あのこは貴族(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『あのこは貴族』とは、山内マリコの小説『あのこは貴族』を原作としたヒューマンドラマ映画である。2021年2月に公開され、「富裕層」と「庶民」の鮮やかな対比が観客からの高い支持を得る。お嬢さん育ちの華子は婚活の末に理想の男性と結婚するが、嫁ぎ先からの重圧に悩む。大学進学を機に上京したが学費が続かず中退後、就職した美紀。「他力」を享受する特権階級と「自力」が前提の一般人を隔てる見えない壁。交わらないはずの「階層」を飛び超えた2人に見えてきた新しい自分。監督は、「グッド・ストライプス」の岨手由貴子。

廻船問屋(かいせんどんや)

江戸時代に商品流通を請け負った海運業者。

『あのこは貴族』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

華子「出会えないならいないと同じだよ。ぴったりの人って、たぶん一番の高望みなんだと思う」

ジャムを食べながら真と婚活の話をする華子。

華子が両親と住む松濤の実家では、お盆に家族が集まり、うな重を食べる習慣があった。遅れてやってきた姉香津子の夫の真が、隣室で母と姉の3人が華子のお見合いについて会話している声を耳にし、華子に「大丈夫だよ。まだ出会えていないだけで、華子ちゃんにぴったりの人いるから」となぐさめた。華子は「出会えないならいないと同じだよ。ぴったりの人って、たぶん一番の高望みだと思う」と言う。受け身的な印象の強い華子の意外な一面を表している。

華子「あの~、また会えますか?また会っていただけますか?」

お見合いの後、タクシーの中から幸一郎に話しかける華子。

「あの~、また会えますか?また会っていただけますか?」と積極的に頼み込む華子。婚活に辟易していたこともあって、こんなに理想的な相手に巡り会えた喜びが華子にこの言葉を言わせた。

逸子「東京って棲み分けされてるからね。違う階層の人とは出会わないようになってるんだよ」

華子と幸一郎とのデートの様子を聞く逸子。

華子が幸一郎と見合いをしたことを逸子に報告した時のこと。逸子は「東京って棲み分けされてるからね。違う階層の人とは出会わないようになってるんだよ」と華子を諭す。逸子は華子が東京の外からは入ってこられないような所で生きてきたことから、華子の結婚相手は東京出身でなければ絶対にダメだと思っていたことを打ち明ける。

美紀「それで目的っていうか、その子と会わせてどうしたいの?」

華子が同席すると聞いた美紀は不安になる。

高級なラウンジに美紀を呼び出した逸子の「実はこれ全然楽しい会じゃなくて。青木幸一郎さんが婚約してるってご存じですか?」との言葉に、美紀は「それで目的っていうか、その子と会わせてどうしたいの?」と本音を言う。もうすぐここへ華子がやってくることを知り、警戒が湧き起る美紀の言葉。まさか女性2人から糾弾されるのだろうかと不安になる美紀の狼狽が見てとれる。

美紀「だって悲しいじゃん。この10年間、幸一郎が一番の友だちだったから。私がどこで生まれたかも知らなかったでしょ?」

幸一郎に別れを切り出す美紀。

幸一郎と別れる決意を持っていつもの中華料理屋に出向いた美紀は幸一郎に徳島の名産品を「餞別」として渡した。2人が別れることに不満な幸一郎から「何?何かあったの?」と聞かれたことに対する美紀の返事は、「だって悲しいじゃん。この10年間、幸一郎が一番の友だちだったから。私がどこで生まれたかも知らなかったでしょ?」だった。幸一郎とは惰性で続いていたが、美紀の心の奥底にはこのまま関係を維持していれば、いつか幸一郎と結婚できるかもしれないという願望が潜んでいた。だが、幸一郎とはしょせん薄っぺらい関係でしかなかったことを、今はっきりと自覚したのだ。

里英「独身だから子どもを憎んでると思われるの悔しいじゃん!」

小さな女の子との触れ合いを楽しむ美紀と里英。

美紀とお茶をしていた時に、2人のテーブルに寄ってきた小さな女の子をあやす里英を見て美紀が「子どもの扱い上手」と誉めると、「独身だから子どもを憎んでると思われるの悔しいじゃん!」と、思わず出たユーモアのこもった里英のセリフ。独身という肩身の狭さが感じられる表現である。

美紀「ずっとそう言って欲しかった気がするから」

里英から「一緒に起業しよう」と言ってもらえて喜ぶ美紀。

里英から「一緒に起業しない?」と誘われ、「ずっとそう言って欲しかった気がするから」と返した美紀。里英の誘いに嬉しくなって言った本心なのだ。地元でしっかりとキャリアを積んでいる里英からのこの言葉をずっと待っていた美紀であった。

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