悪人伝(韓国映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『悪人伝』とは、2019年に公開された韓国のヴァイオレンス・アクション映画。カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部⾨の正式上映作品に選ばれ、興⾏収⼊ランキング初登場NO.1を記録。観客動員数300万⼈を超え、⼤ヒットした。映画のキャッチコピーは、「極悪組長×暴力刑事VS無差別殺人鬼」。迫力あるアクションシーンが話題となり、シルヴェスター・スタローン制作でハリウッド・リメイクも決定。主演は2021年『エターナルズ』に出演した韓国を代表する俳優マ・ドンソク。監督は、イ・ウォンテ。

『悪人伝』の概要

『悪人伝』とは、2019年に韓国で公開されたヴァイオレンス・アクション映画。監督は、イ・ウォンテ。カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部⾨の正式上映作品に選ばれ、興⾏収⼊ランキングは初登場1位を記録。総観客動員数300万⼈を超えた⼤ヒット作。映画のキャッチコピーは、「極悪組長×暴力刑事VS無差別殺人鬼」という過激なもので、ポスタービジュアルも迫力のあるものになっている。映画はシルヴェスター・スタローン制作によるハリウッド・リメイクも決定。主演は、2017年『新感染 ファイナル・エクスプレス』、2019年『白頭山大噴火』などのマ・ドンソク。マ・ドンソクは、マーベル・シネマティック・ユニバース『エターナルズ』で、世界進出を果たした注目の俳優である。
凶悪なヤクザの組長チャン・ドンスは、ある夜、追突事故を装いぶつかってきた男にめった刺しにされる。⼀命をとりとめたドンスは、手下を使い犯人探しに動き出す。捜査を担当することになった刑事のチョン・テスクは、犯人が連続殺人事件の犯人と同一人物であると疑い調査を進めていく。利害関係が一致し、ドンスとテスクは互いに反発しあいながらも捜査に協力しあうことにした。暴力的なシーンに派手なカーアクションが繰り広げられるヴァイオレンス・アクション映画。

『悪人伝』のあらすじ・ストーリー

凶悪なヤクザの組長ドンス

ある夜、繁華街を走り抜けた車は、人通りの少ない夜道で追突事故を起こす。追突されたのはヤクザの組長チャン・ドンス。ドンスは、首を押さえながら車から降りると事故現場の写真を撮り始めた。追突した側の運転手の男が、「そんな写真いらない」と言うと突然、刃物を持って襲い掛かってくる。現場は天安市の宅地開発地区。殺人事件未遂でめった刺しにされたものの一命をとりとめたドンスは、手下と犯人を捜しはじめた。
警察は昨年から続く殺人事件を解決できずにいた。担当の刑事チョン・テソクは事件の調査が難航していることに苛立ちながら、ヤクザの組長チャン・ドンスの経営する店へ立ち寄る。突然、やって来たテソクを店から追い返そうと立ちふさがるヤクザたち。追い払おうと賄賂を渡してきたヤクザに腹を立てたテソクは、ヤクザを相手に大暴れをして店の奥へと進んで行った。
組長室でドンスがサンドバックを叩いていると、ヤクザの手下が店にテソクが来たことを告げる。ドンスが叩いていたサンドバックを降ろすように手下に指示すると、降ろされたサンドバッグの中には殴られて血まみれになった男が入っていた。スーツに着替えたドンスは手下を引き連れてビルから出てくる。移動の車の中で警察と裏で繋がりがあるドンスは、テソクが店に来ると警察に文句の電話をする。その頃、テソクはドンスの店で換金所の受付をしている若者を違法換金の現行犯だと言って捕まえていた。若者にバイクを運転させて殺人現場へと向かうテソク。現場に着くと鑑識官チェ・ソジンが、遺体は死後数時間経過していることをテソクに教える。テソクは被害者の車に不審な傷を見つけ、ソジンに見てもらうが原因はわからなかった。
組長のドンスが、サンドバッグの中にいれて殴っていた男の親分のサンドと対面している。縄張り争いの話をしている最中に、サンドの手下が話に割り込んでくるとドンスは立ち上がり、男の口に手を突っ込み歯を折って抜いてしまう。ドンスは、抜いた歯を酒のコップに入れるとサンドに「飲めよ。」と差し出した。

ドンスを襲った連続殺人犯

警察では捜査会議で連続殺人事件の被害者男性たちには犯人との接点がないことが判明した。素人の犯行にしては、足跡・血痕・体毛・指紋などの痕跡が全くなく捜査は行き詰る。しかし、テソクはこれまでの3件の事件と今回のドンスが襲われた事件の犯人は同じだと主張した。どの事件でも凶器も傷痕も同じなため、無差別連続殺人だと証拠を提示。しかし、これまで勝手な行動をとってばかりいたテソクに対し、チーム長はテソクの主張を否定して部屋を出てしまう。
ドンスが襲われた事件の夜。雨が降る中、一人で車を運転していたドンスが、トンネルの手前で後続車にぶつけられたため、車を停めてドンスはゆっくりと車を降りた。車から青年が降りてきて謝って来たが、ドンスはめんどくさそうに、気にせず帰れと言った。ドンスが車へ戻ろうとした矢先に、背後から突然、青年に襲われて刺されてしまう。2人は揉み合いになるがドンスに反撃されると、青年は車に乗り込み、刺されたドンスを車で轢いて逃げて行った。
ドンスは救急搬送され一命を取り留める。意識を取り戻したドンスは、事件によって組同士の抗争が起こりかけていたため、手下たちに自分を刺したのは敵対していた組がやったことではないと説明をした。ドンスは自分の車に追突し、刺してきた青年が乗っていた車の特徴や車のナンバーを調べるよう指示した。病室にテソクが面会と称してドンスの事情聴取に来るが、あまりにも高圧的な態度だったため、ドンスはまともに相手をしなかった。テソクは病室を後にすると、ドンスの車を調べはじめた。すると、テソクが予想していた通りでこれまでの殺人事件の被害者の車と同じように追突された傷が残っていた。テソクはドンスを襲った犯人も自分が追っている犯人と同一犯だと確信を持った。

犯人を捜すドンスとテソク

テソクはチーム長に連続殺人事件の犯人とドンスを襲った犯人は同一人物だと詰め寄る。追突事故時に犯人と対峙したドンスなら犯人の顔をみているため、捜査に協力させようとするがチーム長に部屋から追い返されてしまう。入院中のドンスは病室で似顔絵師に犯人の顔を描かせていた。テソクは連続殺人事件の捜査を進めるためドンスの店にガサ入れを行い弱みを握ることで、ドンスを脅して事情聴取に応じさせようとする。事件解決のため、ドンスから話を聞き出すためだったが、ドンスはまったく動じる様子もなく事情聴取には応じなかった。ドンスは自身で捜査をし、犯人の車を発見する。犯人はドンスを襲った後にさらに殺人事件を犯していた。犯人の凶器を入手したドンスはテソクに連絡を入れると、情報を提供しあうことを提案した。表向きは手を組んだドンスとテソク。ドンスは犯人を捕まえ落とし前をつけるために利用した後は、始末しようと考え、テソクは逆に犯人を逮捕したらドンスも逮捕しようと考えていた。
テソクは2人の同僚と一緒に、犯人が乗り捨てた車を調べる。一方、ドンスは犯人を捜しながら敵対する組長サンドの殺害を目論んでいた。テソクは犯人の車から血液を採取し、こっそりと証拠を鑑識官のソジンに渡して鑑定を依頼。しかし、鑑定の結果は被害者のものしか出てこなかった。また組長の暗殺に使われた凶器からは組長以外のこれまでの被害者である2人の血痕が検出される。警察は連続殺人事件として捜査を始めることにした。ドンスが凶器をわざと現場に残したことに怒り狂ったテソクはドンスの元に殴り込みに向かう。サンドの殺害を認めたドンスに、テソクが「ヤクザを信じた俺がバカだった。」と言うとドンスは「犬も本気にしない。」と言ったが計画の続行を改めて提案した。

連続殺人犯のギョンホを追うドンスとテソク

警察は正式に連続殺人事件となったことにより広域捜査隊との合同捜査へ移行。殺されたサンドの葬式にはドンスも参列。しかし、葬儀の場にはドンスを襲った連続殺人犯が紛れ込んでいてドンスの後ろから様子をうかがっていた。
テソクとドンスが一緒に事件の捜査をしていると、工場で敵対組織の一派が襲いかかって来た。2人は血塗れになりながらもどうにか応戦。しかし巻き添えになってドンスの側近が死んでしまう。動揺するテソクにドンスは「俺に任せておけ」と顔をしかめながら煙草に火を点けた。側近の死が受け入れきれないテソクは仕事に身が入らずチーム長に注意をされ誘拐事件の捜査を命じられる。テソクら捜査員たちは犯人が指定した場所へ身代金を持たせた妻を向かわせる。テソクは隣のビルの屋上から監視をしていたが、怪しい男を発見する。逃げ出す男を追いかけるテソク。同僚と細い路地を懸命に追いかけるが、工場での乱闘で怪我をしていたテソクは思うように動くことができない。途中で休憩をしていると、飲食店で話している客の声が聞こえて来た。大金をもらったという男が店で食事をして焼酎を飲んでいたらしい。テソクとソジンは大量にある焼酎の瓶の中から犯人の男が飲んだだろうと思われる焼酎の瓶を探しだし、鑑定にかけた。鑑定の結果、カン・ギョンホというの名前がでてくるが、カン・ギョンホは行方不明者のリストの名簿に名前がある男だった。
ギョンホの自宅を捜査に行くと4カ月ほど帰宅している様子がない。自室を調べ始めると、部屋にあった写真とドンスが似顔絵師に描かせた似顔絵がそっくりだったことから、テソクはギョンホが連続殺人の犯人だと確信を持つ。誘拐事件で録音した音声をドンスへと送ると、ドンスは送られてきた音声を聞き、確かに自分を襲ったのは奴だとつぶやく。テソクはドンスに警察の情報を流し、ドンスの手下たちを総動員してギョンホの捜索をさせた。なかなかギョンホは見つからないが、刑事たちとヤクザたちは捜査で協力することで徐々に歩み寄るようになっていた。

犠牲になった女子高生とギョンホを追い詰めるドンス

雨が降る中、バス停でバスを待っていたドンス。その隣に女子高校生がバスを待つためにドンスの横に並ぶと、ドンスの吸っていたタバコの煙に咳き込んでしまう。ドンスはタバコを消し、さしていた傘を女子高校生に渡すと「しっかり勉強するんだぞ。」と声をかける。テソクがそこに合流してきて、傘を受け取った女子高校生に「知らない人から気軽にものをもらわないように。」と声をかけた。女子高校生はバスに乗り込むとドンスとテソクに頭をさげた。その夜、ドンスの手下やテソクと刑事たちを集めた食事会が開かれた。店内に置いてあるテレビから女子高校生が殺害されたことがニュースで報道される。ニュースを見るドンスとテソク。テレビの画面には、殺人事件の事故現場にドンスが女子高校生にあげた傘が映し出されていた。ギョンホの仕業だと気づいたドンスらは一気に緊張感が高まり、ヤクザと刑事たちが犯人の追跡に動き出した。女子高校生の事件現場に向かったドンスたち。ギョンホの狙いは殺し損ねてしまったドンス。ギョンホが泊っている場所をつきとめ、待ち伏せをするドンス。帰宅したギョンホは待ち伏せされていることに気付くと逃げだし、ドンスとテソクは車でギョンホを追跡した。激しいカーチェイスを繰り広げ追い詰めて車を停めるがギョンホは走って路地裏へ逃げてしまう。ドンスはカラオケ店に逃げ込んだギョンホを追いかけ個室のトイレでギョンホを見つけ出す。トイレのドアをけ破り、ギョンホを捕まえると殴って意識を失ったギョンスを工場へ連れ去って行くドンスは、追いついたテソクに報復すると告げた。

ドンスとテソクの約束

薄暗く人気のない工場にギョンホを連れ込んだドンス。ギョンホはドンスにすでに瀕死寸前まで殴られていた。鉄パイプでとどめを刺し、ギョンホを殴り殺そうとするところをテソクが車で突入してくる。衝撃でドンスは吹き飛び気絶してしまうが、間一髪でギョンホは助かる。連続殺人犯の逮捕に世間は大騒ぎになり、ギョンホは警察病院に入院することになる。治療を受け、病室で食事をしながら事件の報道のニュースをみているギョンホに怯える様子はまったくなかった。ギョンホは書類送検されることになり、ドンスの手下たちは、暴力団の違法な資金提供や機器の不正改造の罪で次々と逮捕されていく。ギョンホの怪我は順調に回復し、事情聴取が行われた。ギョンホは殺人行為に快楽を覚え連続殺人を犯したが、韓国では死刑判決がでても死刑は執行されないと、にやけながらふてぶてしい態度をとる。裁判の雲行きが怪しくなり、テソクはドンスに法でギョンスを殺すために自首するよう説得する。自首を勧められたドンスは激怒するがギョンスを有罪にするために法廷で、ギョンスが犯人であると証言をする。ドンスは法廷で襲われた時のことを上着を脱いで刺し傷を見せながら話し、ギョンスの書いたメモを証拠に出した。ドンスはサンドの殺人などの罪により有罪となるが、ドンスの証言のお陰で有罪が確定し、ギョンホに死刑が宣告される。テソクは警察で昇格、ドンスはギョンホが収監される刑務所へ収監された。実は事前にテソクにドンスがギョンホと同じ刑務所に入れてくれるよう約束していたのだった。刑務所内でギョンホをみつけたドンスはにやりと笑う。刑務所のシャワー室で対峙するドンスとギョンホは互いに不敵な笑みを浮かべていた。

『悪人伝』の登場人物・キャラクター

チャン・ドンス(演:マ・ドンソク)

日本語吹き替え:小山力也
ヤクザの組長。素手で、相手を躊躇なく殴り倒したり、暴力行為も平然とする凶悪な男。恐ろしい面もありながら、女子高生に傘を貸すなど優しい面も持つ。手下を大事にするので手下たちから慕われている。連続殺人犯に狙われ、復讐のため犯人を追い詰める。

チョン・テソク(演:キム・ムヨル)

日本語吹き替え:上住谷崇
連続殺人事件の犯人を追う刑事。ヤクザの組長であるドンスに捜査の協力を求め、犯人を追い詰めていく。正義感は強いが、日頃から暴力的で自分勝手な捜査をするため上司からも同僚からも目をつけられている。

カン・ギョンホ(演:キム・ソンギュ)

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