グラン・トリノ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『グラン・トリノ』とは、2008年にクリント・イーストウッドが監督、プロデューサー、主演を務めたアメリカのヒューマンドラマ映画である。
ミシガン州を舞台に、頑固な元軍人ウォルトと、モン族の隣人、少年タオとの心の交流を描く。一度は、ギャングにそそのかされ、ウォルトの愛車を盗もうとしたタオであったが、ウォルトに仕事を世話してもらい、真面目に働く。一方で、ギャングの、タオへの嫌がらせはエスカレートしていく。タオやタオの家族を守る為、ウォルトは命を賭けて、ギャングを刑務所送りにする。

仲間とバーで飲んでいるウォルトを訪ねて来るヤノビッチ神父(左)

生前ウォルトの妻ドロシーに、朝鮮戦争で心の傷を負ったウォルトの事を頼まれた約束を律義に守る若き神父。
どんなにウォルトに冷たくあしらわれても、根気よくウォルトの元を訪ねる。
心からウォルトをを心配している心優しい神父であるが、ギャングがタオ一家にした仕打ちに激しい怒りを露わにし、ウォルトと初めて共鳴する。
ウォルトは、神父が自分をウォルトと気安く呼ぶことを嫌い、呼ぶたびに「コワルスキーだ!」と言って神父を拒絶し続けたが、最後にはウォルトと呼ばせるほど近しい存在となった。

スパイダー/フォン (演:ドゥア・モーア)

タオと姉のスーのいとこで、モン族のストリートギャングのリーダーである。
ギャングの仲間たちからはスパイダーと呼ばれているが、本名はフォンである。
タオにギャングの仲間に入る様しつこく付きまとう。

ミッチ・コワルスキー(演:ブライアン・ヘイリー)

ウォルトの長男である。
日本車のセールスの仕事をして、日本車に乗っている為、アメリカのフォード社で長年働いた事を誇りに思っている父ウォルトには嫌な顔をされている。
一人残ったウォルトを施設に入れようとしたり、父の様子を心配して電話をかけたのかと思いきや、身勝手なお願いをする為の魂胆があったりする。
父親との関係は良くないが、愛してないわけではない。
後にウォルトは神父に懺悔で、「息子たちとの付き合い方がわからなかった」と言っているように、お互いにどう接していいかわからないまま時が過ぎてしまったためとされる。
ウォルトが吐血したり病気の具合が良くないとわかった時、長男のミッチに電話をしていることから、何かの時には頼りにしているであろうことも推測できる。

スティーブ・コワルスキー(演:ブライアン・ホウ)

ウォルトの次男である。
兄のミッチ同様、父親のウォルトに手を焼いているが交流はほとんどない。

カレン・コワルスキー(演:ジェラルディン・ヒューズ)

ウォルトの長男ミッチの妻である。
長男の嫁として、妻に先立たれ一人になった義父ウォルトを施設に入れようと、ミッチと説得するがウォルトの心配ではなく体裁の為である。
ウォルトとの仲は良くない。

アシュリー・コワルスキー(演:ドリーマ・ウォーカー)

ミッチの娘である。
祖母の葬儀にへそ出し、へそピアスで現れたり携帯をいじったりして祖父であるウォルトをイラつかせる。
一人になった祖父の心配など一切する様子もなく、ウォルトの家にある家具をねだったり、車庫のグラン・トリノはウォルト亡き後誰が貰うかなど失礼な言動が目立つ少女である。

マーティン(ジョン・キャロル・リンチ)

イタリア系の床屋でウォルトの友人である。
ウォルトをポーランド野郎と呼び、お互いに悪態をつくことが挨拶みたいなものでいつも言い合いをしている。
タオに男らしい会話のレクチャーを手伝ったりと、口は悪いが人柄は良い人物である。

トレイ(演:スコット・リーヴス)

スーのボーイフレンドである。
スーと路上を歩いている時に、黒人の不良グループに絡まれる。
気の強いスーは、黒人グループにも怖気づかないが、トレイはスーを助けるどころか怖くて何もできない小心者である。

デューク(演:コリー・ハードリクト)

学校から帰宅するスーとトレイに絡む不良少年の一人。

『グラン・トリノ』の用語

グラン・トリノ

↑ウォルトのグラン・トリノを洗車しているタオ

タイトルにもなっているグラントリノは、フォード社が1972年~1976年まで販売していた車である。
作中に出てくるウォルトのグラントリノは、フルモデルチェンジを受けた72年型の車でありグラントリノスポーツというスポーツカーである。
アメリカ車としては中型である。ヴィンテージカーとして価値は高い。

モン族

モン族とは、中国の雲貴高原、ベトナム、ラオス、タイの山岳地帯にすむ民族である。
ベトナム戦争でアメリカに協力するも、アメリカが敗北したことで、共産勢力からの返り討ちにより、虐殺にあい、アメリカに逃げ込んだとされる。

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