BASTARD!! -暗黒の破壊神-(バスタード)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』とは萩原一至によるダークファンタジー漫画である。過去の戦争で封印された伝説の魔術師D・S(ダークシュナイダー)は戦災孤児の少年ルーシェ・レンレンの体を媒介として蘇る。D・Sは邪神の復活を目論むかつての仲間達、悪魔や神との戦いに身を投じていく。圧倒的強さを持つD・Sによる迫力あるバトル描写と、性や暴力といった過激な描写が人気を博したファンタジー漫画の先駆け的な作品である。

『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の概要

『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』とは萩原一至によるダークファンタジー漫画である。1988年、『週刊少年ジャンプ』にて連載が開始された。邪神の封印を司る国の1つであるメタ=リカーナは邪神アンスラクサスの復活を目論む闇の反逆団の侵攻を受けていた。大神官の娘であるティア・ノート・ヨーコは兄弟のように育てられた戦災孤児の少年ルーシェ・レンレンの中に眠る伝説の魔術師D・Sの封印を復活させる。復活したD・Sは世界征服を目論むが自身に眠るルーシェの人格やヨーコの仕付けによって闇の反逆団と戦う事になる。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』などのファンタジーや作品に影響を受けた本作の世界観は連載当時では珍しく、高い画力による美麗な作画で人気を博した。またD・Sの暴虐かつ圧倒的な力を持つキャラクター性も非常に魅力的である。少年誌としては考えられないほどお色気描写や性的描写といった過激な表現もかなり多く見られる。パロディや他作品の引用、楽屋ネタなど自由奔放なネタも多い。数多くの魅力を持つ本作に影響を受けた作品が少なくなく、異世界ファンタジーや最強の主人公などあらゆる作品の先駆け的な作品となっている。
連載がすすむにつれて、世界観や強さのインフレが加速していった。当初最終章と銘打った「罪と罰編」では風呂敷を広げすぎてついていけなくなって読者もいたほどである。実際に「罪と罰編」は途中で中断、その後も連載の休載が繰り返されて未だに完結にはいたっていない。壮大な世界観やD・Sのキャラクターに魅了される本作はまさしく未完の超大作と呼ぶにふさわしい作品である。

『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』のあらすじ・ストーリー

闇の反逆軍団編

法もなく秩序なく、魔法と剣の支配する混沌の時代、メタ=リカーナ王国は破壊神アンスラクサス復活を目論む闇の反逆団の襲撃を受けていた。危機的状況の中でティア・ノート・ヨーコはルーシェの中に眠る、古の魔法使いD・S(ダークシュナイダー)を目覚めさせる。D・Sの活躍で王国は救われるが、自分の知るルーシェではないことにヨーコは動揺する。
D・Sが復活した事は反逆団を引きいるカ=ルスたち四天王にも届いていた。反逆の四天王の一人であるニンジャマスター・ガラはD・Sと接触をするためにメタ=リカーナ国へと潜入、ヨーコを人質にしてD・Sの引き渡しを要求する。ヨーコを救出すべく、メタ=リカーナの王女であるシーラ・トェル・メタ=リカーナはD・Sを再び目覚めさせる。ガラの居城のニンジャ砦へと潜入したD・Sは激闘の末にヨーコを救出する。戦いに敗れたガラは四天王を離反しD・Sの軍門に下る。ガラの裏切りを知ったカ=ルスは四天王の一角であり最強の魔法戦士アーシェス・ネイにD・Sを抹殺命令を下す。ネイは自分の使役する鬼道三人衆のシーン・ハリ、カイ・ハーンを差し向けるが、二人とも抹殺に失敗した上にD・Sに心を奪われ、ネイの元を離反してしまう。三人衆最後の1人、ダイ=アモンも一度はD・Sを捕らえるものの、結局は敗れてD・Sの配下に下る。鬼道三人衆が相次いで敗北した事で、ネイはD・Sの始末を決意する。四天王の一人アビゲイルはネイまでもが離反せぬように、裏切ると肉体が砕け散る呪詛をかける。メタ=リカーナへと侵攻を開始するネイとD・Sとの戦いが始まる。ルーシェの意識からネイが呪詛に苦しんでいる事を知ったD・Sは、自分の心臓を抉り出す。
D・Sの死を知ったアビゲイルは、シーラの中に眠る最後の封印を解くためにメタ=リカーナへと侵略を開始する。ネイとガラは最後の封印を守るために奮闘するが、3種の魔動器の1つを使う軍団長リンチを相手に苦戦していた。その時、アンラクサスの復活に呼応するようにD・Sは復活、リンチを退ける。アビゲイルは究極の不死の魔物エディ・イーを復活させる。苦戦するD・Sであったがガラの協力もありエディ・イーを撃破する。アビゲイルはリンチ達の持っていた魔動器を取り込み巨大化。苦戦を強いられるD・Sは体の半分を失いながらもアビゲイルを撃破する。アビゲイルは死に際に大爆発を起こしメタ=リカーナ城は崩壊、D・Sも行方不明となってしまう。

地獄の鎮魂歌編

メタ=リカーナ王国の消失から2年、カ=ルスは圧倒的な力で4つの王国を平定し、氷の至高王(ハイ・キング)として君臨。12人の魔戦将軍率いて、アンスラクサス復活のためにシーラを探し続けていた。2年前の戦いを生き延びたヨーコとルーシェはア=イアン=メイデの侍達による反乱軍の元に身を寄せていた。ルーシェの中のD・Sはアビゲイルとの戦い以降姿を現すことはなくなっていた。ヨーコたち反乱軍が拠点としている武家屋敷に魔戦将軍のマカパインとバ=ソリーが襲撃する。侍たちが次々と倒され、ヨーコに危機が迫った時、D・Sが再び復活して魔戦将軍を撃破した。
復活したD・Sと共に反撃を開始したヨーコたち反乱軍は、本隊と合流し一大反抗作戦の準備を始めていた。魔戦将軍達はシーラの眠る、失われたエルフの都であるキング・クリムゾン・グローリーに向かっていた。反抗作戦の前線において捕まえた敵兵からその話を聞いたヨーコたち反乱軍は、魔戦将軍たちを出し抜くために、ア=イアン=メイデ国の居城に眠る転移の門を使ってキング・クリムゾン・グローリーを先回りする。キング・クリムゾン・グローリーへとついたD・Sは影使いの魔戦将軍であるボル・ギル・ボルと鉢合わせする。D・Sはボルを打ち破るがそこに自ら封印を解こうとカ=ルスが乗り込んでくる。
封印を解く前にまずはD・S達を始末しようとするカ=ルス。その攻撃から皆を守ったD・Sは大ダメージを負ってしまう。深手を負ったD・Sを見てヨーコ達の仲間である侍のアンガスが突如正体を現す。その正体は2年前に死んだと思われたアビゲイルであった。彼は深手を負ったD・Sを回復させる。さらには2年前の自分は破壊神に操られていたおり、今のカ=ルスも同じく操られている事を明らかにする。
カ=ルスはシーラに眠る最後の封印を解き、アンラクサスを復活させる。アンラクサスの力で異形の怪物と化すカ=ルス。D・Sは操られたカ=ルスを取り戻そうと、救援に駆け付けたガラとネイ、アビゲイルや魔戦将軍達と共に戦う。D・Sの必死の呼びかけにより、アンスラクサスの支配下からカ=ルスを取り戻す事に成功するが、アンスラクサスは完全復活を果たしてしまう。

罪と罰編

アンスラクサスは世界各地から仲間である邪神を呼び集め、世界の破壊を繰り返していた。世界を影から支配するエウロペアの十賢者は、D・S達を方舟・ジャンボノアへ招く。十賢者達はD・Sと竜戦士を融合させてアンラクサスに対抗しようとするが、D・Sはそれを拒否。アビゲイルはアンスラクサスの復活に呼応して力が上がっているD・S自らの力で挑むべきだと提案する。アビゲイルの予想通り、D・Sはアンラクサスを撃破したかに見えたが、D・Sは光の力により肉体を破壊され別の空間へと幽閉されてしまう。
神の御使いである天使こそがアンスラクサスの正体であった。天使達の攻撃で危機に陥るヨーコの元に、D・Sの体から分離したルーシェが現れる。ルーシェの正体は最高位の天使であるルシフェルの堕天した姿であった。天使達を退けたルーシェは方舟の霊子動力(アストラルリアクター)を使えば封印されたD・S救い出す事ができると言い残し、ヨーコに感謝の言葉を述べて消滅する。
天使達の攻撃により破壊された方舟は地上へと墜落しようとしていた。残された時間が少ない中でD・Sの救出作戦が始まる。アビゲイルが霊子動力を使い異空間への接続を図る中、魔戦将軍は天使軍団長ミカエル率いる天使軍団と戦いを繰り広げるが、次々と敗れていく。
D・Sは幽閉された空間・氷地獄(コキュートス)で悪魔王サタンと出会う。そこは天使達と戦いと戦い敗れた悪魔王サタンの根城であった。再び天使達との戦うために再起を図るサタンはD・Sを鍵であると語り、自らの仲間に引き入れようとする。この誘いを拒むD・Sに対し、サタンの配下であり悪魔大元帥のポルノ・ディアナが戦いを挑んでくる。人間を遥かに超える強力な魔力を持つ悪魔を相手にD・Sは圧倒される。

背徳の掟編

方舟での戦いから4年が過ぎた。天使と悪魔の戦いで荒廃した世界でマカバインとバ・ソリー、シュラの3人は各地で人々を救う旅をしていた。地上では天使から堕天した魔人コンロンが暴れまわっていた。人間達を攻撃するコンロンに立ち向かうマカバイン達であるが、到底太刀打ちできない。そんな中、四大天使であるミカエル、ウリエル、ラファエル、ガブリエルが現れる。激突する四大天使とコンロンの戦闘の中、地獄の淵から復活したD・Sが乱入する。
ミカエル達とD・Sの力に圧倒されるコンロンであったが何度も攻撃をくらっても倒れる事なく再生し続ける。戦いが長引く中で、天使の一人であるウリエルは執行官状態(エクシュキューショナーモード)を発動、神槍グングニルを使いコンロンを消滅させようとする。この攻撃で初めてコンロンにダメージを与えるものの、衝撃によってD・S達は地獄の一層に堕ちてしまう。
コンロンは天使の攻撃を防ぐ無効共鳴(ヴォイドハウリング)を発動する為、ウリエルの妹、アムラエルを自身の体の中に取り込んでいた。ウリエルは妹・アムラエルを自らの手で殺してコンロンの持つ無効共鳴を打ち消す。しかし、自分が犯した行動に天使としての存在意義に悩み、堕天してしまう。
D・Sは地獄の戦いで6大悪魔から奪った力、ユダの痛み(ジューダスペイン)を使い魔神人(まじん)D・Sとなる。コンロンを圧倒し、その身体を喰らう。コンロンを倒したD・Sは堕天したウリエルと戦う。双方の激しいぶつかりあいの末に像絶な戦いをD・Sが勝利したかに見えたが、七大悪魔の1人ベルゼバブは、地獄の中に眠っていたウリエルの光体アウゴエイデスを目覚めさ、ウリエルと合体させる。力を増したウリエルに対抗すべくD・Sは竜戦士ルシファーと融合し対抗する。両者の戦いは再び地上へと移る。
地上ではカ=ルスやラースの働きで、世界中のあらゆる種族がシーラの元へ集っていた。サタンを復活させた悪魔達は反創成計画(ネガジェネシス)を発動し地上の人間達を消滅させようとしていた。シーラの元へと結集した各種族たちは凡人類連合を結成、反創成計画を阻止するために動き始める。
地上でも、D・Sとウリエルの戦いは続いていた。凡人類連合の皆が見守る中で、D・Sは竜戦士のパワーを開放し全ての力を使い果たして消滅しかけるものの、復活して遂にはウリエルと決着をつける。ウリエルは正気を取り戻すが堕天した代償としてその身体は消滅しようとしていた。D・Sは自分の体に取り込んだコンロンからアムラエルの体を復元する。消えゆく直前に妹と再会できたウリエルは消滅する。

魔力の刻印篇

コンロンやウリエルとの戦いから時は遡り、4年前。地獄に封印されたD・Sは7大悪魔達の見守る中でサタンの配下であるポルノ・ディアナとの戦っていた。慣れない地獄での戦闘であることや人間を遥かにしのぐ魔力を持つ悪魔相手に苦戦を強いられるD・S。しかし持ち前の性格からポルノ・ディアナを翻弄していく。ペースを乱されたポルノ・ディアナは、D・Sを完全消滅させるべく怒りの一撃を放つ。敵味方構わずといった攻撃は地獄の壁を崩壊させ、サタンですら解くことのできなかった最終地獄への扉を開ける。地獄の最下層である最終地獄へとたどり着いたD・S。ポルノディアナの攻撃が迫る中で、先ほどの戦いから度々自分の名前を呼びかける声を聞く。声に導かれるように最終地獄を進むD・Sは破壊された天使の武装最大形質を見つける。D・Sをここまで導いた声の主が名乗りでる。それは熾天使であり四大天使の1人ガブリエルであった。

『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

ダーク・シュナイダー

CV:谷山紀章(2022年版)/矢尾一樹(ドラマCD、OVA)

本作の主人公の伝説の魔法使い。400年以上前から生き続けており、暗黒魔術と雷撃と火炎の魔法を得意とする。15年前の魔操戦争で敗北後、赤ん坊だったルーシェの体に転生する。メタ=リカーナ侵攻の際にヨーコの接吻よって現代に復活する。自称「超絶美形魔法使い」であり、性格は尊大で傍若無人、無類の女好き。復活後はルーシェとして生きた記憶や体験にかなりの干渉を受けており、ヨーコには頭が上がらない。大柄で身長は192㎝。自分より背の高い相手は嫌いでありウリエルを前にして嫌な顔をしていた事もあった。作中ではD・Sという略称表記されることが多い。

ルーシェ・レンレン

CV:伊藤かな恵(2022年版)/渕崎ゆり子(OVA)
ジオに拾われた孤児の少年、ヨーコとは姉弟のように育てられる。体内には転生したD・Sが封印されており、彼の復活後は肉体と精神を共有する。洗濯が大好きで無邪気な少年。童顔であり同い年のヨーコよりも年下と思われる事が多い。 その正体は堕天した最上級天使のルシフェルであった。

ティア・ノート・ヨーコ

CV:楠木ともり(2022年版)/白鳥由里(ドラマCD)/小山裕香(OVA)

本作のヒロイン、14歳。メタ=リカーナ王国の神官でジオの娘であり、姉弟のように育ったルーシェを溺愛している。王国の危機を救うため接吻と呪文によりD・Sの封印を解く。正義感が強く包容力のある性格でD・Sとルーシェのどちらにも好かれている。傍若無人で不可解な行動をとるD・Sを言い聞かせる事ができる唯一の存在であり、彼の監視役兼保護者を担当する。一人称はボク。メタ=リカーナ王国崩壊後は反乱軍として侍達を指揮したり、高位の治癒魔法や格闘術で仲間を助けたりと成長した様子を見せていた。

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