小林正観氏が選んだ偉人たちのことば集「心に響いた珠玉のことば」心にしみることばのまとめ

小林正観氏をご存知でしょうか?心理学博士、教育学博士、社会学博士という多くの顔を持つ氏。学生時代より潜在能力や超常現象に興味を持ち、独自の研究を重ねてこられました。2011年に既にお亡くなりになっていますが、生前には全国を回り多くの講演を、そして多くの著書を執筆され、悩める人たちに生きる勇気を与えてこられた氏。氏が選んだ偉人たちのことばを解説した著書の中から、心にしみることばを紹介します。

利行(りぎょう) ~釈迦のことば~

「利行(りぎょう)」。これは四摂事(ししょうじ)、即ち菩薩が衆生(一般大衆)を救う4つの徳の中の一つです。
①布施(物や考え、思想などの贈り物する)
②愛語(安らぎを与えることばを投げかける)
③利行(自分の行いにより、相手に利益をもたらす)
④同事(周りと同じ服を着て、同じように働く)
いずれも人の救いであり、自身も日常的に積む徳の行為です。氏は特に「利行」という考え方はすごいと述べています。
私たちは幼い頃から夢や希望を持ちなさいと教えられてきました。それはあくまでも「自身がこうなりたい」という自分軸の視点です。「他人を繁栄させなさい」という教えは受けてきませんでした。
本書では「利行」のすごい効果を、ある例をもって示しています。ある営業マンは、がんばってトップをとったのですが、有頂天になってそのうち怠けていたら、一気にトップから後退してしまいました。それから挽回しようとがんばりましたが、なかなかうまくいきません。がんばっても成績があがらない営業マン。会社から「このままの成績なら、あと2ヶ月でやめてもらう」と通告を受けます。そこでその営業マンは、「どうせクビになるのなら、自分の成績を上げるという考え方はやめて、仲間のために力を尽くそう」と考えました。それからは、忙しく外回りをする同僚へ電話の要件をメモして机上に置いておいてあげたりなど、2か月間は徹底してサポートに回りました。そうしたら、新規顧客の大口案件が舞い込んできたりなど、奇跡的なことが次々と起こり、結局2か月後にはまたトップに返り咲いたのだそうです。
自分の利益だけを考えて行動する人を、神や宇宙は応援しないということ。すなわち、相手のためになろうと考えて行動する人には味方してくれるということですね。「まずは相手を潤わすこと」。これが結果的に、巡り巡って自分によい形になって返ってくる。これぞ「宇宙の法則」というものでしょう。

吾(われ)唯(ただ)足るを知る ~水戸黄門のことば~

水戸黄門、本名徳川光圀。徳川家の祖である頼房の三男で、テレビのような全国行脚で悪者を懲らしめるようなことはしなかったようですが、農業振興に注力するなど、たいへんな名君だったようです。
その水戸黄門が愛したことば、「吾唯足るを知る」。すなわち「自分がどれだけ恵まれているかを知る」ということです。人間は欲の塊であり、何か一つの欲求を満たせば、さらに次の欲求が出てきます。際限がありません。それ自体悪いことではないのですが、常に気ぜわしく穏やかではありません。物事への執着を捨てることができたときにはじめて、本当の心の幸せが得られるのではないかと思います。また、次から次へと求めているうちは、今自分が持っているもののありがたみを忘れてしまい、感謝の気持ちも薄れていきます。ゆえに「今持っているものにも目を向け、感謝しなさい」という黄門様のメッセージでもあるように感じます。そういった意味では、短いですが実に含蓄のあることばではないかと思います。

私の体を通してからにしてください ~天皇のことば~

このことばを目の当たりにして、本当にからだが震えるほどの衝撃と感動を受けました。これは、毎年元旦の早朝に、東西南北の空に向かってこうお祈りするのだそうです。
「もし、今年日本に災いが起きるのであれば、まずは私の体を通してからにしてください」
これを四方拝といい、代々天皇がやってこられた儀式で、皇太子時代からそう教え込まれるそうです。つまり「日本国民の平穏な生活を妨げるような災いならば、私自身がそれを一手に受けます」という、全国民の無事と平穏を願う天皇の崇高な精神。それをこの言葉から痛切に感じます。
病気や災いは、できればだれでも避けたいもの。しかし天皇はそれを敢えて受けてまでも、国民の幸せを願っているのです。大切な人のためだったら、それもまたありがたきもの。。。大切な人が受けるかも知れなかった苦しさ・辛さを自身が肩代わりしていると思えば、それも幸せなこと。そう思えたとしたら、病気やケガ、災いなどはつらいものではなくなるような気がします。本当にすごい言葉です。
本書では氏がこう述べておりました。東日本大震災で被災された方々をお見舞いされた際、天皇が膝をつかれて「本当にたいへんでしたね」とお声をかけておられた。それは単に慰めでも、励ましでもなく、自分の体で支えきれなかったという「申し訳なさ」を感じながらお見舞いされていたのではないかと。氏自身もこの言葉にかなりの衝撃を受けたようです。
天皇の崇高なお心に触れることができて、本当にありがたいと感じました。その域まで達することはなかなかできませんが、病気などの災いへの考え方が少し変わったような気がします。それほど深刻になったり、忌み嫌うものでもないのかと。。。それほどインパクトがあることばでした。

最後に

改めて「ことばの凄さ」というものを、この本からひしひしと感じました。また、この本に出会えてよかったと心から思った次第です。釈迦のことばにも四摂事の「布施摂(贈り物すること)」というものがありました。まさに氏から本を通してことばの贈り物をいただいたような気がします。本書では、他良寛、空海、正岡子規、キリストなどなど、多くの偉人が残したことばについて氏が解説、そして自身の思いを語っています。みなさんも是非お手に取って読んでみてはいかがでしょうか?

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