心に響く、作家たちが作品中に残した名言集

作家は時に、物語の中で含蓄に富む言葉を登場人物に喋らせることがある。それを意識して書いているのかどうかは知らないが、読者はそんな言葉をふと見つけた時、街の片隅で人知れず咲く一輪の花を見つけたかのような気持ちになる。
今回はそんな名言たちを、いくつかご紹介したいと思います。

みんなが無駄なことができる、それが平和なのである。

森博嗣の書くエッセイ、「つぶやきのクリーム」で出てきた言葉です。
平和の定義とはなんだろう。そう思った時に言いたい一言だ。
時間を無駄に消費できることの幸せを、これほど簡潔に説いた文章は他にはない。現代社会は豊かにはなったが、なんだかみんな余裕を失くしているような、そんな気がする。そんな社会が平和であるはずがない。
平和に過ごしたいのなら、無駄なことを、たくさんしよう。そう思った。

この世界は、いつの間にか一冊の巨大な本になっちゃった。

伊藤計劃の書く小説「ハーモニー」内で、ミァハという人物が言う台詞だ。
本来、それぞれの人生があるべきなのに、それらがまとまってしまって一冊の本になってしまった。人間という存在自体を一括りにして、1人1人は見ないようにする。まるで地球という檻に閉じ込められたかのような錯覚を起こす言葉だ。
管理社会ではおそらくこの方法が一番手っ取り早いのだろう。しかし、今は個人が尊重される社会だ。画一的な基準は意味をなさず、人々はそれぞれの人生を生きる。
人の数だけ、本がある。それが本来あるべき世界の姿なのだろう。

乾いた雑巾を絞るのを、努力っていうんだ。

中山七里の書く小説「スタート!」の一節だ。
努力しろとか簡単に言うけれど、それって一体なんなんだ、という疑問への明確な答えだ。この言葉を見た時、はっとした。曖昧だった「努力」という言葉が、はっきりと頭の中に像として浮かんだのだ。乾いた雑巾から、水滴が徐々に膨らんでいく場面を、思い浮かべた。
努力は本来苦しいものだ。言うだけなら簡単、やるとなると難しい。誰でもできることを、人は努力と呼ばない。
最近、努力という言葉をみんな使い過ぎなのだろう。だから、そのハードルが低くなってみんな努力努力言う。本来、努力ってものはとてつもないエネルギーを要するもので、気軽に口にしちゃいけない言葉なのだろう。明日から私も乾いた雑巾を絞ろう。

まとめ

いかがだったでしょうか。
作家たちが生み出した言葉たちは、時に私たちを勇気づけ、そっと背中を押してくれます。
言葉の力は偉大で、その可能性は無限大です。あなたも自分の好きな言葉を見つけてみては、いかがでしょうか。

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