蒼天航路(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『蒼天航路』とは、1994年から2005年まで李學仁(原作・原案)・王欣太(作画)により『モーニング』に連載された漫画およびそれを原作としたアニメ。
本来は「三国志」の悪役とされる曹操を主人公とし、中国の後漢朝末期から三国鼎立時代にいたるまでの興亡を描く歴史作品。それまでにない新しい視点で三国志を描くことで、従来の三国志ファンのみならず新たなファン層を開拓。平成期の三国志ブームを牽引し、三国志が様々なメディアでジャンルとして定着し、大胆な脚色がされた作品が多く誕生するきっかけとなった作品。

曹操(そうそう)の西方遠征に対し、西涼(せいりょう)の馬超(ばちょう)を中心とする涼州(りょうしゅう)の軍閥(ぐんばつ)が反乱を起こす。
潼関(どうかん)で曹操軍と激突した馬超は、馬玩(ばがん)とともに曹操を襲撃する。曹操は負傷し、許褚(きょちょ)に守られてなんとか撤退する。
曹操の軍師・賈詡(かく)は離間の計を考案し、曹操は軍閥の中心人物である韓遂(かんすい)と合う。その結果、軍閥の諸将は曹操と韓遂との間に密約がかわされたと思い、結束に乱れが生じ、軍は総崩れとなる。
馬玩は戦死し、馬超と韓遂を退けた曹操は、夏侯淵(かこうえん)に後を任せ、鄴(ぎょう)に帰還した。

劉備の入蜀〜漢中征討〜魏王就任

益州(えきしゅう)の牧(ぼく)・劉璋(りゅうしょう)は、劉備(りゅうび)を迎え入れ、五斗米道(ごとべいどう)の教祖である張魯(ちょうろ)の討伐を依頼する。しかし、劉備は軍を動かさず、逆に劉璋に兵を向ける。
拠点である成都(せいと)を包囲された劉璋は城を明け渡し、劉備は益州を獲得した。

一方、曹操(そうそう)は魏公(ぎこう)に就任し、魏公国(ぎこうこく)が誕生した。
その後、曹操(そうそう)は漢中(かんちゅう)の張魯(ちょうろ)の討伐に乗り出し、張魯を降伏させる。
漢中を獲得した曹操は、夏侯淵(かこうえん)に防衛を任せた。鄴(ぎょう)へと帰還した曹操は、魏王(ぎおう)へと就任した。

合肥の戦い〜濡須の戦い

合肥(がっぴ)で行われた孫権(そんけん)軍との戦いで、張遼(ちょうりょう)は孫権を後一歩のところまで追い詰める。
しかし、孫権は張遼の一撃を自ら受け止めて、奇跡的な逃亡をはたした。

翌々年、曹操(そうそう)は20万もの大軍を動員し、濡須(じょしゅ)へと兵を進め、孫権軍と対峙する。
孫権軍の甘寧(かんねい)は、わずかな手勢で曹操の駐屯地を奇襲し、曹操軍の騎馬100頭を奪い去る。
呂蒙(りょもう)は一斉攻撃を提案するが、宿将である程普(ていふ)の死や魯粛(ろしゅく)の危篤といった急報がもたらされ、孫権は曹操への降伏を決意する。これを受けて曹操は鄴へ帰還、息子の曹丕(そうひ)を太子に任命する。

定軍山の戦い〜漢中王誕生

劉備(りゅうび)は天下取りに動き出す。
劉備軍が漢中(かんちゅう)へと進軍すると、曹操(そうそう)は漢中を守る夏侯淵(かこうえん)に曹洪(そうこう)を援軍として向かわせる。
夏侯淵は劉備を追い詰めるが、張飛(ちょうひ)と馬超(ばちょう)に阻まれ、討ち取ることはできなかった。
その後、定軍山を攻撃する劉備軍に再度せまる夏侯淵。しかし、諸葛亮(しょかつりょう)の策と黄忠(こうちゅう)の攻撃を受けて、壮絶な戦死をとげた。

漢中で対峙する曹操と劉備。劉備軍の軍師・法正(ほうせい)は曹操との対決に心身ともに限界をむかえ、倒れてしまう。
曹操は劉備軍に対して挑発を繰り返すが、劉備は全面対決を回避する。
やがて曹操は漢中からの全軍撤退を決意。その途上、劉備が漢中王につき、荊州(けいしゅう)にいる関羽(かんう)が魏(ぎ)に向けて北上を始めたことを知る。

樊城の戦い〜曹操の死

北上を始めた関羽(かんう)は、樊城(はんじょう)を包囲する。
守将の曹仁(そうじん)の救援としてかけつけた于禁(うきん)を降伏させ、龐悳(ほうとく)・成公何(せいこうか)を斬る。
この情報に各地の反曹操(そうそう)勢力は勢いづき、各地で反乱がおきる。これに呼応し、劉備(りゅうび)の本軍も長安(ちょうあん)を目指し進軍を始める。
曹操軍の徐晃(じょこう)は関羽に挑み、逆転の策を成功させる。
樊城は息を吹き返し、拠点である公安(こうあん)と江陵(こうりょう)が落とされたことを知った関羽は、南へと進路を変える。

南下する関羽は周辺を包囲されていることに気づくが、孫権(そんけん)からの援軍の申し出を断り、孫権の軍を一蹴する。
さらに南に進みながら奮戦する関羽だが、最後は孫権軍に捕らえられ、孫権の手で首をはねられた。

曹操のもとに関羽の首が届く。
曹操は関羽を祀ると宣言して巨大な木像を作り、「義武聖君」の名を与えた。

老いにより自らの死期をさとった曹操は、遺書の執筆にいそしむ。
そして、見舞いにきた夏侯惇(かこうとん)と酒を酌み交わしながら静かに息を引き取る。
その魂は水晶(すいしょう)を探しに行くのだった。

『蒼天航路』の登場人物・キャラクター

主人公

曹操(そうそう)

字は孟徳(もうとく)。幼名は阿瞞(あまん)。大宦官・曹騰の孫。
武芸や兵法、詩歌に通じ、文学、音楽、建築や料理など、あらゆる分野に才能を発揮する。
常人を超越した才覚で乱世を立ち回り、中原を制し、さらには天子を奉戴して権力を手中におさめる。
最終的には魏王に登り、天下に君臨した。
「最も人に興味を示した英雄」として人材を求める一方で、新しい価値観を阻むものとして儒者と対立する。
その覇業のためには虐殺や粛清も厭わない「乱世の奸雄」。

曹操四天王

夏侯惇(かこうとん)

字は元譲(げんじょう)。曹操の従兄・幼馴染で、挙兵以来の最古参。
「曹操四天王」の筆頭にして曹操の片腕的な存在。他の四天王からは「惇兄(とんにぃ)」と呼ばれる。
曹操の配下の中で、曹操を字で呼び、対等な口調で話すことができる唯一の人物。
董卓討伐の折に左目を矢で射抜かれ、引き抜いて自ら食べたことで隻眼となった。

夏侯淵(かこうえん)

字は妙才(みょうさい)。
曹操の従兄・幼馴染で、夏侯惇の従弟。「曹操四天王」の一人。
弓の名手。
方面軍の司令官として活躍し、曹操に「王たる将」となるように諭される。
劉備との定軍山の戦いで戦死する。

曹仁(そうじん)

字は子孝(しこう)。
曹操の従兄であり、幼馴染。「曹操四天王」の一人。
物語前半では戦果を挙げられず、空回りしがちだったが、官渡の戦いにおいて覚醒し、後半では成長して有能な猛将となる。
苦境に立たされる程本領を発揮するタイプ。

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