恋は世界征服のあとで(恋せか)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『恋は世界征服のあとで』とは原作・野田宏、漫画・若松卓宏による漫画作品。『月刊少年マガジン』にて連載。2022年にはTVアニメも放送された。世界平和を目指すヒーロー戦隊「ジェラート5」のリーダー相川不動(あいかわふどう)と、世界征服を企む秘密結社「ゲッコー」の戦闘員のリーダー禍原デス美(まがはらデスみ)。敵対する組織に所属する二人の秘密の恋を描くラブコメ作品。

『恋は世界征服のあとで』の概要

『恋は世界征服のあとで』とは『月刊少年マガジン』にて2019年より連載の漫画作品。原作は、野田宏、漫画は若松卓宏が担当する。野田と若松がコンビを組んだのは『人魚姫のごめんねごはん』、『異世界失格』に続き本作が三度目の作品である。ヒーロー戦隊「ジェラート5」の相川不動と秘密結社「ゲッコー」の禍原デス美。本来ならば敵対するもの同士である二人はある日をきっかけに恋人同士の関係になる。相容れぬ組織の壁を越えて交際を始めた二人の関係は絶対にばれてはいけない。不動とデス美は仲間達に気づかれないように戦いの合間に禁断の恋を歩んでいくことになる。戦隊ヒーローものの設定をベースに、特撮ネタを交えた作風にヒロインの禍原デス美の可愛さが魅力的なラブコメ作品となっている。連載からわずか2年の2021年にはTVアニメの制作が発表され、翌年の2022年の4月から6月に放送された。アニメの制作はproject No.9が担当した。

『恋は世界征服のあとで』のあらすじ・ストーリー

不動とデス美の秘密

世界平和のために戦うジェラート5のリーダーであるレッドジェラードこと相川不動(あいかわふどう)。彼は悪の秘密結社、ゲッコーの司令官である死神王女こと禍原デス美(まがはらデスみ)に一目ぼれをする。住む世界が違いすぎると思い、気持ちを仕舞いこんでいた不動であったが、総司令のビックジェラート博士の後押しもありデス美に告白する事を決意する。真夜中の廃墟にデス美を呼び出して自分の気持ちを伝える不動。レッドジェラートである彼の突拍子もない行動に、からかわれてると思うデス美。だが会話の中から不動が自分の女らしいところに気づいていたり、率直な気持ちを口にする不動に、本気であることを理解し、交際を受け入れる。正義の味方である不動と悪の戦闘員であるデス美の禁断の恋が始まった。連日の戦いの中でも隙を見つけては二人の時間を過ごしていく。しかし、ジェラート5として平和を守るために戦う不動は、女の子たちからも大人気のヒーローであった。その事を知り嫉妬して不機嫌になったデス美をなぐさめるために、戦闘の最中にデートの約束をする不動とデス美。何もわからないまま、自分の思うままにデス美とのデートをする不動。デス美とのデートを楽しむがデス美の表情は硬い。デートの途中、デス美が席を外した時にジェラート5の仲間である神宮寺美咲(しんぐうじみさき)から電話がかかり相手の事を考えたプランを組むべきと忠告される。自分は間違っていたと思った不動はデス美を探して謝罪。しかしデス美は不動がデートプランを考えてくれただけで嬉しかったと気持ちを語り、世間のデートとずれていようが焦らずに自分たちのペースでいこうと不動を励ます。

ハルと秘密の共有

デス美は不動とのデートを楽しむために次の襲撃場所を遊園地にすることを提言する。一方、デス美との連絡を取り合う為にスマホデビューをするなど、今までとは違う変化を感じた美咲は不動に疑惑を抱く。休日に遊園地に行くと言う不動をピンクジェラートである有栖川ハル(ありすがわハル)と共に尾行する。そこにゲッコーが襲撃する。お互いに示し合わせた不動とデス美は、いつも通り、戦闘の隙を見て遊園地での時間を楽しむ。園内でのジェットコースターに乗った記念写真に不動とデス美が写っているのを見たハルは、不動に彼女が出来たのではないかと疑問を抱く。
後日、遊園地での写真の事が気になり不動を問い詰めようとするハル。しかしいつもと変わらない不動に自分の思い過ごしだと思う。友人たちと一緒に偶然にその会話を見ていたデス美はカップルのような不動とハルの雰囲気に嫉妬する。戦いの中で嫉妬した気持ちを不動にぶつけるデス美を不動は「一生想い続ける」と慰め、デス美を想い続ける事を宣言する。すれ違いを経てより一層絆の深まった二人であったが、戦いの中で一連の会話をハルに聞かれていた。ハルは何事もなくその場を去っていく。デス美との恋愛関係がバレてしまったと絶望する不動であったが、ハルはその事を誰にも打ちあける事もしなかった。一週間たったがいつも通りの様子のハル。違和感を抱くデス美の前に姿を現すハル。「私と勝負してください!」と勝負をしかける。まだ未熟なハルを倒したデス美はハルの目的を尋ねる。ハルは不動の事が好きでジェラート5に入隊した事、同時に過去に自分を救ってくれた恩人がデス美であった事の二つを語る。デス美と一緒の時の幸せそうな不動を見て二人の幸せを奪う事ができないと思ったハルは秘密を胸に仕舞いこみ、その恋を応援する事にした。

大吾とデス美

ハルの協力もあり、自分達の時間をより長く過ごせるようになった不動とデス美。ジェラート5が開発中のキングジェラートロボの試作機のテストのために海水浴場に行くことになる。その事を知った不動とデス美は念願の海デートを楽しむ事になる。ジェラートロボの破壊工作のために鋼鉄王女、魔獣王女達と作戦と称し海水浴場にやってきた。正体を隠し、死神王女ではなくデス美として不動達と一緒に海を満喫する。デス美の正体が死神王女である事を知らずに、ジャラート5の面々はデス美を歓迎する。しかし、ジェラートグリーンこと轟大吾(とどろきだいご)だけはデス美の姿を見て不敵な表情をする。
海での出来事以降、大吾は「デス美」の名前を聞くたびに恐怖におののいていた。その様子から大吾が過去のデス美を知っていると思い、不動はまだ自分の知らない彼女の話を聞かせてもらいたいと懇願する。大吾は10年前のデス美について語る。10年前に地元の空手道場で僅か8歳で大人の師範代を打ち負かしまわりから恐れられていた。戦う相手がいなくて寂しそうにしているデス美の師匠代わりを務めたのが大吾であった。その恩恵もあって中学生になる頃にはデス美は親不孝通りの死神と呼ばれ恐れられるまでに強くなっていった。
自分が生んだモンスターと思った大吾は、デス美をジェラート5にスカウトしようと不動と共にデス美に会いにいく。ゲッコーの仲間達の事などを想ったデス美はそのスカウトを断わる。大吾は、不動と一緒に笑うデス美を見て、恋に溺れて弱くなったと思う。その姿を見た大吾はデス美に勝負を挑む。自分が勝てばジェラート5に入隊し不動との関係も解消しろと言うが、その事を聞いたデス美は全力で戦う。デス美に敗れた大吾は二人の関係を許し、逃げるように去っていく。

スキャンダル

ある日、不動の元に1通の封筒が届く。その中には不動とデス美がデートをしている時の写真が入っていた。写真には私は全てを知っているというメッセージが記されていた。写真をばら撒かれたくなければ公園まで来いという犯人の脅迫に従い、待ち合わせの場所に向かう不動。そこに現れたのは灼熱王女である宝条闇奈(ほうじょうあんな)であった。秘密をばらされたくなければデス美と別れろと脅迫する闇奈は、「また明日も来る」と言ってその場を去っていく。この事を聞いたデス美は闇奈が恋をしていると考える。不動は、闇奈が自分に好意を持っていると思い、闇奈の気持ちには答えられないと伝えるが闇奈は全力で否定する。闇奈は会話の中からデス美が好きであることを滑らす。ギャル風の見た目で周りから怖がられていた闇奈であったが、デス美は裏表なく無邪気に自分に接してくれた事で好意を持った。「こんな卑怯な事をしてもデス美には振り向いてもらえない」と本心を語る闇奈。本当にデス美が困る事はできないと思う彼女を見て、不動は闇奈は悪い人物ではないと判断する。その様子を見た闇奈は不動を変なやつであると思い謝罪、恋のライバルとして認めて、去っていく。

妹、ウラ美の来訪

ハルにテストのために勉強を教えてほしいと頼まれた不動は、デス美の家でテスト勉強をする。勉強が終わり、一足先に帰ったハルを見送った不動とデス美はお互いの進路について語りあう。そこに入れ違うようにデス美の父のデス夫と妹のウラ美がやってくる。正体をばれる訳にはいかない不動は戦闘員ムドウに扮してその場をやり過ごす。高校を卒業したらゲッコーに専念してほしいと思う父であるが、進学をしたいと思うデス美の気持ちを知った不動は父親を説得する。なんとか父親も理解を示したが、その様子を見ていた妹のウラ美は姉が恋をして変わってしまったのではないかと思う。翌日、観光として原宿でのショッピングを楽しむデス美とウラ美。姉妹でいる時も不動の事で頭がいっぱいのデス美を見て、やはり姉は恋をして弱くなってしまったと思い、姉のもとから出て行ってしまう。一人になり街をさまようウラ美にナンパ目的の男達が近づいてくる。そこにデス美が駆け付けて、ナンパ男達を撃退する。姉が今まで以上に強くなったと考え直したウラ美は、今の恋する姉も悪くないと認めるが、姉と恋仲である不動の打倒も誓う。

黒帝祭

デス美の学校で学園祭の黒帝祭(こくていさい)が開かれる。黒帝祭には最終日のみに現れる映えスポットの黒帝の月で記念撮影したカップルは永遠の愛で結ばれるという言い伝えが存在していた。不動とデス美はお互いの関係をより強いものである事を確認するために一緒に黒帝の月での記念撮影をしようと約束しあう。しかし学園祭当日、楽しそうだと思い、ブルージェラートこと王子野隼人(おうじのはやと)が不動についてくる。この事により学園祭で不動は注目を浴びてしまう。デス美も同じクラスにいる闇奈に勘付かれ、なかなか一人にさせてもらえない。また風紀委員である魔獣王女、魔島忌々(まじまきき)がカップルの取り締まりを強化していた。皆に見つからないように、なんとか合流した二人は黒帝の月へと向かう。しかし、学園祭の終了も近づき、黒帝の月の周りは人で賑わっていた。レッドジェラートとして顔が割れている不動は安易に姿を現す事ができない。そんな中、コスプレをして撮影をするカップルや熊のコスプレを熊怪人と勘違いしてる鋼鉄王女を見て、不動とデス美はある策を思いつく。二人はレッドジェラードと死神王女に変身して黒帝の月に向かう。クオリティの高いコスプレだと勘違いされた二人は、拍手で迎え入れられ、黒帝での月での撮影を成功させる。

究極怪人の暴走

ジェラート5のスポンサーであるキシモトウェディングのブライダルCMに出演する事になった不動。人気女優の橋本杏奈(はしもとあんな)とケーキの入刀をすると聞いたデス美はいじけて不動と喧嘩になってしまう。ハルの助言でデス美の気持ちを知ったが大事なスポンサーのCMを降板する事は難しいと博士に言われてしまう。不動はケーキを作ってCMの撮影前にデス美とケーキ入刀をしようと考える。
一方、ゲッコーでは人間から集めた負のエネルギーによって究極怪人(アルティメットファントム)が生まれようとしていた。生まれた究極怪人はゲッコーの首領であるボスラーの言う事を聞かずに暴走。さらには暴走を止めようとしたデス美の上司の怪人カルバリンベアを吸収する。吸収した力を身に着ける究極怪人は次々と怪人達を吸収し力を蓄え、さらには街の襲撃に向かう。ゲッコーは究極怪人を倒すために総力戦として全戦闘員を動員する。
ケーキを作った不動はデス美に連絡をしようとするが、怪人の討伐に追われるデス美に連絡がつかない。そのままCM撮影が開始される。撮影の途中、デス美の事が頭から離れない不動はCMを断ろうとしていた。その瞬間に究極怪人が撮影現場の教会を襲撃、不動は駆け付けた仲間と共にジェラート5に変身して究極怪人と戦う。
究極怪人に立ち向かうジェラート5だったが苦戦を強いられる。そこにゲッコーの鋼鉄王女と魔獣王女も現れる。ゲッコーとジェラート5のお互いが、究極怪人を倒そうと奮闘する。博士は合体大剣ジェラートクレイモアを使う事を許可。不動は皆の力を借りてジェラートクレイモアを使うが、これまでの戦いの傷で上手く攻撃できない。そこに死神王女ことデス美が参戦。デス美との協力もあって究極怪人の撃破に成功する。

デス美の福岡帰省

不動とデス美は日帰りでデス美の実家がある福岡に帰省していた。二人はそこで、偶然にもデス美とのトラウマを解消しようと故郷の福岡を訪れていた大吾と再会する。デス美を見て怖がる大吾であったが、不動の提案もあり、3人で観光旅行を楽しむ。観光の中で段々とデス美に対する恐怖が薄れつつある大吾であったが、デス美が過去に大吾を負かした河川敷でもう一度稽古をつけてくれと頼み込むと態度が豹変、再びデス美恐怖症に陥ってしまう。そこに偶然にデス美の父親が通りかかる、デス美と不動を見た父は母も会いたがっていると二人を実家へと連れて行こうとする。覚悟の決まらない不動とデス美は断ろうとするが、デス美への恐怖が再発した大吾が一瞬の隙をついて車ごと逃走する。逃げる手段を失ってしまった不動たちは半ば強引にデス美の実家へと向かう事になる。
デス美の実家ではウラ美と再会、ほかの弟妹たちも紹介される。不動はレッドジェラートである正体を見破られそうになったり、寝床に困ったりするが、なんとか無事に一夜を乗り越える。翌朝、デス美たちの家族に見送られて帰還する二人。別れ際にデス美の母親は不動がデス美と付き合っている事を見抜き、デス美をよろしくと言って不動の恋を応援していく。

大晦日の戦い

大晦日、ゲッコー本部は忘年会でにぎわっていた。忘年会の最中、デス美は間違えて不動との待ち合わせのメッセージをゲッコーのグループに送ってしまう。デス美に恋人がいると思った魔獣王女は王女シリーズを集めて、デス美の待ち合わせの場所に向かう。恋人の正体が不動だとばれるわけにはいかないデス美は「今日のところは引き上げてくれ」と魔獣王女に頼むが、魔獣王女は力ずくで止めろと勝負を挑んでくる。不動との幸せを失いたくないデス美は魔獣王女の決闘を受け入れる。魔獣王女と戦う死神王女ことデス美。戦いの途中に不動が乱入する。待ち合わせの場所に現れた不動を見た鋼鉄王女は、デス美の恋人が不動ではないかと疑う。絶体絶命の危機を感じるデス美であったが、不動は「デス美みたいな乱暴な女は好きじゃない」と咄嗟の言葉で怪しむ魔獣王女達の誤解を解く。その場を上手くやり過ごした不動は去っていく。デス美は不動が嘘であれ自分を乱暴な女といった事に対して落ち込むが、そこにまたもや不動がやってくる。さっきまでと違った様子に先ほどの不動が王女シリーズの一人である断罪王女の乱乱(らんらん)の変身した姿であることを理解するデス美。「冗談でもデス美とは付き合わない」とは言わないと言う本物の不動を見て安心したデス美は不動との初詣を楽しむ。

追加戦士プラチナジェラート

敵襲のない非番の日、ビッグジェラート博士から招集される不動たち。博士は自分の孫娘である瑠璃宮・シャーロット・氷華(るりみや・シャーロット・ひょうか)を紹介する。彼女は過去にゲッコーの襲撃から助けられた事がきっかけで不動に心を奪われていた。不動を自分のものにしようと様々なアプローチをかけるが、不動自身は氷華を覚えておらず、人違いだと思う。その事にショックを受けた氷菓は持てる全ての恋愛スキルで不動を虜にしようと決意する。東京観光と称して不動を連れまわす氷華。その姿を見たデス美は「不動は自分の恋人だ」と氷菓にちょっかいを出すのをやめるように言う。デス美を前にしても引き下がらない氷華は「不動の未来の夫は自分だと」まで言う。その事でスイッチが入ったデス美はどちらが恋人に相応しいか勝負しようとする。血の気の多い二人を見て不動は平和的な対決を提案。ジェラート5達が審査する中で料理対決が開始される。シェフを雇い、高級な料理を作る氷華は勝利を確信するが、いまいち伝わらずに劣勢を強いられる氷華。さらには休憩中に不動とデス美の仲の良い様子を見て氷華は負けを認めて勝負を辞退する。しかしこれで引き下がる氷華ではなく博士に最後のお願いと称してとある頼み事をする。
ある日のジェラート5とゲッコーの戦いに氷華が乱入する。自らを隊員と名乗った氷華は愛の求道者プラチナジェラートに変身する。氷華は不動に近づくためにジャラート5の追加戦士に志願したのであった。

『恋は世界征服のあとで』の登場人物・キャラクター

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