー達三人は残りの武具の探索、ローラ救出の旅に向かった。
以降の出演場面は無い。
バノン伯爵役を演じたボジダール・スミルジャニックは、『プロジェクトA2/史上最大の標的』（1987年）や『プロジェクト・イーグル』（1987年）等のジャッキー・チェン作品に出演。

魔王（演：ケン・ボイル）

CV：樋浦勉、安田隆、内海賢二
邪教集団の頂点に君臨する教祖であり、多くの信者を有している。神の武具を手に入れて、世界征服を企てている。またジャッキーが手に入れた武具である聖剣を手に入れようとする。そして、彼が以前活動していたバンドの元メンバーで、同じくメンバーだったアランの恋人であるローラに未練がある事を利用しようと考える。デザイナーとして活躍し、パリのファッションショーに出席していたローラを信者達に襲撃させ、彼女を誘拐する。
物語終盤、邪教集団の神殿にて信者達と激闘を繰り広げたジャッキーの前に現れる。またジャッキーが体中に巻きつけたダイナマイトを見せるが、ダイナマイトがハッタリとみて、信者達も再びジャッキーのもとへ歩み寄る。しかしジャッキーが、実際にダイナマイトへ点火させるのを見て、信者達と共にその場から逃げ出す。ジャッキーが投げ出したダイナマイトにより神殿が爆発し崩れ去り、その後の行方は不明である。
魔王役を演じたケン・ボイルは、『セブンス・カース』『十福星』（1986年）等、1980年代にかけて多くの香港映画やアクション映画に出演。

教団長（演：ジョン・ラダルスキー）

CV：塾一久、飯塚昭三、青野武
邪教集団の教団長であり、神の武具を手に入れて世界征服を企て、ジャッキーが手に入れた聖剣を手に入れようとする。以前ジャッキーが在籍していたバンドの元メンバーで、アランの恋人であるローラに未練があるとみて、ローラを信者達に誘拐させる。
ローラを助ける事となったジャッキー、アラン、メイの三人が、教団の神殿侵入する。ジャッキーとアランが二人で活動するなか、トラックで連れて来られた女性達に扮したメイを見つけて、彼女を誰もいない部屋に連れて行く。二人きりとなりメイを襲おうとするが、彼女は顔をよける等して頑なに拒否する。また近くにあった酒瓶で殴ろうとした行動を見て、連れて来られた女性ではないとメイを怪しむ。するとメイは気分直しに酒を飲もうと言い、彼女により強い酒を飲まされ、その場で酔い潰れる。その間にメイから、ローラが収監されている部屋の鍵も奪われる。
物語後半、邪教集団による薬で催眠状態にあったアランとローラが神の武具を持ち出した事に気付いたジャッキーが、再び邪教神殿に向かう。アランとローラを救い神殿から脱出させたジャッキーに対し、他の信者達と共に神殿内で激闘を繰り広げる。そしてジャッキーから蹴りを食らい、大きく回転し膝や頭部を机に強打、その場で悶絶する。
教団長役を演じたジョン・ラダルスキーは、『死亡遊戯』（1978年）やジャン＝クロード・ヴァン・ダム主演『キックボクサー』（1989年）等に出演した。2016年7月に死去。

『サンダーアーム／龍兄虎弟』の用語

邪教集団

世界征服を企む集団で、麻薬密売や女性を娼婦として神殿に連れ出すといった悪事を行っている。その発足は数千年前とかなり古いとされており、人々の生活を脅かしていた時、正義の神との戦いに敗れ去る。しかし未だに世界征服を行うべく、魔王を筆頭に多くの信者達を従い、行動を起こしている。そして正義の神がかつての戦いで使ったとされる神の武具を、全て手に入れる事により、再び世界征服ができるものと信じている。

神の武具

世界に五つしかなく、邪教集団が獲得しようとしている武具。数千年前、正義の神が邪教集団との戦いで使用されていたとされる鎧や剣が、伝説として現在まで語り継がれた。その武具の殆どが時が経つにつれて無くなっていくが、五つのみが世界の各地に散りばめられている。現在も邪教集団は、五つの武具を消滅させれば再び世界征服をできると信じている。