【秋の】少女の心に寄り添う文学【夜長に】

女性ならば誰でも心の中に「少女」がいます。今年の秋はそんな「少女」の心にふわりと響く、繊細な読書体験をしてみませんか?特別なものなど何も必要ありません。温かい紅茶を用意して、雨の音や虫の声を聞きながらページを開けば、物語がそっと貴方の「少女」の心に寄り添ってくれます。季節感たっぷりの贅沢なひとときを是非これらの作品を読んで楽しんでくださいね。

推定少女 桜庭一樹

あんまりがんばらずに、生きていきたいなぁ。しかし“ぼく”こと巣籠カナは、唐突にその日常からはみ出してしまった。逃亡者となったカナが出会ったのは記憶喪失を自称する、雪のように真っ白な美少女・白雪。2人は強く手を握りあって、東京の秋葉原を目指す。駆け抜けろ。駆け抜けろ。戦場のようなこの世界を。大人になれない“ぼく”達の、不思議でドタバタでどこか切ない逃亡劇は、大人と子供の間を彷徨っていたあの頃の気持ちを思い出させてくれます。

レインツリーの国 有川浩

同じ本で繋がる喜び。どんなに離れていても(これは地理的な距離だけではなく心の距離も含めて、です)たった1冊の本で、人は繋がることができる。この小説に登場する2人の「距離」がどのようなものなのか、それは貴方の目で確かめてみて。映画化も決定した話題作ですが、是非原作を手に取ってみてください。きっと「忘れられない本」になるはず。とってもシンプルで純粋な「好き」がそこにはありました。

やわらかなレタス 江國香織

お腹がすいたらこれ。彩り美しいめかぶの湯通し、美味しく繊細な果物たちとの真剣勝負、寒い季節に食べる愛しい魚・鱈。不思議だ。何気ない食材が、何気ない食事が、何気ない毎日が、この本ではこんなにもキラキラと輝いて見える。食べることは、生きること。思わずほっこり笑顔になるような、おいしいエッセイがいっぱい詰まった一冊。表紙のピンク色も乙女心をくすぐります。

寺山修司少女詩集 寺山修司

海、猫、愛、花など、様々なテーマで綴られた、少女の愛のイメージ。貴方の中にいる「少女」を呼び出して、その心でこの詩を感じてほしい。あるいは、この詩集のどこかに貴方の中の「少女」を呼び出す何かが潜んでいるのかもしれない。「読む」のではなく、「感じる」、普段とはちょっと違った読書体験を貴方に。

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