ロマンチストの凄惨な末路、『ボヴァリー夫人』

理想を描いて暴走し、最終的に失敗のまま人生に幕を閉じたボヴァリ―夫人。〈ボヴァリズム〉の語源ともなり、男女問わずシンパシーを感じさせる、一人の悲劇的な女性の人生を描きます。

あらすじ・ストーリー

人生に夢を描き修道院で青春時代を送ったヒロインのエンマ。彼女はやがて医者のシャルル・ボヴァリ―と結婚するが、彼は存外に平凡でつまらない男だった。おまけに新しく編み出したと言う手術にも失敗し、エンマは彼に失望感を抱くこととなる。

そんなさなかエンマは田舎貴族のロドルフに出会い、熱を上げる。駆け落ちまで決意するエンマだが、対してロドルフは彼女に別れの手紙を送り付け、この恋は終わりを告げる。

"恋に恋する女"と化したエンマはほどなくして幼馴染のレオンに再会する。レオンに夢中になったエンマは彼に対して贈り物を貢ぎ、果ては借金まで背負いこむハメになる。

返済不能になり家まで差し押さえられた彼女は、ヒ素を飲んで自殺。事実を知った夫のボヴァリ―もショックを受けて絶命する。

実話から得たインスピレーション

ヒロインのエンマは、実在した医者・ドラマールの妻・デルフィーヌがモデルだと言われている。

彼女はエンマ同様、不倫の恋に悩み借金を重ねた末に服毒自殺をしてしまう。

実写映画

エンマを演じるイザベル・ユペール。

写真は91年のシャブロル監督版です。冷静さを装いつつもこわばった表情のアンナが印象的。

まとめ

「ボヴァリ―夫人は私だ」「私のかわいそうなボヴァリ―は、この瞬間にもフランスの20もの村で苦しみ泣いている」と語った作者のフロベール

彼の言う通り、超人的な客観性を持つ人間でもない限りエンマのような先走った感情は誰しも起こりうるもの。〈現実で充分に経験しうる過ちを描いた〉と言っても差し支えのない物語です。

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