英雄伝説 空の軌跡FC(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『英雄伝説 空の軌跡FC』は、2004年に日本ファルコムから発売されたPC用RPGゲームである。『空の軌跡』シリーズの第1作目として発売された今作は、その人気の高さからPSPやPS3へ移植され、2015年にはVita用ソフトとしてフルボイス化やキャラクタービジュアルなどを一新した『空の軌跡FC Revolution』が発売されている。主人公のエステルとヨシュアが、父の失踪をきっかけに見習い遊撃士として旅立ち、仲間たちとの出会いや事件に遭遇しながら成長していく姿を描いている。

『英雄伝説 空の軌跡FC』の概要

『英雄伝説 空の軌跡FC』は、日本ファルコムが開発し2004年にPC用のRPGゲームとして発売された作品。『英雄伝説』シリーズは第1作目の『イセルハーサ』シリーズ、第2作目の『ガガーブトリロジー』シリーズに続く第3作目となるが、前作と今作に直接的な関わりはない。『空の軌跡』は『軌跡』シリーズの第1作目として、3大陸の中のひとつ、リベール王国を描いた物語となり、『空の軌跡FC』『空の軌跡SC』『空の軌跡3rd』の3部作として描かれている。『空の軌跡FC』『空の軌跡SC』の2作品にわたってエステルとヨシュアが主人公を務める。

2004年にWindows版を発売し、その人気を受けてPSP版とPS3に移植、2015年には会話のフルボイス化やキャラクタービジュアルなどが一新され『空の軌跡FC Revolution』として発売された。
日本ファルコムは元々PCゲーム販売を中心としていたが、『英雄伝説』として初めてコンシューマーゲーム機に移植されている作品でもあり、『空の軌跡』以降も『零の軌跡』『碧の軌跡』『閃の軌跡』へと続いている。2021年に軌跡シリーズ最新作の『黎の軌跡』が発売されている。

本作の特徴は、壮大で重厚なストーリーと、それを盛り上げる音楽、個性が光るキャラクターたち。主人公がいなくなった家族を探して旅に出るという王道なストーリーではあるが、小さな事件から大きな事件への真相へとつながりやがて一本の線につながるという自然なストーリー構成となっている。『空の軌跡FC』を代表する曲『星の在り処』を始めとする音楽も、ユーザーからの人気を多く集めている。『空の軌跡FC』はファーストチャプターの名の通り、次の『空の軌跡SC(セカンドチャプター)』に続くための物語でもあるので、エンディングはたくさんの謎を残して終わっている。それでも名場面ともなるエンディングシーンでは、ヨシュアとエステルの別れのシーンに多くのユーザーの涙を誘った。
ストーリーを進めていく上ではほぼほぼ一本道で寄り道をする場所も少ない。やり込み要素としてはこなしたクエストや食べたレシピ、戦った魔獣などを書き込む遊撃士手帳というものがある。

『英雄伝説 空の軌跡FC』のあらすじ・ストーリー

舞台となるリベール王国

『空の軌跡』の舞台となるのは、ゼムリア大陸西部にあるリベール王国。北のエレボニア帝国と東のカルバード共和国という大国に挟まれる形で位置する小国である。国力は周辺諸国に及ばないものの、恵まれた七耀石資源や技術により、諸外国とも対等に渡り合い、独立を保っている。リベール王国を統治しているのは第26代国王のアリシア・フォン・アウスレーゼ(アリシアII世)。

50年前にエプスタイン博士が古代遺物(アーティファクト)から導力器(オーブメント)を発明したことで起こった導力革命によって、飛行船や照明、通信などのエネルギー資源として利用され、人々の生活に豊かさをもたらしていった。導力器の元となる導力は七耀石(セプチウム)という物質で、消費しても自然に再生産されるという特質を持っているため大量生産が可能で様々なエネルギーとして利用することができる。この世界に存在する魔法も導力魔法(と呼ばれるもの)で、戦術オーブメントで発動させて使う仕組みとなっている。
エプスタイン博士の弟子のラッセル博士がエプスタイン博士の研究を引き継ぎ、リベール王国にオーブメント技術をもたらしたことで、リベール王国はオーブメント開発の最先端の国として発展した。リベールの豊かな資源や優秀な技術者のおかげで、エレボニア帝国やカルバード共和国とも対等な関係を築くことができている。

百日戦役

本編より10年前の七耀歴1192年に起こったエレボニア帝国によるリベール王国侵略戦争。
エレボニア帝国南端のハーメル村で発生した村民虐殺事件で、犯行にリベール王国製の銃が使われていたことがきっかけとなり、エレボニア帝国がリベール王国に宣戦布告して戦争が始まる。
王都グランセルを除く全領土を占領されたが、当時王国軍の大佐だったカシウス・ブライトによる作戦によって帝国軍を分断し、孤立させた。
その後、両国との間で講和条約が結ばれ戦争は終結。開戦から終戦までの期間がおよそ100日間であったことから「百日戦役」と呼ばれ、その爪痕は各地に残っている。
なお、百日戦役の際、主人公エステルをかばったことにより母レナが亡くなり、エステルが平和と安全を守るために設立された民間団体「遊撃士協会」(ギルド)に属する職業・遊撃士を志すきっかけともなった。

序章 父、旅立つ

ある日、11歳のエステル・ブライトが待つ家に正遊撃士の父カシウス・ブライトが連れて帰ってきたのはヨシュアという少年だった。カシウスもヨシュアも経緯をエステルに話すことはなかったが、カシウスはヨシュアを養子として迎え入れ、エステルとヨシュアも姉弟のように仲良くなっていった。

時は流れ、エステルとヨシュアは16歳を迎えた。二人は遊撃士になるために修行に励む日々を送り、ついに遊撃士になるための試験を受けることになった。地下水路の調査を無事に終えた2人は、先輩遊撃士のシェラザード・ハーヴェイに準遊撃士(見習い)として任命されるが、その直後に街の子どもであるルックとパットが翡翠の塔へ向かっていったという連絡が入った。翡翠の塔は魔物の巣窟。エステルとヨシュアは急きょ翡翠の塔へ向かい、カシウスの援助もありルックとパットの救出に成功した。そんな時父カシウス・ブライトの元にエレボニア帝国の遊撃士協会支部から一通の手紙が届き、調査のため旅立つことになってしまった。しばしの別れを惜しみながらも、2人はカシウスの代理として仕事を引き継ぎ、遊撃士の依頼を受けることになった。

パーゼル農園での魔獣退治を終えたエステルとヨシュアの元に、ロレント市長のクラウスから依頼が入る。依頼内容は、マルガ鉱山で七耀石(セプチウム)の結晶を受け取ってきてほしいというもの。トラブルはあったものの、無事にセプチウムの結晶を受け取った2人はクラウス市長の元へ結晶を届けることができた。

次の依頼は、リベール通信社の記者ナイアルと新人カメラマンのドロシーを翡翠の塔の屋上まで護衛&案内することだった。屋上へ出るとそこには考古学者のアルバ教授が来ていた。具合が悪くなったヨシュアを少し休ませ、アルバ教授に話を聞くと、彼は古代人が空の女神エイドスから授かったとされる至宝のひとつ、「輝く環」(オーリオール)に関する伝承を検証しているとのことだった。

護衛の仕事を終え、遊撃士協会(ギルド)ロレント支部に戻った所に、クラウス市長が慌てて駆け込んでくる。市長の留守中に強盗が入り、市長の大事にしていた結晶が盗まれてしまったということだった。エステルとヨシュアは、先輩シェラザードと共に強盗事件を調査し、市長の家を訪ねてきていたジョゼットが犯人だということを突き止める。実はジョゼットは空賊一味のカプア一家だったのだ。エステルたちはミストヴァルトの森でジョゼット達を追いつめセプチウムの結晶を取り戻すことができたものの、空賊艇が現れて逃げられてしまった。

ギルドに戻り事件の報告をした後にちょうど一本の通信が入る。それはカシウスの乗った王都グランセル行きの飛行船がボース近辺で行方不明になってしまったというものだった。エステルとヨシュア、そしてシェラザードは、飛行船失踪の調査のためにボースに向かうことを決める。
出発前にロレントの時計塔で旅立ちの挨拶と、父を守ってくれるようにお願いするエステル。ここは百日戦役で母レナがエステルをかばい命を落とした場所でもあった。「お母さんが守ってくれたように、私も誰かを守れるようになりたい」と、遊撃士への思いを再確認し、ボースへと出発した。

一章 消えた飛行船客

愛用しているハーモニカを奏でるヨシュア

ボースへと入ったエステルたちは、ボース支部のギルドへ向かいルグランから状況の確認するが、定期船失踪事件を担当するのが遊撃士嫌いで有名なモルガン将軍ということもあり、情報は軍規制でシャットアウトされているということだった。失踪事件について調査するため、ボースの若き女市長のメイベルとコンタクトを取り、消えた飛行船リンデ号の捜索を依頼されたエステルたちは、モルガン将軍に会うためにハーケン門を訪れる。

大の遊撃士嫌いで頑固者のモルガンに素性がばれないよう、遊撃士の紋章を外しメイベル市長の使いだということで慎重に事を進めようとするが、エステルがうっかり発したひと言で遊撃士だということがばれてしまう。帝国からの旅行者オリビエ・レンハイムの活躍で事なきを得ることができ、事件の犯人はロレント市長の結晶泥棒として追いつめたボース地方の盗賊「カプア一家」であり、王家に対して犯行声明と身代金の要求をしているとの情報を得ることができた。ボースまで案内してほしいとやや強引についてきたオリビエを送り届けた後、記者のナイアルと再会し、事件当日にラヴェンヌ村で何か大きな影を見たという目撃情報があったことを知る。3人はラヴェンヌ村へ向かい、実際に大きな影を見たという子どもに出会うことができた。目撃者であるルゥイという少年に話を聞くと、親子のような大きな影が2つ、村の北に向かって飛んでいったということだった。北には誰も使っていない廃坑があり、奥へ進むとカプア一家の空賊船と荷物を運び出す空賊団、そして消えた飛行船があった。彼らを追い詰めたものの、煙幕を投入され逃げられてしまう。その場に残っていた定期船リンデ号を調査に入るが、中には誰もおらずもぬけの殻だった。

リンデ号から外に出たエステルたちの前にはモルガン将軍と王国軍が。定期船を略奪したとの疑いで逮捕され、3人はハーケン門の地下牢に閉じ込められてしまうが、メイベルの計らいにより偶然隣の牢屋につかまっていたオリビエも共に釈放してもらえることになった。

釈放のお礼にということで協力してくれることになったオリビエと共に、ヴァレリア湖畔で不審者を見たという情報を追ってヴァレリア湖畔へと急ぐ。目撃者は、リベール中のヌシを釣ることを生きがいにし、釣り好き達が集まって設立された釣公師団のロイド。ロイドによると、夜中釣りをしていた時にちょうど不審者を見かけたということだった。きっとカプア盗賊に違いないと夜に備えて宿を取り見張っていると、外れの桟橋に現れたのは予想通りカプア盗賊団のジョゼットとキール、そして黒装束の男だった。エステルたちはこの隙に近くに停泊していると思われる空賊艇に乗り込むために琥珀の塔へ向かい、オリビエの提案で空賊艇に隠れてアジトに乗り込むことに成功した。

アジトに乗り込んだエステルたちは、カプア盗賊団を倒し人質となっていた飛行船の乗客たちを救出するが、その中にカシウスの姿はなかった。他の乗客の話によると、離陸直前で飛行船から降りてしまったらしい。カプア一家の3兄弟ドルン・キール・ジョゼットを追い詰め、戦いに勝利すると3人は逃げようとするが、そこに王国軍の警備艇が現れて拘束され、無事に事件は解決した。

ボースへと戻ったエステルたちの元に、エステルとヨシュア宛の手紙と差出人不明の小包が届いた。小包の中には漆黒に光る謎のオーブメントが入っていたが何の反応もなく、「R博士に解析を依頼していただきたい」と書いてあった。エステルたちはカシウスの行方を探りながら正遊撃士の資格を得るため旅を続けることに決め、ルーアン地方へと向かう。

二章 白き花のマドリガル

クローゼとの出会いのシーン

シェラザードはオリビエと共にロレントへ戻ることになる。定期船の甲板で誰かと連絡を取り合っていたオリビエだったが、オリビエがエレボニア帝国からのスパイだということに気付いていたシェラザードに目的を問いただされる。オリビエの目的はカシウスと接触することだった。

ルーアンへ向けて旅を再開したエステルとヨシュアは、途中にあるクローネ峠の関所で「重剣のアガット」との異名を持つ正遊撃士、アガット・クロスナーと相部屋になる。アガットは2人にキツイ態度を取るが、その夜に狼の群れに関所が襲われるという異常事態が起こった際、単身で片付けようとするアガットに加勢してこれを退けると、少しはエステルたちの実力を認めてくれた様子だった。

ルーアン入りしたエステルとヨシュアはマノリア村を訪れ、特製のランチボックスを買って見晴らしのいい展望台で休憩することにした。ベンチで2人並んで座り、ヨシュアのパエリアを「あ~ん」と食べさせてもらおうとするエステルに困惑するヨシュアだった。

展望台から戻る際、エステルは男の子とぶつかってしまう。男の子が去った後、エステルは左胸についていた遊撃士の紋章がないことに気付く。男の子を追い聞き込みをしていくと、その男の子はメーヴェ街道の途中にあるマーシア孤児院で暮らしているクラムという男の子であることがわかった。孤児院に向かいクラムを発見したエステルは遊撃士の紋章を返してもらおうとするが、そこへジェニス王立学園制服を着た女学生クローゼ・リンツが現れる。事情を話しクローゼと打ち解け、無事に遊撃士の紋章を返してもらうことができたエステルたちは、クローゼの案内で海港都市ルーアンを巡る。1日3回上昇する跳ね橋や灯台などを見て回る3人だったが、倉庫に近づくと「レイヴン」と名乗る不良グループに絡まれる。彼らはエステルたちが遊撃士だとわかると一目散に逃げて行った。

ルーアン支部のギルドを訪れたのち、泊まる場所を確保するためにホテルに向かう。スイートルームがキャンセルになったばかりだということでその部屋を取り、クローゼと別れて部屋に戻ると何者かが部屋を横取りしていた。その男とは女王陛下の甥のデュナン侯爵で、執事のフィリップが説得しようとするが聞く耳を持たないためエステルたちは部屋を譲ることにした。ちょうど取材でルーアンに滞在していたナイアルと再会できたので一緒に泊めてもらえることになる。

次の日の朝ギルドへ向かった2人は、昨夜マーシア孤児院が火事に遭ったという知らせを受け、火災現場の調査を依頼されて現場へと急ぐ。孤児院の院長テレサや子どもたちはみんな無事で、マノリア村へ避難しているとのことだった。焼け跡を調査し、放火であることを突き止めたエステルたちは、テレサにもこのことを伝えるためにマノリア村へ向かうと、そこにルーアン市長のダルモアと秘書のギルバートが現れた。ギルバートは、放火の犯人は不良集団の「レイヴン」を疑っていることを話すが、この話をこっそり聞いていたクラムは、1人でレイヴンのアジトへと乗り込んでしまう。駆けつけたクローゼと一緒に、クラムを助けるためにレイヴンのアジトでもある倉庫に乗り込み、アガットの助けもあって無事にクラムを救い出すことができた。アガットは、エステルたちが民間人を事件や戦いに巻き込んだことに怒り、放火事件についてはアガットに引き継ぐことになってしまった。

それを見ていたクローゼは2人に新しい依頼を持ちかける。クローゼの通うジュニス王立学園で近々行われる文化祭の演劇を手伝ってほしいというものだった。文化祭が終わるまでの間、学園で過ごすことになったエステルとヨシュア。勉強や学園祭の準備などをこなしながら充実した学園生活を送っていった。学園祭での演劇は男女が逆転して演じる「白き花のマドリガル」。クローゼとエステルは剣士役、ヨシュアは姫として出演し、大成功を収めた。学園祭で集まった寄付金はテレサ院長に渡され、涙ながらに孤児院再建を決意したテレサだったが、その帰り道で何者かに襲われ、寄付金を奪われてしまう。マノリア村へと急行し事情を聞いていると、そこにアガットが現れ、レイヴンが行方不明になったことを知る。クローゼの相棒のシロハヤブサのジークに案内され、アガットと共にバレンヌ灯台へ向かうと、そこにはレイヴンがいた。正気ではない様子のレイヴンのメンバーを倒しながら最上階へたどり着くと、そこにはギルバートと黒装束の男たちが話し込んでいた。放火事件やテレサ院長の襲撃事件など、すべてはダルモア市長の差し金であり、レイヴンを犯人に仕向けるための計画だった。アガットは黒装束の男たちを追い、エステルらはダルモア市長を問い詰める。ダルモア市長は「封じの宝杖」と呼ばれる、アーティファクトによって動きを止められそうになるが、黒のオーブメントが光り始めたのと同時にアーティファクトの効果が消滅してしまった。ダルモア市長はヨットで逃げようとするが、最終的にはクローゼが呼んでいた王国の親衛隊によって逮捕された。

エステルたちは黒のオーブメントの謎を解き明かすため、そしてカシウス宛の小包のメモに記されていた「R博士」という人物を調べるために、工房都市と呼ばれるオーブメントの研究が盛んなツァイス市に向かうことにした。

三章 黒のオーブメント

ティータとの出会い

黒装束の男たちを追っていたアガットは、リーダーらしき仮面の男と対峙する。攻勢に出ていたアガットだったが、心の隙を突かれて逃げられてしまった。

王都グランセルで行われる女王誕生祭で再会することを約束したエステルとクローゼは、別れを惜しみながらもエア=レッテンの関所で別れ、カルデア隧道へと向かう。エステルとヨシュアを見送ったクローゼの元に、王都親衛隊のユリア・シュバルツが現れ、彼女を連れて王都へと向かっていった。

カルデア隧道を進んでいると、カルデア隧道の街灯の修理に来ていたティータ・ラッセルという女の子と出会う。ティータを護衛しながら隧道内の街灯の修理を終え、ツァイス市に着いた2人はツァイス支部のギルドで紹介状をもらいマードック工房長に会うことに。工房長によると、カシウス宛の手紙に書いていた「R博士」とはラッセル博士に違いないとのことだった。ラッセル博士の元まで案内してくれたのはティータ。ティータはラッセル博士の孫で、自身も12歳という幼さながら工房の見習い技師を務めていた。ラッセル博士の工房に着いた2人は、ラッセル博士の実験に付き合わされたが、黒いオーブメントのを調べてくれることになった。導力波測定装置にかけてオーブメントを解析しようとすると、急に黒い光を発し、街中の明かりが消えてしまうという異常現象が起こった。黒のオーブメントに干渉しようとするオーブメントを停止させてしまう機能があるようで、「導力停止現象」と名付けられた。この現象を起こさせないためには、オーブメントではなくガソリンのエネルギーを利用した器具が必要だ。エステルたちがガソリンや内燃機関ユニットを集めてくると、ラッセル博士はユニットに改造を施した機材を使って、黒のオーブメントの切断を試みる。導力停止現象は起こらず、少しずつ削れているので時間をかければ切断も可能かもしれない。
そんな時、エルモ村の温泉のポンプが停止してしまったという知らせが入る。昨日の導力停止現象の影響かもしれない。黒のオーブメントで手が離せないラッセル博士に代わって、ティータがポンプの修理に向かうことになった。温泉のポンプ修理が終わり、温泉宿に宿泊したエステルたち。ティータにヨシュアとの関係を聞かれ、戸惑うエステルだった。

翌日ツァイスに戻ると、工場から煙が上がっているのが見えた。どうやら火事ではないようだが、ラッセル博士の姿が見えない。合流したアガットと共に工房内に探しに入ると、ラッセル博士を連れた黒装束の男たちと出くわす。逃げられてしまったが、工房の外にいた人の話によると、工房から出てきたのは王都の親衛隊の姿をしていたということだった。塔の調査に来ていたアルバ教授から、黒装束の男たちが塔に入っていったと聞き、塔の屋上へ行くと、ラッセル博士を抱えた黒装束の男たちがいた。エステルたちは黒装束の男たちを追い詰めたが、飛行艇が乱入し、博士は連れ去られてしまい、ティータをかばって撃たれたアガットも毒を受けて倒れてしまった。薬を作るためにはカルデア鍾乳洞に自生しているゼムリア苔が必要。リベールの東カルバード共和国から訪れ、倒れたアガットを運ぶのを手伝ってくれたジン・ヴァセックという遊撃士の大男も協力してくれることになり、鍾乳洞に住むペングーの王を倒しゼムリア苔の入手に成功し、アガットは一命をとりとめた。

王都へ向かうというジンと別れた後、ドロシーと出会ったエステルたち。ドロシーが見せてくれたレイストン要塞の写真には、なんとラッセル博士を連れ去った飛行艇とよく似た影がレイストン要塞に入っていくのが写っていたのだ。アガットの側にいたいというティータにアガットの看病を任せ、エステルとヨシュアはレイストン要塞へと向かった。レイストン要塞で導力停止現象が発生し、ラッセル博士が捕らわれていることを確信した2人は、回復したアガット・ティータを連れて工房船に乗りレイストン要塞に侵入する。そこにはラッセル博士がつかまっており、リシャール大佐とカノーネ大尉の姿もあった。なんと全ての黒幕はリシャール大佐を始めとする王国軍の情報部で、リシャール大佐は黒のオーブメント(ゴスペル)を使って何かを企んでいるということだった。シード少佐の手助けもあり、レイストン要塞から脱出できたエステルたちだったが、追手がつくことを考えアガットがラッセル博士とティータを連れて逃亡することになる。

一方、ラッセル博士誘拐の容疑でテロリストとして追われていた親衛隊とクローゼは王都付近まで逃げてきていた。親衛隊隊長のユリアはクローゼを逃がすためしんがりをつとめたが、クローゼは間もなく王都に到着するという所でリシャール大佐ら情報部につかまってしまった。

終章 王都繚乱

口移しで睡眠薬を飲ませたヨシュア

アリシア女王に会うため、エステルとヨシュアは王都グランセルの王城を目指す。城に近づくも、アリシア女王は体調不良のため面会できないとのことだった。2人はグランセル支部のギルドへ向かい、今後の相談をすることに。この時期は王都競技場(グランアリーナ)で武術大会が行われており、その主催者はデュナン侯爵で、優勝したチームには賞金と、城で開かれる晩餐会への招待が褒美として授けられるというものだった。武術大会に優勝して女王に会おうと考えたエステルたちは、1人で出場していたツァイスでも会ったジンと、偶然酒場で再会したオリビエと共に武術大会に出場することを決めた。

1回戦目はボースでも対峙した「レイヴン」、2回戦目はクルスを始めとする遊撃士協会の遊撃士たちを相手に善戦し、決勝戦に進む。その夜エステルたちの泊まるホテルに「夜10時に大聖堂まで来られたし」という手紙が届いた。女王生誕祭が近づき軍の警備が厳しくなっている中をかいくぐって大聖堂へ行くと、シスターに扮した王都親衛隊の隊長であるユリアがいた。ユリアからも女王に面会してほしいとお願いされ、城の女官長でもあるヒルダ夫人への紹介状を書いてもらった2人は、武術大会で優勝することを改めて誓う。決勝の相手はロランス少尉と情報部隊という強敵だったが、これを何とか退け優勝することができた一行。見事賞金と晩餐会への招待を獲得することができた。

城の晩餐会には、ロレントをはじめとする街の市長やマードック工房長、ジュニス学園の学園長なども招待されていた。皆が集まった晩餐会でリシャール大佐から伝えられたのは、女王が体調不良のため王位をデュナン侯爵に譲ることを決めたという発表だった。エステルとヨシュアは女官長のヒルダ夫人に会い、侍女に変装(ヨシュアは女装)して女王と面会することができた。リシャール大佐がゴスペルを使って行おうとしている計画は、城の地下に眠るアーティファクトの機能を、ゴスペルによって停止させることだった。さらに、アリシア女王の孫であり王位継承権第一位のクローディア姫や軍の関係者などがエルペ離宮に捕らわれているという事実を知り、エステルたちはクローディア姫と人質の奪還に乗り出す。王都にいる遊撃士や親衛隊の協力もあり、クローディア姫を助け出すことに成功した。エステルはクローディアに言われるまで気付かなかったが、実はクローディア姫はジュニス学園で会ったクローゼだった。クローゼから、女王の救出とグランセル城の開放を依頼されたエステルたちは手分けして城へと向かい、空中庭園で女王と共にいたロランス少尉と対峙する。ロランス少尉に勝利すると、ロランスはリシャール大佐の目的は城の地下にある伝説のアーティファクト「輝く環」(オーリオール)を手に入れることだと告げ、空中へと消えていった。

地下へと急いだエステルたち。アガットとティータ、ラッセル博士も合流し、機械人形たちがさまよう遺跡の中を進んでいくと、最深部でリシャール大佐が待ち受けていた。リシャール大佐を止めるため、エステルたちは死力を尽くし勝利するが、「輝く環」の守護者であるトロイメライが起動してしまう。エステルに狙いが定まり、絶体絶命と思われたが、タイミングよくカシウスが現れこれを阻止し、トロイメライの活動を停止させることができた。

リシャール大佐と情報部が企てたクーデター計画を阻止することができ、無事に女王生誕祭を迎えることができた。エステルとヨシュアはこの働きを認められ、2人は正遊撃士の資格も得ることができたのだった。女王生誕祭の日、エステルとヨシュアは王都内を観光して回っていたが、その中でヨシュアは本当の黒幕がアルバ教授である事と自分の役割について気づいてしまい絶望する。その日の夜エステルに自分の生い立ちや目的を打ち明け、大事なハーモニカをエステルに託したヨシュアは、エステルに睡眠薬を含んだキスをし、「出会った時から…君のことが大好きだったよ。」と言い残して消えてしまった。

『英雄伝説 空の軌跡FC』のゲームシステム

ブレイサークエスト

遊撃士への依頼をこなしていくことで遊撃士のランクが上がる。

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@9rharebare

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