だんだらごはん(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『だんだらごはん』とは、殿ヶ谷美由記によって、2015年から『pixivコミック×講談社ARIA』にて連載されている青春ストーリー漫画である。
江戸時代に実在した新選組の歴史を軸に、隊士の等身大の青春を描いている。激動の時代を生き抜いた新選組について、当時の食文化という新しい視点から描かれた作品である。
物語は斎藤一と沖田総司を中心に、2人の出会いや新選組結成前の様子からじっくりと描かれている。

『だんだらごはん』の概要

『だんだらごはん』とは、殿ヶ谷美由記によって、2015年から『pixivコミック×講談社ARIA』にて連載されている青春ストーリー漫画である。2018年3月にはドラマCDも発売されている。『京都国際マンガ・アニメフェア2018(京まふ2018)』で行われた企画「京都が舞台となるマンガ人気投票」では、上位5作品の中の1つに選ばれパネルが展示された。2021年にオンライン開催された『AnimeJapan 2021』の企画である『アニメ化してほしいランキング』にノミネートされた実績もある。
江戸時代に実在した新選組の歴史を軸にしており、新選組隊士の等身大の青春を描いた作品。当時の食文化がテーマとなっており、作中のサブタイトルにはその回に登場する料理名が含まれている。新選組が題材となった作品は、その時代の過激さにスポットが当てられることが多いが、本作は”食”という視点で隊士の日常などの穏やかな雰囲気を味わえる珍しい作品となっている。作中に登場した料理は、当時のレシピや、現代の食文化と調達できる食材に合わせた再現レシピなども掲載されている。作品はあくまでフィクションであるが、歴史や料理に関しては様々な文献を参考にしており、当時の様子がよりリアルに感じられるようになっている。
物語は剣術道場・試衛館の食客である山口一(改名後:斎藤一)と、試衛館塾頭の沖田宗次郎(元服後:沖田総司)の出会いから始まる。2人を中心に新選組の結成から、それぞれの隊士の生き様や新選組の行く末が描かれていく。

『だんだらごはん』のあらすじ・ストーリー

出会いと旅立ち

山口(左)が殺人の罪を犯してしまったことを、沖田(右)に伝えるシーン。

江戸の武士の家系に生まれた山口一は、次男であるが故に不遇の扱いを受け、鬱々とした日々を過ごしていた。ある日暇潰しに寄った剣術道場・試衛館で、手合わせをした塾頭の沖田宗次郎に懐かれる。その後は山口も食客として試衛館に通い、沖田とは趣味の食べ歩きや剣術の修行を共にすることも増えた。山口が試衛館の一員として馴染んできた頃、沖田は京へ向かう将軍の警護を目的とした組織・浪士組への参加を提案する。それは試衛館に通う武士になれない身分の者たちや、武士の家系だが次男であるために役立たずとされてきた山口にとって、武士として働ける絶好の機会だった。

山口は役立たずと言われてきた自分を変えるために、浪士組に参加する決意を固める。試衛館の面々は、京への旅立ちの前に江戸の食べ物を満喫するために浅草を訪れた。沖田と行動を共にしていた山口は偶然、知り合いが危険な薬物である阿片を売りつける場面を目撃してしまう。特に気に留めていなかった山口だが、後日試衛館に向かう道中で、口封じのために襲撃してきた相手を斬り殺してしまうのだった。
自分の身を守るためとはいえ、人を殺めてしまった山口はそのまま試衛館へ赴き、自首する意思を伝え最後の挨拶を告げる。死を覚悟する山口に対して試衛館の門人である土方は、浪士組の参加条件には「罪人でも構わない」との記述があることを伝えた。そして参加資格はあるが死罪が確定している山口に、試衛館の面々は名前を捨てて先に京へ行くことを勧める。その日から”山口一”は”斎藤一”に名を改め、京へ向かうために江戸を発ったのであった。

浪士組の結成

共に戦う覚悟を問う松平に対し、浪士組の代表として近藤(中央)が意思を伝えるシーン。

先に京での生活を始めていた斎藤は、後から京に辿り着いた浪士組が壬生村に滞在していることから「壬生狼(みぶろ)」と呼ばれていることを知る。それと同時に「壬生狼は町中で暴れ回るガラの悪い集団」という噂を耳にした。一方浪士組として京入りを果たした沖田たちは、浪士組の実務担当である清河八郎から江戸へ帰還することを宣告されていた。それは清河が天皇を尊び異国を攘(はら)う思想”尊皇攘夷(そんのうじょうい)”を理由に、幕府を裏切る計画の一端だった。試衛館の面々から若先生と呼び慕われていた近藤勇は、自分たちの志を貫き将軍を守るために、浪士組を抜け京に残ることを決意する。

偶然沖田との再会を果たした斎藤は、試衛館の仲間たちが浪士組を離脱し無職となったことを明かされる。そして京に残留し新しい浪士組を作るため、京都守護職に就いている会津藩主・松平容保への嘆願書に名前を連ねた。嘆願書を受け取った松平との話し合いを経て、壬生に残った元浪士組の面々や斎藤は、会津藩のお預かりとして認められ新たな浪士組の結成に成功する。
幕府から任命され浪士組の筆頭となった殿内義雄は、身分の低い浪士たちを見下し市中の見回りすら禁止していた。仕事をもらえず暇を持て余していた沖田は、台所で殿内が近藤の湯呑みに毒を塗っている所を目撃する。土方に相談し2人で殿内への警戒を高めている矢先、夕食の席で近藤が殿内から饅頭をもらったことを聞きつけた。饅頭の処分を理由にその場を抜けた沖田と土方は、殿内から浪士組を自分のものにするために近藤を疎ましく思っていることを明かされる。殿内の本心を聞いた沖田は、これ以上自分の大切な人たちに危害が及ばないように、自らの手で殿内を殺めるのだった。この一件を機に、内部からの裏切りや恨まれ事に巻き込まれることを防ぎ、組織として結束するため、局中法度(きょくちゅうはっと)と呼ばれる掟が作られる。

新選組と芹沢鴨

放火事件を起こし、何もかも諦めていることを垣間見せる芹沢。

掟を作り組織として改めて動き出した浪士組は、大阪へ向かう将軍の警護の任務を果たす。その後は、京と大阪両方の地で浮浪人を取り締まる事を主な任務としていた。斎藤たちは着実に任務をこなし、幕府からもそれなりの評価を得ている一方で、同じ浪士組の一員である芹沢鴨の素行不良に悩まされていた。斎藤は芹沢と同門であった永倉新八と共に、酒癖が悪く頻繁に暴力沙汰を起こす芹沢に禁酒をさせようと試みる。しかし過激な言動と行動を繰り返す芹沢自身が人生を諦めており、もう改善の余地がなく手遅れだということを察した。

浪士組は長州藩の謀反を阻止するため会津藩に協力し、武力衝突の回避と持ち場の警護の任務を成功させる。その働きを認められ、朝廷と幕府間の連絡役である武家伝奏(ぶけてんそう)から、新たに”新選組”という名を賜った。しかし同時に、会津公から芹沢の素行不良に苦言を呈されてしまう。これを機に土方は芹沢一派の暗殺を決意した。同じ試衛館の門人であった山南は、内部粛清は危険だと訴えたが、土方は外部に頼む方が危険だと一蹴する。土方と沖田を中心に芹沢一派の粛清は実行され、隊内に紛れこんでいた長州派の仕業に見せかけて事なきを得るのだった。

2人の副長の衝突

怪我をしている山南(右)を庇い、応戦する土方(中央)。

芹沢一派を粛正した後、新選組の副長を務めていた土方と山南は、今後の新選組の在り方について意見が分かれていた。国の情勢悪化により幕府の力が弱まり、同時に新選組も脱走者が増加するなどの不安定な状況が続いていた。この状況を機に京に留まり成り上がろうという土方と、新選組を解散し江戸に戻ろうという山南。どちらの意見も一理あると考える斎藤は、副長2人が出席する会食の用心棒としてお供するように指示される。3人は剣呑な雰囲気のまま何とか会食を終えるが、店を出た直後に長州派の刺客に襲撃されてしまう。他の任務で怪我をしてから体調が優れない山南と、その山南を気遣う土方は互いに背中を預けて応戦し、何とかその場を凌ぎきった。お互いを思いやる気持ちや認める気持ちはあるものの、わだかまりは無くならないままであった。

長州派が市中放火を企んでいる情報を掴んだ新選組は、その計画の中心人物であった古高俊太郎の捕縛に成功する。古高からの事情聴取の際にも激しく対立した土方と山南に、斎藤は身内である試衛館の面々が分離するのではないかと危惧し始めた。一方沖田は、2人の対立に不安を感じながらも「大切な人を守るために戦う」という意思を固めるが、自身の体調に異変が起きていることに気付く。それぞれが複雑な思いや不安を抱えたまま、長州派と対峙するため出陣の準備を整えていった。

『だんだらごはん』の登場人物・キャラクター

新選組

斎藤 一(さいとう はじめ)

ドラマCDキャスト:梶裕貴
本作の主人公。控えめな性格で、いつも1歩引いた所から仲間の輪を眺めている。食べ歩きが趣味で、刀の目利きが得意である。剣術の腕前は相当なもので、試衛館の塾頭であった沖田と対等の能力を持つ。元の名前は山口一(やまぐち はじめ)だが、人を殺めてしまい、江戸を発つ前に斎藤一に改名する。
元々は武士の家系の生まれだが、次男で家督がないために親族からは役立たずと言われて育った。暇潰しに立ち寄った試衛館で手合わせした沖田に気に入られ、自身も試衛館の食客として出入りするようになる。その後は試衛館の面々と共に浪士組に参加し、芹沢粛清後の新選組では副長助勤を務める。

沖田 総司(おきた そうじ)

ドラマCDキャスト:花江夏樹
本作のもう1人の主人公。明るく人懐っこい性格で、試衛館の面々からは弟のように可愛がられている。近藤、土方とは幼馴染み。甘党で猫舌。元の名前は沖田宗次郎(おきたそうじろう)だが、元服して沖田総司藤原房良(おきたそうじふじわらのかねよし)に変わり、以後は沖田総司と名乗るようになる。
ずば抜けた剣の才能を持っていることから、試衛館では門人の指導役である塾頭を務めていた。同世代であり同等の実力を持つ斎藤を気に入り、浪士組に参加する際に斎藤を誘った張本人である。芹沢粛清後の新選組では副長助勤を務め、出陣の際には先陣を切る役割を任される。

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