セキレイ（漫画・アニメ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

2023.03.07

『セキレイ』とは、『ガンガンYG』『ヤングガンガン』で連載された漫画、及びそれを原作としたテレビアニメ作品。原作は極楽院櫻子。作者が「ギャルゲーをプレイするような感じで読んでください」と述べる美少女恋愛浪漫活劇。全18巻。冴えない浪人生、佐橋皆人は、自分をセキレイと名乗る結と出会う。皆人は、たくさんの葦牙セキレイたちとの交流や戦闘を経ていきながら成長していく。そして、過去にあった御伽噺を現代に再現するという鶺鴒計画に否応なく巻き込まれていくのだった。

『セキレイ』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

セキレイ達の想いを乗せ嵩天へと向かうことを決意する結

神座島で行われている、7人の葦牙とそのセキレイたちの闘い。突如所属不明の軍隊に侵攻されるも、なんとか迎撃した皆人たち。しかし、さらなる異変が皆人たちを襲う。8つある神器の異変により、皆人たち葦牙が機能停止の状態になってしまった。自分たちの葦牙が倒れてしまったことに困惑するセキレイたち。そんな中、結には皆人を助ける術があった。結の中にいるNo.04結女は、セキレイの中で唯一鶺鴒基幹の他に、葦牙基幹というべき葦牙の機能を持っていた。そして、結女と同化している結にも、葦牙基幹が存在していた。そして、結の葦牙基幹は鶺鴒基幹によって守られている為、結には神器の影響がでていなかったのだ。なので、皆人の葦牙基幹を鶺鴒基幹で守れば、皆人は目を覚ますはず。他に手はないと、結に力を貸すことにした草野、松、月海、風花、焔。月海たちの力を受けた結は、皆人の魂へと潜り、皆人の葦牙基幹を保護、無事皆人の目を覚ますことに成功するのだった。
葦牙の中で唯一目を覚ました皆人。それは、同時にこの鶺鴒計画に勝利を意味していた。神器を巡る闘いを勝ち抜き、島の中で唯一残った葦牙と、その葦牙のセキレイ1羽。それが、皆人と結だったのだ。勝ち残った葦牙とセキレイは嵩天へと上り、「ごほうび」がもらえる。結が願うごほうびは、機能停止してしまったセキレイを復活させて葦牙の元へ戻すこと。そして、島に残ったセキレイたちの願いは、自分たちの葦牙の目が覚めること。止まってしまった葦牙とセキレイたちを、再び自由にする為、他のセキレイたちの想いを乗せて嵩天へと上ることを決意する。そして、結は「その想い私があそこへ！届けます！！嵩天へ！」「翼の折れた者達を再び自由の空へと」と他のセキレイに向けて決意表明するのだった。結の言葉を聞いたセキレイたちは、結に望みを託す。そして、結もその気持ちに応える為、皆人と共に嵩天へと登っていくのだった。

『セキレイ』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

ギャルゲーをプレイしているかのような描写や設定

作者が「ギャルゲーをプレイするような感じで読んでください」と言っている通り、『セキレイ』にはギャルゲーによく見られる描写や設定が多く見られる。
主人公の皆人は、ギャルゲーの主人公にありがちな典型的なヘタレキャラクターであり、そんな彼の周りには美少女や美女が集まりその多くが彼に好意を抱くという、ギャルゲーのような王道ラブコメを行く展開が目立つ。また、メインヒロインは天真爛漫で皆人に100％の好意を向ける結と、ツンデレで好意を素直に伝えることができない月海という、こちらもラブコメでは王道のキャラクター設定となっている。

セキレイは日本の神話が元ネタ

『セキレイ』では、日本の神話から引用しているものが多数ある。
セキレイは、コイオシエドリとも呼ばれる鶺鴒（せきれい）であり、「日本書紀」にも登場している。葦牙は、葦の芽のことで、葦は地上を意味する。出雲荘は、スサノオノミコトの八岐大蛇退治や、オホクニヌシノミコトの国取り部隊である出雲地方。登場人物にも神の名前が由来の者もいる。M・B・I社長の御中は、別天津神の一柱・アメノミナカヌシ。皆人とユカリの母高美は、同じく別天津神の一柱・タカミムスビが由来となっている。
セキレイの焔は、作中で「火の属性を持つ者は神話の時代より嫌われている」と発言しているが、これは、イザナギの妻イザナミが火の神カグツチを産んだ時にカグツチの火によってイザナミが死んでしまい、それに激怒したイザナギが十拳剣（トツカノツルギ、またはアメノオハバリ）でカグツチを斬り殺したことを言っている。ちなみに、美哉の持つ太刀、十握剣（とつかのつるぎ）の名前は十拳剣から取られている。

作者は焔の皆人への気持ちの変化を少女漫画で勉強

元は男のセキレイである焔は、男性である皆人にセキレイとして反応する。そして、男性の葦牙に合わせるように、胸が膨らむなどの女性化が見られるようになった。最初は、男に反応することに困惑していた焔だったが、皆人の焔に対する想いを聞いて皆人のセキレイとしての自分を受け入れられるようになっていた。作中では、皆人に徐々に惹かれていく焔がうまく描かれているが、実は作者と『セキレイ』の担当者がどちらも揺れる気持ちを描くことが苦手だった為、少女漫画で揺れる気持ちを勉強することにした。