WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』とは、三浦しをんの著書『神去なあなあ日常』を原作として公開された青春映画である。大学受験に失敗した平野勇気は「緑の研修生」という林業研修プログラムのパンフレットを偶然見つける。その表紙の美女に憧れて神去村(かみさりむら)にやってくるが、そこには癖だらけの村人たちが暮らしていた。何度も逃げ出そうとする勇気だったが、次第に林業の魅力にみせられていく。この映画はたくさんの小ネタに笑わせられつつ、森林風景の美しさや人との出会いに感動する物語になっている。

『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』の概要

『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』とは、2014年5月10日に公開された日本の青春映画である。原作は三浦しをんの『神去なあなあ日常』。監督・脚本は矢口史靖で、主演は染谷将太である。この作品は、矢口にとって初めての原作つき映画である。映画のキャッチコピーは「少年よ、大木を抱け」。撮影は三重県の山間部を中心に、約一か月半に及んだ。全国の310スクリーンで公開され、興行収入は1億700万2,400円。客層の割合は男性が多く、その中でも会社員が多く鑑賞していた。また、公開初日映画の満足度調査(ぴあ)では、満足度トップとなっている。
大学受験に失敗し彼女にもふられた平野勇気は、たまたま「緑の研修生」という林業体験プログラムのパンフレットを目にする。表紙の美女に会いたいというだけの不純な動機で研修先の神去村にやってきた勇気だったが、そこで暮らすのは個性的な林業家や村人たちばかりだった。都会育ちの勇気と村人たちはなかなか相容れず、何度も逃げ出そうとする勇気。しかし先輩たちの姿や森の美しさに触れるうち、だんだんと林業の魅力に気づいていくのだった。勇気はどのようにして過酷な林業の仕事になじみ、村人たちに「山の男」として認められるようになっていったのか。この映画は随所にちりばめられた小ネタにクスッとしつつも、ひとりのちゃらんぽらんな青年が大きく成長していく姿に感動させられる作品となっている。

『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』のあらすじ・ストーリー

「緑の研修生」との出会い

画像中央に写っているのが、勇気と緑の研修生のパンフレット

高校3年生の平野勇気(ゆうき)は、大学の合格発表会場に来ていた。そこに勇気の受験番号はなく、大学受験は失敗していた。卒業式後の教室で、勇気は彼女の玲奈に「絶対来年同じ大学受かるから待っててよ」とキスを迫るが、「一度距離を置いた方が良いと思う」と別れを告げられてしまう。傷心して呆然としたまま友人たちとカラオケボックスに来た勇気。友人から「一浪なんか何ともないって、いい女なんてどこにでもいるって!」と適当に励まされ、勇気は単純にそれにノッてしまう。カラオケボックスの帰り、もう外は明るみ始めていた。「もう大学で入るサークル決めてるんだ」という友人たちに疎外感を感じ、勇気は商店街の中で立ち止まる。そこでたまたま目に入った「緑の研修生」のパンフレット。勇気は「これだ!」という表情で、空には朝日が昇るのだった。

研修開始

与喜(左)に詰め寄られる勇気(右)

勇気は研修先に向かうため、地元の駅に向かっていた。駅から新幹線に乗り、さらに電車を2本乗り継いだ。最後に乗った電車は一両編成で、田舎の森林のなかを走っていく。その電車の中で、勇気は高校の友人と携帯電話で話をしていた。友人は「お前来年の受験どうすんだよ。なんで林業なんだよ?」と問う。勇気が緑の研修生に参加する動機は、パンフレットの表紙に写っている美女に会えるかもしれないと思ったからである。そのため友人には、「男らしいっていうか、エコっていうか、地球に優しくありたいわけよ」などと適当なことを言っている。そこで玲奈からキャッチが入り話し始めるが、途中で電波が圏外になってしまう。駅に到着したので電車をおりて電波を探すが、圏外のままである。しかも、手を滑らせて水たまりの中に携帯電話を落としてしまった。すっかりやる気をなくした勇気は「やっぱ帰ろ」と電車の時刻表を見るが、次の電車は6時間後だった。そこに軽自動車がやってくる。勇気を迎えに来た、林業組合の専務だった。勇気は仕方なく専務の車で研修施設に向かい、教室には20人程度の研修生がすでに席についていた。研修自体は一年間行われる。そのうち最初の一か月はこの研修施設で基礎講習を行い、毎日違う講師が指導に来るとのことだった。専務は「本業の林業家だから言葉も荒っぽい人もいるけど、まぁ大丈夫ですよ」と言う。勇気は専務に「ここに写っている人はどこにいるんですか」と緑の研修生のパンフレットの美女を指すが、「写真はイメージです」とパンフレットの隅に小さく書かれていることを教えられてしまうのだった。
後日、研修で「間伐」についての講習が行われていた。講師が「なんで定期的に間伐が必要かわかりますか」と勇気を指して問うが、勇気はやる気がないので「さぁ」としか答えない。また別の講習では「もやい結び」について講師が教えていた。木の上にいる時、片手で自分の身体をロープで結ぶためのやり方を学ぶのだ。研修生それぞれが苦戦しながら練習するが、勇気はやはりやる気がないのでうまく出来ないのだった。次は専務が、木を切る時に使うチェーンソーの扱いについて説明している。そのサポートで実技をみせるのは、中村林業の飯田与喜(よき)だった。与喜は的確に木に切り込みを入れ、木を倒す。勇気はふざけて「たーおれーるぞー」と声をあげ、与喜に舌打ちされる。その後も勇気はまじめに講習を受けず、ついに与喜に頭をつかまれ「お前、さっきから何してる!山なめとったら、命落とすぞ!」と詰め寄られる。驚いた勇気は後ずさりし、後ろにあった斧で手を切ってしまう。「こういう時どうすんのや?もう習ろうたやろ」と与喜が研修生に言うと、勇気と同じ研修生の山本と内藤が適切に手当てをするのだった。止血のために山本がくれた手ぬぐいには「愛羅武勇」の文字があった。

脱落していく研修生

勇気を駅まで送った直紀

勇気は研修施設から、実家に電話をかけていた。「別に用事はないんだけど、そっちどうしてるかなって」と言う勇気だったが、父がぎっくり腰になったことを聞く。そして勇気は里心がついてしまい、「なんか向いてなかったっていうか、やっぱ俺には無理だったんですよね」と研修生を辞める言い訳を考えながら、帰り支度をして研修施設の事務所に向かう。そこにはすでにほかの研修生がおり、専務に研修生を辞める事を告げて帰っていった。専務は「もうちょい優しく教えてやってくれるか。みんな逃げてしまうで。できれば研修が終わった後もここに住んで、家庭を持ってもらいたいんや」と同席していた与喜に言うが、「どうせ都会もんには無理や」とあしらう。そこにはもう一人女性がおり、専務に「こっちでこれ(緑の研修生のパンフレット)処分しときますから!もう使わんといてくださいね!」と言い、パンフレットの束を回収していった。その頃勇気は、専務や与喜らが話し込んでいるうちが家に帰るチャンスだと、こっそり研修施設を抜け出していた。そこに先ほどの女性が運転するバイクが通りかかる。女性は勇気にバイクの後ろに乗るように促し、駅まで連れて行ってくれたのだった。駅に着き、ヘルメットを脱いだ女性の顔をみて驚く勇気。緑の研修生のパンフレットの表紙の美女、石井直紀(なおき)だったのだ。勇気がどうして緑の研修生になったのか察した直紀は「興味本位で来ただけやったら、さっさと帰ってくれへん?どうせみんな辞めてくんやから」と、勇気に辛らつな言葉を浴びせる。直紀が去ったあとの駅に電車がやってきたが勇気は乗らず、直紀の言葉を思い浮かべながら歩いて研修施設に戻ったのだった。
基礎講習の最終日、教室にいる研修生は10人ほどまで減っていたが、その中には勇気の姿があった。研修生に支給された斧等をカバンにしまう勇気に、専務が「正直言うと、君が一番最初におらんようなると思ってたわ。次に会うんは山の中やな!」と激励の言葉をかける。これから約11か月、研修生はそれぞれ実地研修へと向かう。勇気の派遣先は神去村の中村林業というところで、研修施設からかなり山奥へ進む村とのことだった。そこにバンパーがはずれ、ぼろぼろの軽トラがやってくる。中から降りてきたのは与喜で、「平野!平野勇気おるか!」と大声をあげる。勇気がおびえたように返事をすると、あきれた顔で勇気を迎える与喜だった。

中村林業の面々

ヒルに吸い付かれた勇気

狭い林道を猛スピードで進む与喜の軽トラだったが、急ブレーキをかけて停まる。そこには一匹の鹿が死んでおり、勇気を迎えに来る途中で与喜がひいたのだった。2人で鹿を荷台に乗せて再び発進すると、次第にのどかな田畑と瓦屋根の家々が見えてきた。周りを森に囲まれた、神去村だった。一軒の家に到着し、そこには「飯田 与喜、みき、繁(しげ)」の表札があった。そこに与喜の妻であるみきが出てくるのだが、勇気に会釈をするだけで与喜の顔を見ると怒った様子で家に戻っていく。繁も帰ってきて「今日から一年、うちで世話するから」と与喜が勇気を紹介する。勇気に「おやかたの家あそこやから、挨拶行って来い」と言う与喜。そのまま急いで鹿の血抜きをするのだった。おやかたの家に着き、家の中を抜けると中村林業の社長である中村と妻の祐子、その息子がいた。勇気が挨拶をすると、中村が「今林道でトラブルが出てみんな片付けてるから、行ってみるか?」と声をかける。そして中村の運転で向かう途中に与喜も拾い、林道に向かうのだった。途中山の中でいったん車はとまり、そこにある地蔵に中村と与喜は合掌する。再び車は進むが外は土砂降りで、トラブルが起きた林道では何本もの木が道をふさいでいた。中村林業の男たちがその木を運び、道をあけようとしている。勇気も与喜に「こっちこい!」と呼ばれるが、要領が悪く林道横の斜面に落とされてしまう。そのまま何もできずに作業は終わってしまうのだった。雨も上がり、勇気は中村に「緑の研修が終わって、きょうから一年間うちで一緒に働いてくれる平野君や」と中村林業の面々に紹介される。勇気が挨拶をしながら、ふと股を掻いていた手を見ると血だらけになっていた。中村林業の同僚の田辺が、「これヒルやなぁ」と勇気のズボンを下まで下ろす。勇気のお尻にはたくさんのヒルが吸い付いていた。「火や、ライターや」と中村林業の面々は楽しそうに勇気を取り囲み、ヒルを焼いて落としていくのだった。
作業帰りのトラックの荷台では、中村林業の面々がくつろいでいた。田辺が与喜に「今度はニューヨークの女か。懲りんやつやな」と言う。与喜とみきの喧嘩の原因の話だ。隣では中村林業の同僚の小山が勇気に何かを話しかけるが、なまりがひどくて聞き取れない。「まぁ、なあなあや」と、小山は会話を終えてしまう。田辺の先導で木こりの歌を歌う男たち。歌声は山に響いていた。

神去村での生活

バス停の場所を聞く勇気

与喜の家での初めての夕食には、何かの肉がたくさん並んでいた。「血抜きするのに(車)飛ばしたでぇ」と与喜。この肉は、与喜がひいた鹿の肉だった。勇気は無理やり口に押し込むが、繁からマムシ酒をすすめられて吹き出してしまう。「精力つけんと身体がついてこん!」と与喜は言う。しかしみきは「あんたは精力有り余ってるからええな!」と怒り、妊娠のタイミングを見つけるために壁に貼っていた基礎体温表をビリビリに破り捨てる。夜中になり、勇気が窓から外をうかがうと与喜とみきがどこかに出かけていくところだった。勇気はこっそり台所をあさり、食べ物を勝手に食べてしまう。鹿肉が喉を通らず、お腹がすいていたのだ。「俺なにやってんだろ」とつぶやきながらまた台所を漁っていた勇気だったが、夕食に出た鹿の頭が置かれているのを見つけてしまうのだった。
朝になり勇気が目を覚ますと、家には誰もいなかった。縁側には、昨晩みきがビリビリに破いた基礎体温表がテープで修復されて置いてある。勇気は誰もいない今がチャンスだと、荷物をもって村からの脱走を試みる。道端に集まっていた老婦人たちにバス停があるか聞いてみるが、ここからバス停までは車で2時間かかる距離にあるとのことだった。呆然と立ち尽くす勇気のもとに、車で与喜とみき、祐子が通りかかる。老婦人に「街に行きたいんやって」と逃走をバラされそうになり、勇気はあわてて「ケータイ直そうと思って」と言い訳をする。「そんならちょうどええ、俺らもいまから街行くとこやから、乗れ」と与喜はやけに強引にすすめてくる。無理やり車に乗せられる勇気に、老婦人たちは「なあなあや」と声をかけるのだった。道中、与喜とみきは仲直りをしたようでイチャイチャしている。そして祐子とみきをスーパーで降ろし、与喜と勇気は携帯電話のショップへ。勇気が手続きしている間、与喜はしきりと外を気にしている。携帯電話のショップの向かいには、「パブ ニューヨーク」の看板。そこに茶髪の若い女がやってくると、与喜はその女に抱き着きにいくのだった。中村林業の田辺が言っていた「ニューヨークの女」とはこの女性のことで、与喜とみきの喧嘩の原因でもあった。
街からの帰りに祐子を途中の道で降ろすと、祐子は「なおきー!!」と一軒の家に向かって行く。家から出て来たのは研修期間中に勇気を駅まで送った直紀で、祐子の妹だったのだ。勇気は、直紀が以前緑の研修生で神去村にきた青年と大恋愛をし、しばらく一緒に住んでいたが急に青年が村を出てしまったことを聞く。与喜は「今では立派な売れ残りや。ここらで年頃の女が独身っちゅうのは犯罪やな」と言い、みきに怒られる。実は勇気が見た緑の研修生のパンフレットには直紀が付き合っていた青年ものっており、直紀が自分がのることを許可したのは、その青年も一緒だったからだという。
神去村での生活が始まり、初めは朝早い林業の生活になかなか起きられない勇気だった。毎朝与喜に枕を蹴られて起こされていたのだ。しかし次第に自分で起きられるようになり、それを見た与喜も、少しは勇気を認め始めている。ある日の仕事は、木に登り枝打ち(いらない枝を切ること)をする作業だった。その休憩中に、山の中の小高い丘の上で中村が丁寧に珈琲をドリップしている。田辺が勇気に「もう慣れたか。研修終わったらどうすんのや」と聞き、勇気は「まだ考え中です」と答える。中村から手渡された珈琲を一口飲んだ勇気は、その美味しさにニンマリとする。仕事が終わり、与喜と共に家に帰ってきた勇気だったが、与喜が急に「しもた!温泉旅行の日か!」と叫ぶ。繁が友達の老婦人たちと温泉旅行に出かけるため、与喜の車を運転して出ていくところだった。そこにいたみきが勇気に、「勇気君、頼みがあるんやけど、一晩だけどっか行っててくれへん?今日、チャンスデーなんや」と言う。今日は与喜とみきの妊娠のチャンスデーで、軽トラは修理中で夜は外に出かけられないため、勇気にどこかに泊まってくるように言うのだった。勇気は仕方なく村をふらつき、なんとなく直紀の家に立ち寄った。偶然中から直紀が出てくるところで、村の子供たちも一緒にいる。勇気はその子供たちから「ヒルにやられたやつや」と、あだ名を「ヒル」にされてしまう。直紀たちについていくと、神去村の小学校についた。直紀はこの小学校の教師なのだ。直紀と子供たちはドッヂボールを始め、勇気もさそわれて参加するが、直紀と勇気はムキになってボールのやり取りをする。次第に子供を迎えに来た保護者たちが集まって来て、その中に祐子と山根という老人の姿があった。山根は祐子に「研修の子が村におるみたいやけど、挨拶に来ない。あんたんとこは、そういう方針なんか」と嫌味を言う。祐子は「すいません」と言いつつ勇気を呼び、「この地区の会長の山根さんや」と紹介する。勇気がへらへらとした挨拶をするので「ふん、挨拶もできんよそもんが。ケンジ帰るぞ」と孫を呼び、帰って行った。そして祐子に「そういえば、なんでここにおるん」と聞かれた勇気は、「そうだ、今晩泊めてもらえませんか」とお願いするのだった。

子孫のために

木を伐る勇気を見守る、中村林業の面々

勇気は中村家に泊まるため、中村家に来ていた。中村林業の面々の名前が書いてある木札が1枚ずつあり、それは「オオヤマヅミ祭」の出席札だと、中村と祐子の息子が教えてくれた。中村はパソコンを見ており、その画面には中村が管理する山のデータが入っていた。GPSで山の面積などを正確に測量し、山を管理しているのだ。勇気が、壁に飾ってある写真を一枚とる。それには中村のひいおじいさんが写っており、105年前、つまり明治時代の写真だという。後日、このひいおじいさんの時代に植えた木を切る予定なのだそうだ。その当日、105年ものの大木を切って運び出すため、勇気はその通り道の木を切ることを任された。勇気は緊張して覚束ないながらも、中村林業の面々が見守る中、木を切ることに成功。そして与喜が105年ものの木にチェーンソーを入れていく。ゆっくりと倒れる大木。どーんという音と土煙。勇気は与喜の一連の動作を、「かっこいい」という目で凝視するのだった。勇気・中村・与喜は、材木の競り会場に来ていた。中村が「うちのはよそのと比べて節もないし、年輪が細かくて均等やろ。長い間先祖が丁寧に枝打ちして間伐したからや」と自慢げに話す。勇気は木の断面の匂いを嗅ぎ、他の同業者からも中村林業の木が高評価なのを聞いて、まんざらでもなさそうな表情をするのだった。そしてその日切った105年ものの木の競りがはじまり、一本で80万円という価格がついた。競り会場からの帰りの車では、勇気が興奮した様子で中村に話す。「この山の木全部切り出したら、億万長者じゃないっすか」。しかし与喜は「先祖が植えたもん全部売ったら、そのあとは100年で打ち止めや」と叱る。中村は「農業は自分が植えたもんがどう育ったか見れるが、林業はそうはいかん。ええ仕事をしたか結果が出るのは、俺らが死んだあとなんや。まぁ、なあなあやな」と言うのだった。

直紀の本音

一緒に昼食をとる、直紀(左)と勇気(右)

小学校にいる直紀の元へ、みきが急いだ様子でやってきた。「ちょっとお使い頼まれてくれへん!?」とお願いがあったのだ。一方山では、勇気と与喜がそれぞれ木にどんどん登っていく。この日は種取りという作業を行っていた。そこに直紀のバイクがやってくる。木の上で真面目に仕事をしている勇気を見て、直紀は微笑む。勇気と与喜が昼食をとるためにお弁当を探すが忘れてきてしまったことに気付き、与喜が勇気を罵倒する。しかし勇気も適当に受け流しており、だんだんと与喜の性格にも慣れてきている様子だ。実は直紀のお使いは、二人にお弁当を届けることだった。包みのなかには直紀のお弁当も入っていたため、勇気と直紀は川べりで一緒にお弁当を食べることになった。時々顔を見合わせて会話したりと、直紀は勇気のことをだいぶ見直しており、良い雰囲気だ。一旦勇気が川に水をくみに行くと、山の地蔵がひっそりと立っていた。勇気はなんとなく、手に持っていたおにぎりの半分をその地蔵にお供えする。
雨が降ってきたので、勇気と直紀は軽トラに避難していた。勇気は直紀に手ぬぐいを貸すのだが、それは研修中に山本がくれた「愛羅武勇」の手ぬぐいだった。勇気は思い切って「どうして彼氏と別れたんすか」と直紀に聞く。「ケータイの電波が入らんから、ウォシュレットがないからって」「じゃあこんなとこ出て、他のとこ引っ越せばいいじゃないですか」「そんな簡単にいかん。昔っから住んどるとこやで」「それがなんかまずいんですか」と、次第にヒートアップしていく二人の会話。直紀は「うちの勘違いやった。やっぱりあんた、都会の人間やんな。どうせあんたもこの村出てくんやろ。それやったら、さっさと出てけばいいんや」と、そのままバイクで帰ってしまったのだった。

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