牛山辰馬(ゴールデンカムイ)とは【徹底解説・考察まとめ】

牛山辰馬(うしやま たつうま)とは、『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、アイヌの隠し金塊の在処を示す刺青を施された囚人の1人にして柔道の達人である。大柄で屈強な肉体に石頭、独特な耳の形状が特徴的な人物である。金塊を狙う土方歳三に協力し活動する。「不敗の牛山」の異名を持ち、様々な強敵をその卓越した柔術と怪力で組み伏せる。白兵戦では作中最強の男である。普段は紳士的だが極度の女好きでもあり、一定期間女を抱かないと男だろうと老人だろうと見境なく襲い掛かる一面を持つ。物語序盤から終盤にかけて活躍した。

虚無僧の変装

札幌の町で刺青の囚人ジャック・ザ・リッパーを捜索する際に虚無僧に変装した。が、牛山の巨大と筋肉を隠しきれず、異様に強そうな虚無僧になった。

歩兵銃

牛山が五稜郭の戦いにて使用。遠くの第七師団兵士を狙撃し、倒している。

牛山辰馬の来歴・活躍

網走監獄に投獄

網走監獄の牛山

柔道場に通い、熱を入れていた牛山。10年間無敗を誇っていた。ところがある日、師匠の不細工な妻に欲情し手を出してしまった。それを知った師匠は激怒し、門下生10人を使って制裁を加えようとした。しかし全く歯が立たず、逆に牛山に反撃されてしまう。師匠はその場で殺され、門下生も全員手足の骨を折るなどの重傷を負った。中には頭蓋骨の骨を握りつぶされ、一生寝たきりになった者も居た。この事件により牛山は捕らえられ、網走監獄に投獄された。

網走監獄では同じ囚人の岩息舞治(がんそく まいはる)をよく取り押さえていた。岩息は暴力が大好きな巨体の囚人で、よく看守に殴りかかり暴れまわっていた。牛山同様筋骨隆々の猛者で看守の力では抑えきれなかった。そこで典獄の犬童四郎助(いぬどう しろすけ)は牛山に女を抱かせてやる事を条件に、牛山に岩息を取り押さえさせたのである。牛山は岩息を組み付けば圧勝であったが、純粋な殴り合いの戦いだけに持ち込まれた時は何度か彼に敗れている。

最終的に、のっぺら坊に金塊の在処を示す刺青を施され、土方の先導で網走監獄を脱獄する。余談であるが岩息も刺青を施されて共に脱獄し、牛山と別々に行動している。

小樽の娼館にて土方歳三と出会う

土方歳三の指揮の元、24人の刺青囚人の一人として網走監獄を脱獄する。その後は隠遁生活を送りながら小樽の娼館で女を抱いていた。

行方を眩ませていた牛山。牛山はその旺盛な性欲を満たす為に密かに小樽の娼館にて女を抱いていた。その最中、土方が乱入してくる。牛山が抱いていた女は土方のスパイで、牛山は密かに土方に売られていたのである。その事を察した牛山は抱いていた女の足を掴む。凄まじい牛山の力で握られた女の足はメキッと骨の軋む音を出す。痛がる女に構う事なく、牛山は土方に女を身体ごと投げつけた。女は宙を舞い、土方目掛けて飛んでいく。それを土方は屈んで躱し、抜刀。牛山の頭に日本刀を突き付けた。牛山も同時に拳銃を構える。両者睨み合いの末、土方は自分の刺青を移した油紙を牛山に放り投げる。そして土方は牛山に油紙に自分の刺青を書き写せば殺し合わずに済む旨を伝え、牛山を仲間に勧誘した。刺青がある限り命を狙われる事を考えた牛山はこれに応じ、土方と共に金塊を捜す事になる。牛山は土方と共に行動する方が安全だと考えたのである。

土方と合流した牛山。彼等はかつての土方の同志であり、元新撰組の最強剣士と呼ばれた永倉新八(ながくら しんぱち)と合流する。永倉は牛山と土方に亡くなった親戚の家を提供し、当座の資金と外国製の最新式銃火器を渡した。更に永倉自身も土方と牛山と共に金塊を捜すことになる。

永倉は数年前に樺戸集治檻にて剣術指南をしていた。そこで表向きは死んだ事にされ、密かに投獄されていた土方と偶然出会う。その後、剣術を教えていた看守の手引きにより永倉は土方と密かに会い、繋がりを持つ。元々新撰組で土方を慕い、尊敬していた永倉は土方の「蝦夷共和国建国」の理念に賛同し、協力を決意した。その流れで永倉は土方と牛山に住居や資金と武器を提供したのである。

土方は小樽近郊に潜む渋川善次郎(しぶかわ ぜんじろう)を仲間に引き込むべく、牛山と若いごろつき6人を引き連れて渋川のアジトに乗り込む。渋川は最近、樺戸集治檻を出所した盗賊団の頭首である。刺青の囚人ではないが、手下からの信頼が厚い。渋川は再び手下を集めて小樽近郊に潜んでいた。土方は渋川を手下ごと仲間に引き込もうと考えていた。渋川の手下は12人。土方は昼間に渋川の元に使者を送っているが帰って来ていない。話が拗れているのが明白な為、土方と牛山達は武装していた。この時、牛山はリボルバー拳銃を装備している。

渋川のアジトに乗り込んでいくと、渋川の手下の一人が突っかかってきた。牛山はその手下をいきなり体ごと放り投げて天井にめり込ませた。土方と渋川は話をするが、最終的に交渉は決裂。土方は渋川を撃ち殺し、渋川の手下達と殺し合いに発展する。牛山は拳銃で応戦しながら、鬼神の如くと敵を切り捨てて行く土方の姿に圧倒されていた。渋川一味は皆殺しにされ、土方達は帰途に着いた。帰りの馬車で牛山は土方に自分は金塊にしか興味が無い旨を伝える。そして、北海道占領という夢物語を誰が信じるのか牛山は土方に尋ねた。それに対し、土方は「北海道を独立させたい人間は大勢いる」と回答する。牛山が更にその人間は何処にいるのかを聞くと土方は「遥か昔からこの地に住んでいる」と返す。ここで土方がアイヌ民族を仲間にしようとしている事が暗示される。

小樽の街中で第七師団と戦う

白石(画像左の人物)を片手に第七師団と戦う牛山

永倉の用意したアジトで日課の柔道の鍛錬に励む牛山。性欲が溜まっている様子で雄叫びを上げていた。性欲が溜まりすぎた牛山は暴走し、老人であろうと抱こうとする程危険であった。土方はそんな牛山に女を抱かせるため、雪の残る小樽の街へ連れ出す。また、土方には別の目的もあった。それは軍資金の調達と土方の愛刀、和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)を取り返す事である。土方の愛刀は土方が網走監獄に収容されてから人の手に渡り、最終的に小樽の銀行に保管されていた。土方は牛山に女を抱かせつつ、銀行を襲撃する事を考えていた。

一方、杉元とアシリパと共に金塊を狙う24人の刺青の囚人の1人である白石由竹(しらいし よしたけ)も小樽の街に来ていた。白石はアシリパから借りたお金で遊廓に潜入し、刺青の囚人の情報を仕入れようとしていた。白石が少し高めの遊廓に入ろうとした時、中から牛山が出てきて鉢合わせになる。牛山と白石は網走監獄の中で顔見知りになっており、脱獄後の白石は杉元達と共に牛山の刺青を狙う立場にあった。牛山は白石の上着に掴みかかる。白石は咄嗟に上着を脱ぎ捨てて牛山から逃げ出す。後を追う牛山。牛山は白石と話をしようとしていた。白石は逃げる途中、知り合いの男と出会う。この男は牛山が土方と出会った遊廓の用心棒のような立場の男である。牛山が土方に投げつけた女は骨を折る重傷を負い、この用心棒は女に怪我をさせた犯人を捜していた。白石はその犯人が牛山である事を用心棒に伝えて、時間稼ぎに使おうとしたのである。白石の話を聞いた用心棒は白石を追って走る牛山に怒る。側で話を聞いていた女性も加勢し、複数人で殴りかかる。牛山は止まる事なく一瞬で用心棒と周りにいた数人の人々を吹き飛ばしてしまった。

小樽の街中を逃げる白石。街中には巨大な雪の塔が至る所にたっていた。これは屋根や道路に積もった雪がカチカチに凍りついた物を石垣のように積み上げて作り上げたものである。白石はその中の一つに蹴りを入れ、牛山に雪の塔を崩れさせた。雪の塔は崩れ、牛山を埋めてしまう。牛山が死んだと喜ぶ白石であったが、すぐに雪の中から牛山が飛び出してきて再び白石を追いかける。

牛山から逃げる白石は通り掛かりの荷物を運ぶ馬に目をつけ、馬の尻を叩く。驚いた馬は牛山に向かって走り出す。牛山は難なく馬を足払いし、馬を倒してしまった。

白石は牛山の圧倒的な力に恐れながら逃げていた。そして曲がり角を曲がった時、偶然第七師団と遭遇する。この時第七師団の中には後に主要な登場人物となる二階堂浩平と双子の兄弟の二階堂洋平も居た。第七師団は北海道旭川に本拠地を置く大日本帝国陸軍の一個師団である。屯田兵として北海道を開拓する役目を担っていた為、過酷な環境で鍛えられた彼らは「北鎮部隊」の異名を持つ程の強者で恐れられた。日露戦争においてはマキシマム機関銃の銃撃の中を果敢に突き進み、戦略的に重要と考えられていた203高地を占領した。そんな第七師団の中の第27聯隊の鶴見中尉はアイヌが隠した金塊を狙っていた。鶴見はそのカリスマ性で部下達をまとめ上げ、上官を射殺。第27聯隊を乗っ取り、金塊を狙う一大勢力として牛山や杉元達と戦う事になる。今回、第七師団が小樽に来ていた理由は杉元を探す為である。杉元は以前に第七師団の尾形百之助と戦い、負傷させている。杉元は金塊を狙う要注意人物として鶴見から捜索命令が出されていたのだ。白石は第七師団に自分の正体を隠しながら助けを求める。その際、牛山に変な刺青がある旨を伝える。刺青の囚人も捜索していた第七師団は血相を変え、臨戦体制に入る。歩兵銃を構える第七師団に牛山は恐れる事なく突っ込んでいく。そして牛山は襲い来る第七師団を次々と放り投げていく。が、二階堂の撃った銃弾が左肩に当たり負傷する。その時、近くで爆発が起こる。これは土方の仲間達が手投弾を爆発させたものである。爆発を引き起こし、第七師団を陽動で引き付け、その隙に銀行を襲撃する手筈であった。牛山は女を抱いた後、遊廓の前で待機している予定であった。しかし、白石と遭遇した牛山が白石を追いかけ始め、第七師団と戦い始めたので計画が少しズレてしまい、牛山の救援という形で爆発を引き起こしたのである。土方の仲間は第七師団に向かって発砲する。それに第七師団も応戦し、銃撃戦になる。その隙に別の土方の仲間が馬で牛山に近付く。牛山は尚も刺青の囚人の白石を捕らえようとしていたが、馬に乗せられてその場から逃げ出す。一方、銀行では土方が愛刀を取り戻す事に成功し、鶴見から逃げ果せていた。また、白石もどさくさに紛れて逃げ出していた。白石は牛山が居た遊廓に戻り、牛山が抱いた娼婦から牛山の靴下を入手していた。

白石は入手した牛山の靴下を猟犬のリュウに嗅がせ、臭いから牛山を見つけようとしていた。猟犬のリュウは元は24人の刺青の囚人の1人の二瓶鉄造(にへい てつぞう)の猟犬であった。が、杉元達とアシリパに懐いた蝦夷狼のレタラと交戦の末死亡。残された猟犬のリュウは白石と行動する事になった。

白石とリュウは捜索の末、雪の残る林で柔道の稽古に励む牛山を見つける。

牛山は永倉の用意したアジトに滞在していた。稽古を終え、牛山は永倉から積丹の海岸で死体が上がった事を聞く。連続して死体が上がっていることが話され、その残忍な手口から牛山は刺青の囚人の一人である辺見一雄(へんみ かずお)が犯人であると断定する。そして牛山は金塊を目的に脱獄した訳では無い囚人は殺すべきだったと言う。金塊の為では無く自分の欲望を満たす事を目的に脱獄した囚人の行動は読み辛い事を牛山は語った。一方、アジトの外では白石がリュウと共に聞き耳を立てていた。が、リュウが咳払いをした事で牛山は白石に気付く。牛山は勢いよく窓ガラスを体当たりでぶち破り、外にいた白石を組み技で捕らえる。白石は間接の骨を外して抜け出し、懐から五寸釘を取り出して反撃に出る。白石は牛山の目玉に釘を刺そうと腕を振り下ろす。それを察した牛山は釘を額で受け止める。釘は牛山の額の皮に突き刺さるが、牛山の石頭に釘はそれ以上刺さらなかった。それどころか釘を突き刺した白石の腕に衝撃を与えて怯ませた。そこへ土方が現れ、牛山に白石を殺さないように言う。牛山は白石の顔面に張り手を食らわせて気絶させた。

捕らえられた白石は土方、永倉、牛山に囲まれていた。土方は白石に刺青の写しを差し出せば今の所は命は助ける旨を話す。牛山も白石を説得する。土方は更に白石に仲間の事を聞く。白石は杉元の事を語り始める。白石は刺青の写しを土方達に差し出し、土方達と繋がる事になる。しかし白石は土方に寝返った訳ではなかった。表向きは土方に寝返ったように見せかけ、白石は嘘の情報を土方に伝える。杉元達は刺青人皮を一枚も持っていない旨を白石は土方に伝えた。

白石は杉元達の元へ戻る事になる。その際、土方は白石に辺見の情報を教えた。土方は杉元一行を辺見の刺青捜索に利用しようと考えていたのである。

杉元一行との出会い

牛山は札幌の「札幌世界ホテル」というホテルを訪れる。そこで牛山を迎えたのは家永カノ(いえなが かの)という女将の美女であった。実はこの家永は24人の刺青の囚人の1人である。顔は美女だが、その正体は男の老人である。家永は札幌世界ホテルを経営していた老夫婦に取り入ってホテルを乗っ取り、未亡人の女将としてホテルを営業していた。そして自分の好みの客が宿泊すると家永はその客を殺害していた。家永は元医師で「同物同治」という思想を持っている。これは体の悪い部位と同じ動物の部位を食す事で病気が治るという思想であった。家永はこの思想を人間に対して行った。家永が欲しいと思った体の部位を持つ客を殺害してはその部位を食べている。家永は監獄時代は老人の顔で今の美貌とは程遠い顔であった。しかし、脱獄してホテルで食人を行った結果、今の美貌を手に入れた。

家永は牛山と網走監獄で面識があった。しかし、監獄時代と顔の変わった家永に牛山は気付かない。一方で家永は牛山を警戒していた。牛山は家永が未亡人である事を確認する。牛山はホテルの情報を多少知っていた。続いて牛山は、このホテルを経営していた老夫婦の事を尋ねる。家永は主人の両親であると嘘を答えて真実を隠蔽する。家永は牛山が自分の正体に気付いているのではないか、と疑い始める。牛山は家永の正体に気付いていた、と思いきや家永の尻や声の美しさを褒め始めた。牛山は家永の正体に気付かず欲情していたのである。あまつさえ、家永に壁ドンをして「抱かせろ」とまで言った(この時、牛山に壁ドンされた壁は凹んでしまった)。それに対して家永は牛山の逞しい腕を褒め称える。家永が牛山の強靭な肉体を欲しがっている事が明示される。丁度その時に杉元一行が訪れた。家永は接客の為、牛山を置いて部屋を出た。その際、牛山は「部屋で待つ」と鼻息を荒くして欲情していた。

杉元一行は杉元、アシリパ、白石、キロランケの4人であった。キロランケは旅の途中で加わったロシア系アイヌの仲間である。アシリパの父親のウイルクの友であり、鶴見中尉とは別の部隊の元第七師団で工兵をしていた。家永は杉元一行を出迎える。するといきなり白石が家永をナンパし始めた。家永は白石とも面識があるが、白石も牛山同様、家永の正体に気付いていなかった。

札幌世界ホテルは家永が乗っ取ってから改築を重ねていた。その結果、作りが複雑になり、隠し部屋や通路が多く作られた。地下には家永が客を殺して解体する部屋もある。家永はその隠し通路を利用して素早く移動していた。家永は白石と牛山が鉢合わせすれば互いの刺青を巡ってトラブルになる事を恐れていた。家永は白石と牛山が鉢合わせしない様にしつつ、牛山をガスで眠らせて殺害しようと考える。一方、牛山は自室でスクワットをして家永への性欲を発散させていた。が、あまりにも家永が部屋に来ないので痺れを切らして牛山はホテルを探し回る。白石も家永を口説こうとホテル内を徘徊していた。牛山と白石が鉢合わせになりそうになった時、家永は白石を殺す事を判断し、仕掛けを発動した。すると白石の立っている所の床が抜けて白石は穴に落ちていった。こうして、一時的に牛山と白石は出会う事なく引き離されたのであった。

白石を罠に嵌め、地下室に落とした家永。白石の様子を見に行こうとした時、家永は痺れを切らした牛山に捕まり、抱きしめられてキスをされる。家永は牛山の舌を噛み、牛山を誘惑しながら牽制しつつ、牛山から逃れる。家永の性的な魅力に牛山は完全に魅了され、頭が火照っていた。牛山は頭を冷やす為に外に出る事にする。一方、牛山の部屋では、牛山が壁ドンをして凹ませた壁が崩れ始めていた。

外に出て頭を冷やそうとする牛山は途中でアシリパ、キロランケ、杉元と遭遇する。彼等は牛山とは初対面であり、牛山が刺青の囚人である事に気付いていなかった。アシリパとキロランケは牛山を見て「シンナキサラ」と発言する。これはアイヌ語で「変な耳」という意味であった。それを見ていた杉元は牛山の耳は「柔道耳」という柔道の稽古を積んだ人間の耳である事をアシリパとキロランケに伝える。そして杉元自身も相当柔道の稽古を積んだが、体質のせいか柔道耳にはならなかった旨を発言。その言葉に牛山は興味を示し、牛山と杉元は互いに握手を交わす。この握手は単なる友好の証ではなかった。武道の達人同士の握手は互いの力量を押し測る事が出来るのである。杉元は握手する事で牛山の強靭さを知り、驚いていた。同時に牛山も杉元の強さに一目置いていた。互いの強さを知りたい余り、自然と牛山と杉元は組み合う。そこで牛山がこれ以上は殺し合いになってしまうと判断し、杉元から手を離す。牛山は杉元の強さを気に入り、杉元達に洋食を奢る事になる。

牛山は杉元、アシリパ、キロランケと共に洋食屋にエゾシカ肉のライスカレーを食べに行く。そこで牛山達は札幌ビールの飲み比べ勝負を始める。酒瓶をラッパ飲みする牛山は完全に酔い、札幌ビールを使った村橋久成(むらはし ひさなり)について語り始める。村橋は箱館戦争で土方と戦った新政府軍の軍監であった。後に土方は村橋に戦争に負けて悔しいが、彼の作ったビールは美味いと言っていた旨を話し始める。それを聞いていた杉元は疑問を抱く。土方は表向きは箱館戦争で戦死した事になっているからである。口を滑らせた事に気付いた牛山は慌ててその場を誤魔化した。丁度、その時ビールを飲んで酔ったアシリパが牛山の額のコブに掴みかかり、コブを取ろうとする。場が和み、牛山はアシリパに「チンポ講座」を始める。牛山はアシリパにいい女になって男を選ぶ時はチンポで選ぶ様に説く。一度男を抱かせてそのチンポが「紳士」かどうかで男を選ぶべきだというのが牛山の持論であった。その考え方にキロランケは「そのとーり!!」と同調していた。牛山が持論を語り終えた所で飲み会はお開きとなった。

牛山が自室に戻ると、牛山が壁ドンをした箇所が完全に崩れて大穴が空いていた。牛山がその大穴を覗き込み、隠し通路と謎のレバーを発見した。牛山がレバーを引っ張ると床が抜けて地下へと続く落とし穴が出現した。泥酔している牛山は女将を探してその穴の中に落ちていった。穴の底は家永が客を殺す為の解体部屋に繋がっていた。そこでは家永に捕らえられて動けない白石が脱獄を図っていた。白石は家永に落とし穴トラップに落とされた後、家永に薬剤を打たれて今まで眠らされていたのである。薬が切れた白石は両手を縛る手錠を足で器用に開けようとしていた。丁度その側に上から牛山が落ちてきた。白石は突如現れた牛山に驚きつつも、牛山に家永の正体を教えて自分を助けるように求める。が、泥酔した牛山は白石を女将の家永だと勘違いして襲い掛かり、白石の乳首に吸い付いた。そのまま嫌がる白石を無理矢理まさぐる牛山であったが、白石の臭いに気持ちが悪くなり、吐いた。牛山が吐いた隙に白石は手錠を外して拘束台から抜け出す。そして吐いた事で多少落ち着いた牛山に、白石は家永の正体は女装した刺青の囚人の一人であり、網走監獄で白石と牛山が見たことがある老人である事を牛山に伝える。家永の正体が老人である事を知って尚、性的に昂っていた牛山は家永を抱こうと考えており、白石はその見境の無い性欲に退いていた。一方、当の家永は杉元とアシリパの居る部屋に睡眠ガスを流し込んで杉元とアシリパを眠らせていた。そして部屋に忍び込み、アシリパの目玉を食して綺麗なアシリパの目の色を手に入れようとしていた。

白石と牛山は地下室から抜け出そうとしていた。白石は自分達が落ちてきた天井の穴をこじ開けて抜け出す事を牛山に提案する。一方、性欲で昂った牛山は白石の言葉など耳に入らず、白石が縛られていた拘束台をハンマー代わりに持ち上げ、鍵の掛かった出入り口の扉を叩き付けていた。その牛山の様子に見切りを付けた白石は自分だけ天井の抜け穴から逃げていった。その後、牛山は無理矢理扉をこじ開ける事に成功し、牛山も地下室から脱出した。

家永は眠るアシリパの目玉を舐めようとしていた所を杉元に反撃されていた。家永の流し込んだ睡眠ガスは、子供のアシリパを殺さない程度の量だったので大人の杉元には効きが悪かったのである。白を切る家永の元に、脱出した白石がやって来る。そして扉越しに家永が刺青の囚人である事を杉元に伝える。状況が不利になった家永は隠し通路から逃走した。

隠し通路を逃走する家永。そこへ家永を抱こうと興奮して我を忘れた牛山が通路の壁をぶち破って家永の前に立ちはだかる。家永は自分の刺青人皮を狙う杉元の他に牛山からも追われながら逃げる羽目になる。こうして迷路の様な隠し通路が巡らされた札幌世界ホテルを舞台に、家永、牛山、杉元一行の入り乱れた逃走劇が始まる。隠し通路を使い、神出鬼没に逃げ回る家永。壁を破壊しながら家永を追いかける牛山。家永の刺青人皮を狙い、家永を追いかける杉元。そこへホテルから逃げ出そうとしながら家永に手榴弾を投げつける白石も加わり、事態は混乱していく。そして家永は牛山に追われながら、杉元と鉢合わせしてしまう。逃げ道を失った家永は杉元に牛山も刺青の囚人である旨を、逃げながら伝える。それを聞いた杉元は突進してくる牛山と組み合う。が、その余りの勢いに杉元は組み合ったまま壁に叩きつけられる。それでも牛山の突進の勢いは収まらず、杉元は壁をぶち破って牛山と共に客室に乱入する。そこで杉元は牛山の勢いを利用して牛山を一本背負いをする。杉元に投げられ、宙を舞う牛山。そのまま地面に叩きつけられるかと思いきや、牛山は壁を蹴って体勢を立て直す。牛山の巨体と強力な蹴りに耐えられなかった壁は崩れ去る。牛山は杉元を抱え込み、共に壁の向こうの隠し通路に雪崩れ込む。一方、家永はホテルの自爆装置を作動させていた。これによりホテル中の隠し扉や仕掛けが誤作動を始める。

杉元は牛山に腕ひしぎ十字固めを決めていた。が、牛山は関節技を決められても物ともせず、杉元ごと持ち上げ、杉元を天井や床を破壊する程強力に叩き付ける。丁度、杉元を叩き付けた床は地下へと続く落とし穴の蓋だったため、蓋が壊れて杉元は地下に落ちていった。杉元と決着がつかなかった牛山は少し悔しそうであった。

杉元と戦った事で牛山の酔いと性的興奮は収まっていた。そんな牛山の所へ家永に手榴弾を投げながら逃げていた白石がぶつかってくる。白石は牛山にぶつかって吹き飛ばされ、持っていた手榴弾が大量に詰まった袋を落とす。落ち着きを取り戻した牛山は白石がこのホテルにある事を始めて知り、疑問を抱く。その様子に牛山が正気を取り戻した事を察した白石。白石の口から、白石は牛山に辺見一雄の刺青人皮の写しを明日渡す予定であった事が明かされる。この事から、牛山は白石がこのホテルに宿泊に来ていた事を知る。そして牛山は先程戦っていた相手が、白石の連れの「不死身の杉元」だと理解した。一方、ホテルに火の手が回り始め杉元達はホテルから脱出を計っていた。白石も火の手が周るホテルから脱出しようと慌て始めた時、牛山は土方から預かっていた伝言を伝える。その内容は「常に居場所を伝えろ」という内容であった。土方は白石が自分を出し抜かない様に釘を刺したのである。土方の伝言を聞いた白石。その時、白石は自分が持っていた手榴弾の入った袋が無い事に気付き、慌てる。そして白石は杉元が落ちた落とし穴の淵に袋が引っかかっているのを発見する。落とし穴の底の地下室から燃え上がる火の手が袋を炙り、危うく引火する所であった。白石はすぐさま袋を火の手から遠ざけようと袋に駆け寄る。が、躓いて転んでしまい、弾みで手榴弾が一杯入った袋を燃え盛る落とし穴に落とし入れてしまった。それを見た白石は牛山に、爆発するから逃げるよう叫びながら、血相を変えて逃げ出して行った。手榴弾が一杯入った袋を火の中に投げ込んでしまった事を知らないまま、牛山はホテルから脱出を計る。その途中で牛山は崩れ落ちたホテルの木材の下敷きになって動けなくなっている家永を発見する。牛山が木材をどかし、家永を助け出した時点で手榴弾が一斉に爆発。牛山は家永を庇う形で抱え込み、爆炎に包まれた。ホテルは大爆発し、倒壊してしまった。

杉元一行は全員、ギリギリの所で脱出に成功していた。ホテルは瓦礫の山となり、牛山の生死は分からなくなっていた。アシリパは牛山の死を「チンポ先生」と悲しみながら、その場に落ちていた、牛山の額によく似たハンペンを拾った。杉元は牛山が吹き飛び、刺青人皮が一枚失われてしまった事を考えて、札幌ののっぺら坊に直接金塊の在処を聞かなければならない必要性を感じていた。

爆発を聞きつけて野次馬がホテルに集まり始めていた。軍や警察が来る可能性を考えて杉元一行はその場を離れた。一方、ホテルの瓦礫の中からは煤だらけになった牛山が、家永を抱えながら出てきた。牛山はあれだけの爆発と、崩れ落ちてくるホテルの瓦礫の中から生還したのである。

ホテル爆発の翌日。牛山はススキノの街中で白石から別口で入手した刺青人皮の写しを受け取る。牛山はドジっ子の白石が、油断ならない杉元の目を盗んで刺青の写しを作成した事に疑念を抱いていた。渡された刺青人皮の写しも、偽物ではないかと疑っていた。牛山は刺青人皮を写すという行為にそもそも信用を置いていなかった。それでも牛山は、最終的に杉元を倒して本物の刺青人皮を奪い取ろうと考えていたので、一先ず白石から刺青人皮の写しを受け取ったのである。その牛山の背中は昨日の爆発でスーツが焼けて背中のシャツが丸出しになっていた。

牛山は白石を屋内へ招き入れる。そこで白石は死んだと思っていた、ベッドに横たわる家永の姿に驚く。牛山は部屋を一時的に借りて家永の手当てをしていた。白石は牛山が家永に惚れて命を助けたと誤解し、牛山はそれに対して「ふざけるな」と否定した。牛山は「最高の肉体」を追い求めた家永に武道家の立場で共感し、彼を死なせるのを忍びなく思った為、家永を救ったのである。牛山は家永を助けた事で、刺青の囚人に関する有益な情報を得ていた。牛山は白石にその情報を教える。白石はその情報を杉元達に伝える。杉元達は「札幌世界ホテル」の瓦礫の山を捜索し、牛山と家永の遺体を探していた。しかし、いくら捜しても見つからず生死不明状態であった。そこで杉元達は諦めて網走監獄ののっぺら坊に直接金塊の在処を聞き出す事を検討していた。そこへ白石が日高に刺青の囚人が居る情報を伝え、杉元一行は網走監獄へ向かう道すがら、日高へ向かう事になる。結果的な杉元一行は再び土方の思惑で日高へ刺青の囚人を捜索する形となり、牛山はそのメッセンジャーの役目を果たした。

「札幌世界ホテル」で敵だった家永を助け出し、白石から刺青人皮の写しを受け取った牛山は永倉が提供したアジトに帰っていった。そして先の戦いで負傷した家永の介護を行いながら金塊争奪戦の現状を土方、永倉、尾形とともに確認していた。その会話の中で、土方はのっぺら坊がアイヌになりすました極東ロシアのパルチザンである推測を話す。パルチザンとは内戦や革命でゲリラ的な非正規の軍事活動する民兵組織のことである。ロシアでは帝政ロシアと共産党とパルチザンの3つの勢力が殺し合いをしていた。のっぺら坊はパルチザンの一員であり、極東ロシア独立戦争のための軍資金としてアイヌの金塊を奪ったと土方は語る。そしてのっぺら坊は、金塊を樺太経由で持ち出そうとして失敗し、網走監獄に幽閉されたのが金塊争奪戦の発端であったと考えていた。牛山はその話を聞いてあることに思い至る。それは韓国の外にいるのっぺら坊の仲間もアイヌになりすましたパルチザンである可能性が高いと言うことである。この会話により、金塊争奪戦の対抗勢力の一つである杉本一行に新しく加入したキロランケがアイヌになりすましたパルチザンである可能性が示される。キロランケは、杉本一行が道中出会ったアイヌで、アシリパの父の親友、つまりのっぺら坊の親友の男のことである。

夕張にて、鶴見率いる第7師団はある青年と出会う。その男の名前は江戸貝弥作。「江戸貝剥製所」を営む剥製職人である。一見すると大人しそうな青年の江戸貝であるが、その本性は夜な夜な墓を掘り返し、埋まっていた死体を持ち帰って、人間の剥製や人間の皮を使用した服や装飾品、楽器を作る異常者である。

鶴見は江戸貝に取り入り、偽の刺青人皮作成するよう依頼する。そして鶴見は腹心の月島と部下の前山の2人を残し、第七師団を率いて小樽に戻っていった。試行錯誤の末、江戸貝は偽の刺青人皮を6枚作成することに成功する。しかしその時、かつて第七師団を裏切り、土方一派に寝返った尾形が江戸貝を襲撃した。尾形は第七師団が出入りしていた剥製所に目をつけていたのである。時を同じくして杉元と白石も夕張を訪れていた。

紆余曲折を経て、江戸貝と月島、杉本白石、尾形はそれぞれトロッコに乗り偽物の刺青人皮争奪戦が勃発する。最終的に炭鉱内で発生したガス爆発に一同は巻き込まれてしまう。炭鉱は崩落し、江戸貝は足を挟まれて動けなくなってしまう。月島は助け出そうとするが、江戸貝はこれを断り死を覚悟した。そして持っていた偽の刺青人皮6枚を月島に託し、本物との見分け方を月島に教える。月島は偽の刺青人皮を受け取り、その場を後にした。

杉元と白石はガス爆発に巻き込まれて、トロッコから放り出されたものの、生きていた。しかし、炭鉱の入り口が封鎖されてしまった。これは当時、炭鉱で火災や爆発があった際の消火方法である。炭鉱を入口ごと封鎖し、酸素を遮断する事で鎮火させた。その際中に人が残っていようと、問答無用で入口を封鎖してしまう。その為、杉元と白石は逃げ遅れて炭鉱の中に閉じ込められてしまった。閉鎖された炭鉱内には噴き出した天然ガスが立ち込めて行き、逃げ遅れた炭坑夫の命を次々と奪っていく。杉元と白石もガスを吸い込んでまともに歩けなくなってしまう。白石は気を失い、杉元も白石を引きずりながら、自らも這いつくばって移動している状況であった。同じく取り残された江戸貝はガスを吸い込んで絶命していた。一方、尾形も爆発に巻き込まれてトロッコから放り出されていた。それでも軽傷で済み、ガスを少し吸い込みながらも自力で脱出した。これは少し遅れて炭鉱に入った分、入り口に近かった為炭鉱から脱出する事が出来たのである。月島もガスを吸い込み、気を失いかけながらも脱出。そのまま小樽に行き、鶴見に偽の刺青人皮6枚を届けた。

炭鉱に取り残された杉元と白石は、何とか封鎖された出口まで辿り着く。出口は木の板と粘土でバリケードが作られ、密封されていた。意識を失いかけながらも、杉元は銃床で何とかバリケードの一部を壊し、気を失った白石に呼吸をさせる。が、壊したバリケードの穴は人一人が空気を吸えるだけの大きさしか無く、杉元は新鮮な空気が吸えず、死を覚悟した。その時、外からバリケードをぶち破って牛山が突入してきた。牛山は動けない杉元と白石を担ぎ上げ、炭鉱から脱出し、二人を助け出した。実は尾形は牛山と共に夕張を訪れていた。しかし尾形が独断で行動した為、置いていかれた牛山は尾形を探していた。丁度その時、牛山はトロッコに乗って炭鉱に入っていく杉元と白石を見つけたのである。

炭鉱から杉元と白石を助け出した牛山。一行を出迎えたのは、「札幌世界ホテル」で拾った干からびたハンペンを持ったアシリパであった。丁度、そこへ尾形も合流し杉元一行は牛山と尾形と行動する事になる。

尾形は牛山と杉元一行を剥製所へ連れて行く。そして鶴見が6枚の偽物の刺青人皮を作らせていた事実を伝える。更に刺青人皮を作った江戸貝は既に死亡し、共にいた月島は炭鉱を脱出して鶴見に偽の刺青人皮6枚を渡している可能性がある事を話す。流石の牛山も「気色悪い」と嫌悪感を露わにしていた。そこへ土方が一行の前に姿を表す。牛山は事前に土方を剥製所に呼び寄せていたのだ。更にそこへ永倉と家永も加わる。家永は牛山に救われた事で改心し、牛山を慕って土方一派に加入していた。一方、杉元一行の一人であるキロランケもここで合流する。

金塊争奪戦のライバルである土方一派と杉元一行は剥製所にて対峙した。一触即発の緊迫した状況の中、永倉は杉元の持つ刺青人皮を金で買い取る事を提案する。杉元はこの提案に答えず、のっぺら坊に会いに行って確かめたい事がある旨を話す。唐突な杉元の発言に牛山は困惑していた。その時、奥から家永が顔を出し、何か食べるものを作ろうかと提案する。土方一派、杉元一行は一先ず「最後の晩餐」よろしく食卓を囲んで「なんこ鍋」を食べる事になる。なんこ鍋とは夕張を含む空知地方の郷土料理で馬の腸を味噌で煮込んだ食べ物である。

同じ食卓を囲む土方一派と杉元一行。一見すると和やかだが、両者の間には緊張感が漂っていた。そんな雰囲気の中、牛山は黙々と食事をしていた。そうしている間に、話題は偽の刺青人皮の判別方法をどうやって明らかにするのか、になる。現状、土方一派と杉元一行は第七師団の月島の生死を把握していなかった為、炭鉱をまた調べて月島の遺体を探してみる事になる。月島が死んでいれば偽の刺青人皮は鶴見の元へ渡らず、一件落着するからだ。だが、月島の遺体が無かった場合、一同は偽の刺青人皮の判別方法を絶対に探さなくてはならなくなる。その場合に備えた判別方法の足掛かりとして、家永は熊岸長庵(くまぎし ちょうあん)に会うことを提案する。熊岸とは、偽札製造の罪で月形の樺戸監獄に投獄されている囚人の事である。美術家でもあり、偽札だけで無く美術品の贋作も作っていた。樺戸監獄の脱獄経験のある白石の知り合いでもある。贋作の専門家である熊岸ならば、偽の刺青人皮も見抜けるのではないか、というのである。

翌日、月島の遺体捜索が始まった。剥製所には土方、尾形、家永が残り、偽の刺青人皮の判別方法を探る事になる。杉元、牛山、アシリパは炭鉱内を探索する事になる。そして永倉、白石、キロランケは別の場所を捜索する事になった。結果は月島の遺体が見つからなかった。

土方、尾形、家永は剥製所内を捜索し、月島が生きていた場合に備えて判別方法の手掛かりを探す。その時、外から火炎瓶が投げ込まれ、剥製所内に火の手が上る。これを発見した尾形は外に出ようとする家永を止める。尾形は窓を覗き、外に軍人が数名、剥製所を取り囲んでいる事を確認していた。外に出れば狙撃されてしまう状況であったのだ。土方も状況から、第七師団が偽の刺青人皮の判別方法を隠滅すべく、剥製所を襲撃している事を察知。愛用のウィンチェスター銃に弾丸を装填して戦闘態勢に入る。一同は第七師団が剥製所を襲撃した事から、月島が生きて炭鉱を脱出した事を悟る。そして一同は第七師団を撃退しつつ、剥製所から脱出する事になる。しかし、剥製所は窓に鉄格子がしてあり、出入り口は玄関しかない。そこで尾形は第七師団を玄関に誘き寄せて排除して脱出する事を画策する。

尾形は狙撃のしやすい二階の窓から、外の第七師団の軍人数名に発砲する。第七師団は堪らずに尾形の死角になる正面玄関前に集まる。玄関の内側では、土方がウィンチェスター銃を構えていた。土方は玄関のドア越しに銃を発砲。第七師団に損害を与える。正面玄関前から抜け出そうと第七師団はひさしから抜け出す。が、そこを尾形が二階から狙撃する。下から土方が発砲し、上から尾形が狙撃し、第七師団は挟み撃ちに合う。土方一派が優勢に思えたが、ここで第七師団の増援がやってきて形成が逆転する。第七師団は剥製所に突入し、土方一派に襲い掛かる。これに尾形、土方は白兵戦で応戦し、死闘を繰り広げた。

剥製所内の家永は煙に巻かれて窓際に追い詰められていた。窓は鉄格子で閉鎖されており、抜け出せない。家永が絶対絶命のピンチに陥ったその時、牛山が外から窓の鉄格子を素手でもぎ取った。炭鉱の探索を終え、杉元、アシリパと共に牛山は戻ってきたのである。牛山は窓際に立つ家永を抱き上げて救出した。入れ違いに、杉元が歩兵銃を構えて中に突入する。尾形、土方、杉元は第七師団との死闘の末、撃退。牛山、家永、アシリパと共に燃え盛る剥製所から脱出した。この時牛山はアシリパをおんぶしながら逃げていた。

第七師団の襲撃により、剥製所から脱出した一同は、大勢で逃げると目立つので、二手に分かれて月形へ逃げる事になった。前述した通り、月形の樺戸監獄に幽閉されている贋作師の熊岸に会って刺青人皮の判別方法を探る為である。土方と家永は、外出していた永倉と合流してから月形へ向かう事になる。そして杉元、牛山、尾形、アシリパは一足先に月形へ向かう事になった。

杉元達と樺戸監獄を目指す

土方、家永と別れて月形を目指す牛山、杉元、アシリパ、尾形。一行は人目を避ける為、森の中を移動していた。第七師団は一行が接触した人々から証言を得て、それを基に捜索を行う為である。

北海道の春の森は緑が溢れ、川には綺麗な水が流れていた。そんな中、一行はヤマシギを見つける。ヤマシギは曲がった嘴で地面の虫を掘り返して食べる独特な鳥である。アシリパ曰く、脳味噌が美味いらしい。尾形は徐に歩兵銃で狙撃しようとする。が、それをアシリパに止められる。ヤマシギは蛇行して飛ぶ為、狙撃で仕留めるのは難しいのである。そこでアシリパはヤマシギの特性を利用した括り罠を仕掛けた。

翌日、罠には2羽のヤマシギが掛かっていた。が、これだけでは量が足りない。アシリパは自分の罠でヤマシギが思うように取れなかった事に不満気であった。不機嫌になりながらも羽を毟るアシリパ。アシリパは杉元にも羽を毟るように指示した。その横には柔道の鍛錬後なのか、柔道着姿の牛山が座っていた。そこへ尾形が狙撃で仕留めたヤマギシを3羽持ってきた。牛山は散弾銃を使わずに歩兵銃でヤマギシを3羽も仕留めた事に驚いていた。牛山曰く、今朝方尾形は急に居なくなっていたとの事。尾形は昨日、アシリパに銃で仕留めるのは無理だと言われた事にムキになり、朝に抜け出して歩兵銃でヤマギシ狩りをしていたのである。尾形はドヤ顔を見せ、牛山に「腹立つなコイツ」と言われていた。

一行はヤマギシを捌く事になる。アシリパは牛山にヤマギシの頭蓋骨をスプーンのようにしてヤマギシの脳味噌を差し出してきた。その横で杉元がヤマギシの脳味噌を目をキラキラさせながら食べていた。アシリパは獲物の脳味噌が好きで、よく杉元に食べさせるのである。アシリパは牛山を「チンポ先生」と呼び、目をウルウルさせながらヤマギシの脳味噌を差し出していた。アシリパなりの敬意の示し方に、断り辛い牛山は「食っていいものなのかい?それ…」と冷や汗を掻いていた。これに対しアシリパは杉元に「杉元ぉ?ヒンナ(アイヌ語で美味しいの意)だよな?」と聞く。杉元は「ヒンナヒンナ!!(美味しいの意)」と目を輝かせながら答えていた。物語初期から杉元はアシリパに獲物の脳味噌を食べさせられていた。当初はかなり嫌がっていたものの、今やすっかり洗脳されていた。牛山は迷った挙句、脳味噌を食べた。一方、尾形もアシリパに脳味噌を勧められたが、普通に断り、杉元と牛山に衝撃を与えていた。

次に一同はヤマシギを内蔵ごとチタタプする事になる。チタタプとは二本の刃物を両手に、「チタタプ」と言いながら肉を細かく切り刻んでいくアイヌ流の調理作業の事である。一人でやるのでは無く、みんなで代わる代わる行うのが特徴である。牛山はアシリパの指示に従い、「チタタプ」と言いながら肉を刻んだ。

一通りの作業を終え、一同はヤマシギの肉団子と山菜を煮込んだ「ヤマシギのオハウ(アイヌ語で鍋の意)」に舌鼓を打っていた。牛山もそのあまりの美味しさに感動していた。食事の最中の会話の中で、アシリパはヤマシギとクマゲラのカムイの昔話を始める。要約すると、ヤマギシとクマゲラが擬人化したカムイ(神様)が、花びらを「好き嫌い好き嫌い…」と1枚ずつとりながら行う「花占い」を山菜の葉っぱで行い、占いをしていると好きな人が目の前に居て手を取って一緒に出掛けていく。という乙女チックな昔話である。この可愛らしい話に胸をときめかせた杉元は「なんてカワイイお話し」と、何故か牛山と見つめ合っていた。

贋作師熊岸を探して月形の樺戸監獄を目指す牛山と杉元一行。一方、別行動を取っていた白石達は一足先に樺戸監獄に辿り着き、熊岸が死んでいると伝えられた。牛山達はまだその事を知らない。道中、一同はアイヌの集落に立ち寄る事になる。実はその集落は刺青の囚人の一人である鈴川聖弘(すずかわ きよひろ)が偽アイヌに成りすまし、旅人を殺してしまうという恐ろしい場所であった。鈴川は人を騙す事が得意な詐欺師である。この能力を利用し、樺戸監獄の典獄を騙して鈴川は樺戸監獄の囚人達を脱獄させて手下にしていた。鈴川達はアイヌ集落を襲撃し、アイヌの男を殺した。そして女子供だけを生かして偽アイヌに成りすましたのである。牛山達一同は当初騙されて歓待を受けるが、最終的に鈴川達の正体を見破り鈴川を生捕りにし、手下の樺戸監獄の囚人達を返り討ちにした。牛山はこの時、ヒグマと組み合って投げ技で勝利するという伝説を打ち立てた。また、熊岸も実は生きており、鈴川達に脅されて偽アイヌに成りすまして偽札を作っていたが、牛山達の戦いの最中、囚人の放った毒矢に当たって死んでしまった。

偽アイヌを倒した牛山と杉元達。一同はアイヌの女性達から歓待を受ける事になる。オオウバユリを使った料理に牛山達は舌鼓を打った。

食事を済ませた後、一同は捕らえた鈴川の処遇について話し合う事になる。殺して皮を剥ぎ取ろうという案も出たが、鈴川が他の刺青の囚人の情報を知っているというので、一先ず鈴川を連れて土方達と合流する事になる。一同が村を去ろうとした時、アイヌの女性達が呼び止める。アシリパの通訳によると、鈴川達偽アイヌに村の男達が殺されてしまった為、村にずっと居てほしいと言っていた。特にヒグマに勝った牛山が人気でアイヌの女性達は皆口々に「チンポ先生」と言っていた。が、先を急ぐ一同は村を後にする。牛山は村に残りたがっていたが、鈴川と杉元に両脇を抱えられ、引き摺られながら村を後にする。余程名残惜しいのか、「子種だけ置いていけないだろうか」と言っていた。

牛山と杉元達は樺戸監獄から一番近い旅館で土方達と合流する。鈴川と永倉の背丈とハゲ具合が似ている為、牛山は少し混乱していた。永倉は白石が第七師団に捕まった事を牛山達に報告する。

一同は白石を救出する為に手を尽くすが失敗してしまう。白石を追う内に一同は第七師団の拠点がある旭川から25キロ手前の深山村にまで来てしまう。そこで白石をどうやって助け出すかを話し合っていた。牛山は元第七師団の尾形に様子を見て来るように言うが、尾形は脱走兵扱いになっている為、断られていた。一同は白石の救出について考えるが、牛山達は白石の救出を諦めた。しかし杉元だけは助け出そうとしていた為、白石の救出作戦が続行されることになる。そこで出された案が詐欺師の鈴川を使う事であった。

白石の救出作戦に選ばれた鈴川。彼は一同の隙をついて逃げ出し、アイヌの小屋に逃げ込む。が、そこに居たのは先回りしていたキロランケであった。キロランケは鈴川の足にタバコの火種を落とす。火傷をした鈴川は桶に入った水をかけようとするが、背後から隠れていた杉元に銃剣で尻を軽く刺される。堪らず外に逃げ出した鈴川は入口に立っていた土方に足を引っ掛けられて転倒。そこに屋根の上から牛山が降ってきて鈴川を下敷きにした。猿蟹合戦のような連携プレイで一同は鈴川を捕まえた。

鈴川が二度と逃げないように一同は釘を刺す。その中でアシリパはストゥを持ち出して鈴川を脅す。これは悪い事をした者を叩くというアイヌの制裁棒である。アシリパの故郷のストゥと比べると旭川近くのアイヌコタンのストゥはかなり大きな物を使用していた。アシリパ曰く、地方によって大きさが異なるとの事。牛山とキロランケはそれぞれ巨大なストゥを持ち、互いのストゥの大きさを褒めあった。

旭川の第七師団本拠地に杉元、アシリパ、尾形、鈴川が潜入する。白石を救出する事に成功したものの、鈴川は死亡し杉元達は追手を撒く為大雪山に逃げ込む。これにより、牛山達土方一派と杉元達は別行動を取る事になる。

牛山、土方、家永、永倉は駅屯所に滞在していた。ここは旅館、運輸、郵便等を担っていた施設である。そこに土方の部下である夏太郎(かんたろう)が戻る。夏太郎は別行動で刺青人皮を第七師団との死闘の末、入手していた。が、夏太郎は第七師団に泳がされていたようで後を第七師団の兵士に尾けられていた。土方はいち早くその事に気付き、物陰に隠れていた兵士に発砲する。銃弾は外れたものの、これに焦った兵士は逃走を試みる。そこを牛山が捕まえて家の中に放り投げた。兵士は窓をぶち破り、床に叩きつけられる。それでも尚、兵士は室内に居た土方達に襲い掛かろうとするが土方に銃でトドメを刺された。

夏太郎が泳がされていた事が明らかになり、夏太郎が持ち帰った刺青は偽物である可能性が高くなる。牛山は夏太郎を探すが、何処にもいない。牛山は捜索を続け、厩舎の前で夏太郎が着ていたハッピを見つける。牛山が厩舎に入ると家永が裸の夏太郎を縛り上げて解体しようとしていた。家永は夏太郎の若い肌が気に入り、解体して食そうとしていたのである。牛山は溜息を吐きながら家永を止めた。

屈斜路湖周辺に潜伏している盲目の刺青の囚人都丹庵士(とに あんじ)の情報を聞きつけて牛山と土方達は現地を訪れる。現地で唯一営業している「待合旅館」へ向かった所、そこでは杉元達と都丹が交戦していた。土方はその間に割って入り止める。そのまま杉元達と牛山達は合流し、都丹も仲間に加わった。一同はのっぺら坊の正体を明らかにする為、網走監獄を目指す事になる。

牛山達は北見の写真館に立ち寄る。一同には途中でマタギの谷垣源次郎(たにがき げんじろう)とインカラマッとアイヌの子供のチカパシが加わっていた。谷垣は杉元達と以前戦ったものの、後にアシリパやアシリパの祖母達アイヌに命を救われ、杉元達の仲間になる。インカラマッはアイヌの女性で旅をしながら占い師をしており、アシリパの父のウィルクと幼少時に知り合っていた。杉元達とも以前会っている。また、谷垣と恋仲の一歩手前のような関係になっている。チカパシは谷垣とインカラマッが途中で立ち寄ったアイヌコタンに居たアイヌの孤児である。谷垣達に尾いてきて旅をしている。

インカラマッは杉元達と合流した際にキロランケがウィルクを殺したと言う。証拠はウィルク達アイヌが殺され、金塊が奪われた場所に置いてあった凶器からキロランケの指紋が出た事である。しかし、この凶器を回収して調べたのは第七師団の鶴見であった。これにより、インカラマッは第七師団と内通していた事が露見する。杉元は裏切り者を許さない。杉元は裏切りの疑いのあるキロランケとインカラマッの二人の写真を撮り、旅をしながら聞いて回る事で二人の素性を明らかにしようと考えていたのである。牛山達もついでに写真を撮影した。何故か牛山は旭川アイヌコタンの特大ストゥを持ち、家永と写真を撮っていた。

網走監獄に潜入

遂に網走監獄に辿り着いた牛山達。そこで一同は網走監獄内に通ずる穴を掘る事になる。苦心の末、穴を開通させたものの、その先に居たのは網走監獄看取長の門倉利運(かどくら としみち)であった。一同は網走監獄内の門倉の宿舎に向かって穴を掘っていたのである。実は門倉は土方と通じており、協力者であった。こうして門倉が仲間に加わり、一同は再来週の新月の夜に網走監獄に潜入する事になった。

網走監獄内への侵入経路を確保した一同。食卓を囲み、談笑をする。そこで牛山はインカラマッに目を付け、口説こうとしていた。しかし、インカラマッと谷垣が憎からず想い合う関係にある事を察して潔く身を引いた。

新月まで少し猶予ができた為、一同はそれぞれ思い思いに準備をしていた。牛山は、家永が若い夏太郎を捕まえて同物同治のために解体しようとしていたのを見て、家永を叱っていた。

新月の夜が到来し、一同は網走監獄に忍び込む。予定では牛山はキロランケと土方と共に門倉の宿舎に待機する事になっていた。しかし、潜入組の杉元達がいきなり見つかってしまった。すぐさま、杉元達は看守を気絶させたものの、姿を見られてしまった。牛山達待機組は宿舎を慌てて飛び出し、看守の身柄を隠そうとした。牛山は軽々と看守を担ぎ上げていた。その間に杉元達は囚人達のいる監獄に忍び込んでいった。

網走監獄に忍び込んだ一同。そこへ第七師団が乱入し、駆逐艦で網走監獄に向けて砲撃を行った。網走監獄の塀は崩れ落ち、建物の一部が崩れ落ちてしまう。インカラマッと谷垣がその下敷きになりかけたその時、牛山がその瓦礫の下に割って入る。巨大な瓦礫が牛山を圧迫する。それを支えながら牛山はインカラマッと谷垣を逃す。
それを確認した牛山は「お前ら、幸せになるんだぜ…」と言い残し、瓦礫の下に消えた。かに思えたが、「どっこいしょ」と支えていた瓦礫を放り投げて生還した。特に怪我は無く、背広が汚れた程度で済んでいた。

土方は教誨堂にて犬童と一対一の死闘を行い、勝利する。牛山、夏太郎も教誨堂へ行き、土方と合流した。が、そこへ網走監獄を制圧した第七師団が流れ込んでくる。牛山たちは第七師団から逃れるべく、教誨堂の隠し地下室に逃げ込んだ。牛山の他には犬童に襲われ、気絶している都丹と、同じく犬童と戦い負傷した土方、第七師団の宇佐見上等兵の銃撃で負傷した門倉の姿があった。

牛山たちはそのまま地下に潜伏し、第七師団をやり過ごす。地上で家永は第七師団に捕まり、永倉は単身身を眩ませて行方不明となっていた。全ての刺青人皮を持っていた永倉が第七師団に捕まった可能性を考え、牛山たちは網走監獄の地下を脱出したら刺青を1枚でも多く集めることを話し合う。こうすることで第七師団の刺青の暗号解読を少しでも妨害する狙いがあった。

網走監獄の地下を抜け出した牛山たち。永倉とは地上で合流していた。一同の傷は癒え、釧路を訪れていた。釧路ではシシャモ漁の季節であった。牛山はシシャモ漁に従事する女性季節労働者の手伝いをしていた。女性たちが背負っていたシシャモの沢山入った籠を複数個背負いながらナンパをしていた。牛山たちは刺青の囚人の一人である土井新蔵(どい しんぞう)を追って釧路まで来ていた。土井新蔵とは偽名であり、「人斬り用一郎」と呼ばれ、幕末に要人暗殺を行った殺し屋である。土方より年上で、昔の京都の街で親善組時代の土方と会っている。土井は30年ほど前に根室のアイヌコタンに流れ着き、そこでアイヌの女性と結婚した。穏やかな生活を送っていたが、ある日土井に親族を殺された男がやってきて土井の妻をさらってしまう。土井は妻を取り戻すため、その男を殺し網走監獄に収監された。が、獄中で妻の命が短いことを知ると土方達とともに脱獄。そのまま根室で妻を看取る。そして土井は釧路の漁上で働くようになった。かなり耄碌しており、認知症が進んでいる。

土井は暗殺を稼業にしていたため、多くの人間の恨みを買っていた。そして土井の働くシシャモ漁場の宿場に、かつて土井に殺された人々の親族複数人が敵討ちの刺客としてやってくる。刀を抜き、土井を殺そうとする刺客たち。認知症で呆然としていた土井であったが、その刀の光を見て昔の記憶が蘇り、刺客を返り討ちにしてしまう。そこに土方も乱入し、三者が睨み合いとなる。その場に、更なる刺客が乱入し、三つ巴の殺し合いとなる。混乱の最中、牛山が刺客の背後から突進し、次々と刺客を吹き飛ばした。その隙をついて土方が銃で止めを刺し、土井も刺客の刀を拾って、自ら血路を開いて逃げ出した。土井はそのまま釧路の自然を走る。彼は昔の記憶と今現在の区別がつかなくなっており、過去の幻影の中をさまよっていた。

土井は海岸にたどり着く。そこで土井は追ってきた土方と刀を交えて致命傷を負った。土井は自らの過去を振り返り、今は亡き妻の姿を見たのを最後に牛山たちの前で絶命した。

阿寒湖周辺で関谷に狙われる

冬の阿寒湖周辺に滞在した牛山。そこで牛山は女郎を抱く。その際、牛山は女郎から「精力剤」を飲まされた。すると牛山の体は麻痺し、動けなくなってしまう。実はこの女郎は24人の刺青の囚人の1人である関谷輪一郎(せきや わいちろう)に買収されていたのである。牛山が飲まされた精力剤の正体は関谷が調合した少量のフグ毒のテトドロキシンであった。

関谷は毒の専門家で頭が良く、冷酷さと狡猾さを併せ持つ殺人鬼である。その殺人手法は独特で、関谷とターゲットと親しい人物を毒で動けなくしてから誘拐し、生き埋めにして隠す。ここで肝心なのは関谷は無闇に人質を殺さないという点である。関谷は単独で犯行を行う為、生かしたまま棺に閉じ込めて生き埋めにする。そうする事で見張りの人員の必要が無くなり、単独で行動しやすくなるからである。人質を取った状態で関谷はターゲットにあるデスゲームを持ちかける。それは所謂「毒のロシアンルーレット」である。毒物と無毒の丸薬を用意し、関谷とターゲットが互いに丸薬を一つずつ選んで同時に飲み込む。そうする事で相手と自分の命を賭けた運試しを行う事が関谷の目的である。関谷は「この世に神は本当に存在するのか」という命題に思い悩んでおり、神の存在を実証すべく、この様な凶行を行っていた。関谷は金塊を探し出すべく自分の刺青人皮を狙う土方一派を逆にターゲットに定めていた。その手始めの人質として牛山を毒で捕らえたのである。牛山は女好きという弱点を突かれた形になった。

体が麻痺して動けない牛山の身柄を関谷は回収する。そして、阿寒湖周辺にあるアジトの蚕種製造所で牛山にチョウセンアサガオの毒を飲ませて意識混濁状態にし、棺に入れて製造所の一角に生き埋めにした。その上で関谷は牛山を人質にし、土方を氷の張った阿寒湖上に呼び出して毒のロシアンルーレットを持ちかけた。土方はこれに応じ、その結果毒を飲んでしまい関谷に生捕りにされる。土方も牛山同様生き埋めにされてしまう。一方、牛山は関谷の予想を超え、意識混濁状態で覚醒。常人では抜け出せない深さの穴から自力で脱出した。そのままゾンビのように白目を向いたまま蚕種製造所からフラフラと抜け出して行った。牛山はそのまま彷徨い歩き、小動物の様に凍えていた所を近くの子供のチヨタロウに拾われる。牛山が呟いていた「オベンチョ」という単語から名前をオベンチョにされ、ペットのように扱われる事になる。干し桃で手懐けられた牛山はチヨタロウにフィギュアスケートをさせられたり、肩車をさせられたりしていた。が、牛山がいじめっ子達に怪我を負わせてしまった事からチヨタロウは牛山を危険な存在と判断し、阿寒湖の下に葬り去ることを決断。チヨタロウは干し桃で牛山を誘導し、阿寒湖に空いた氷穴の中に牛山を突き落とす事に成功する。チヨタロウはそのまま泣きながら氷上を滑走して立ち去った。真冬の阿寒湖に突き落とされた牛山はそのまま氷の下を移動し、他の場所に空いた氷穴から頭を突き出す。丁度、そこへゲロリという現在のスケートシューズを履いた関谷が滑走してきた。氷上では門倉と関谷が駆け引きを行い、交渉が決裂した関谷がゲロリで逃げている最中であったのだ。関谷は牛山の姿に驚き、方向を急転換して逃げ出してしまう。牛山の意識もそこで完全に覚醒し、門倉に助け出された。が、関谷には逃げられてしまった。実は門倉とキラウシは協力し、関谷が当初逃げようとしていた方向でキラウシが待ち伏せを行っていた。それが牛山の登場で焦った関谷が方向転換をしてしまった為、失敗に終わってしまったのである。関谷の手掛かりを完全に無くしたかに思えたが、牛山の背広から蚕が出てきた事により状況は一変する。キラウシの推理により、蚕種製造所が関谷のアジトだと特定された。阿寒湖周辺の蚕種製造所は全部で二つ。だが、その方角はそれぞれ対岸にあった。そこで一同は二手に分かれる事になる。牛山とキラウシがペアとなり、門倉は一人でそれぞれの製造所を調査する事になった。結局、門倉の方が関谷のアジトで、門倉は関谷に毒を飲まされ倒れてしまう。関谷はそのまま土方の身柄を移動させようと穴を掘り返し、棺を開けたその時、毒から目覚めていた土方に反撃される。関谷は致命傷を負い、死亡した。

関谷の毒で一度は倒れた土方。だが、倒れた際に関谷が用意した他の丸薬を飲み込んでいた。その飲み込んだ毒がトリカブト毒である。土方はその前にテトロドトキシン(フグ毒)を飲んで倒れていた。実はこの二つの毒は真逆の作用を持ち、同時に服用すると互いの毒の効果を打ち消し合い、解毒薬の効果を発揮するのである。土方は関谷の用意した数ある毒の中から奇跡的にこの毒を選び出したのだった。関谷はこの奇跡を、自身が望んでいた「神の実在の証拠」だとして歓喜に震えながら息を引き取る。門倉も同じ原理でテトロドトキシンとトリカブト毒を服用し、奇跡的に生還していた。

釧路で土井の刺青人皮を入手した牛山たち。一同は永倉の用意したアジトへ帰っていた。そこに網走監獄の混乱の中で別れた尾形が戻ってくる。尾形は網走監獄でキロランケと通じ、杉元を裏切っていた。杉元の脳天を狙撃し、のっぺらぼうも撃ち殺してしまう。しかし第七師団に捕らわれていた家永の高度な医療技術と谷垣の必死の援護、杉元自身の驚異的な生命力で杉元は助かり、第七師団と手を組むことになる。第七師団は暗号の鍵を握るアシリパの身柄を確保する狙いがあり、杉元もアシリパを奪い返す為に第七師団と手を組むことを決断した。杉元の持っていた刺青人皮は全て第七師団に奪われてしまった。

その後、尾形は何も知らないアシリパと共に行動していたが樺太でアシリパに勘付かれてしまう。アシリパを殺そうとした所で生還して追いかけて来た杉元、第七師団と戦うことになった。その戦いの最中、偶然、アシリパの毒矢を右目に受けて尾形は死にかけてしまう。が、アシリパに人殺しをさせたくない杉元は必死で尾形を助けた。尾形は右目を失ったものの、生還した。尾形は杉元たちの隙をついて逃げ出し、牛山たちのいるアジトに戻ってきたのである。尾形は杉元やのっぺら坊を殺したこと秘密にし、あくまでも土方や杉元達の味方であると言う立場で牛山と接した。

尾形は牛山と土方たちの前で樺太で得た情報を2つ話す。一つ目はソフィア・ゴールデンハンドのこと。彼女はウィルクとキロランケの昔の仲間であり、パルチザンの女首領である。金塊を狙い、アシリパを奪おうとする新しい勢力であった。もう一つはアシリパが暗号解読の鍵を思い出したということである。牛山は土方達と共にその情報を聞いていた。

札幌にてジャック・ザ・リッパーを追う

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二階堂浩平(ゴールデンカムイ)とは【徹底解説・考察まとめ】

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二階堂浩平(にかいどう こうへい)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、アイヌの隠し金塊争奪戦に参加している大日本帝国陸軍第七師団の兵士である。双子の兄弟の二階堂洋平を返り討ちにした杉元佐一に激しい殺意を抱くようになり、復讐を果たさんとたびたび死闘を演じた。戦いを経る毎に両耳や手足を失って行き、治療の際に使用したモルヒネによって薬物中毒者と化し、その副作用で子供のような性格の異常者となった。最終的に武器の仕込まれた義手や義足を装備し、心も体も壊れていきながら金塊争奪戦の最前線で戦い続けた。

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津山睦雄(ゴールデンカムイ)とは【徹底解説・考察まとめ】

津山睦雄(ゴールデンカムイ)とは【徹底解説・考察まとめ】

津山睦雄(つやま むつお)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する刺青の囚人のうちの一人で、「三十三人殺し」と呼ばれている。本編には登場せず、第七師団の鶴見中尉が刺青人皮を持っている。津山から剥いだ刺青人皮をベストのように着こなす鶴見中尉の姿は、多くの読者に衝撃を与えた。「三十三人殺し」という経歴から、モデルは「津山三十人殺し」の都井睦雄(とい むつお)であるという見方が一般的だ。

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土井新蔵(ゴールデンカムイ)とは【徹底解説・考察まとめ】

土井新蔵(ゴールデンカムイ)とは【徹底解説・考察まとめ】

土井新蔵(どい しんぞう)とは野田サトルの漫画作品『ゴールデンカムイ』の登場人物である。埋蔵されたアイヌの金塊の暗号となっている刺青が体に彫られた24人の囚人の1人である。幕末に土佐藩の勤皇派におり、幕府の要人など何人も殺害した殺し屋であった。その後北海道・根室に流れ着きアイヌの女性と結婚するも、土井に恨みを持つ者が妻を拐った。妻を取り戻すために、妻を拐った人物を殺め、釧路の海岸で捉えられ囚人となった。妻が病で先が短いことを知り網走監獄を脱獄した。最期を看取った後は根室の漁場で働いている。

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キラウシ(ゴールデンカムイ)とは【徹底解説・考察まとめ】

キラウシ(ゴールデンカムイ)とは【徹底解説・考察まとめ】

キラウシとは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、土方歳三に道案内に雇われたアイヌの男性。コタン(アイヌの村)の周辺を蝗害に襲われて食糧難になったため、出稼ぎに出ていたところを土方たちに出会った。網走監獄で看守部長をしていた門倉利運(かどくら としゆき)と仲が良く、ふたりで行動することが多い。取り立てて強いわけではないが、五稜郭での最後の戦いではアイヌの土地の権利書を守るため勇敢に戦った。

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