WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』とは、三浦しをんの著書『神去なあなあ日常』を原作として公開された青春映画である。大学受験に失敗した平野勇気は「緑の研修生」という林業研修プログラムのパンフレットを偶然見つける。その表紙の美女に憧れて神去村(かみさりむら)にやってくるが、そこには癖だらけの村人たちが暮らしていた。何度も逃げ出そうとする勇気だったが、次第に林業の魅力にみせられていく。この映画はたくさんの小ネタに笑わせられつつ、森林風景の美しさや人との出会いに感動する物語になっている。

山の男

勇気とスローライフ研究会のメンバー

勇気の携帯電話の修理が終わり、与喜と勇気は携帯電話のショップへ来ていた。与喜とニューヨークの女は破局しており、与喜はつまらなそうな表情で勇気に付き添っている。勇気が携帯電話を見てみると、玲奈から電話が来ていた。「相談がある」という玲奈からの電話は、玲奈が大学で所属するスローライフ研究会の仲間と、勇気のもとへ神去村と林業の見学をさせてもらいたいという申し出だった。勇気は玲奈と久しぶりに再会し自分の同年代と話すのがうれしく、スローライフ研究会とともにはしゃいでいた。しかしスローライフ研究会の人々の振る舞いが、勇気が緑の研修生としてやってきたころの自分と重なり始める。大学生のノリと、中村林業の面々の仕事ぶりとの間に差を感じていたのだ。昼食はスローライフ研究会と神去村の人々とのバーベキューだ。そこで玲奈の仲間が勇気に「人間てどんなとこでも住めるもんなんだね。私には絶対無理!」などと言う。そんな林業に携わる人々をないがしろにする発言を聞き、与喜が思わず文句を言おうとする。しかし先に勇気が「帰ってください。帰れってば!!」と大声をあげる。スローライフ研究会はそんな勇気に圧倒され、帰って行ってしまった。与喜はその様子を見て、満足げに笑うのだった。
ある日の仕事帰り、中村林業の面々はトラックの荷台でくつろいでいる。季節は冬に差し掛かったところだ。勇気の先導で木こりの歌を歌い始める。そして、勇気は「祭りの打ち合わせがあるから、お前も一緒にくるか」と言われ、ついていくことになった。中村家で行われた打ち合わせでは、以前見たオオヤマヅミ祭の木札をみんなが裏返していく。勇気の分の木札はない。勇気が部屋の中に入ると、「ちょうどよかった。中村林業さんとこの見習いさんの話をしとった。よその土地のもんを、オオヤマヅミ祭に参加させるのはどうなんかなぁ」と村人に言われる。勇気は気にしていなかったが、中村が「研修生やゆうても、勇気はうちらの仲間です。参加できないことはないはずです」とかばう。中央に座っていた山根が、「来年は48年ぶりの大祭や。そんな大事な年に素人を混ぜるのは、山の神さんのたたりがあるかもしれん。中村さんとこから参加するいうことは、正式に杣人(そまびと)として参加することや。どうせそいつは一年で出ていってしまうんやろ」と畳み掛ける。そこでこれまで黙って聞いていた与喜が「こいつはまだろくに枝打ちもできへんし、ほとんど役にたたん。けど、みんなが思うてるより、こいつはちゃんと山の男や!」と言うのだった。

山どめの日

直紀に謝りに来た子供たち。左後ろにケンジが見える。

雪が解け、神去村に春が来た。この日は天気が良いのに、山の仕事は休みだった。与喜が言うには「今日は山どめの日。山の神様が木の数を数える。人間が山にいたら、木の数に勘定されてしまう」というのだ。与喜と勇気、村の小学生たちは、河川敷で火を起こしていた。そこに直紀が通りかかる。「火遊びしたらあかん!山火事なったらどないすんの!」と子供たちに注意するが、「先生そんなことばっか言うとるから、結婚できんのや」と言い返されて怒って立ち去ってしまった。子供たちは謝るために直紀を追いかけるが、その中の山根の孫のケンジは、虫に気を取られて山に入ってしまう。その後ケンジがいないことに気付いた大人たちが、ケンジの捜索のために山に入ることになった。村人たちは「かわいそうになぁ。神隠しにあったら、まず見つからへん」と噂する。それを聞いた直紀は自分も山に入ろうとするが、祐子に止められる。勇気は「俺に任せてください。絶対に見つけてきます」と言い、他の男たちにならって口の中を清め、山に入った。横一列でケンジの名前を呼びながら、山の中を進んでいく。しかし霧であたり一面、真っ白になってしまった。与喜に「むやみに動くな」と言われるが、勇気は誰のものかわからない手に誘導され、山の奥へと進んでしまう。手が離れると、そこにはケンジがいた。無事を喜びケンジをおんぶして山を下りる勇気。かなり山奥まで来てしまっていた。その頃夕方になった山のふもとでは、消防団と中村林業が「これ以上探すのはあぶないなぁ」と相談していた。そこに勇気とケンジがあらわれ、山根家の人々が駆け寄る。直紀も勇気のもとに駆けつけ、「もう!心配させんといてよ!」と言う。しかし与喜が、勇気の片耳にマムシが噛みついているのを見つける。無理やりマムシを引きはがすが、勇気はへたり込んで救急車で運ばれてしまうのだった。

オオヤマヅミ祭

大木に乗り、なんとかふもとにたどりついた勇気

ケンジの一件以来、山根が何度も勇気のもとにお見舞いに訪れているが、勇気は狸寝入りをしていた。ある日山根からオオヤマヅミ祭の木札を渡されたみきは、勇気に「オオヤマヅミさんの祭でちゃんとお役目はたしてくるんやで。そしたら勇気君も立派な杣人や」と言う。直紀もお見舞いに来ており、勇気の腫れてぶらさがった耳をみて笑ってしまう。勇気と直紀の間には、以前のようなわだかまりはなくなっていた。
オオヤマヅミ祭当日、ふんどし一丁の男たちが夜の村にあふれていた。女たちは炊き出しをして、男たちは水で身体を清めている。勇気も祭の詳細がわからないまま準備を進めていたが、祐子から「勇気君のお母さんから電話があって、大事な用があるって。お父さんのことかもしれん」と聞く。祭のクライマックスのために山頂に向かうところだったが、与喜に先に行っててもらうように話し、急いで電話にでる。与喜は「朝日が昇る前に絶対先頭まで来いよ、そうしないと間に合わへんぞ!」と言う。勇気の母の電話は「勇気、来週には研修終わって帰ってくるんでしょ?その時ハンバーグつくってあげるから、何のソースが好きだっけ?」という、今の勇気にはどうでも良い内容のものだった。その電話を呆れながら切った勇気だったが、今からでは朝日が昇るまでに山頂に行くことは不可能だ。そこで直紀が、バイクで山頂まで乗せていってくれることになった。無事勇気が山頂に着くと、山頂には立派な大木がそびえたっていた。「こっからが本番や」と、たくさんのお神酒や斧が並ぶ神棚の前で、中村と山根が祝詞(のりと)をとなえる。朝日が昇り、山根の先導で杣人たちが大木を塩や酒で清める。これからこの大木を、チェーンソーを使わずに人力だけで倒すのだ。大木に斧を入れ、勇気と与喜が2人がかりでノコギリを入れる。すっかり日も昇り、やっと大木が倒れた。そして倒れた大木の枝を切り、形を整えてあらかじめ作られたレールの上に乗せる。山の頂上からふもとに置かれた的まで、このレールの上をすべらせるのだ。山頂の男たちが大木を押し、人々の手を離れる瞬間、その中にいた勇気の足に大木につないだ紐がからまってしまう。「乗れ!上まで登れ!」と与喜に言われなんとか大木にまたがる勇気だったが、そのまま大木は猛スピードで山の斜面を滑り落ちていった。無事に的までたどり着いた勇気と大木だったが、ふもとで待機していた女たちがご利益を求めて大木に群がり、勇気はおりられない。直紀は少し離れたところでそれを見守っていたが、祐子に促されて笑いながら勇気のもとへ近寄るのだった。

山の男、平野勇気

線路沿いで勇気を見送る直紀

以前勇気が降り立った駅には、勇気と中村、与喜、祐子、みき、繁らが集まっていた。この日は勇気が一年間の研修を終え、実家に帰る日だった。繁からはマムシ酒をお土産に渡され、みきからはお弁当を持たされた。与喜はというと、額を抑えて号泣している。そして何も言わずに勇気をきつく抱きしめるのだった。それを見て勇気や、他のみんなも泣き出してしまう。直紀は学校の仕事が片付いたら来る予定だったが、まだ来ていない。電車が来てしまったので勇気は乗り込み、「身体に気を付けや」と見送られ、電車は出発する。勇気が涙を拭きながらふと窓の外を見ると、直紀が線路沿いまでバイクで見送りに来ているところだった。以前勇気が直紀に貸した「愛羅武勇」の手ぬぐいを掲げ、直紀は「さようなら」と何度も叫ぶ。勇気もそれに応え、何度も大きな声で「さようなら」と繰り返すのだった。
勇気は地元の駅に着き、一年ですっかり見慣れなくなってしまった人の多さに戸惑いながら、なんとか実家に着いた。しかし家に入ろうとしたとき、何かの匂いに気付いてふらふらと近所を彷徨う。勇気は、ちょうど材木で新築の家を建てているところにたどりついた。一年間慣れ親しんだ、木の匂いにつられてきたのだ。一方勇気の父と母が「勇気遅いわね」と家のドアを開けると、そこにはマムシ酒が置いてあった。勇気はお土産だけ置いて、再び電車を乗り継いで神去村に戻ってきていたのだった。そして次の年の新たな緑の研修生のパンフレットには、勇気の写真が使われているのだった。

『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』の登場人物・キャラクター

中村林業株式会社

平野 勇気(ひらの ゆうき/演:染谷 将太)

都会育ちで大学受験に落ちて浪人する予定だったところ、「緑の研修生」のチラシを偶然みつけた。チラシ表紙の直紀に一目ぼれという不純な動機で、林業研修プログラムに参加。はじめはやる気もなく何度も逃げ出そうとするが、次第に神去村と山の魅力に引かれ、林業に打ち込んでいく。基本的にへらへらとして頼りない様子ではあるが、やる時はやる青年である。

飯田 与喜(いいだ よき/演:伊藤 英明)

神去村の中村林業に所属する、林業の天才。林業研修プログラムの基礎講習の講師や、研修生の実地研修の講師も行う。与喜の家は勇気の居候先である。妻のみきと祖母の繁とともに暮らしている。普段は非常に凶暴で口が悪く、軽い暴力もふるうが、勇気のことを次第に受け入れ、村の人間として扱ってくれるようになる。研修を終えて勇気が一度実家に帰る際は、号泣して熱い抱擁をかわしている。愛妻家だが、街に出たときは度々浮気をしている。

中村 清一(なかむら せいいち/演:光石 研)

1番左が中村

勇気や与喜らが所属する、中村林業の社長。神去村の林業従事者をまとめる「おやかた」とも呼ばれる。広大な山林を所有しており、GPSなどの測量技術を駆使してそれらを管理している。中村林業が出荷する木は、こまめな枝打ちや間伐のおかげで同業者からも評判が良い。妻の祐子との間に息子が一人いる。

田辺 巌(たなべ いわお/演:マキタスポーツ)

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