つらつらわらじ(備前熊田家参勤絵巻)のネタバレ解説・考察まとめ

『つらつらわらじ』とは『月刊モーニングtwo』(講談社)で連載されていたオノ・ナツメによる時代劇漫画である。時は寛政、備前岡山藩主の熊田治隆は参勤交代のために江戸に向かうことになった。そして、隠居して江戸で暮らす計画を立てているため、江戸までの旅を楽しもうと考えていたのだ。しかし、江戸までの道のりは波乱の連続だった。『ACCA13区監察課』や『レディ&オールドマン』など人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、2年に1度の参勤交代エンターテインメントだ。

江戸、日本橋に到着した一行

江戸までの道程があと3日と迫ったころ、行列が進む先の村で火事が起きたのだ。治隆は火事装束を用意させ家臣たちに水を運ばせ消火活動をすることにした。馬に跨った治隆は笑みを浮かべ久作のほうに顔を向けた。久作はその瞬間、4年前の江戸・上野でも同じようなことが起きていたことを思い出した。あの時も馬に跨った治隆が行列を突っ切り、その場にいた久作に笑みを向けたのだ。口取り役を命じたあの時から、治隆は自分の正体に気づいていたのだ、と久作は冷や汗をかいた。

なんとか火が消え前に進めるようになったころ、久作は世話をしていた馬、百楽を治隆の前に献上するよう仰せつかった。ここからは川を渡らなければいけないため治隆は暴れ馬、百楽に乗って行くようだ。「暴れたら暴れたときだ」と言い、治隆が百楽に跨り悠然と川を渡っていく姿に誰もが見入っていた。そして、川を渡り戸塚宿に到着したのち、久作は治隆のお達しにより座敷に上がり込んでいた。治隆を目の前にした久作は、自分が御庭番であること、本名が倉知九太郎であることを明かしたのである。もともと久作の様子が不穏だったこともあり、治隆は熊田家に仕えるように声をかけ、菓子談義役として側に置いたということだった。

そんな話を聞いて久作は「殿に惹かれる理由が分かったような気がする」と治隆に告げた。治隆はそんな久作に対し「このままゆくか」と声をかけ、久作は頷いたのである。今まで世話をしてきた暴れ馬、百楽は治隆が手綱を引けば問題ないということも治隆に告げ、久作の役目は終わりを迎えた。しかし、久作がその場を立ち去ろうしたとき「今ひとつ隠居する前にやりたいことがある。楽しみにしておるがよい」と治隆は久作に向かって告げる。久作は厩にいる百楽を一撫でし治隆のもとから去っていったのである。

そして、備前熊田家一行はついに江戸に到着し参府の旅を終えたのである。一行が江戸、熊田家上屋敷に到着して半年が過ぎた頃、籠に乗っていた和泉は籠を止めさせ外に出る。そこには、かつて行列に紛れ込んでいた倉知九太郎の姿があった。治隆についての言葉を交わしたのち「殿との旅は私たち二人には糧になったでしょう」と九太郎は言った。しかし、そこへ家臣たちが慌てて駆け寄ってきた。なんと、治隆が行列を立て𠮷原へ向かうというのだ。いつ隠退するのかと思っていたが、和泉に気づかれるように準備を進めてきたというのだ。𠮷原に大名行列を立てることは前代未聞だが、隠退する前に治隆がやりたかったことはこれだったのである。行列の様子を見ていた町人からは歓声があがっていた。

『つらつらわらじ』の登場人物・キャラクター

熊田家

熊田治隆(くまだはるたか)

備前岡山藩五代藩主。熊田岡山藩初代藩主であった熊田光隆が行った厳格な質素倹約政策が、祖法として代々受け継がれているが、その教えを破っている。また、幕府が勧める倹約にも反対の姿勢を示しており、幕府の役人たちからは「外れ者」扱いされている。近いうちに隠居して江戸で暮らす計画を立てており、最後となる今回の参勤交代の旅を楽しもうと考えている。甘いものが大好き。

熊田家六家老

行木長門(いぎながと)

年齢は43歳で、家老歴17年の筆頭家老。治隆からの信頼が厚く、幼名で「美織(みおり)」と呼ばれている。ほかの重臣たちや熊田和泉の家に比べ家格は低いが、家老歴17年目にして筆頭家老にまで出世した。和泉に多くのことを学ばせるために参府の旅へ同行させるように治隆に進言した。

熊田和泉(くまだいずみ)

上のコマが熊田和泉

年齢は17歳で、家老歴4ヵ月の第二家老。和泉の家は、熊田家本筋の家系である。戦国時代、熊田家当主だった熊田信輝が長男とともに小牧長久手の戦いで討死したため、次男である輝隆が当主になった。和泉はこの長男の家系だが、治隆は次男の家系である。もともとは筆頭家老の家系だが、若輩者で経験も浅いことから、行木長門が筆頭家老に指名されている。供家老として、参勤交代の旅に同行している。長門からの気遣いに己を情けなく思い涙を流す場面があり、この旅で人間的に成長していく。

熊田大和(くまだやまと)

年齢は51歳で、家老歴3年の第三家老。

日木元八郎(ひきもとはちろう)

年齢は14歳で、家老歴2年の第四家老。早くに父親を亡くしてから12歳という若さで家督を継いだ。

熊田隼人(くまだはやと)

年齢は44歳で、家老歴27年の第五家老。

戸倉四郎兵衛(とくらしろべえ)

年齢は32歳で、家老歴4年の第六家老。

熊田治隆の側近

山和木三郎左衛門(やまわきさぶろうざえもん)

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