【進撃の巨人】ユミル「アニがいない世界」アルミン「アニだけじゃない…」【厳選名作SS】

進撃の巨人の厳選名作SSを掲載しています。訓練中の事故で地面の裂け目に落ちてしまったアルミンとユミル。なんとか脱出して兵舎に戻ってくると、他の同期達から「少し前までアルミン達と一緒にいた」と言われてしまい…。

93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:20:51 ID:kuh5Fho.

ユミル(私らは休暇を取ってシガンシナ区へ来たから訓練に参加する事は出来ないが)

アルミン「何人か見逃しても、まだそのまま残っていれば誰か一人くらい目撃してるよね」

ユミル「実は私もお前と同じ意見なんだ。あの裂け目、塞がってるんじゃないかってさ…」

アルミン「どういう仕組みなんだろうね?」

ユミル「分からない…。とにかくもう一度あの場所に戻って確かめるしかない」

アルミン「…そうだね」

ユミル「そろそろ寝るか…。お前も明日、じいさんの葬儀を手伝わないとだろ?」

ユミル「船の中で少しは眠れたか?今夜はゆっくり休めよ?精神がもたないからな…」

アルミン「うん…。この世界に来てから考えることが多くて頭が痛いよ」

ユミル「ははっ…私もだ。早く元の世界に戻りたい…そんな事ばかり考えちまう」

94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:21:40 ID:kuh5Fho.

アルミン「ユミルはどうして元の世界に戻りたいの?この世界の方が住みやすそうだけど」

ユミル「……この世界は私らの世界じゃねぇだろ?それに私の愛したクリスタがいない」

アルミン「クリスタはこの世界にいるじゃない。アニ達と違って…」

ユミル「この世界のクリスタは…この世界に元々いた私が愛したクリスタなんだよ…」

ユミル「私の…私だけのクリスタは…元の世界のクリスタだけだ。分かるだろ?」

アルミン(僕には分かんないよ…。みんな同じクリスタだ…)

ユミル「寝るぞ…アルミン。ここから先には入って来るなよ?…向こう向いて寝ろ」

アルミン「えっ…いや、ここ…僕の部屋なんだけど…」

アルミン「はぁ………もういいや、僕は居間で寝てくる…。おやすみ、ユミル」

95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 00:22:28 ID:kuh5Fho.

ユミル「あぁ、おやすみ…」ゴロン…

ユミル(この本の中に答えがあるかもと期待していたが…結局、何も分からないままだ)

ユミル(一つの疑問。この平行世界が私らの世界より1週間遅れている世界だとすると)

ユミル(取り巻く環境は違えど、事故った奴らって元の世界と同じ奴じゃないか?…多分)

ユミル(なら、何で私も覚えてないんだ…?一命を取り留めたそいつらの顔と名前を…)

ユミル(明日、アルミンにも聞いてみようか?結果は見えている気がするが…)


102: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:22:02 ID:kuh5Fho.

地面の裂け目から生還して3日目

― シガンシナ区 市街地 ―

ユミル(朝市でレモンを買った!…サシャへのお土産とクリスタと自分用に)

ユミル(美容にも良いし、肉にかければ味を引き立てる…。この世界は肉が食える)

ユミル「ふふっ…そう考えると悪い世界でもないなぁ。私は食いしん坊じゃないが」

ユミル「アルミンじゃなくてサシャと来たかったよ。この世界をお前に見せたかった」

ユミル「ま、あいつなら絶対帰らないって言うだろうな!」

ユミル「…」

ユミル(アルミン…お前はさ……いや、今はいいや。…まだ時間はあるから)

ユミル「髪留めも買えた…。少々値は張ったがそれだけの価値はある」

ユミル「コスモスをかたどった見事な細工。素材も金具も質が良い。ちょっと小さいけど」

103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:23:05 ID:kuh5Fho.

ユミル「…私の予算じゃ、これが限界だった」ハァ…

ユミル(突出区って高度な技術を持つ職人が集まるんだよな。トロスト区もそうだし)

ユミル(材料を仕入れて付加価値を付けて売る。これが土地が少ない場所で生きる術だ)

ユミル「有名彫金師か…。噂に違わぬ一品だったよ…世界に一組しかないんだってさ」

ユミル(ペアになってるんだ。私は白で、クリスタはピンクだ…うん、そうしよう)

ユミル「こうやって組み合わせると…」カチッ…

ユミル「2つが1つになる。デザインも変わって面白い…こんな仕掛け初めて見た」

ユミル「クリスタ…喜んでくれるといいな!」

ユミル「レモンパイは夕方買うか…。今買って悪くなったら困る。生ものだしな」

104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:24:24 ID:kuh5Fho.

ユミル(いい街だな…ここは。街に活気がある…。人が、生きてるって感じがする)

ユミル(さっきそこの店で食った昼飯も美味かった!具が多くて驚いた…肉も入ってた)

ユミル(100年以上続いた平和な世界だもんな…。私らのいたあの世界とは違う…)

ユミル(この壁の向こうは巨人の領域なのに、そんな気配を感じさせない…)コンコン…

ユミル(アニやライナー…ベルトルさんにもこの世界を見せてやりたかったな…)

ユミル(なんであいつらがこの世界にいないのか…いや、それもまだ確定ではないけど)

ユミル(どこかで生きてるとして、なぜ私らのいる訓練兵団に入らなかったのか…)

ユミル(ここが『始まりの世界』を元に作られているという仮説が正しいのだとするなら)

ユミル(入団時期がずれていたり、他の訓練兵団に所属している可能性はないんだ)

ユミル(だからお前らがローゼ南方面駐屯の訓練兵団に所属してないって事は…)

ユミル(理由は知らないけど、もうどっかで死んでるって事なんだろう…。3人ともな)

ユミル「はぁ……」

ユミル「お前らがこの世界にいない事にも、何か意味がある…きっと」

105: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:25:24 ID:kuh5Fho.

アルミン「…ユミル!」

ユミル「アルミンか…」

アルミン「ここにいたのか…」ハァ…ハァ…

ユミル「あーぁ、息を切らして…。よく分かったな、私がここにいるって」

アルミン「まぁね、僕の情報網を甘く見ないでよ?この街は顔見知りばっかりだからね」

アルミン「ユミルの特徴を話したら、みんな快く教えてくれたよ!」

ユミル「ふぅん……それじゃ、この街で悪さはできねぇなぁ…」

アルミン「悪さ?」

ユミル「冗談だ。なーんにもする気がねぇんだ…。こんなに平和だとだらけちまうな…」

ユミル「訓練の事を考えないでこんなにのんびりしたのは久々だ」

ユミル「ま、他の事は色々と考えちまうけどな…」

アルミン「そうだね…」

106: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:26:39 ID:kuh5Fho.

ユミル「ここに座れよ…。葬儀は済んだか?」

アルミン「うん…もう終わったよ。ちゃんと見送ってきた」スッ…

ユミル「そっか…。エレンやミカサはどうした?」ストン…

アルミン「一緒に参列してくれたよ。エレン、少し泣いてた…僕は泣かなかったけど」

ユミル「…」

アルミン「元の世界で、いっぱい泣いたからね。父さんと母さんの事も…」

ユミル「お前の両親もアレに駆り出されたんだっけ…。じいちゃんだけじゃなくて」

アルミン「うん…。僕の両親もウォール・マリア奪還作戦で死んでいる」

アルミン「壁内の食糧バランスを調整するために…。まぁ口減らしだね」

ユミル「なるほど、そりゃ辛かったな…」

アルミン「あっ!…さっきハンネスさんを見かけたんだ」

107: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:27:55 ID:kuh5Fho.

ユミル「ハンネスさん?誰だ、そいつは」

アルミン「もう!覚えてないの?僕らの世界でトロスト区の駐屯部隊長だった人だよ」

ユミル「そんな奴いたっけ…?」

アルミン「ハンネスさんは元々シガンシナ区の駐屯兵だったんだ。今もシガンシナ区に…

アルミン「あれ…?でもおかしいな…今までの仮説が正しいのなら、ハンネスさんは…」

アルミン「何らかの理由でこの世界でもトロスト区の駐屯部隊長になってるはずなんだけど」

ユミル「じゃ、今までお前と話し合った仮説は間違ってたのかもな…」

ユミル「この世界は、私らがいた『始まりの世界』を根幹として成り立つ世界じゃない」

ユミル「…とかだったら最初から仮説を組み立て直す必要がある。足元が崩れる感覚だ」

アルミン「ん~…それも極端だと思うんだよね。修正力は確かにある…と思う」

アルミン「ハンネスさんが僕らの世界と違うのは、修正力の影響が薄かったから?」

108: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:29:27 ID:kuh5Fho.

ユミル「また訳の分からねぇ事を言い出しやがって…」

アルミン「僕らが歪んだ世界に飛び込んだ瞬間、基準となったのは僕らの意識と元の世界」

ユミル「私らの意識と…元の世界……?」

アルミン「僕らを中心として平行世界が作られていて…僕らの可能性の一つに踏み込んだ」

ユミル「まてまて、ゆっくり話をしてくれ…お前の話は分かりにくい」

アルミン「ハンネスさんは僕と関わりが強いけど、ユミルとはあまり接点がなかった」

アルミン「トロスト区にいる必然性が無くて、強い修正力は働かなかった…とか」

ユミル「いてもいなくても、どうでもいい存在って事か?私らの平行世界に」

アルミン「ハンネスさんはいなきゃ困るよ!!だってあの日、巨人の襲撃を受けた日…」

アルミン「彼はエレンとミカサの命を救ってくれたんだ!彼がいなければエレン達は…

ユミル「いや、この世界は巨人の襲撃を受けてないんだ…だからそいつの活躍もなかった」

109: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:30:42 ID:kuh5Fho.

ユミル「この世界では、な…」

アルミン「…」

ユミル「何も言うな、分かってるよ。そいつは私らの世界では必須の存在だった」

ユミル「だがこの平和な世界では、ハンネスさんとやらはここで穏やかに暮らしてんだ」

ユミル「何らかの作用で捻じ曲げられて、そいつがトロスト区にいる方が怖いだろ…?」

ユミル「少なくとも私は怖い…。何か意味があるんじゃないか?…って考えちまって」

アルミン「そ、そうだね、ハンネスさんは飲んだくれたままここで幸せに暮らすべきだ」

ユミル「ふーーーっ…」

ユミル「あっ!」

アルミン「ん…?」

110: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:32:03 ID:kuh5Fho.

ユミル「もしかしたら、アニやライナーやベルトルさんも同じじゃね?」

ユミル「今頃、故郷の村でさ、家畜の世話をしたり畑を耕してたりするのかもな…」

アルミン「ユミル、あのさ…ずっと言えなかったけど、彼らはもう死んでると思う…」

ユミル「アルミン…」

アルミン「あの後、マルコに聞いたんだ。なんで前年度の103期で志願しなかったのか」

アルミン「そしたら…その年、書類を提出する直前になってお父さんが倒れたんだって…」

ユミル「初めて聞いたぞ…それ」

アルミン「僕も初めて聞いた。多分、僕らのいた世界では彼の父親は健在だと思うけど」

ユミル「私らのいた世界は103期の募集は無かった…マルコが104期だったのは必然」

アルミン「何か…強い修正力が働いてるとしか思えないよね?僕らを引き逢わせるために」

ユミル「…と言うか私らの『始まりの世界』での辻褄を合わせるため…って感じがする」

111: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:32:59 ID:kuh5Fho.

アルミン「クリスタの家出も不自然だし…。何でわざわざローゼ南方面駐屯の訓練兵団に?」

ユミル「開拓地を経由してないクリスタには、ここに所属する必然性は無いんだよなぁ…」

アルミン「…となると、あの3人が生きていたら……」

ユミル「私らと関わり合いの深い同期は、強い修正力であの場所に集まってしまうはず?」

アルミン「うん、僕はそう思う…」

ユミル「はぁ……やっぱ死んでんのかな…どうでもいいけど」

アルミン「どうでもいい?」

ユミル「あぁ、どうでもいい!だって私らは元の世界に戻るんだ。5日後に…」

アルミン「ユミル…その話なんだけどさ…

ユミル「なぁ、一つお前に聞きたい事があるんだが」

アルミン「えっ……あ、うん…。なに?」

112: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:34:32 ID:kuh5Fho.

ユミル「私らの世界で約2週間前、訓練中の事故で2人死にかけただろ?」

アルミン「あったね…。僕ら訓練を取りやめて彼らを総出で探したもんね…」

ユミル「あぁ…立体機動の訓練中に行方不明になって、やっと見付かったと思ったら…」

アルミン「男の方は大怪我で、女の方は…ほぼ無傷だったけど両方とも意識が無くて…」

ユミル「あれってさぁ…誰だったか覚えてるか?」

アルミン「……ん?」

アルミン「………えーっと…ね」

アルミン「…??…えぇっ!?…ちょ……ちょっと待って…」

アルミン「な、何で…?思い出せな…い。そんな…僕らは彼らと仲が良くて…」

ユミル「はぁーーーっ…やっぱお前もか…」

アルミン「ユミルも?」

113: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:35:56 ID:kuh5Fho.

ユミル「あぁ、私も思い出せないんだ」

ユミル「ちなみにこの世界にいる奴らもこっちの世界の事故で死んでる2人の名前は…」

ユミル「思い出せないと言っていた…。名前だけじゃなくて顔も…何もかも…」

アルミン ブルッ「…背筋が寒くなってきた……ユミル、僕はもう何も考えたくない」

ユミル「私も同じ気持ちなんだよなぁ…」ハァ…

ユミル「そういやさ、第一発見者って誰だったっけ?その事故った2人を見付けた奴」

ユミル「一番最初にそいつらを発見した奴ってさ、確か…

アルミン「…やめよう。こんな話、意味ないよ…少なくとも今は」

アルミン「ユミル、花を買いに行くよ。手向けの花だ…僕の母さんがユミルと行けって」

ユミル「そうだったな…もう、行くか」スクッ…


114: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:37:12 ID:kuh5Fho.

― シガンシナ区 花屋の前 ―

ユミル「花屋なんてウォール・シーナ以外で初めて見た」

アルミン「僕らの世界で花屋って商売が成り立つのは金持ちが多いシーナしかないね」

ユミル「ま、花じゃ腹はふくれないしな…。花を愛でるより、まずは食い物だ」

アルミン「そうだね…でもこの世界は僕らの世界じゃないからここも昔のままだ」

ユミル「じいちゃんの遺体はもう焼いたのか?」

アルミン「いや…亡くなってから24時間は焼いちゃいけないんだ」

ユミル「あぁ…そっか…。生き返る可能性があるもんな」

アルミン「僕のおじいちゃんに関して言えばそれは無いけど。法律でね、決まってるから」

アルミン「マリア内なら土葬も許されてるけど、突出区はそうはいかないからね」

115: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:38:28 ID:kuh5Fho.

ユミル「土地、狭いもんな…。バンバンと墓なんか立てられる場所は無いしな」

アルミン「今夜か明日の朝だろうな…火を入れるの」

アルミン「母さんは今夜のうちに焼いておきたいみたい…」

ユミル「そういや昨日…お前の母さん、明夜に焼くって言ってたな。何で急いでるんだ?」

アルミン「僕に、遺骨の一部を持たせてくれようと思ってるんだと思うよ。お守りにね」

ユミル「う…っぷ…。お前んところの風習か?それ」ブルッ…

アルミン「ううん…。僕はおじいちゃんっ子だったから、寂しくないようにってさ…」

アルミン「多分ね、そんな理由だと思う…」

ユミル「そっか…」

116: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:39:39 ID:kuh5Fho.

アルミン「でも僕は断るつもり」

アルミン「それを受け取るべきは僕じゃなくて、この世界に最初からいた僕だから…」

ユミル「そうだな…。お前のじいちゃんだけど、お前のじいちゃんじゃない」

ユミル「父親も、母親も、エレンも、ミカサも…みんな偽者。…クリスタでさえもな」

アルミン「………偽者でも…いいんだ…」ボソッ

ユミル「アルミン!!」

アルミン「!?」ビクッ!

ユミル「今言ったばかりだろ!?遺骨を受け取るのは自分じゃなくてこの世界の僕だって」

ユミル「そっから先の言葉は言うな…。この世界を返してやるんだ!この世界の私らに」

117: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:40:46 ID:kuh5Fho.

アルミン「……ユミル、そう…だね…」

ユミル「ここで長々立ち話をしても仕方がない。花を買って家に戻ろう」

アルミン「うん…そうする…」




ユミル「全部綺麗だなぁ…花の匂いっていいよな。香水より好きだ」

アルミン「優しい香りがするね。これとそれと……あと、…あれもお願い」

花屋の店主「アルミン、おじいちゃん残念だったね」

アルミン「うん…でも、安らかな死に顔だったよ。みんなに良くしてもらってさ」

アルミン「おばさんにもおじいちゃんが生前お世話になったね」

118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:41:48 ID:kuh5Fho.

花屋の店主「お世話になったのはこっちだよ…」

花屋の店主「あなたのおじいちゃんは、よくおばあちゃんのために花を買ってくれてね」

花屋の店主「そうだ…!これとこれもおまけしてあげるよ。元気出すんだよ」

アルミン「うん!おばさんありがとう」ニコッ

ユミル「いっぱい買ったな…二人で手分けして持って帰るか。手伝ってやる」

???「おばさん、配達から戻ったよ」

花屋の店主「あぁ、おかえり!早かったね」

花屋の店主「帰って早々悪いんだけど、この子達の家まで花を運ぶの手伝ってあげて」

???「あぁ、いいよ。分かった」

119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:42:53 ID:kuh5Fho.

ユミル「…」

アルミン「…」

???「ほら、早く…花をよこしな!あんたの家まで持ってってやるよ」

ユミル「おい!アルミン…いるじゃねぇか…」

アルミン「ほんと…驚いたよ…」

???「…はっ?」

ユミル「アニっ!!…お前ちょっと、こっち来い!!」グイッ…

アニ「!?」

花屋の店主「おやおや、知り合いだったのかい?店はいいから行っといで、アニ」

120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:44:10 ID:kuh5Fho.

アニ「ちょっと!…あんた達、誰?何で私の名前…

アルミン「良かった…アニ、死んでなかったぁ…」グスッ

アニ「離せっ!このっ…あんた達は一体何者なんだっ?」ズルズル…




ユミル「何も話す気は無いみたいだな?アニ」ギリギリ…

アニ「くっ…2対1なんて卑怯だよ…この馬鹿女!!」

ユミル「馬鹿女じゃねーよ!ユミルだよ、この馬鹿アニ!」

アルミン「ユミルも…アニも……ちょ、ちょっと落ち着いて」

アルミン「大体アニはこの世界では訓練兵に志願してないし、同期じゃないんだから…」

アルミン「僕らの事知ってる訳ないでしょ?…ユミル、冷静になってよ!」

ユミル「…ま、そういやそうだな」

121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:45:27 ID:kuh5Fho.

ユミル「じゃ、何でお前までシガンシナ区にいる…?」

アニ「…」

ユミル「答えろっ!言っとくけどな、お前とは対人格闘で何回かやってんだ!」

ユミル「私らのいた世界じゃ、お前に勝てた事は一度も無いけど…」ハァ…ハァ…

ユミル「こんなぬるい世界で平和に浸りきってたお前なら、ねじ伏せるのは訳ないんだよ!」

ユミル「私の2年間、舐めんなよっ!」ギリギリギリ…

アニ「……く…っ………離…せっ…」

アルミン「ユミル、離してあげようよ…アニ苦しがってる…!!」

122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:46:24 ID:kuh5Fho.

ユミル「ライナーを知ってるか?」

アニ「!?」ピクッ!

アニ「何で…その名前を……あん…た…ら、なにも…の?」ゲホッ…

ユミル「何反応してんだよ。お前、ライナーと知り合いだったのか?」

ユミル「訓練兵になる前から…」ジロッ…

アルミン(訓練兵になる前からの知り合い…?)

ユミル「アルミン!アニの脚、しっかり押さえとけ。でないとすぐ逃げられるぞ!」

アルミン「う、うん…」

アルミン(アニ…ごめん!!)ギュゥゥゥ…

123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:47:59 ID:kuh5Fho.

アニ「な、何の事だか…さっぱりだ…ね。いいから離せっ…大声を出す…か、ら…

ユミル「ベルトルさん…いや、ベルトルトはどこだ?」

アニ「…!」

アニ「し、知らない…」プイッ

ユミル「しらばっくれても無駄だからな。…そんな時はな、『誰?』って返すんだよ!」

ユミル「お前…知ってんだな。ベルトルさんの事も」

アニ「…っ!」ギリッ…

ユミル「お前とあの2人の関係なんてどうでもいいが、」ハァ…ハァ…

ユミル「まさかこのシガンシナ区でお前と再会できるとは思ってなかったよ…」ググッ!

ユミル(全ての事には意味がある。私がシガンシナ区に来た事も…アニがここにいる事も!)

アニ「…逃げない…か…ら、離してくれる?…馬鹿女」ボソッ

125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:49:39 ID:kuh5Fho.

ユミル「ユミルだ」

アニ「ユミル…頼む…」

ユミル「…」

ユミル スッ… スクッ

アニ「はぁ……やっと自由になった…」コキン…

アルミン「アニ、どうしてシガンシナ区で働いているの?ライナーとベルトルトは?」

アニ「それよりあんた達、何なの?なぜ私を知ってる…?」

ユミル「何とも説明しようがねぇんだが…私らはお前らの仲間だよ」

アルミン「うん……仲間、だね。僕ら二人しか君達の事を知らないけど…」

アニ「私の仲間!?ほ、本当?…ねぇ、あんた達ひょっとして私らの故郷の人間か?」

126: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:50:49 ID:kuh5Fho.

ユミル「故郷の人間?」

アニ「なぁ、そうなんだろ?年の頃も似通っている…」

アニ「そうか…失敗してから4年、やっと…増援が来た!」ギュッ

アルミン「増援?」

アニ「そうじゃなきゃ、私らの名前を知ってる訳がない!!」

ユミル「…」

アニ「あんたらはどうやってここまで来て…この壁を越えた?」

ユミル「!?」

ユミル(何だと?こいつ…何言ってんだ…?)

アニ「…な、なんで黙ってるの?」アセッ

127: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:52:00 ID:kuh5Fho.

ユミル「アルミン、お前は何も喋るな…」

アルミン「あっ、うん…」ムグッ

ユミル「失敗して4年…?」

ユミル(まさかとは思うがこんな偶然って…。私らの世界は4年前に巨人に襲撃された)

ユミル(発端はこのシガンシナ区。この区の内外の開閉扉が破られて…あの惨劇が起った)

ユミル(ま、私は壁が壊されてから壁内に来たからな。それ以前の壁内には詳しくない)

アニ「ち、違うの…?」

ユミル「ライナーとベルトルさ…ベルトルトは、死んだのか?」

128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:53:32 ID:kuh5Fho.

アニ「…」

ユミル(ダンマリ…か。ちょっと鎌をかけてみるか)

ユミル「ひょっとして、そいつらはどっかで巨人にでも食われたのか?」

アニ「!?」ビクンッ!

アニ「…う゛ぅ…っ……ひぃ…っ…」ギュゥッ… ガタガタガタガタ…

ユミル「なるほど…お前一人だけ生き残ったって訳か…」

アルミン「ちょっとユミル!アニが泣きそ…

ユミル「お前は黙ってろっ!!」

アルミン「…!?」ビクッ

129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:54:28 ID:kuh5Fho.

ユミル(なんか出来過ぎなんだよなぁ…そんな馬鹿な話があるか?)

ユミル(増援って何だよ。こいつらが4年前に壁内を襲った巨人だとか思ってんのか?)

ユミル「はぁ…。んな訳ねぇよな……ありえない…」フルフル

アニ「ねぇ…」 カタカタ…

ユミル「ん?」

アニ「もう一人の名前、教えて」

ユミル「もう一人?」

アニ「あんたが私らの仲間なら…知ってるでしょ?もう一人の仲間の名前」

ユミル「仲間の名前ねぇ…」カリカリ…

アルミン「ジャン、サシャ、コニー…それとマルコにクリスタ。あと、エレンとミカサ」

130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:55:50 ID:kuh5Fho.

アルミン「この中で知ってる人はいる?アニ」

アニ「どれも違う…。私の仲間の名前じゃない!」

ユミル「じゃ、お前らと私らは仲間じゃねぇんだな」

アニ「…はっ?」

ユミル「この世界じゃ知り合うはずもない。お前らと知り合うのは訓練兵団に入ってからだ」

アニ「…」

ユミル「悪かったな。今日の事は忘れてくれ」ポン…

ユミル「私らも忘れる。なんせ5日後にはこの世界を去るんだ、私もこいつも」

ユミル「この世界には存在しなくなる。…いや元々いた私らは戻って来るかも知れないが」

アルミン「ユミル…」

アニ「分かった。気持ち悪いけど、あんた達とここで出会った事は忘れる…」

131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:57:08 ID:kuh5Fho.

アニ「あんたも忘れてよ。私達の名前と存在を…」

アニ「それで私はここで本物の増援を待つ…。いつまでも…仲間が、来るまで」

ユミル「…」

ユミル「またすぐ会える、元の世界で…。アニ、お前も元気でな」ニコッ

アニ「…」

ユミル「花は私とアルミンで持って帰る。お前は仕事に戻れ!じゃぁな」

アニ「待ちな!…えっと、ユミル?だっけ」

ユミル「…んっ?」

アニ「あんたがさっきから言ってる『この世界』…とか、『元の世界』…とか」

アニ「意味が分からないけど、昔似たような話を本で読んだことがある」

132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:58:23 ID:kuh5Fho.

アニ「ここじゃない、よく似ているけど違う『平行世界』の話だ」

アニ「本を信じてる訳じゃないが、やっぱり気持ち悪くて。あんたは私を知ってるのに」

アニ「私はあんた達の事、何も知らないから…。さっきの話は説明が付かない」

アルミン「アニも読んだ事あるんだ?『平行世界』の可能性を記した本を」

アニ「あぁ…」

ユミル「信じてくれなくても結構だけど、私らが別の世界から来たって言ったらどうする?」

アルミン「ははっ…僕ら完全に頭のおかしな人だね…」フゥ…

アニ「信じるしかないだろ…」

アニ「私はこの街に着いてから、仲間の名前を口にしたことは一度も無い」

133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 21:59:31 ID:kuh5Fho.

アルミン「うん…」

アニ「5日後に元の世界に帰るの?」

ユミル「帰れるかどうかは分からないが、帰り方は多分あの方法で合ってると思う」

ユミル「私は、帰るつもりだ…」

アニ「そう…」

アニ「あんたの世界にも、私とライナーとベルトルトがいたんだね」

ユミル「…いたよ。ライナーとベルトルさんは仲が良かったが、お前の事は…

アニ「幼馴染なんだ…あの二人とは…。本当はもう一人いる、あんたの知らない奴」

ユミル「そいつも死んだのか?巨人に食われて」

アニ「そうだよ…。元の世界に帰ってもこの話はあっちの私には言わないで」

134: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:00:36 ID:kuh5Fho.

アニ「自分自身にお喋りだって思われるのは嫌なもんだからね…」

ユミル「ダハハハ!そうだな…。お前ら三人が幼馴染で知り合いだった…って事は、」

ユミル「元の世界に戻っても誰にも言わねぇよ!安心しな。アルミンも言うなよ?」

アルミン「うん!約束するよ…アニ。隠してるって事は、何か事情があるんでしょ?」

アニ「まぁね…。ありがとう…」

アニ「こんなぬるい世界で平和に浸りきってた…って、さっき言ってたね」

アニ「あんたの世界は平和じゃなかったのかい?」

ユミル「あーーー…そりゃお前には言えねぇなぁ!」

アニ「どうして?」

ユミル「なんか怪しいから?私らの世界の情報が欲しくて探りを入れてるんだろ?」

135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:01:46 ID:kuh5Fho.

アルミン「ユミル!」

アルミン「ごめん…アニ。僕はそんな事思ってない!…ユミルはちょっと口が悪くて」

ユミル「おい!何でアニに謝ってんだよっ!!謝るなら私にだろ?」

ユミル「大体な、全ての元凶は…

アニ「私は…

ユミル「あぁ?」イラッ

アニ「私達はこのシガンシナ区に4年前に来たんだ。幼馴染と四人で…」

アニ「マリアの山奥の村から子供の足で…何日もかけて歩いて来た。家出同然で…」

アルミン「うん…」

アニ「その日はちょうどシガンシナ区から調査兵団が壁外調査に出発する日だった」

136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:03:11 ID:kuh5Fho.

アニ「壁の外には巨人がいるって知ってたけれど、私達はまだ幼くて馬鹿だったから」

アニ「シガンシナ区の外側の開閉扉が開いて、皆が一斉に馬で飛び出して行った時、」

アニ「ライナー、ベルトルト、もう一人の仲間もそれにつられて壁の外へ行ってしまった」

ユミル「…」ゴクッ

アニ「止める間もなく、誰にも気付かれず…。そして扉は閉じ、彼らは帰って来なかった」

アルミン「だからライナーとベルトルトは…」

アニ「もう死んでるよ。巨人に食われてね…ユミル、あんたの言った通り。4年前に」

ユミル「なるほどね、辻褄は合う」

ユミル(その話だと、「増援」の意味が分からないんだが…。話半分ってとこだな)

アニ「それからずっと、ここで三人を待ってる…。いつか戻って来るかも知れないから」

アニ「ここで働きながら、待ってるんだ。やり直す機会を…」

137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:04:13 ID:kuh5Fho.

アルミン「やり直す機会…?」

アニ「4年前に果たせなかった私らの任務さ!この街で、四人で遊ぶ約束をしてたんだ」

ユミル「ふぅん…」

アニ「教えてくれないか?平和じゃない…あんた達の世界の事」

ユミル「…アルミン、どうする?」

アルミン「いいよ、教えてあげる。君に教えたところでこの世界に何の影響もないから」

アルミン「僕らのいた世界は4年前に巨人の襲撃を受けて…このシガンシナ区は壊滅した」

アニ「…」

アルミン「ウォール・マリアも破られて、人類の領土はウォール・ローゼまで後退する」

ユミル「そうだったな」

138: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:05:49 ID:kuh5Fho.

アルミン「王政府はウォール・マリア奪還作戦と称して大規模な口減らしを敢行…」

ユミル「その結果、かつてマリアの住人だった25万人が犠牲になった」

アルミン「アニ…大丈夫?震えてるけど…」

アニ「だ、大丈夫…私は平気だ」

ユミル(こいつ、今…うっすらと笑いやがった…)

アニ「私やライナー達とはどこで出会ったの?」

アルミン「ウォール・ローゼ南方面駐屯の訓練兵団だよ。僕らはそこで出会ったんだ」

アルミン「君達は成績優秀でね、常に成績上位だったよ!今もね」

アニ「それであんた…私とやったことがあるって…」

ユミル「対人格闘訓練で何度か組んだ。お前、面倒くせぇんだよ…その足技」

ユミル「高度な技術を持ってた。今のお前はなまっちまってるけど…」

139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:07:00 ID:kuh5Fho.

アニ「そうかい…。平和ボケしてるんだね…私は」

アルミン「まぁまぁ…ここは平和な世の中なんだから、アニもそれを楽しめばいいよ」

アニ「あんた…」

アルミン「もうさ、故郷に帰りなよ…。アニだって両親が故郷で待ってるんでしょ?」

アルミン「ベルトルトとライナーの事は残念だったけど…僕らの世界では生きてるから…」

アルミン「アニも楽になって欲しい…。そんな苦しそうな顔してないでさ」

アニ「故郷に…帰る……か」

アニ「もう少し待って増援が来なければ…それも考えるよ。私一人じゃ、無理だから」

アニ「でも別の可能性を垣間見る事が出来て良かった…これから先に希望が持てる…」

アニ「私らが失敗したから…この世界があるんだ…」

アルミン「幼馴染が生きていたら、きっと僕らと同じ訓練兵団に所属していただろうね」

140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:09:05 ID:kuh5Fho.

ユミル「そうだな、何らかの力で104期に入団させられていただろうな…」

ユミル(この世界はそういう風に出来てるみたいだからな…)

アニ「マルセル…」ボソッ

ユミル「誰だ?そいつは…」

アニ「何でもない…」

アニ(やっぱり…あいつだけは、私らの最初の任務が成功した世界でも存在していない)

アニ(ユミル、あんたが『あぁ、そいつを忘れてた。幼馴染か?』って言ってくれたら)

アニ(私は幸せな気分のまま、この命を諦める事ができたのかも知れないのに…)

アニ(まだ任務を続行する…。あいつらの遺志を継ぐ…私はここで生きて、待つよ)

141: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:10:11 ID:kuh5Fho.

アニ「もう戻るね。おばさんが待ってる…。仕事をしなきゃ金は貰えない」

ユミル「元気でな!この世界のアニ」

アニ「そうだ…。あんたらの話、私は信じる!それでそっちの私に伝えてもらえる?」

ユミル「何をだ?」

アニ「…絶対に、諦めるなって。最後の一人になっても戦うんだ!…そう、伝えて」

アルミン「うん!伝えるよ。…アニらしいね、何か僕らの世界のアニと変わらない」

ユミル「そうか?だいぶ丸くなったと思うんだがなぁ…心も身体も…」

アニ「ふふっ…失礼な女だね。あんた、私と仲が悪かっただろ?」

ユミル「そうでもねぇよ!お前とはまたすぐ会えるんだ、伝えておくからな」

142: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:11:49 ID:kuh5Fho.

ユミル「う~ん…読み違えてたな…」

アルミン「うん?」

ユミル「アニはいる世界」

アルミン「アニだけじゃなくてライナーもベルトルトもいれば良かったのにね」

ユミル「もう死んでるんだってさ!…無理だろ?」

アルミン「相変わらず身も蓋もないね。ユミルの物言いは…」

アルミン「それを聞いても全然悲しくならないのは、ここが僕らの世界じゃないから」

143: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:13:06 ID:kuh5Fho.

ユミル「だなぁ…だって私ら、この世界では通りすがりだし…」

アルミン「楽観視してるけど、まだ帰れるって決まった訳じゃないんだからね」

ユミル「…帰れない方が、お前にとって都合が良いんだろ?…アルミン」

アルミン「えっ?」

ユミル「行こう、だいぶ遅くなった。お前の両親が心配してる」




144: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:14:24 ID:kuh5Fho.

地面の裂け目から生還して4日目

― アルミン・アルレルトの生家 ―

ユミル(夜が明けた…昨夜は私以外は大変だった。留守番中にまたあの本を読み返した)

ユミル(アルミンのじいちゃんの事に関しては完全に部外者だし、興味もない…)

ユミル(あの本の中に、もっと『平行世界』についての手掛かりがあるかと思ったが…)

ユミル(著者も仮定と推論を繰り返すばかりでどうにも確証がないって感じだ)

アルミン「全部、終わったよ。留守番ありがとう」ギギギギッ…

ユミル「番犬もこの時間をもって終了か…。報酬はお前の母さんが作った美味い手料理」

アルミン「番犬って言うか…狂犬?昨日も事情を知らないアニにいきなり噛みついたし」

ユミル「お前さ、終わり良ければすべて良し…って言葉を知らないのか?」

145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:15:40 ID:kuh5Fho.

アルミン「まぁ…君のおかげでライナーとベルトルトがいない理由は分かったけどね…」

ユミル(そうだな。だが、アニがどこまで本当の事を言ってるのかは分かんねぇけどな…)

ユミル(アルミンはアニの言葉を信じているようだ。あの女にコロリと騙されやがって)

ユミル(私に言わせりゃあのアニも、よく似てる『偽者』以外の何者でもないんだが…)

ユミル「最後まで見てきたか?骨になるまで…」

アルミン「うん…見てきた…。それでお墓に遺骨を納めてきたよ。君と買った花も供えた」

ユミル「私も行けばよかったか?」

アルミン「いや、近親者と生前親交があった人達だけでいいんだ。君は面識ないでしょ?」

ユミル「まぁな。ここに来るための理由として使わせてもらっただけだ。…すまなかった」

アルミン「…いいんだ」

146: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:17:18 ID:kuh5Fho.

アルミン「ね、午前中に出発しよう。トロスト区の最終の乗合馬車に間に合わせなきゃ」

ユミル「そうだな、お土産のレモンパイも買ってあるし…後は帰るだけだ」

ユミル「最終に乗れないと四人でトロスト区に明日の朝まで足止めされることになるな」

アルミン「明日は訓練に参加するよ。成績にも響くしね。休んでばかりもいられない」

ユミル「トロスト区で一泊するもの悪くないけどなぁー…明後日は休みだしのんびり…

アルミン「ユミル!」

ユミル「分かってる!のんびりしねぇよ。クリスタに早く会いたいしな!早速戻るか…」




147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:18:20 ID:kuh5Fho.

地面の裂け目から生還して5日目

― 兵舎内 食堂 ―

ユミル「はぁっ……あっ…ふ……あぁ…寝た気がしねぇ…」ボーッ

クリスタ「だいぶ遅い時間だったもんね、帰って来たのが…」

ユミル「アルミンがどうしても昨日中に帰りたいってうるさくてな、少し無理をした」

ユミル「昨夜は起こしてごめんな、クリスタ」

ユミル「そっと部屋に戻ったつもりだったんだが…」

クリスタ「ううん、気にしないで…。ユミルが戻って来てくれて安心できたから」

クリスタ「何度起こしてくれたって構わないよ」

ユミル「クリスタ…」

148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:19:11 ID:kuh5Fho.

ユミル「そうだ!お前にシガンシナ区のお土産を買って来てたんだ。ほら、これ…」ガサッ

クリスタ「今開けていい?」

ユミル「あぁ、勿論!手の中にすっぽり入るぐらいの小さい物だから失くすなよ?」

クリスタ ガサガサ…

クリスタ「…わぁ……可愛い…。髪留め?」キラキラ…

ユミル「あぁ、今私が付けてるのとお揃いだ!私は白でお前はピンク」

ユミル「これは2つで1つなんだ」パチン… スルッ

ユミル「貸してみろ!…これをこうやって私の髪留めと組み合わせれば…」カチッ…

ユミル「ほら、1つになった!」

149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:20:16 ID:kuh5Fho.

クリスタ「素敵…。ユミルとお揃い…しかもペアになってるだなんて…」

ユミル「気に入ったか?」

クリスタ「勿論!…ありがとう、ユミル」ギュッ

ユミル「おっ、おい!急に抱きつくな…パンが落ち…

サシャ「パンが落ちたら私が拾って食べます!」

ユミル「サシャ…お前もいたのか?」

サシャ「さっきからいましたよ…ここに」

サシャ「ユミルとクリスタが二人の世界に入っちゃってて声をかけづらくって…」

ユミル「悪い…気付かなかった。無視してた訳じゃないんだ」

ユミル「私が行方不明になった日、お前も探してくれたんだってな…ありがと」

150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:21:25 ID:kuh5Fho.

サシャ「いえいえ、礼には及びません、そのパンをくれたら帳消しに…

ユミル「お前にも土産を買ってきた。レモンそのものと菓子屋で買ったレモンパイだ」

ユミル「だが私のパンを強請るような強欲な女に土産を渡したくない…」

サシャ「!?」

サシャ「ユ、ユミル!パンは諦めます…レモンパイを…それとレモンもください!!」

ユミル「どうしようかなぁ…」

サシャ「わ…私だってあの日、一生懸命探したんですよっ。だってまた仲間が死んだら…

ユミル「それなんだが、お前も覚えてないんだろ?その死んだ仲間の名前と顔」

サシャ「えっ…」

ユミル「誰が最初に発見したかも覚えてない。違うか?」

サシャ「そう…です…。あれ…?おかしいですね……」

151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:23:06 ID:kuh5Fho.

サシャ「私は彼女と仲が良くて、確かあの事故があった日も彼女と今みたいな会話を…

ユミル「…もういい。分かった」

ユミル「クリスタ、お前にもレモンを買ってきた。蜂蜜を買ったら一緒に漬けるぞ」

クリスタ「うん!美味しそうだね」

ユミル「レモンパイは同室の奴らの分も切り分けるからな、私の分はサシャにやるよ」

サシャ「いいんですか!?」パァッ…

ユミル「あぁ!お前が美味そうに食べるのを見るは嫌いじゃないんだ」

ユミル「私のいた世界ではお前はいつも腹を減らしてたからな…味わって食えよ?」

サシャ「やった!!ユミル、大好きです!!」 ギュゥッ

ユミル「わっ…おまっ…!苦し…やめ……

クリスタ「サシャだめっ!…ユミルは私の!!彼女に触らないでっ!」ギュゥーーーッ

152: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:24:28 ID:kuh5Fho.

アルミン「あははっ…楽しそうだね、あっちのテーブルのユミルとサシャとクリスタ」

エレン「なぁ、結局あいつ何しにシガンシナ区へ行ったんだ?葬式にも出なかったし」

ミカサ「アルミンの家の留守番をしていたと聞いた。役には立っている…」

アルミン「そうだね。ユミルがいて分かった事も多かったし、一緒に来てくれて助かった」

エレン「ふ~ん…」

アルミン「エレン、ご両親に甘えてきた?」

エレン「…は?」

アルミン「シガンシナ区をこの目で見て、両親の顔や声をその身に焼き付けてきたかい?」

エレン「お前…急にどうしたんだ?」

ミカサ「久しぶりに家に帰ったから、懐郷病になったの?アルミン」

153: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:25:38 ID:kuh5Fho.

アルミン「うん…。そうみたいだ」

アルミン「僕はこの身体と心に沁みこませてきたよ…。何度でも思い出せるように…」

アルミン「シガンシナ区を取り戻す…。この気持ちを原動力として生きていけるように」

エレン「アルミン…」

ミカサ「…お疲れ様、アルミン。色々あったものね…明日の休みはゆっくり休んで」

アルミン「ありがとう、ミカサ。でもそういう訳にはいかないんだ」

アルミン「先に行くね」ガタッ

エレン「あ…あぁ、今日も訓練頑張ろうぜ!」

154: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:26:43 ID:kuh5Fho.

アルミン「ユミル、ちょっといい?」

ユミル「…なんだ?どこかへ移動するか?」

アルミン「いや、ここでいいよ。まだ時間があるからゆっくり食べてて」

アルミン「今夜だよね、地震があるのは」

ユミル「そうだったな。今夜地震が起きたら、明朝にでもあの場所を見に行く」

クリスタ「あの場所?」

ユミル「お前も一緒に行くか?立体機動の訓練で使ってるあの森だ。歩いて行くぞ」

ユミル「2時間ほどかかるが…」

クリスタ「行きたい!私とユミルとアルミンの3人で行く?ピクニックだね」

クリスタ「ついでにミカサとサシャ、エレンやジャン、あと…コニーも誘わない?」

155: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:27:40 ID:kuh5Fho.

ユミル「またか…。私らは遊びに行くんじゃないんだって…」

アルミン「さらっとマルコを外したのは何か意味があるのかな?クリスタ…」

ユミル「とにかく、だ。3人で行く。他の奴らは誘わない…裂け目を見に行くだけだから」

クリスタ「裂け目?」

アルミン「うん…裂け目は今夜出来るんだ」

クリスタ「…?」

ユミル「地震、来るかな…?」

アルミン「来なければ戻れないよ、僕ら」

ユミル「そうだな…来ることを祈るか」

156: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:28:58 ID:kuh5Fho.

アルミン「そうだ!サシャ、君にも聞いておこう。ユミル、もうサシャに聞いた?」

ユミル「何を?」

アルミン「僕らが休暇を取ってシガンシナ区に帰ってる間に立体機動の訓練があったから」

アルミン「あの裂け目が訓練の経路上にまだ残っていたかどうか…って話」

サシャ「あ~…それ、もうユミルに聞かれましたねぇ…それらしき穴は無かったですよ?」

ユミル「数人に声をかけてみたが、同じ返答だった」

アルミン「僕の方も同じだ。見落とされたんじゃないとすればやっぱり穴は消えている…」

ユミル「ま、予想通りじゃねぇか!どうせ明日、確認に行くんだ。心配しても仕方ない」

クリスタ「ねぇ、ユミル…。その穴…?裂け目?…を見付けてどうするの?」

ユミル「さて、どうすっかな…」

アルミン「そろそろ時間だ。今朝は座学からだったよね?講義室へ移動しよう」


157: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:30:13 ID:kuh5Fho.

― 兵舎内 図書室 ―

ユミル(今日の訓練もぬるかった…。講義も以前やったところだ。進みもだいぶ遅い)

ユミル(おまけに知識が古くてまるで役に立たない…。巨人の研究は進んでないようだ)

ユミル(馬術はまぁまぁやり応えがあった…馬が少し肥えてた。栄養状態が良いんだな)

ユミル(あの馬を使えたらもっと早く裂け目まで行けるんだが…この世界でも馬は高価だ)

ユミル(無断で借りる訳にもいかないし、ここはやっぱ歩きか?)

ユミル「身体が鈍ってるから丁度いい。これも訓練だ!…とか思わないとやってられない」

クリスタ「ユミル、今日も余裕の表情だったね。訓練辛くないの?」

ユミル「全然、ぬるすぎてあくびが出るほどだ」ハハッ

ユミル(この世界じゃ何かやらかしても死ぬ寸前まで走らされることはないしな…)

クリスタ「そう…。この調子だとユミルの順位さらに上がっちゃうね」

158: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:31:36 ID:kuh5Fho.

ユミル「そうか?でもお前だって9位じゃねぇか…お前もこの調子なら憲兵団に…

クリスタ「何度も言ってるけど、憲兵団には入らない。シーナには行きたくないの」

クリスタ「もし私が駐屯兵団に入りたいって言ったら…ユミルは付いて来てくれる?」

ユミル「…」

クリスタ「憲兵団にも入れる成績なのに無理だよね。…ごめん」

ユミル「…いいよ」

クリスタ「えっ…!」

クリスタ「ユ、ユミル!冗談だよ?…私なんかに付き合わなくても…

ユミル「どこへでも付いて行ってやる。言われなくてもな」

クリスタ「ユミル…」

ユミル(きっとこの世界に元からいた私も、同じ答えだろう)

159: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:32:30 ID:kuh5Fho.

ユミル「安心しろよ?例えお前がとち狂って『調査兵団に行きたい』って言い出しても」

ユミル「私はちゃんとお前に付いて行ってやるから…」ナデナデ…

クリスタ「調査兵団…それはさすがにないと思う…。…だけど……ありがとう…」グスッ

ゴゴゴゴゴゴォ………

クリスタ「な、何の音!?」

ユミル(来たっ!)

ドォンッ… グラグラグラッ……

ユミル「地震だっ!…クリスタ、掴まれっ!!転ぶなよっ」グイッ… ギュゥゥゥ…

クリスタ ブルブルブル…

160: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:33:22 ID:kuh5Fho.

ユミル「……揺れ、収まったな」ハァーーー

クリスタ「ユミル…怖かったよ……」ギュッ…

ユミル「大丈夫だ。この地震は一回だけで余震も無かったんだ。3日後までは」

クリスタ「何でそんな事が分かるの?」

ユミル「この地震を一度経験してるからだな」

ユミル(だがおかしいんだ。それなりに大きな地震だったのに…建物に被害は無かった)

ユミル(何て言うか、本物の地震じゃないような…変な感じだ)

ユミル「局地的な地震なんだ。この周辺だけ、何らかの作用で時空が歪んだ…」

161: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:34:45 ID:kuh5Fho.

ユミル「おかしい…おかしいぞ!!…この地震、絶対変だ…!」

ユミル「あんなに揺れたのに、この図書室の本は一冊も床に落ちていない…」

クリスタ「本当だ…。何で?さっきは立っていられないぐらい揺れたのに」

ユミル「きっと…あの穴は…裂け目は、この瞬間にも口を開き…元の世界と繋がった!!」

ダッ

クリスタ「ユミル待って!」ギュッ

ユミル「離してくれ!クリスタ」

クリスタ「ダメ!ユミルが消えちゃう!!」

ユミル「えっ…」

クリスタ「またトイレに行くって言って戻らなかった時みたいにユミルが消えちゃうの!」

クリスタ「行かないでよ…ねぇ!!」

162: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:35:48 ID:kuh5Fho.

ユミル「クリスタ…」

ユミル(どこに行こうとしてたんだ?…まだ行くべきじゃないだろ…)

ユミル(同じ日の同じ時間に飛び込まなければ意味は無い。でないと…)

ユミル(私とアルミンは元の世界に戻れない…。焦るな…その時を待つんだ…)

クリスタ ギュゥゥゥ…

ユミル「わ、分かった…。すまなかった…クリスタ、そろそろ女子寮に戻ろう」

クリスタ「う、うん…よかったぁ……ぐすっ……」

ユミル「こっちのお前は甘えん坊で泣き虫だなぁ…」ナデナデ…




163: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:36:36 ID:kuh5Fho.

地面の裂け目から生還して6日目

― ウォール・ローゼ南方面駐屯 訓練所前 ―

ユミル「本当にピクニックだな…その荷物」

クリスタ「うん!朝食と昼食用の食材を3人分、分けて貰ってお弁当を作ってきたんだ」

アルミン「へぇ…クリスタは女の子らしいね」

クリスタ「そうかな?みんな出来ると思うよ。私も小さな頃から家事を手伝っていたし」

ユミル「ふふっ…クリスタと結婚できる男は幸せだな!器量が良くて家事も上手だ」

アルミン「君は104期の中でも特に人気があるから、狙っている同期も多そうだね」

クリスタ「…やめてよ、ユミル」ボソッ

ユミル「ん?」

クリスタ「冗談でもユミルの口からそんな言葉は聞きたくない…。私が結婚とか…その…」

164: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:37:52 ID:kuh5Fho.

ユミル「あ…あぁ……気を悪くしたか?悪い…」

クリスタ「ううん!そうじゃないよ。…こっちこそごめんね、ユミル」ウルッ…

アルミン「…」

ユミル(何か、浮気してる気分だ…。元の世界のクリスタと、この世界のクリスタ)

ユミル(お揃いの髪留めまで贈っちまって…。何がしたいんだ、私は…)

ユミル(この世界のクリスタは元の世界のクリスタの「偽者」…そう思っていたのに)

ユミル(こっちの甘えん坊で泣き虫のクリスタも、大切で、可愛くて、愛おしい…)

ユミル「はぁ……」

アルミン「ユミル、ため息の数だけ幸せが逃げるって聞いた事ある?」

ユミル「あるけど今はため息を吐かせてくれ…謎の罪悪感で胸が一杯になりそうなんだ」

165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:39:14 ID:kuh5Fho.

クリスタ「移動だけで往復4時間はかかるね。上手くすればお昼過ぎには戻れるかな?」

アルミン「まだ朝早いし、そんなもんだね」

ユミル「頃合いで朝食をとって、裂け目を見付けたらまた休憩。で、折り返して戻るか」

クリスタ「楽しみだなぁ…これからユミルとデートだよ!アルミンも一緒だけど」ニコニコ

アルミン「クリスタ…僕をおまけみたいに言わないでよ…」




166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:40:19 ID:kuh5Fho.

― 立体機動訓練場 森の中 ―

ユミル「空き倉庫に隠してある立体機動装置、持ってくりゃ良かった…」ザッザッ…

アルミン「でも森に入るまでは平地だから…移動用の馬も無いし、荷物になってたよ?」

ユミル「まぁ隠してある立体機動装置は2つだけでクリスタの分は無いしな…」

クリスタ「ごめんね…ユミル。私、足手まといになってる?」

ユミル「いや、楽しいデートになってる!お前の作ったサンドイッチも美味かったよ」

クリスタ「も、もう!ユミルったら…。私もユミルと一緒で楽しい…」///ドキドキ…

アルミン「元の世界でもこっちの世界でもお熱いね…二人とも…はぁ…」

ユミル「お前も幸せが逃げるぞ…。ほら、ため息」

ユミル「あっ…!?アルミン!!アレを見ろっ!」

167: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:41:14 ID:kuh5Fho.

アルミン「……やっぱり」ゴクッ

クリスタ「これがユミルの言ってた、昨晩の地震で出来た地面の裂け目?」

ユミル「あぁ…間違いない。深さは2mぐらいか?…中の広さはどうだっけな…」

アルミン「気付いたらもう外は真っ暗だったし、気が動転してたから中の広さまでは…」

ユミル「粘土層だ…。立体機動装置に付着していた泥はここを出る時に擦って付いたんだ」

アルミン「ユミルっ!不用意に裂け目に手を入れない!持ってかれたらどうするの!?」

クリスタ「持っていかれる…?中は…暗いね」ザザザッ… ズッ… ネチョッ…

ユミル「クリスタ!!?」

ユミル「馬鹿!!おまっ…何やってんだ!!!早くこっちへ戻って来い!」サッ

クリスタ「中は思ったより空間があるよ。3人でも入れそう」

168: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:42:07 ID:kuh5Fho.

アルミン「ダメだっ!クリスタ、その穴は危険なんだ!!早くこっちへ!」

クリスタ「もう!ユミルもアルミンも大袈裟だよ…」ギュッ… グッグッ…

クリスタ「うん…しょっ……と……ただいま!」ニコッ

ユミル「ただいまじゃねぇよ!…お前までどっか飛ばされたらって!!くっそ…」ジワッ

ユミル「もう二度と勝手な事すんなっ!」グィッ… ギュゥゥゥゥ…

クリスタ「ゃんっ……ユミル…く、苦し…い…

アルミン「クリスタ、平気?どこか変わった事は無い?」

クリスタ「変わった事?…ない…みたいだけど…。ユミル…痛いよ…」ギュゥ…

169: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:43:03 ID:kuh5Fho.

ユミル「アルミン、また仮説を立てた。…聞け」

アルミン「…うん」

ユミル「この裂け目は、一人じゃ通り抜けられないのかも知れない。条件があるのかも」

アルミン「二人、もしくは二人以上…?」

ユミル「ただ単に条件が整っていないだけかも知れないが今はそれを確かめるすべがない」

アルミン「確かめられる機会は一度だけ」

ユミル「そうだ…。明後日の14時過ぎだ。もう一度二人でこの裂け目に飛び込む」

アルミン「14時過ぎっていうのは合ってるの?」

ユミル「ほぼ合ってる。あの日の訓練は採点されてなかったが、時間は測ってた」

ユミル「開始時間は覚えてる。折り返し地点までの目標時間も。…ここは折り返しの手前」

ユミル「身体が忘れてない…時間の感覚を。ここに落ちたのは14時過ぎで確定だ」

170: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:43:44 ID:kuh5Fho.

アルミン「正確に何分何秒?って所まで合せて飛び込まなきゃならないのなら…」

アルミン「僕らの挑戦は無謀としか言いようがないね」

ユミル「そうだな…。でもやるしかないんだ。私は元の世界に戻れると信じている」

クリスタ(元の世界に戻る?この裂け目に飛び込む…?明後日の14時過ぎに二人で…)

クリスタ「…ずっと変だと思ってた。私を差し置いて急にアルミンと仲良くしたり、」

クリスタ「アルミンの故郷に付いて行ったり、二人でよく分からない話をしたり…」

クリスタ「ねぇ…私にはユミルが今何を考えているか分からないよ…」

クリスタ「ユミル…どこかへ行っちゃうの?」

ユミル「…」

ユミル「クリスタ、お前と私はこの世界で2年間ずっと一緒だった」

171: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:44:44 ID:kuh5Fho.

クリスタ「そうだよ…。ずっと隣にユミルがいた。今も…私を抱きしめてくれている」

ユミル「うん…」ギュゥゥッ…

ユミル「だが、お前の隣にいた私は、今ここにいる私じゃないんだ…」

クリスタ「…私の頭でも分かるように説明して」

ユミル「私とアルミンは別の世界、だが似たような…違う可能性の世界からやってきた」

ユミル「全部は信じなくていい。ただお前に嘘はつきたくないから、正直に言う」

ユミル「私が元々いた世界にも、クリスタ…お前がいる」

クリスタ「…」

ユミル「私らは帰るんだ。明後日、この裂け目に飛び込んで…元の世界に」

アルミン「…」

ユミル「その世界はこことは違い過ぎる。巨人に蹂躙され、死と暴力が隣り合う世界」

ユミル「こんなにゆるくて明るくて平和な世界じゃないんだよ…私らがいた世界は…」

172: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:46:23 ID:kuh5Fho.

クリスタ「巨人に蹂躙された…世界…?」

クリスタ「ダメ…っ」ギュッ

クリスタ「そんな恐ろしい世界に何で戻りたいの?…戻らなくていいよ!」

クリスタ「ずっとここで暮らそう?この世界で…二人で兵士になって、ずっと一緒に…」

ユミル「じゃぁお前と2年間一緒にいた私はどうなる?」

クリスタ「えっ…」

ユミル「トイレに行くって部屋を出たまま、戻って来なかったこの世界にいた私の事だ」

クリスタ「それは…」

ユミル「あの時、入れ替わったんだ。そしてこの世界にいた私はどこかへ消えた」

アルミン「僕もその時に入れ替わったんだよ。この世界の僕と…」

クリスタ「嘘だ……そんなの…嫌だっ…!」

173: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:47:33 ID:kuh5Fho.

ユミル「嘘じゃない。私らが元の世界に戻ればこの世界の私らもきっと戻って来る」

アルミン「僕たちはそう思ってるんだ。ほぼ確信してる。…多分そうなるはずだよ」

クリスタ「戻って来なかったら…?ユミルとアルミンがこの裂け目に飛び込んだ後、」

クリスタ「この世界に…私と2年間一緒に過ごしたユミルが戻って来なかったら?」

クリスタ「私はまた一人ぼっちになっちゃうの?」

ユミル「そうはならない…。私は必ず戻って来るから…そいつもお前が大好きなんだ!」

クリスタ「いやっ…嫌だよっ!!私にとって、ユミルはあなた一人だけなの…だからっ…

ユミル「あいつが待ってるんだ…。私の世界で、私の帰りを…。だからごめんな…」ギュッ

アルミン「…裂け目はあった。そしてまだ僕らの世界と繋がってなかった」

174: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/03(木) 22:48:36 ID:kuh5Fho.

アルミン「これだけでも大収穫だ。そろそろ戻ろう?雲行きが怪しくなってきた…」

ユミル「そうだな、今夜あたり一雨きそうだ。…クリスタ、帰ろう?」スルッ…

クリスタ「…」フルフル… ギュッ…

ユミル「心配しなくていいんだ…。お前は何も…」




178: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:13:33 ID:LmWJ4.36

地面の裂け目から生還して7日目

― 兵舎内 図書室 ―

ユミル「いよいよ明日だな…」

アルミン「そうだね」

ユミル「昨夜から降り出した雨、なかなか止まねぇなぁ…」

アルミン「うん…」

ユミル「裂け目に水が溜まってたらどうする?あの穴、粘土質だから水捌け悪ぃぞ…」

ユミル「飛び込んだはいいがそのまま何も起こらず水溜りで溺れたりしてな…ダハハ」

ユミル「ハハハ……はぁーぁ……」チッ

ユミル「お前もなんか喋れよ…さっきから私ばっか話してるじゃねぇか…」

ユミル「クリスタもあれから口をきいてくれないし…」

179: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:14:26 ID:LmWJ4.36

アルミン「ユミル、何か変じゃない?」

ユミル「変?…この世界に来てから変じゃない事があったか!?それとも私が変だって…

アルミン「イライラしないで僕の話を真面目に聞いて!!」

ユミル「……悪い」

ユミル「このまま、この世界のクリスタと喧嘩したまま別れるのかと思ったらさ…」

ユミル「自分の感情が抑えきれなくて…。…お前の話を聞きたい。続けてくれ」

アルミン「うん…」

アルミン「この雨なんだけど…僕らの世界にいた時は、今日は雨なんか降ってなかった」

ユミル「……あっ!」

ユミル「そうだ…地震の後、雨は一度も降ってない…」

180: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:16:08 ID:LmWJ4.36

アルミン「なのにこの雨は昨夜から止む気配が無い」

アルミン「これはどういう事だと思う?全ての事に、意味があるんだとしたら…」

ユミル「私らの世界じゃ、悪天候でも立体機動の訓練は実施される…」

ユミル「巨人の襲撃が晴れの日だけだとは限らないからな…いかなる場合も想定して、だ」

アルミン「この世界は違うよね?雨が降ったら立体機動訓練は中止になる。装置も傷むし」

アルミン「何より僕らが風邪を引く。ここでは人命が尊重され、僕らは大事にされている」

ユミル「明日までこの雨が続いたら…」

アルミン「僕らが立体機動の訓練中に実行しようとしている計画が水の泡になるね…」

ユミル「くそっ!…何でだ…?」

ユミル「あの日、お前と一緒に訓練中にあの裂け目に落ちた日、雨なんか降ってなかった!」

アルミン「……これも修正力?」

181: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:18:34 ID:LmWJ4.36

ユミル「はっ?…一体何を修正しようとしてるんだよっ!私らが帰るのは正しい事だ!」

アルミン「ひょっとしてさ、僕らが思ってるよりこの歪んだ世界は単純じゃないのかも…」

ユミル「どういう事だ?」

アルミン「僕らがこの世界から消えても、僕らが弾き出した僕らは戻って来ないんじゃ…

ユミル「!?」

ユミル「どうしてだ?私らはこの世界の住人じゃない!!帰るべき場所もある…」

ユミル「何かきっかけがあって歪んだとしても本来あるべき姿に戻る作用が働くはずだ!」

アルミン「僕はずっと引っ掛かっているんだ…」

ユミル「何が?」

アルミン「2週間前、立体機動の訓練中に事故で亡くなった2人の事を…」

ユミル「…嫌だ…やめろ!…その話はしたくない!!」

182: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:19:41 ID:LmWJ4.36

アルミン「したくないのは、ユミルも薄々感じているからだよね?事の真相を…」

アルミン「どうして僕らが彼らの事を思い出せないのか…。他の同期達も…」

ユミル「黙れっ!……そんな事は考えるな…。私らは明日…戻るんだ…」ハァハァ…

アルミン「ユミル、ごめん…。ひどく顔色が悪い」

ユミル「お前のせいだ」

アルミン「うん…分かってる。そろそろ寮に戻ろう…」

アルミン「もし明日の立体機動の訓練が中止になったら、その時またどうするか考えよう」

ユミル「考えるまでも無い!…もう、すべきことは決まってるんだ」

アルミン「…」

183: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:21:46 ID:LmWJ4.36

~ 図書室 書庫の影 ~

クリスタ(…やっぱり明日、行ってしまうんだね)

クリスタ(私がどんなに縋っても、あなたをこの世界に留める事は出来ないんだね)

クリスタ(私は知ってる…。ユミルがいなくなった時の喪失感を…)

クリスタ(私だけじゃくて104期生はみんな知ってるんだ。だからあんなに必死だった)

クリスタ(私だけは覚えてたみたい。歪み、捻じ曲げられても、真実が少し見えていたの)

クリスタ「鍵を…壊さなくっちゃ……」

クリスタ(…ユミル、私もあなたと一緒に……)




184: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:23:22 ID:LmWJ4.36

地面の裂け目から生還して8日目

元の世界でユミルとアルミンが事故を起こした当日

― 兵舎内 講義室 ―

マルコ「雨…今日も止まないね」

ジャン「あぁ…そうだな。立体機動訓練は今日も中止だ」

コニー「馬術と対人格闘訓練もな…。外でやる訓練は全部中止だな、こりゃ」

マルコ「まぁいいじゃない!頭も鍛えないと立派な兵士にはなれないんだから」

マルコ「これを機にコニーももう少し座学の成績を上げておかないと!僕が教えるよ」

コニー「おっ!よろしくな。マルコ先生」

ジャン「マルコ…お前余計な事すんなよ…。憲兵団の枠は狭いんだ!競争相手を増やすな」

コニー「へっ…!ケツの穴の小さい男だなぁ…。ジャンは」

ジャン「何だと!?お前、俺のケツの穴見たことあんのか?あぁ?!」

185: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:24:32 ID:LmWJ4.36

マルコ「もう!そんなくだらないことで喧嘩するなよ…。アルミンからも何か言って…

マルコ「アルミン?」

アルミン「…!?」ビクッ

アルミン「あ……えっと…な、なに?」

マルコ「いや、名前を呼んだだけだけど…ぼーっとしてたね。調子悪いの?」

アルミン「ううん…考え事を、少し…」

マルコ「そう…。なら良かった」ホッ

アルミン「何が良かったの?」

マルコ「また、アルミンが消えちゃいそうだったから…」

アルミン「僕が消える?…あぁ、1週間前の事?手紙を取りに行って行方不明になった…

マルコ「それもあるけど…そうじゃなくてね」

186: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:26:05 ID:LmWJ4.36

アルミン「うん…?」

マルコ「君にとってすごく失礼な事を言うけど、怒らないで聞いてくれる?」

アルミン「う、うん。どうぞ…」

マルコ「なんかさ、アルミンとユミルが…今、生きてるのが不思議でね…」

アルミン「は?」

マルコ「不思議だけどすごく嬉しいんだ!…君達が死んでるはずがないのに…」

マルコ「僕は何故か君達が生きている事に違和感を感じてて、でもそれが嬉しくて…」

アルミン「待って…意味が、分からないよ…マルコ…」

マルコ「ごめん!変な事言った…。そんな事ある訳ないのにね。今の発言は忘れて」

コニー「おいマルコ!この馬鹿ジャンにお前も何か言ってやれよ!」ガシッ

ジャン「馬鹿はテメーだ!脳みそが軽すぎるから立体機動も軽やかなんだな、コニー」

187: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:27:18 ID:LmWJ4.36

コニー「はぁ…?お前も馬ヅラならもっと馬術を上手くなって見やがれってんだ!」

ジャン「てめぇ、今…超えちゃいけない一線を軽々と飛び超えたぞ!!表へ出…

マルコ「はいはい、喧嘩はそこまで!…あ、僕はどっちの味方にもならないからね」

アルミン(僕とユミルが…死んでる?)

アルミン「な、何だ…寒い……身体の震えが…止まらない…」ガタガタガタ…




188: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:28:13 ID:LmWJ4.36

― 兵舎内 食堂 ―

エレン「アルミン、それ…残すのか?」

アルミン「い、いや…えっと…。大丈夫、食べるよ」

ミカサ「アルミンさっきから震えてる…。どこか具合でも悪いの?」

アルミン「そうなんだ…ちょっと気分が悪くて…」

エレン「顔も真っ青だぞ…唇も…。無理するな!飯はサシャに食わせればいい」

ミカサ「エレン、アルミンを今から医務室へ運ぼう」ガタン!

エレン「あぁ!俺もそう言おうと思ってた」

ユミル「クリスタ…」

189: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:29:51 ID:LmWJ4.36

ユミル「まだ、怒ってんのか?一昨日の事…」

クリスタ「…」

ユミル「でも、もうこれで最後なんだ。お前と飯を食うのも、こうやって話すのも」

ユミル「何も心配いらないからな?この世界の私が戻って来て、自然に記憶が修正される」

ユミル「私と話した会話も、お前が付けてくれてるその髪留めも…」

ユミル「いつの間にか、この世界に元からいた私がやったことになってるんだ」

ユミル「買ってきたレモンは…この世界の私が戻って来たら一緒に食べてくれ」

ユミル「なぁ…クリスタ…」ソォッ…

ユミル チュッ

クリスタ「…!?」

190: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:31:33 ID:LmWJ4.36

クリスタ「ユミル…?」///

ユミル「ははっ、やっとこっちを向いたな?」ニヤッ

クリスタ「もう、ユミルったら…」ムスッ

ユミル「おまじないだ。私の事も、出来れば覚えていて欲しいから」

ユミル「きっと何かの作用が働いて私の事を忘れてしまうんだろうけど…」

ユミル「私がお前の頬にキスした事、頭では忘れても心の隅に残っていてくれたら…

クリスタ「私も一緒に連れてってよ…」

ユミル「えっ…」

クリスタ「あなたの世界に…。ダメなの?私はあなたの世界のクリスタになりたい」

クリスタ「お願い…。ユミル、大好きだよ…。私を置いて行かないで…」グスッ…

191: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:33:00 ID:LmWJ4.36

ユミル「クリスタ…気持ちは嬉しいけど…ダメだ」

クリスタ「あなたがいた世界に私が行けば、そこに元々いた私が…クリスタが消えるから?」

ユミル「それもあるけど、あの世界はこの世界と違って過酷なんだ」

ユミル「食糧も乏しくて、みんな心に余裕がないから人も粗暴で、命の扱いだって軽い」

ユミル「この温室のような世界で育ったお前には私らの世界は耐えられない。…気が狂う」

クリスタ「…」

ユミル「分かってくれ、クリスタ…」

クリスタ「そう…。分かった」コクン…

ユミル「ありがとう…お前なら分かってくれると思ってた」ホッ… ナデナデ…

サシャ「仲直りしましたか?」

192: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:33:56 ID:LmWJ4.36

ユミル「サシャ…またお前か」

サシャ「何ですか?その言い草は…酷いです」プクッ

ユミル「お前、2人分も食ってんじゃねぇよ…それ、誰の分だ?」

サシャ「え?アルミンの分ですけど…」

ユミル「アルミン?アルミンならそこでエレン達と飯を食って…あ、あれ?」

サシャ「具合悪いんですって。今、ミカサとエレンが医務室に連れて行きましたよ?」

ユミル ガタッ

ユミル「あいつ…もう時間が無いってのに、何やってんだ!!」

サシャ「ユミル!どこに行くんですか?」

ユミル「医務室だ!…私も具合が悪くなった。午後の講義は休む」

ユミル「クリスタ、サシャ…教官にはそう伝えてくれ!頼んだ」

193: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:34:55 ID:LmWJ4.36

サシャ「えーーーっ…」モグモグ…

クリスタ「サシャ、これも食べていいよ」スッ…

サシャ「えっ!!ク、クリスタの分もいいんですか?」

クリスタ「うん…私も食欲が無いの。ユミルも…もう戻って来ないから彼女の分も食べて」

サシャ「まさかこんな日が来るなんて…ここは夢の中ですか!?」モグモグ…

クリスタ ガタン…

サシャ「ちょっと…クリスタまでどこへ!?」

クリスタ「私も少し具合が悪くて…午後の講義はお休みする……」

サシャ「じゃ、クリスタも医務室へ?」

194: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:35:44 ID:LmWJ4.36

クリスタ「ううん…私にはする事があるから。…サシャ、元気でね」ニコッ

サシャ「え…あ、はい!私は大抵元気ですよ」ニッコリ

クリスタ「また、どこかで会おうね!今まで楽しかったよ」タッ…

サシャ「クリスタ…?」


195: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:37:25 ID:LmWJ4.36

― 兵舎内 医務室 ―

ガラガラガラ…

ユミル「アルミン!お前っ、何ぶっ倒れてやがるっ!!」

ユミル「さぁ、時間だ…もう行くぞ!今行かなきゃ間に合わなくなる」

ユミル「この時を逃したら、もう二度の私らの世界に戻れなくなるかも知れないんだ!」

アルミン「…」

ユミル「早足で向かえばまだ間に合う!…少し悪天候だが、立体機動装置も充分に使える」

ユミル「おい、アルミン!何で目を逸らすんだ!?私の目を、顔を見ろ!!」

ミカサ「やめて、ユミル…。ユミルこそアルミンの顔色をよく見て」

エレン「病人の前で騒ぐなよ…騒々しい。何を熱くなってるんだ?お前は」

196: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:38:24 ID:LmWJ4.36

アルミン「エレン、ミカサ…悪いけど席を外してくれないか?」

アルミン「ユミルと話がしたい…すぐに済むから…」

エレン「…」

ミカサ「…」

エレン「分かった…。おいユミル、アルミンに無理をさせるなよ!」

ミカサ「教官にはアルミンは体調不良で休んでると伝えておく。心配しなくていい」

ユミル「…」

ガラガラ… ピシャン…

ユミル「…これから空き倉庫へ行って、私とお前の立体機動装置を取って来る」

197: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:39:32 ID:LmWJ4.36

ユミル「今から出発すればギリギリ間に合う。そういう手筈だっただろ?」

ユミル「飯を食わずに行くつもりが、せっかくだから食っていくって…お前が言ったんだ」

ユミル「身支度をしろ…持って行きたい物があれば持って行け。上手くすれば消えずに済む」

アルミン「僕は行かない…」

ユミル「今更かよ…」

アルミン「本当は前から言おうと思ってた。この世界は僕が望んだ世界なのかも知れない」

アルミン「僕が強く願ったから…僕の望みが叶って、僕はここにたどり着いたんだ!」

アルミン「ユミルは何度も言ってただろ!?僕のせいだ、僕が全ての元凶だ!…って」

ユミル「あぁそうだ!お前があの時、気を失わなければ…私がお前を助けなければ…」

198: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/04(金) 21:41:09 ID:LmWJ4.36

ユミル「私はこの世界に来ることは無かった!!私はお前の事故に巻き込まれたんだ!」

アルミン「でもこの世界は素晴らしいでしょ?だって巨人に襲われていない世界なんだ」

アルミン「この世界のクリスタも君に懐いている…。いや、君を愛している」

アルミン「一体何が不満なの?もういいじゃないかっ!!戻らなくたって…」

アルミン「ユミル、ここに留まろう?僕らにとってそれが一番賢明な選択だよ」

ユミル「ダメだ…お前が言ったんだ。じいちゃんの遺骨を受け取るべきは自分じゃない」

ユミル「この世界に元々いた『僕』だって…。なぁ、返してやろう?この世界の私らに」

ユミル「もしこの世界の私らが、元々の世界…すなわち『始まりの世界』に飛ばされていたら」

ユミル「こんなぬるい環境で育った私らはあの世界には適応できない。…生き地獄と同じだ」

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ファルコ・グライス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

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ファルコ・グライスとは『進撃の巨人』のキャラクターでマーレの戦士候補生。戦士候補生の同期であるガビ・ブラウンに好意を抱いており、彼女を救うために「鎧の巨人」継承を目指している。内気な性格だが、「悪魔の末裔」と言われるパラディ島の人々に対しても自分達と変わらない人間だと捉える優しい心の持ち主。心的外傷を負った兵士にも親切に接しており、そこでクルーガーと名乗る負傷兵と出会い、交流を深めていく。

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グリシャ・イェーガー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

グリシャ・イェーガー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

グリシャ・イェーガーとは『進撃の巨人』の登場人物で主人公エレン・イェーガーの父。シガンシナ区で診療所を開き街の人々から尊敬を集めていたが、シガンシナ区に巨人が流入した後行方不明となる。失踪直前エレンに巨人化の薬を打ち込み、世界の真実が隠された自宅地下室の鍵をエレンに託した。物語中盤で彼が壁外の世界から「始祖の巨人」奪還のためにやってきた巨人化能力者であったことが明らかとなる。

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ピーク・フィンガー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ピーク・フィンガー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ピーク・フィンガーとは『進撃の巨人』の登場人物で「車力の巨人」の継承者。「九つの巨人」継承者で構成されるマーレの戦士の一員として、数々の戦場で功績を打ち立ててきた。当初は始祖奪還計画に参加せずマーレ本国を守っていたが、850年「獣の巨人」であるジーク・イェーガーと共にパラディ島に上陸する。ウォール・マリア奪還を狙う調査兵団との決戦では後方支援を担当し、負傷したジークと「鎧の巨人」であるライナー・ブラウンの逃走を助けた。性格はマイペースだが、冷静沈着で判断力に優れている。

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キース・シャーディス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

キース・シャーディス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

キース・シャーディスとは『進撃の巨人』の登場人物で第104期訓練兵団の指導教官。スキンヘッドに顎ひげを生やした強面の男性で、訓練兵の間では鬼教官として恐れられている。元々は第12代団長として調査兵団を率いていたが、無謀な壁外調査を繰り返し多くの部下を死なせたにもかかわらず成果を残せなかったことから、自分の無能を悟りエルヴィン・スミスに団長職を引き継がせた。主人公エレンの父親であるグリシャ・イェーガーとは以前から面識があり、彼が消息を絶つ直前に顔を合わせた最後の人物である。

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ダイナ・フリッツ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ダイナ・フリッツ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ダイナ・フリッツとは『進撃の巨人』の登場人物。主人公エレンの父親グリシャの前妻で「獣の巨人」ジークの母。その正体はフリッツ王家の末裔。ストーリー上、巨人の歴史と王家の情報を語る重要な役割を持つ。パラディ島に移住することを拒みマーレに留まった一族は、代々巨人の情報を隠し持っており、その末裔であるダイナはエルディア復権派と共に始祖の巨人の奪還を企てるが、計画は息子ジークの密告により失敗。ダイナは巨人化後、グリシャの後妻であるカルラを捕食する。最期はエレンの持つ座標の力で巨人の群れに喰われた。

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ロッド・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ロッド・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ロッド・レイスとは、「進撃の巨人」に登場するキャラクターである。壁内人類の真の王家であるレイス家当主。実質的には壁内での最高権力者である。ウーリ・レイスの兄であり、フリーダ・レイスやヒストリア・レイスの父親。正妻との間に5人の子がいたが、当時使用人として働いていたアルマとも関係を持ち、ヒストリアが産まれたことにより、事実的には子供は6人。だがグリシャにより正妻との間の子は皆殺されてしまい、生き残っている子供はヒストリアただ1人である。

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ケニー・アッカーマン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ケニー・アッカーマン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ケニー・アッカーマンとは『進撃の巨人』の登場人物で、中央第一憲兵団対人立体機動部隊の隊長。かつて「切り裂きケニー」の異名を取った大量殺人鬼だったが、ウーリ・レイスとの出会いを経て現在は中央第一憲兵団に所属し対人戦闘を専門とする部隊を率いている。リヴァイ・アッカーマンの育ての親であり、彼に戦闘技術を教えた人物でもある。その戦闘能力はリヴァイと同等かそれ以上であり、対立した調査兵団を大いに苦しめた。

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ヒッチ・ドリス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ヒッチ・ドリス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ヒッチ・ドリスとは『進撃の巨人』の登場人物で、憲兵団の新兵。アニ・レオンハートとは同期でルームメイト。ウェーブヘアが特徴の少女で、軽薄で不真面目な言動が多い。他の新兵同様安全な内地で楽をするために憲兵団に入ったが、実は機転の利くところがある。アニのことは愛想のない同期だと思っていたが、ストヘス区の戦闘以降行方不明になったことを心配しており、アニの正体が「女型の巨人」であることを知って大きなショックを受けていた。同期のマルロ・フロイデンベルクに好意を持っているが、マルロ本人は気づいていない。

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エルヴィン・スミス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

エルヴィン・スミス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

エルヴィン・スミスとは『進撃の巨人』の登場人物であり、調査兵団第13代団長である。調査兵団は人類の生存圏を広げることを目的とし、日々巨人との死闘を繰り広げている。その類まれなる頭脳と判断力から大きな功績を挙げているが、目的のためなら手段を選ばない非情さから「悪魔的」と称されることもある。彼の真の目的は世界の真実を解き明かし、「人類は王家によって記憶を改竄された」という父の仮説を証明すること。人類最強と称されるリヴァイ兵士長を調査兵団に入れたのも彼である。

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ベルトルト・フーバー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ベルトルト・フーバー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ベルトルト・フーバーとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団団員。第104期訓練兵団を3位で卒業し、どの分野でもそつなくこなすことができる優秀な人物である。ただし優柔不断で判断を他人に任せる傾向があり、積極性に欠けることから他の同期と比べると少し影が薄い。その正体は、ウォール・マリア陥落の主因となった「超大型巨人」であり、始祖奪還作戦のために大国マーレから派遣された「マーレの戦士」の1人だった。任務を達成し故郷に帰ることを切望していたが、結局その願いは叶わず異国の地で命を落とすこととなる。

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ライナー・ブラウン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ライナー・ブラウン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ライナー・ブラウンとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団の団員。主人公エレン・イェーガーとはウォールローゼ南区第104期訓練兵団時代の同期である。責任感が強く、リーダーシップもあることから同期の中ではまとめ役を担っていた。しかし、その正体はウォール・マリアを破壊した「鎧の巨人」であり、始祖奪還を目的にパラディ島に送り込まれたマーレの戦士である。正体が判明した後はたびたびエレン達と対立し、始祖の力を巡って死闘を繰り広げていく。

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ポルコ・ガリアード(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ポルコ・ガリアード(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ポルコ・ガリアードとは『進撃の巨人』の登場人物で「顎の巨人」の継承者。「九つの巨人」継承者で構成される「マーレの戦士」の一員として、「顎の巨人」の持ち味である硬い顎と牙や俊敏性を活かし数々の戦場で活躍している。戦士候補生時代の同期であるライナー・ブラウンとは「鎧の巨人」継承権をめぐって争ったライバルだった。自分ではなく能力の低いライナーが「鎧の巨人」継承者として選ばれたことや、兄のマルセルがライナーをかばって巨人に食われたことから、ライナーに対して悪感情を抱いている。

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ガビ・ブラウン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ガビ・ブラウン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ガビ・ブラウンとは『進撃の巨人』の登場人物で、「マーレの戦士」候補生。天真爛漫で型破りな性格で、憧れの従兄であるライナーから「鎧の巨人」を継承するため日夜訓練に励んでいる。パラディ島のエルディア人を悪魔の末裔として強く憎んでおり、彼らを皆殺しにして自分達善良なエルディア人を収容区から解放することを願っていた。しかし成り行きでパラディ島に渡ることとなり、そこで出会った人々との交流からガビの考え方は変化し始める。

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ハンジ・ゾエ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ハンジ・ゾエ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ハンジ・ゾエとは『進撃の巨人』の登場人物で調査兵団所属のベテラン兵士。初登場時は分隊長だったが、後にエルヴィン・スミス団長の後を継いで調査兵団第14代団長に就任する。ゴーグル(平常時は眼鏡)を着用し、茶髪を無造作に1つにまとめた中性的な外見をしている。明るく聡明な人物だが、巨人に対する情熱は人一倍で変人揃いの調査兵団内でも特に異彩を放っている。ウォール・マリア最終奪還作戦以降は左目を負傷したことから眼帯を着用している。

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アルミン・アルレルト(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

アルミン・アルレルト(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

アルミン・アルレルトとは『進撃の巨人』の登場人物で、主人公エレン・イェーガーの幼馴染。金髪ボブカットの中性的な外見を持つ。大人しいが芯の強い勇敢な性格で探求心が強い。祖父の影響で人類はいずれ壁の外に出るべきだという思想を持っており、エレンが外の世界に憧れるようになったのもアルミンの影響である。小柄で身体能力は低いものの、知能や判断力はずば抜けており、エレンや調査兵団の窮地をその知略で度々救っている。

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ダリス・ザックレー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ダリス・ザックレー(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ダリス・ザックレーとは『進撃の巨人』の登場人物で憲兵団・駐屯兵団・調査兵団の3つの兵団を束ねる総統。特別兵法会議においてエレン・イェーガーの処遇を調査兵団に委ねた人物である。王政編では調査兵団団長のエルヴィン・スミスや駐屯兵団司令官のドット・ピクシスらと共にクーデターに加担する。実はエルヴィンが決起する以前から王政に根深い嫌悪感を抱いており、密かに体制転覆の機会をうかがっていた。王都制圧後は身柄を拘束した王政幹部達に喜々として拷問を行っている。

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進撃!巨人中学校(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

進撃!巨人中学校(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『進撃!巨人中学校』とは中川沙樹が描く、諫山創の『進撃の巨人』の公式学園パロディ漫画。2015年にProduction I.G製作でアニメ化。前半をアニメパート、後半を出演声優たちによるバラエティ番組の実写パートとして30分枠で放送。中学生になったエレン・イェーガーは進撃中学校へ入学する。学校には巨人も在籍しており、エレンは巨人に恨みを持っており巨人を駆逐しようと非公式部活「調査団」へ入部した。

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ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ミカサ・アッカーマンとは諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物で、主人公エレン・イェーガーの幼馴染。本作のヒロイン的ポジションで、幼い時にエレンに助けられた経験から、彼を守ることを自分の使命だと考えている。驚異的な身体能力を持ち、トップの成績で訓練兵団を卒業。実戦でも1人で複数の巨人を討伐する実績を残す。性格は寡黙で口下手だが、エレンのこととなると取り乱す一面もある。物語後半において、母方の祖先が東洋にあるヒィズル国将軍家だったことが明らかになった。

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クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

クリスタ・レンズ(ヒストリア・レイス)とは、諫山創による漫画『進撃の巨人』の登場人物。第104期訓練兵団卒業生であり、主人公エレン・イェーガーは同期の1人。小柄で温厚、思いやりのある可愛らしいアイドル的な存在として登場する。同期のユミルと仲が良い。成績10位以内に入っているが、実際はユミルからその座を譲られただけで身体能力は人並みである。本名はヒストリア・レイスといい、壁内世界の真の王家の末裔であることが後に発覚する。

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イェレナ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

イェレナ(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

イェレナとは『進撃の巨人』の登場人物で反マーレ派義勇兵の中心人物。マーレに滅ぼされた国の出身で、「獣の巨人」継承者で王家の血を引くジーク・イェーガーの信奉者として活動し、パラディ島の近代化に大きく貢献した。ジークの提唱する「エルディア人安楽死計画」達成のためなら寝食を共にした仲間すら殺害する冷酷な性格の女性。しかし実際にはマーレの被害者というのは虚偽であり、「世界を救う英雄」に憧れているだけのごく一般的なマーレ人である。

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ジャン・キルシュタイン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ジャン・キルシュタイン(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

ジャン・キルシュタインとは『進撃の巨人』の登場人物で、調査兵団に所属する兵士。第104期訓練兵団を6番で卒業した。自己の保身を第一に考える現実主義者で、思ったことを率直に言い過ぎる性格からたびたび主人公のエレン・イェーガーと対立していた。当初は巨人の脅威から逃れるために内地への配属を希望していたが、友人のマルコ・ボットが戦死したことで考えを大きく変え、調査兵団に入団する。入団後は持ち前の現状把握能力を活かして同期のまとめ役として活躍した。

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フリーダ・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

フリーダ・レイス(進撃の巨人)とは【徹底解説・考察まとめ】

フリーダ・レイスとは『進撃の巨人』の登場人物であり、レイス家の長女。黒髪で青い瞳を持つ。レイス家当主のロッド・レイスとその正妻の第1子として生まれた。表向きは地方の貴族として振る舞っているが、実際は壁内の真の王家の末裔。レイス家に代々引き継がれている特別な巨人能力を叔父のウーリ・レイスから引き継ぎ、宿している。本人の飾らない性格は多くの者から慕われており、妾の子である異母妹ヒストリアにも姉として優しく接していた。

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