隊長さんと兵隊さんと神官さんと…「紫堂恭子のファンタジー・マンガ」

紫堂恭子は80年代後半に雑誌「プチフラワー」でデビューし、ファンタジー系少女マンガの代表ともいわれている漫画家です。その作風はキラキラした流麗な絵柄と、思わずクスリとするようなギャグのギャップ感で構成されています。紫堂恭子の作品世界をご紹介します。

辺境警備

1988年に発表されて以来、著者の代表作兼・最高傑作といわれている「辺境警備」。表紙やイメージビジュアルに描かれているのは美青年の“神官さん”ですが、本作の主人公は“隊長さん”と呼ばれる髭の中年おじさんです。80年代当時、アラフォーのおじさんが主人公のマンガは少女マンガ史上初めてと言われて話題になりました。ギャグとシリアスが混ざった作風は老若男女に愛され、一部からは「何故アニメ化されないのか!?」といわれているとか…

グラン・ローヴァ物語

「辺境警備」の連載中に他紙で発表された作品。ケチな詐欺師の青年と、偉大なる賢者“グラン・ローヴァ”のコンビが繰り広げる珍道中です。主要登場人物の年齢は「辺境警備」よりもさらにアップし、なんと100歳過ぎのおじいちゃん(笑)。ドタバタコメディーで始まるかに見えた冒険は、やがて世界の崩壊と救済に関わる大事件に繋がっていきます。

聖なる花嫁の反乱

戦乱の世にあって、隔絶された平和を謳歌する楽園・エーレ。しかしそれは、神の花嫁となった乙女たちの犠牲になりたつ偽りの平和でした。神の花嫁に選ばれた主人公のエリセ。彼女の幼なじみで恋人のリオンは、エリセを救うために二人で逃げ出そうとしますが―。巫女に選ばれたのにはねっかえりでおてんば、常に前向きで明るいエリセは、周囲の人を巻き込んで自分の運命を変えていきます。エリセの魅力は何といってもその勇気とパワー。ファンタジー・ヒロインにありがちな、“不思議な力を使って全て都合よく解決”なんてしないのが凄いところです。

イセングリムの夜警

現在連載途中となっている「イセングリムの夜警」。あの世とこの世の境界が曖昧で、生者と死者が交わる森“イセングリム”。その曰く付きの森の森番に任命された青年ウォルフ。村人たちが恐れて近づかないウォルフに、外からやってきたヒロイン・アメリアは偏見もなく近づいていきます。普段はコミカルな外見なのに、ここぞというところでかっこいいウォルフに痺れます。

とんとん
とんとん
@tonton

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