引っ越し大名！（映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

武士の役職の一つで、将軍や藩主のそばに仕えて雑用などを請け負う秘書的役職である。主に年若い者が選出されることが多い。普段の秘書的役割のために幅広い知識と作法を学び、戦時には主の盾となるべく武芸を身に着ける必要があった。このように小姓は優秀な人材であることが必須であったため、藩主の中には後々自分の手足となって働けるような人材に育てることを心がける者もいた。実際、小姓から後に藩の家老になる者も多かった。また、小姓はしばしば藩主の男色の相手となることも多かった。

御刀番

小姓についで藩主の身の回りを世話をしたり、城の玄関先で藩主の刀を預かって待つなど、藩によって仕事内容や役職の扱いが若干異なる。

国家老

江戸時代において、諸藩の領国内で勤務する家老のこと。藩主が参勤交代で江戸にいて領内に不在の際は、藩主にかわって領内の差配を担当する。国家老に対して、江戸に常駐する家老のことを江戸家老という。

勘定奉行

江戸時代における、藩内の役職の一つ。お金や穀物、農作物などの出納に関してを担当していた。江戸幕府内においては、町奉行や寺社奉行とともに三奉行の一つに数えられる。この場合は幕府の財政に関してや、幕府直轄地に対する収税、お金や穀物の出納、領内の訴訟に関しても司っていた。

参勤交代

全国の藩の大名が家臣らを連れて2年おきに江戸に「参勤」し、江戸で1年を過ごしたのちに自分の領地に帰って「交代」する制度のこと。もともとは将軍に対する服属儀礼であったが、次第に将軍に対する軍役奉仕として制度化された。参勤交代においては道中の宿泊費用や人足の費用、江戸に滞在中の費用もすべて藩持ちであったため、諸藩にとっては大変な負担だった。ただし、江戸と国元で定期的に交流が持たれるため、参勤交代は経済や文化の交流に大きな役割を果たしていた。

『引っ越し大名！』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

片桐春之介「藩を代表してお詫びいたします。あなたの手柄を奪い、ぞんざいな扱いをして申し訳ありませんでした」

春之介が於蘭の父の墓に参った時に言ったセリフ。春之介は無理やり引っ越し奉行を拝命された上に引っ越しの差配の仕方がわからず、途方に暮れていた。そこで前任の引っ越し奉行である於蘭の家に話を聞きにいったが、於蘭に冷たく追い返される。於蘭の父は藩のために身を粉にして働いたにも関わらず、他の藩士に手柄を取られて亡くなってしまったのだ。春之介はその話を聞き、自分が引越しの案をまとめなければ切腹になるというのに於蘭の父にのもとに謝罪に訪れた。そして父の墓に「藩を代表してお詫びいたします。あなたの手柄を奪い、ぞんざいな扱いをして申し訳ありませんでした」と頭を下げる春之介を見て、於蘭は春之介の真面目で誠実な姿に心を打たれ引越しに協力することを決めたのだった。

春之介が藩の将来を想って下した決断

国替えにあたり、商家に借金をして引っ越しをする予定だったが、春之介はその借金をやめることを決断する。借金をするということは、将来藩を背負う子供たちがその返済に追われるということである。当時の武士はよく商家に借金をしては、そのまま踏み倒すことが多かった。勘定奉行の佐島も、引っ越しの費用を商家から借りて踏み倒すように発言している。しかし真面目で正直な春之介にはそのようなことは決してできなかった。さらに藩内の子供たちが将来苦労しないようにと考えた。他の藩士は反対したが、春之介は「借金をすればどうなるか。先の暮らしに、先の子供たちに大変な負担を残すことになります。それはずるい考えです」と藩士たちを説得して力になってもらうのだった。

山里一朗太「待つ苦労があれば、待たせる苦労もあろう」

加増が叶って山里らを迎えに来た春之介に、山里がかけたセリフ。松平家が日田に国替えになる際、山里らは帰農して長い年月を耐え忍んでいた。春之介は「加増になったら、また仕官してもらえるよう必ず迎えに行く」と山里らに約束していたが、実際に加増されるまで長い年月がかかった。日田への国替えから約15年たった時ようやく春之介は山里らを迎えにいくことができ、山里と笑顔で身体を寄せ合う。「ご苦労をおかけいたしました」と言う春之介に、山里は「待つ苦労があれば、待たせる苦労もあろう」と涙をこらえながら春之介をねぎらう。こうして山里らは15年という厳しく長い年月を耐え忍び、再び松平家に仕官しなおすことができたのだった。

『引っ越し大名！』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

春之介役にシンパシーを感じていた星野源

主演の星野源は「自分も分類すれば、春之介と同じタイプなんです」と、春之介という役に自分と通じるものがあると感じていた。春之介は本が好きでいつも書庫に引きこもっていたが、星野も中学時代は学校に行かず家で音楽と演劇のことばかり考えていたという。しかし両者はその引きこもりの期間に知識や考え、抑うつとした気持ちをエネルギーとしてため込んでいた。そしていざ外の世界に出た瞬間、そのエネルギーが爆発して事態を大きく好転させることが出来た。春之介は本の知識を使って引越しを大成功させ、星野は音楽や演劇で大成していく。星野は春之介という役にシンパシーを感じていたからこそ、春之介が作中のどのポイントで成長したかがわかったという。そして春之介が変化するターニングポイントを自らいくつか決め、その部分を大切に演じたのだった。